霊能探偵・芥川九郎のXファイル(67)【遠州鉄道のミラー怪人編】

第1章 美人能力者・三人衆

 霊能探偵・芥川九郎と友人の牧田は、名駅エリアを歩いていた。
芥川「名鉄に乗るのは久しぶりだなぁ。」
牧田「いつもは僕が車を出すからね。」
二人は豊橋に行くために、名鉄の名古屋駅に向かっていた。その時、不意に後ろから声をかけられた。
真理「あれ!牧田さんと芥川先生じゃないですか?」
牧田「えっ!真理さんか。こんにちは。」
芥川「名古屋の美人能力者が勢ぞろいだね。」
振り向くとそこには、真理、桃井とクリステルがいた。明智真理は、東京の霊能探偵・明智光太郎の娘で、強力な防御魔法を使える。桃井は最近まで、伊賀の山奥で修行していた霊能忍者である。安形クリステルは、千里眼の能力を有する女子高生探偵である。
芥川「聞いたよ、桃井さん。伊賀市の忍者認定試験で落第したんだって?」
 芥川の心ない言葉に、桃井はハンカチで目を覆って泣き出した。
真理「芥川先生。ひどいです!桃井さんに謝ってください!!」
芥川「見え透いた泣き真似を・・・この霊能忍者は、霊力を込めた割り箸手裏剣で熊を殺せる強者だ。この程度のことで泣くはずが・・・」
クリステル「芥川先生!無神経な言葉で人を傷つけて、よくそんなことが言えますね。恥を知りなさい!!」
牧田「芥川君。とりあえず謝った方がいいよ。」
芥川「・・・ごめんなさい。桃井さん。申し訳ないことをしたね。」
桃井「私、大丈夫です。みんな、芥川さんのことをあまり責めないでください。私が悪いんです。」
真理「そんなことないですよ。悪いのは芥川先生です!」
クリステル「私もそう思います!」
芥川「・・・・・・」

第2章 名鉄電車・豊橋行き

 芥川と牧田は名鉄電車の特急・豊橋行きに乗っていた。
芥川「僕は何も悪いことをしていないのに、なんであの三人衆に詰められなきゃいけないんだよ。」
牧田「まぁまぁ。桃井さんが泣き出したから、ああいう流れになるのは仕方ないよ。」
芥川「桃井さんは忍者だからね。人の心を操るのはお手の物だろう。て言うか、真理さんも安形さんも、桃井さんの泣き真似に便乗しただけだろう。」
牧田「芥川君がとりあえず謝ってくれてよかったよ。」
芥川「それこそ仕方ないよ。名古屋の能力者を3人も、敵に回したくはないからね。」
 牧田は話題を変えて言った。
牧田「今回の事件は、遠州のコロンボこと、静岡県警の浜田さんからの依頼だね。」
芥川「うん。僕の師匠である、東三河の霊能探偵・神谷寛志先生が最初に相談を受けたんだけどね・・・」
牧田「君の師匠、神谷先生が解決できない事件ってことかい?こんなことを言っては失礼だけど、芥川君に解決できるのかな?」
芥川「犯人の霊能力は大したことないらしい。でも、事件として立件するのが難しいみたいなんだ。それで、みんなで知恵を出し合おうという話になったそうだ。」
牧田「事件として立件するのが難しい・・・か。霊能力がからむと、往々にしてそうなるよね。」

第3章 遠州のコロンボ・浜田

 芥川と牧田が乗る名鉄電車は、1時間弱で豊橋駅に到着した。静岡県警の刑事・浜田は駅の改札口前で二人を待っていた。
浜田「どうも、芥川先生。牧田さんも。お久しぶりです。」
芥川「こんにちは。お元気そうで何よりです。」
牧田「浜田さん、こんにちは。お久しぶりです。よろしくお願いします。」
芥川「神谷先生の事務所で話し合いますか?」
浜田「いえ。駅の近くの喫茶店で事件の概要をご説明します。神谷先生が言うには、芥川先生はいろいろな学会や勉強会で研究しているから、妙案をひねり出してくれるかもしれないと。」
芥川「神谷先生は少々、僕を過大評価しているんです。」
牧田「芥川君。とりあえず、事件について教えてもらおうよ。」
 こうして三人は豊橋駅近くの喫茶店に入り、コーヒーを注文してから話し始めた。
浜田「芥川先生と牧田さんは、遠州鉄道をご存知ですか?」
芥川「名前は聞いたことあります。実際に乗ったことはありませんが。」
浜田「そこで痴漢をしている能力者がいるんです。」
牧田「痴漢・・・どんな迷惑行為をしているんですか?」
浜田「盗撮です。しかし、スマホや盗撮用のカメラを使っているわけではありません。」
牧田「その男は一体、どうやって盗撮しているんですか?」
浜田「神谷先生が言うには、その痴漢男は、鏡に映る光景を直接、脳で読み取る能力があるようなんです。」

