zoku勇者 マザー2編・36
ストーンヘンジ編・3
「や、殺った……、ハアハア……」
「実際倒したのは……、30匹ぐらいだったけど、それでも、何とか……」
4人はスターマン一族100匹と死闘を繰り広げ、100匹のうち、
30匹を死に物狂いでドスドス撃退したが、残りのスターマン一族は
逃走してしまったのだった。……アイシャは座り込み碌に口もきけない
状態……。ダウドはその場にひっくり返って伸びていた。
「アイシャ、立てるか?ほら……、良く頑張ったな……」
ジャミルが差し伸べた手をアイシャがゆっくりと握り返す。
「うん、ジャミル、有難う……」
「びええーーっ!オイラも起こしてよおーーっ!」
ダウドが地面にひっくり返ったまま、駄々っ子の様に自分も
起こせと暴れる。まるでアイシャに対抗心を燃やしている
様にも見えた……。
「へえへえ、ほら……」
「えへへ……、有難うだよお~!」
「たく……」
「あーあ、僕も……、メガネが……、割れちゃったよ……」
「どうせ伊達なんだろ?又違うの買えばいいんだからさ!」
「この世界での僕のチャームポイントみたいなもんだからさ……」
アルベルトはそう言いながら、又別の新しい眼鏡を取り出して
掛けた。もちろんこれも伊達である。どうやら代りの眼鏡は
いつも常備している様である。
「おい……」
「さあ、行こう!」
4人は所々に置いてあるアイテムを回収しながら更に奥へと進む。
先程の集団とは別のスーパースターマン達もしつこく出現するが
怯む事無く、只管基地の奥へ奥へと。
そして、遂に……。
「……うわ!何だこの部屋っ!!」
先頭を歩いていたジャミルが声を荒げる。どうやら怪しげな部屋に
入ったらしい。……液体の入った巨大なガラス容器の中に……、数人の
人間が閉じこめられている……。
「酷いわ!どうしてこんな事するのよっ!」
アイシャも慌ててガラス容器に駆け寄るが……。
中には……、この世の中を変えたいらしかった、同じや同じや
おもて、うふぇぇーーんの有名号泣県会議員、自分の秘書を
殴ったあげくこのハゲーと絶叫した女性国会議員、お騒がせ
相撲部屋の親方……、何処かの国の総理大臣、大統領……、などなど、
ありとあらゆる有名な方達が……、拉致され容器に突っ込まれていた。
「……おいおいおい、これ、マジでやばすぎるって……」
「父さん……、トニーっ!!」
「あっ、おいっ、アルっ!」
アルベルトが駆け出し、夢中で部屋の何処かにいるであろう
博士達を探す。
「何処に……、一体何処……、あ、あああっ!!」
アルベルトの悲鳴を聞き付け、急いでジャミル達も急いで
アルベルトの側へ……。
「父さん、トニー……、やっと、やっと……、見つけたのに……、
やっぱり……」
アルベルトがその場にしゃがみ込んだ……。先程のお騒がせ有名人達
同じく、アンドーナッツ博士、アップルキッド、トニー、どせいさん、
その他、適当に捕まえてきたとみられる人達がガラス容器の中に
閉じ込められていた……。
「この子、もしかして、行方不明になってるどせいさんじゃ
ないのかしら?本当に酷いわ……、どうしてこんな事に……、
ぐす……」
アイシャがガラス越しに切なそうな顔でどせいさんを見つめると、
どせいさんは小さく何とか聞き取れる声で喋り出す……。
「へいき、……いき、できる……。でも……、あああ」
「おい、アップル!俺だよ、ジャミルだよ、分るか!?
しっかりしろ、すぐに助けてやるからな!!
それまで頑張れよ!おーいっ!絶対死ぬなよっ!!」
ジャミルが必死で容器を叩いてアップルキッドに呼びかけると、
苦しそうに何とかアップルキッドが反応した……。
「……ブクブク、……くるしい……、となりの……、ブクブク……、へや……」
「トニー、トニーっ!僕だよ、アルベルトだよ!助けに来たよ!
