霊能探偵・芥川九郎のXファイル(69)【蛇道名古屋支部・女子会編】
第1章 蛇道名古屋支部・女子会
霊能探偵・芥川九郎は、中区の事務所で友人の牧田と話していた。中区にあると言っても、古びたビルの一室に過ぎないのだが。
牧田「今日ここで、スネークヘッドの女子会を開催するそうだから、僕たちはその間、外出した方がよいかもしれないね。」
芥川「えっ!どういうこと?僕はその話、聞いてないんだけど・・・」
スネークヘッド(蛇道)は、東京の能力者・バーニング大谷が立ち上げた異種能力者団体である。その目的は、既存団体の既得権益やしがらみを超克することだ。芥川は名古屋支部長、牧田は事務局長である。
牧田「僕は副支部長の安形さんから聞いたんだ。てっきり、芥川君も知っているものかと思っていたよ。」
安形クリステルは、千里眼の能力を有する女子高生探偵である。一応、スネークヘッド名古屋支部の副支部長だ。
芥川「女子会って・・・他に誰が来て、何をするんだろう?」
牧田「会計係の真理さんと、桃井さんだよ。」
明智真理は、東京の霊能探偵・明智光太郎の娘で、強力な防御魔法を使う。桃井は最近まで、伊賀の山奥で修行していた霊能忍者である。
芥川「真理さんは分かるけど、桃井さんを入会させた覚えはないんだけど・・・」
牧田「桃井さんは最近、入会したんだ。副支部長の指示で、入会手続きは済ませてあるよ。」
芥川「なんてこった・・・」
第2章 女子たちの勉強会
助手の能年(鎧)がコーヒーを淹れ始めた。彼は鎧の妖怪で、芥川の事務所に住み込みで働いている。ちなみに、彼(鎧)もスネークヘッド名古屋支部・事務局員だ。
牧田「そろそろ彼女たちが来る時間だよ。」
芥川「女子会なら安形さんのお屋敷でやればいいだろう。彼女は、名古屋の老舗企業のお嬢様なんだから。」
牧田「いつもは安形さんのお屋敷で勉強会を開いているそうだよ。でも、毎回、安形さんのお屋敷を利用させてもらうのは悪いから・・・」
芥川「それで今回は、僕の事務所で勉強すると言うのかい?スネークヘッドの会議じゃなくて、個人的な勉強だろう?そんなもん、自習室とか貸会議室とかでやってくれよ。」
牧田「まぁまぁ。安形さんは医学部を目指す受験生だし、真理さんは税理士を目指して勉強中。桃井さんは・・・」
芥川「伊賀の山奥で僕を殺そうとしたあの霊能忍者は、伊賀市の忍者認定試験のためのお勉強だろう?知ってるよ!」
牧田「・・・第一印象って、大事なんだね。芥川君は桃井さんを警戒しすぎだよ。彼女、忍者であること以外は、本当に普通の女子だよ。」
芥川「まぁ、そうかもしれないけど・・・」
第3章 鶴間公園と中央図書館
二人がそんな話をしていると、クッキーの香りが漂ってきた。
牧田「クッキーももうすぐできるみたいだ。」
芥川「えっ!誰が焼いているんだい?まさか・・・」
牧田「御手洗君だよ。」
御手洗はアライグマの妖怪である。猪高緑地で芥川と牧田によって捕獲・保護されたという経緯がある。
芥川「まいったなぁ。今日の女子会、能年君はコーヒー係、御手洗君はクッキー係か。」
ちょうどその時、クリステル、真理と桃井が事務所にやって来た。
クリステル「こんにちは。芥川先生。今日は事務所をお貸しいただき、ありがとうございます。」
芥川「いえ、いいんですよ。みなさん、しっかり勉強してください。それでは!」
真理・桃井「ありがとうございます!」
牧田「僕たちは所用で外出します。何かあったら連絡してください。」
芥川と牧田は事務所を出て、鶴舞にある中央図書館へ向かった。
牧田「歩いて行くのかい?」
芥川「うん。別に本を読みたいわけじゃないからね。ゆっくり歩いて行こうよ。」
牧田「うん。分かった。」
二人は1時間弱かけて、鶴間公園に到着した。
芥川「鶴間公園と中央図書館・・・なんだか久しぶりに来たような気がするよ。」
牧田「うん。僕も久しぶりだ。来ようと思えば、いつでも来れるのにね。」
第4章 新副支部長・桃井
芥川と牧田はそれぞれ、図書館で好きな本を読んで暇な時間を過ごした。
芥川「牧田君。そろそろ帰ろうか。安形さんたちの勉強会、そろそろ終了する時間だ。」
牧田「そうだね。今から歩いて帰れば、事務所に着く頃には終わっているだろう。」
二人はまた1時間弱かけて、鶴間公園から事務所まで歩いて行った。事務所に着くと、勉強会は終了したようで、女子たちは楽しそうに談笑していた。
芥川「ただいま。勉強会は終わりましたか?」
クリステル「あっ!芥川先生が帰ってきたよ。ちょうどよかった。今、みんなと大事な話をしていたんです。」
牧田「何かあったんですか?」
クリステル「私と桃井さんと真理さんは、みんな能力者です。私たちの中で一番の年長者は、桃井さんです。だから、副支部長は私より、桃井さんの方がふさわしいと思います。」
真理「桃井さんに副支部長をやってもらうことになりました。」
桃井「芥川先生。勝手に決めてごめんなさい。よろしくお願いします。」
芥川「えっ!急にそんなこと言われても・・・」
牧田「・・・芥川君。そんなに難しく考えなくてもいいと思うよ。桃井さん。よろしくお願いします。」
こうして桃井、真理とクリステルの三人は帰っていった。芥川がさっそく、牧田に不満をぶつけた。
芥川「牧田君。彼女たちだけで支部の重要な人事を決めるのは、おかしいんじゃないかな?」
牧田「君が拒否すれば、彼女たちは支部の緊急幹部会を開催し、採決することになっただろうね。」
芥川「なるほど。多数決で負けて、僕の面目は丸つぶれになるところだったわけか・・・あぁ、徒党を組んだ女子は本当に恐ろしい。」
芥川は申し訳程度に残されていたクッキーを食べてから、ゆっくりとコーヒーを飲み干した。
霊能探偵・芥川九郎のXファイル(69)【蛇道名古屋支部・女子会編】