第4章 ミラー怪人・清水

 芥川はコーヒーを一口飲んでから言った。
芥川「多分、清水君だ。彼は昔、どこかの勉強会で、その種の能力をどう社会に役立てることができるか、という論文を発表したことがある。」
牧田「そんな立派な人が、なんでまた痴漢に成り下がってしまったんだろう?」
芥川「他人の性癖をとやかく言うことはできないよ。でも、迷惑行為はやめさせないと・・・」
浜田「何か妙案はありませんかね?」
芥川「あることはあるんですが・・・うまく行くかどうか分かりません。」
牧田「危険な方法でなければ、とりあえず試してみたらいいんじゃないかな?痴漢を野放しにはできないよ。」
芥川「うん。やってみよう。浜田さん。手はずを整えていただけますか?」
浜田「承知いたしました!」
 こうして三人は、清水が遠州鉄道で盗撮する時間帯に電車に乗り込んだ。彼はバッグに取り付けた鏡付きキーホルダー抱えている。バッグの位置や角度を微妙に変えながら、女性の姿態を鏡に映して楽しんでいるようだ。
芥川「じゃあ、さっそく行ってくるよ。」
牧田「了解。」
芥川は清水に近付き、鏡に向かって霊力を送り込んだ。清水は一瞬、感電したようにビクッと動いた。芥川は何事もなかったように、牧田と浜田のところに帰ってきた。
芥川「成功したよ。さぁ、もう帰ろう。」
牧田「あれで終わったのかい?」
浜田「本当に一瞬でしたね。」

第5章 哀しき能力者の末路

 それから数日後、清水は遠州鉄道の車内で逮捕された。
牧田「清水が逮捕されたそうだよ。」
芥川「本当かい?意外と早かったね。彼は鏡で盗撮できなくなったから、スマホか何かで盗撮したんだろう?」
牧田「いや。それが公然わいせつ罪で逮捕されたんだ。」
芥川「公然わいせつ罪って・・・」
牧田「車内でいきなりズボンのチャックを開き、アソコを出したらしいよ。」
芥川「なんてことを・・・」
牧田「芥川君は一体、彼にどんな呪いをかけたんだい?」
芥川「呪いではないよ。霊能力者同士で霊力を交わし、一種の縛りを設定したんだ。」
牧田「縛り・・・?」
芥川「約束みたいなもんさ。視神経は直接、脳とつながっている。鏡を通して霊力を送ったんだよ。」
牧田「それで、芥川君はどんな縛りを設定したんだい?まさか・・・」
芥川「鏡の能力を使う際には、アソコを露出しないといけないという縛りだ。」
牧田「そうすると、清水は・・・」
芥川「彼はあきらめることなく、鏡の能力を使ったということさ。清水君はまさに、能力者の鑑だね。」
牧田「・・・・・・」
芥川は少し悲しそうな顔で、深いため息を吐いた。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(67)【遠州鉄道のミラー怪人編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(67)【遠州鉄道のミラー怪人編】

「彼はあきらめることなく、鏡の能力を使ったということさ。まさに能力者の鑑だね。」 霊能探偵・芥川は、遠州のコロンボこと、静岡県警の刑事・浜田の依頼を受け、友人・牧田と共に遠州鉄道の痴漢事件を調査することに。 「ミラー怪人」による証拠の残らない犯行を止めるために、芥川が仕掛けた奇策とは!? 犯人が選んだ哀しき末路と、芥川が放つ最後の迷言が印象に残るお気楽サイキック・コメディ第67弾!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-07-12

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  1. 第1章 美人能力者・三人衆
  2. 第2章 名鉄電車・豊橋行き
  3. 第3章 遠州のコロンボ・浜田
  4. 第4章 ミラー怪人・清水
  5. 第5章 哀しき能力者の末路