返事して、……トニーっ!!」
「……苦しいよ……、ブクブク……、誰なの?もう苦しくて……、
目もあけていられないよ……、アルベルトは……どこ?ブクブク……」
「……ア、ル……」
一番上のガラス容器の中にいた……、アンドーナッツ博士が
苦し紛れにアルベルトを見つめた……。
「……父さんっ!い、今すぐに助けますっ!!」
しかし、博士は黙って首を横に振り、すぐに隣の部屋へ行けと指で
何とかGOサインを送った。かろうじて皆、呼吸は出来る状態の
様であったが、それでももう息は限界に近いらしかった。
「ね、ねえ……、こんなガラス今すぐ壊しちゃえば……、オイラの
PKスターストームで何とかやってみようか……?」
ダウドがそう言うとアルベルトも博士同じく黙って首を横に振る。
「……有難う、ダウド……、でもこの装置は……、恐らくこの基地の
支配者を倒さないと……、基地の全機能が止まらない仕組みだと思う……、
隣の部屋に父さん達を攫った黒幕がいるんだ、……急ごう!」
「アル……」
本当はアルベルトも出来る事なら今すぐに皆を閉じ込めている
ガラス容器を破壊してやりたかった。しかし、やはりこの基地の
支配者を倒し、基地の機能を停止させなければどうにもならない
事も理解はしていた。
「許せない……、絶対に……!!」
……涙を堪え怒りに燃えるアルベルトを先頭に……、4人はダッシュで
隣の部屋へと急ぐ。大切な家族、仲間達を救う為に……。
(ドーナッツばっかり食べてて糖尿病寸前で口は悪いわ、実際は発明の
腕もそれ程でもない……、それでも……、アンドーナッツ博士は……、
この世界での僕の……、大切な父上なんだっ!)
(アルったら……、ど、どさくさに紛れてとんでもない事言ってるわ……)
うっかりとアルベルトの心の声を感じ取ってしまったアイシャが苦笑する……。
「……よし、この部屋だっ!行くぞ、皆っ!」
ジャミルの言葉に頷き、遂に4人はストーンヘンジ基地のボスが
いるであろう部屋へと駈け込んで行った。
「キタナ……」
ストーンヘンジ最終地点で待ち構えていたボスが姿を現す。色は違うが
やはり此処の基地の最高主導者もスターマン一族系の様であった……。
「てめえかっ!皆を攫ってひでえ事したのは!おいっ!今すぐに
皆を解放しろっ!!」
しかし、ジャミルの言葉を無視し、主導者は何やら違う事を
口走り始めた……。
「ワタシハ、DXスターマン……、報告デ聞イテイタヨリ、ズット
テゴワイコドモダ、油断シタ、ヤハリ智恵のリンゴノ予言ハ正シイ
カモシレナイ……、シカシ、私タチヲアマクミルナ!!」
DXスターマンの身体が光り、ジャミル達を睨みつけたかと思うと、
4人の身体がふわりと宙に高く浮かび上がった。
「うわ!?何だこれっ!!」
「身体が……、動かないわ……!!」
「な、何をする気なんだっ!!」
「やばいよお~、やばいよおお~!!」
DXスターマンは4人を宙に浮かせた状態のまま……、今度は急降下
させ一気に地面まで降ろす寸前でそのまま勢いよく叩き付けた。
サイコキネシスを使ったのである。
「ワタシヲナメテモラッテハコマルノデスヨ!」
「……うわああああーーーっ!!」
DXスターマンは更にサイコキネシスを使い、何度も何度も
4人を持ち上げては地面に強く叩き付けた。こうしてじわり
じわりとダメージを与えて甚振る作戦らしかった……。
「いってえ~、……畜生……、このままじゃ……、何も出来ねえ間に
あいつにやられちまう……」
「でも……、強力な超能力の所為で……、一体どうしたらいいのかしら……」
「いたいよお~……」
「嫌だ、こんなの……、父さん、トニー……」
……何も出来ないまま……、4人は身体だけがどんどん傷ついて
ゆくのであった……。
「ドウシタ?モウ終リカ?ヤハリオコサマハオコサマダッタ……、
トイウ事カ?」
DXスターマンは倒れてのけ反って呻いている4人を見縊る様に
じっと見つめている。
「……ち、くしょう……」
「デハコレデドウダ?……ソロソロノウミソガトビデルグライ
ショウゲキヲアタエテクレル!」
DXスターマンが又サイコキネシスを使い、4人を空中へと
持ち上げた。
「やられっぱなしで負けてたまるかっ、冗談じゃねえっ!
