霊能探偵・芥川九郎のXファイル(74)【御在所岳の魔界トンネル編】

第1章 菰野への旅

 名古屋の霊能探偵・芥川九郎は、友人の牧田、霊能忍者・桃井と共に三重県の御在所岳へ向かっていた。
芥川「御在所岳は、名古屋からけっこう近いんだね。」
牧田「高速で1時間だからね。距離的、時間的には伊賀の半分だよ。」
牧田は車を運転しながら、芥川に言った。
桃井「ご同行させていただき、本当にありがとうございます。」
牧田「桃井さんは御在所岳での探索が終わったら、そのまま伊賀へ向かうんでしょう?」
桃井「はい。伊賀に帰るのは久しぶりです!」
桃井は最近まで、伊賀の山奥で修行していた霊能忍者である。伊賀市の忍者認定試験に落ちてしまい、今は名古屋市内の予備校で勉強している。
芥川「予備校の勉強は順調に進んでいるの?」
牧田「桃井さんは、伊賀市忍者認定試験特別対策コースで勉強中なんですよね?」
桃井「はい。今度は受かると思います!」
芥川「それはよかった。さっさと合格して、伊賀での修行に復帰しないとね。」
桃井「えぇ、まぁ。」

第2章 御在所岳

 牧田が運転する車は名古屋高速から伊勢湾岸自動車道を走り、三重県に入った。東名阪自動車道から新名神高速道路に入り、新四日市JCTを経由して菰野ICから高速を下りた。そこから国道477号を西進し、ようやく目的地である御在所岳に到着した。
牧田「御在所岳に着いたよ。どこから登るんだい?」
芥川「とりあえず、駐車場へ向かおう。」
牧田「了解。」
牧田の車は御在所岳の駐車場に向かった。
 駐車場で車を降りた三人は、最寄りの登山口から御在所岳を登っていった。
桃井「今回の任務は、魔界トンネルを見つけて閉じるだけなんですよね?」
芥川「うん。御在所岳で魔界トンネルに迷い込んだ人から、霊能学会に情報提供があったらしい。」
桃井「その人、魔界トンネルから無事に帰って来れたんですね。」
芥川「毎回、トンネルから魔獣がうようよ出てくるわけじゃないからね。人間界も広いけど、魔界はもっと広いんだろう。そして、トンネルがいつの間にか開通して、いつの間にか閉じることもある。」
牧田「魔界トンネルの開通には、いくつかの条件を満たす必要があるんだよね。」
芥川「そうそう。夢野さんが開けた可能性もあるから、桃井さんも来てくれてよかったよ。霊能忍者が味方にいれば、非常に心強い。」
桃井「夢野さんも霊能探偵なんですよね?本当に、その人の仕業なんでしょうか?」
夢野長政は福岡の霊能探偵である。彼が各地で、魔界トンネルの開通実験を繰り返しているという不穏な噂があるのだ。

第3章 魔界トンネル

 三人は山登りを続けた。途中で芥川が、魔界トンネルから漏れてくる魔力を探知した。
芥川「向こうに何かありそうだね。」
桃井「言われてみれば確かに、微力な魔力を感じますね。」
芥川「行ってみようか。」
牧田「大丈夫かな・・・」
芥川を先頭に、三人は細い山道をどんどん進んでいった。突然、芥川が立ち止まった。
芥川「トンネルが閉じかけで、入口も小さかったから気付かなかった。僕たちはいつの間にか、魔界トンネルに迷い込んだみたいだ。」
牧田「魔界に通じるトンネルなんだろう?魔獣が出てくる前に、早く引き返そう。」
桃井「牧田さん、慌てるとかえって危険です。来た道をそのまま戻れば、すぐに出られますよ。」
 三人は急ぎ足で来た道を引き返した。
 ズバァアーーンッ!!
 その瞬間、後ろから魔弾が飛んできた。芥川は防御魔法で魔弾を跳ね返して叫んだ。
芥川「まずい!魔界の魔法使いが、すぐそこまで来ているぞっ!!」

第4章 魔界の大魔道士

 桃井が懐から大量の割り箸が入った袋を取り出した。業務用の割り箸だ。桃井は割り箸に霊力を込め、魔法使いに向かって割り箸手裏剣を連射した。魔法使いは防御魔法を唱えた。
 ブゥウーーーン!!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
 桃井の割り箸手裏剣は全て、魔力のバリアに跳ね返されてしまった。
芥川「フィンガー霊丸ボムズ!!」
芥川の両手指から、6発の霊丸が発射された。2発は魔力のバリアに跳ね返され、後の2発がバリアを崩壊させ、残りの2発が魔法使いに命中した。
牧田「倒したのかい?」
芥川「いや。多分、気を失っているだけだ。今のうちに早く逃げよう。」
 三人は全力疾走で引き返し、魔界トンネルを抜け出した。三人が息を整えている間に、トンネルは自然に閉じてしまった。
桃井「魔界トンネルが自然消滅しました。」
芥川「入口近くで派手に魔法を使ったから、トンネルを維持するための条件に影響を与えたんだろう。」
牧田「危なかったね。帰れなくなるところだった。」
桃井「芥川先生。こんな危険な任務だなんて、聞いてませんよ!」
芥川「申し訳ない。まさか魔界トンネルに迷い込んだ上に、魔界の魔法使いに遭遇するとは思わなかった。フィンガー霊丸ボムズなんて使ったから、心臓が痛い。」
牧田「大丈夫かい?魔界の魔法使いはみんな、あんなに強いのか。」
芥川「いや。人間界と一緒だよ。ピンキリだ。あれは大魔道士だね。本当に、運が悪かった。」
桃井「もう帰りましょう。」
 こうして三人はさっさと下山し、駐車場で車に乗り込んだ。牧田の車は、伊賀へ行く桃井のために、近鉄四日市駅へ向かった。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(74)【御在所岳の魔界トンネル編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(74)【御在所岳の魔界トンネル編】

「フィンガー霊丸ボムズなんて使ったから、心臓が痛い。」 名古屋の霊能探偵・芥川は、友人・牧田、霊能忍者・桃井と共に、三重県の御在所岳に開いた「魔界トンネル」を調査することに。 軽い気持ちで向かったはずが、いつの間にか異界へ迷い込み、まさかの「大魔道士」と遭遇してしまい・・・ クスッと笑えてサクッと読める、相変わらずお気楽な能力バトルコメディ第74弾!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-07-16

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  1. 第1章 菰野への旅
  2. 第2章 御在所岳
  3. 第3章 魔界トンネル
  4. 第4章 魔界の大魔道士