……あああああーーーっ!!」
ジャミルは自ら気合いパワーを放出しDXスターマンの呪縛を断ち切る……。
「コノガキ……、この私ノチカラヲサエギルトハ……、コシャクナ!」
「お、お前ら、大丈夫か……?」
「平気よ!有難うジャミル!」
「今から反撃開始だね!」
「うええ~、もう勘弁だよお~……」
4人はもう一度体制を整えると、目の前のDXスターマンを睨んだ……。
「デハ、コチラモココカラホンキヲダサセテモラオウ!」
「望むところだ!この楽○カー○マンめ!」
「ジャミル、それ違うから……」
アルベルトが突っ込もうするがジャミルはバットを構え、DXスターマンに
殴り掛かろうと飛び出していく。慌てて補助の準備をする仲間達だったが……。
「無茶しちゃ駄目よ!サイコシールドΣ!」
アイシャが対PSI攻撃のアシストを張り、アルベルトは後方から
スーパーバズーカで支援する。ダウドは相変わらずその場でオロオロ
状態。ジャミルはバットでDXスターマンを只管殴りどんどんDX
スターマンを追い詰めて行く。
「コシャクナ!……ウウ!」
「……スマーッシュ!!」
ジャミルのスマッシュ攻撃が見事にDXスターマンにヒットした。
後ろの仲間達は燥ぎ合って喜びあう。あっという間にカタは
付いてしまう物と皆思っていたが……。
「やったよお!あいつ倒れちゃったよお!」
「マジでか?本当だ、動かねえ、もう終わりかよ……」
ジャミルが倒れたDXスターマンをつっ突いてみた。……奴は
ピクリとも動かない。
「……」
ジャミルは暫く考えていたが、ダウドの側まで近寄ると、
彼にある物を手渡した。
「これ、お前が持っててくれ、何かの時に役に立つだろ」
「なにさ、これ?」
「サルのきもちだ、魔境でおさるにお礼で貰ったんだ、
これを使うとおさるが助けに来てくれるのさ」
「な、な~んか……、複雑なんだけどまあいいや、受け取っておくよお……」
「さあ、皆の所へ戻りましょっ!」
「うん!これでこの基地の全機能が停止している筈だよ!皆もやっと……」
……バカメガ……!
「……はっ!アイシャ、アルっ!!避けろおおーーっ!!」
「えっ……?ええええっ!……ジャミルっ!」
「うわあーーっ!!」
倒れていた筈のDXスターマンが身体から怪光線を発射し
アイシャとアルベルト目掛けて狙ったが咄嗟にジャミルが
二人を庇い、ジャミルは背中にモロ怪光線を喰らって倒れた……。
「……ハア、ちょいと油断し過ぎたな、俺……」
「……ジャミルっ、しっかりして!」
「早く……、回復しないと!」
「きゃあああーーっ!!」
アイシャとアルベルトが必死でジャミルに呼びかけ、ダウドは
ムンクの叫び……。
「……ソンナヒマハオマエタチニハナイノダ、ワタシヲナメルナ
トイッタハズダガ!?」
DXスターマンは完全に復活し、むっくり起き上がる……。先程のは
芝居だったらしく、大人しく倒れている間に身体を自己修復させて
いたのであった。
「そろそろサイコシールドの効き目が切れる頃だわ!また、
張り直さないと!」
「ソンナヒマハナイトイッテイルノダ……、……PKスターストーム……」
「ああっ!そんなあ!あいつもオイラと同じ……、う、うわわわわわ!!」
……そして、4人はDXスターマンが放ったPKスターストームの嵐に
巻き込まれ……。
「……シンダカ?」
辺りには静寂が訪れた……。
コツコツとDXスターマンの足音が……、基地に引き渡る。DX
スターマンは再び倒れた4人に近寄って行く……。傷だらけの4人は
そのまま動かず……。
「コレデイイ、……ヤツラノシタイヲ……ヤットギーグサマニ
ケンジョウデキル……」
「……あうっ!」
DXスターマンが試しにジャミルの頭部を掴んで身体ごと持ち上げ、
握り潰そうとすると、わずかにジャミルが反応し、呻き声を上げた……。
「コノガキメ……、マダテイコウスルキリョクガアルノカ……、ナラバ……」
「……ふ、ぐううっ!?」
DXスターマンは何度も何度も重体のジャミルの腹に繰り返し強く
パンチを入れた……。
「コレデモカ?コレデモカ?ドウダ?イタイカ?クルシイカ?
……ママノオッパイガコイシイダロウ?ナントカイッテミロ!」
「げ、ほおおおっ……!」
遂にジャミルが口から吐血し、血を吐いた……。
「やめろ……」
「!?」
何かがDXスターマンの足を引っ掴む。ダウドであった……。
「これ以上……、ジャミルに……、皆に酷い事したら……、
幾らオイラでも黙っちゃいないよ……、許さない……!」
ダウドの手が更に怒りと力を込める……、が、その手は震えていた……。
「ナニヲドウスルトイノウダ、デキソコナイメガ……、ヌ?」
「そうよ、私達は……、しつこいって言ってるでしょ……、こ、
こんな事ぐらいでっ……」
「諦めない……、絶対に……、父さんを……、トニーを……、皆を助けるっ!!」
アイシャとアルベルトも這い蹲ったままの姿勢でDXスターマンの足を
しっかりと掴んだ。
「エエイッ!ウジムシドモメガ!……モウイチドスターストームノ
エジキ二シテクレル!!」
「……聞こえる……」
「アイシャ……?」
アルベルトがアイシャの方を見た。何かを感じ取っている様子……。
「……この基地に捕まっている皆が……、私達に力を分けてくれてる……、
アンドーナッツ博士、アップルキッド、どせいさん、トニー、皆、皆が……、
苦しいのに……、私達に力を、心と勇気を送ってくれてる……!!」
「父さん……、トニー……」
「そうだよ……、絶対に、皆の為にも……、俺らは諦めねえーーっ!!」
「ナ、ナニッ!?ウワアアアアーー!!」
「いつまでもこのままだと思うなっ!!さっきはよくもやりやがったなあ!!
これはお礼のお見舞いだああーーっ!!」
傷だらけの4人の身体が光だし……、傷ついた身体があっという間に
塞がって行く……。ジャミルは足をひょいっと曲げるとDXスターマンの
ち○こを怒りを込めて思い切り蹴飛ばすと、DXスターマンの拘束から逃れ、
仲間の所へ!
「アイシャ、アル、んで、おまけのダウドっ!」
「ジャミルーーっ!」
「……ジャミル、良かった……」
「うわああーーんっ!ジャミルううーー!」
「まだ終わってねえ、力を併せてこいつを倒そう!」
「ええ、……基地に捕まっている皆が私達に力を貸してくれたの、
負けないでって……、あっ?」
更なる温かい光が4人を包み込むと……、4人はふわりと空中へ舞った……。
「何だよお!これ、また……、サイコキネシスウううう!?」
「いえ、違うわ……、今度は……」
「うん、温かい光だよ……、感じるよ、皆の思いと力……」
「皆の思いも気持ちも……、絶対に無駄にしねえ!!」
4人は空中で手を繋ぎ全員のサイコパワーを合わせ、静かに
祈りを込めた……。
「僕にはサイコパワーはないけど、でも……、皆を助けたい、絶対に!!」
アルベルトの思いも力になり、4人の力は輝きを増していく。
「……クソッ!ザコメガアアアア!!キエロオオオーーッ!!」
「受け取れえーーっ!!危険なお子様達の力をーーーっ!!」
「……いっけええええーーーっ!!」
4人の力は巨大な光の弾丸となりそのままDXスターマンに飛んでいく……。
光の弾丸は……、DXスターマンの身体を貫いた……。
「コノワタシガ……、ソンナ……、バカ……、ナ……」
4人が再び地上へ降り立った時にはDXスターマンはそのまま
消滅してしまった……。……こうして、ストーンヘンジでの戦いも
幕をおろしたのであった……。
4人は皆が幽閉されていた部屋へと戻った。……皆を閉じ込めていた
ガラス容器は粉々に砕け、博士をはじめ、捕まっていた全ての人々は
解放され無事な姿を見せた。
「……父さん、トニー……」
皆の無事を確認しアルベルトが喜びで震える……。大変だったが
漸くこの基地の全稼働を停止した事が窺えた。
「……どせいさんも元気だわっ!あははっ!……良かった……、
ぐすっ……」
「♪ぷう~!さらわれた。うれしい。」
アイシャとどせいさんは抱き合い喜びのむぎゅむぎゅハグを
するのであった。
「はあ、どうにか間に合ったみたいだな、……おい、アップル、
大丈夫か?……いつまでも寝てんなよ、もう大丈夫だぞ?
……生きてるか?おーい……」
ジャミルが倒れているアップルキッドを突っつくと……、アップルは
ピクリと反応しむっくりと起き上がって不思議そうにジャミルの
顔を見た……。
「はっ!?……ああ、ジャミル君!ありがとう!助けに来て
くれたんだね!僕、水を沢山飲み過ぎて又水分太りするかと
思ったよ……」
「……アルベルト?……アルベルトーーっ!ばかばかばか!ばか
アルベルト!僕を助けに来てくれたんだね、……怖かったけど、
苦しい水の中で微かに君が励ましてくれる声が聞こえたから……、
僕頑張れた、幻じゃなかったんだね、アルベルト……」
「トニー、君も無事で本当に良かった……」
「ねえジャミル、この二人って、ガチホ……?」
「ダウド、いいから……、今はそっとしておいてやれよ……」
「あっ、君がジャミル君ですね、こうやって直に会うのは
初めてですね、初めまして!僕、アルベルトの親友……、いえ、
大親友のトニーですっ!大親友のっ!僕達、もしかしたら
前世から縁が有るのかも知れないね!」
「そ、それはオーバーだよ、トニー……」
何故かジャミルに対抗意識を燃やし、やたらとジャミルの前で
イチャイチャ?を、見せつけるトニー……。
「はあ、はいはい、分かってっからさ、別に誰も邪魔しねえっての、
……たく……」
その他、適当に連れて来られたとみられる被害者の皆さんも、
ジャミル達に心から感謝の言葉を伝えた。
「……おら、牧場で乳搾りしてる時にさらわれちまっただよ!
……おらを誘拐した処で身代金も何もだせねえだよ……」
「……今まで生きてきた中で一番うれしいです、もう、後
1万年でも生きて生きて生きて、生き抜いてやります!
本当に有難う……、うえっ、うええっ!」
「セバスチャン、また会えて良かった……」
「ポマスチャンも……、無事で良かった……」
「ぺマスチャン、……ウワアアアーン!!」
円陣を組んで、肩を寄せ合い号泣するタッシー隊の皆さん……。
「ジャミル君、皆も……、そしてアルベルト……」
「父さん……」
アンドーナッツ博士がゆっくりと4人に近づいて来た。
「言いたい事が沢山あり過ぎてまだちゃんと言葉が出てこないのだ……、
とにかく有難う……、こんなに辛い思いをさせてしまって……、
わしらの為に良く頑張ってくれたな……、アルベルト、お前も
本当に立派になったな……」
「はい、父さんも……、無事で良かった……」
「皆も疲れているだろう……、今日は研究所でゆっくり休んで
行きなさい……」
博士の行為に甘え、4人は研究所で身体を休めて行く事に。
博士、アップルキッドは先に研究所に戻り、テレポートが
使えるジャミル達は攫われた皆さんをそれぞれの場所に
送り返す仕事を済ませた後、研究所へと戻った。
「おう、死にぞこないの皆さまお帰り!キャッ!」
まずは相変わらずのバルーンモンキーのお出迎え。バルーン
モンキーは研究所内にあったあんドーナツを勝手に引っ張り
出して食べていた。
「……あああ!アーーップルウウウ!……無事で、無事で、本当に
よかったのだあーーっ!!」
「マウス君、ただいま、心配掛けたね、僕はもう大丈夫だから……」
「うおーん!ジャミル達殿も……、アップルを……、
主人を助けてくれてありがとうなのだあーーっ!!」
「……達殿って……、変な日本語だなあ、ま、いいけどさ」
「♪うほうほ!みんな無事、よかった!フットもこんなに
元気になりました!みなさんのお陰!うほ!フット、こんなに
嬉しいの生まれて初めて!」
すっかり元気になったビッグフットも姿を見せ、4人は一安心。
「とりあえずはまずは腹ごしらえだ、皆、疲れて腹も減っている
事だろう、どれ……」
博士は皆に、御馳走……、かと思いきや、大量のあんドーナツを
大盤振舞いしてくれた。
「ささ、食べなさい、今日は遠慮しなくていいぞ、ささ、食え食え!
もりもり食え!」
「おう、遠慮しねえぞ!」
さっき、盗み食いしたであろうにも関わらず、バルーンモンキーも
またドーナツに手を出し始める。
「……父さ、……博士、まだ10代の若い僕らまで糖尿病に
する気ですか……?」
「何だっていいじゃねえか、俺、もう疲れて腹減って我慢
出来ねえし!」
「あ!ジャミルったら、手も拭かないで!……もう~!」
ガツガツとドーナツに手を出しはじめたジャミルに横で見ていた
アイシャが呆れた。
「僕も遠慮しませんよ!」
ジャミルに対抗するかの様にアップルキッドもドーナツに手を出し
口いっぱいもぐもぐ。
「何か大食い選手権だよね……、オイラ見てるだけでお腹いっぱいに
なりそう……」
「は、ははは……」
「ジャミル君は素直でいいのう、アルベルト、お前もこれぐらい
素直になりなさい、今でもおねしょしているんだろう?……人間、
素直が一番だぞ」
「!!!な、何でまたその話をぶり返すんですかっ!?……脳天
撃ちますよっ!!たくっ、戻って来た途端にっ!!」
「アルったらっ!…駄目よっ!!」
「すまんのう、何だか好物のあんドーナツを久しぶりに見たら、
急に又言いたい事が口からポンポンと出る様になってしまった……」
「このハゲ……、コホン、じゃなくて、博士……、スペーストンネルの
完成度、進み具合はどうなんですか?」
「うむ、だからまずはアルベルト、お前も腹ごしらえしなさい、
身体が疲れているのだから……、甘い物は疲れを取るのに
いいんだぞ……」
「はい、では僕も……、いただきます」
アルベルトも漸くドーナツに口を付け始めたのを見て、博士も安心する。
「本当に美味しいわ!ところで、ねえ、どせいさん、あなたは
サターンバレーに戻らなくて良かったの?お友達が心配していたわ……」
「ぷう。はかせ、すぺーすとんねるつくったら、ぼくらのさたーん
ばれーにいく、いってました。ぼくもそれまでここにいます。ぷう。
あっ、これ、どせいさんのりぼん、あげます♪」
アイシャにお礼の印、友達の証として、どせいさんがリボンをプレゼント。
「わ、私にくれるの?嬉しい!有難う、ずっとずっと大切な
宝物にするわね!」
「♪ぷう~!」
アイシャはどせいさんのほっぺにキスをする。どせいさんも
嬉しそうであった。
「んだよ、ダウド……、何で俺の方みてんだよ……」
「んにゃ?べっつにい~?(いつものパターンで嫉妬してるかと
思ってさ、……ぷっ!)」
「もぐもぐもぐ……、ごっくん!確率7パーぐらいで助けて貰えるかと
思ってました、でも、あの基地でこうしてどせいさんに知り合えたのは
大きな収穫でした、等々、アンドーナッツ博士ともお会いできましたし!
えっ?無口を治す本ですか?オネットの図書館に返しちゃいましたよ、
それにしても、君と友達になったお陰でギーグの手下に誘拐されるなんて
中々凄い経験が出来ました!」
喋り終えた後、アップルは再びドーナツを口に押し込む。多少、皮肉が
入っている言葉が若干混ざっている様な気もするが……。それにしても、
何故アップルが無口を治す本を借りたのか、謎である。
「そうか、本は返したのか、……図書館……、い、嫌だぼお~……」
「何でジャミル、北の国からの……、おじちゃんみたいな
ひん曲がった顔になってんの……?」
「……僕は嬉しい、図書館……、幸せの場所~……」
アルベルトの頭に花が咲いてしまった様子。まあ、春だからしょうが
ないのではあったが。
「じゃあ、テレポートで図書館に飛ばないとね、……ジャミルもっ!
もうその変顔はやめてっ!」
「分ったよ、怒んなよ、ジャジャ馬……」
「さあ、ドーナツを食べ終えたら今日はもう休みなさい、アップル君も……、
わしは引き続き、スペーストンネルの完成を急がなければいかんからの」
「zzzz……」
博士に言われるまでも無く、アップルキッドはドーナツを食べ過ぎて
眠くなった様子でたぷたぷのボテ腹を全開にして床に倒れていた……。
「……オ、オレも食い過ぎた、……キャア~……」
ついでにバルーンモンキーもひっくり返っていた。
「彼も大変な目に遭ったからな……、アップル君の寝床は儂が用意するから……、
ささ、お前達は2階の部屋へ行った行った、フット君、すまないがアップル君を
運んでおくれ、ついでにバルーンモンキー君もな……」
「うほうほ!」
「うむ、こんな太った主人がどうもすまぬのだー!」
博士の言葉に甘え、4人は二階の特別就寝部屋へ。……ベッドに
入るなり、4人は言葉交わさずすぐに爆睡……。アイシャは
どせいさんをしっかり抱いて一緒に眠っている。……やがて、
全員完全に眠りについた頃……。
「どれ、眠ったかな……」
誰かがこっそりと、部屋に眠っている4人の様子を見に来た。
博士であった。
「みんな……、疲れ切った顔をしておるの、……本当にすまんな……、
こんなに小さな子供達に心配を掛けてしまって……」
博士は眠っている一人一人の毛布を丁寧に掛け直してやる。
そして、寝ているアルベルトの前で手を止めた。
「……おねしょは、しとらんかの……、どれ……」
「ピク……」
寝ている筈のアルベルトの瞼がぴくっと動き、かっと目を
見開いた為、博士は慌てた……。
「さ、さて、わしもスペーストンネルの続き、続きーっと!」
……博士が部屋から退場した後、アルベルトは再び安眠についた。
zoku勇者 マザー2編・36