霊能探偵・芥川九郎のXファイル(60)【能年君の休日編】
第1章 御手洗熊五郎
霊能探偵・芥川九郎は、中区の事務所で友人の牧田と話していた。中区にあると言っても、古びたビルの一室に過ぎないのだが。そこへ珍客が訪れた。
御手洗「こんにちは、おじゃまいたします。芥川様、お元気そうで何よりでございます。」
牧田「やぁ、こんにちは。芥川君。御手洗君が来たよ。」
芥川「こんにちは。御手洗君も元気そうだね。」
御手洗は化け猫ならぬ、化けアライグマである。猪高緑地をうろついていたところを、芥川と牧田によって捕獲・保護された。ちなみに、御手洗熊五郎という名前は芥川による命名である。
御手洗「えぇ、まぁ。仕事もプライベートも充実しております。」
芥川「それはうらやましいなぁ。」
御手洗は芥川の提案により、名古屋市内で清掃のアルバイトをしている。
牧田「今日は能年君と一緒に、街へ遊びに行くんだろう?」
御手洗「はい!それで能年君を迎えに来たんです。」
能年(鎧)は、部屋の片隅にある机のイスに座っていたがコクッと1回、大きく頷いてから立ち上がった。ちなみに、彼は鎧の妖怪である。芥川の助手として、事務所に住み込みで働いている。
芥川「能年君。僕たちのことは気にしなくていいから、ゆっくり遊んできなよ。今日は能年君の休日だ。」
芥川の言葉を聞き、能年(鎧)はコクッコクッと2回、小さく頷いた。
御手洗「それでは、能年君をお借りいたします。能年君、行きましょう。」
こうして御手洗と能年(鎧)は、名古屋の栄へ繰り出した。
第2章 御手洗と能年(鎧)の会話?
御手洗と能年(鎧)は栄の矢場町エリアへ向かって歩きながら、とりとめもない会話(?)をしていた。
御手洗「相変わらず、芥川は偉そうなやつだなぁ。」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)は御手洗の話を黙って聞いている。
御手洗「能年君もよく我慢しているよ。まぁ、牧田さんの方はまだ、話が通じるよね。霊能力が無くったって、話が分かる牧田さんの方が尊敬に値すると僕は思うよ。」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)は少し首を傾げて、考えている仕草をしている。
御手洗「能年君は鎧の妖怪で、剣の腕は芥川より上なんだろう?」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)はコクッと1回、小さく頷いた。
御手洗「僕はアライグマだから、おいしいご飯を食べたり、かわいい女の子と話したり、いろいろ楽しみがあるけど・・・能年君は鎧だから、ご飯を食べられない。気の毒だなぁ。」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)は少し首を傾げて、考えている仕草をしている。
御手洗「あぁ、そうか。食べられないんじゃなくて、食べる必要がないのか。」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)はコクッコクッと2回、小さく頷いた。
第3章 妖怪たちの哲学談義
二人は矢場町近くの交差点で信号を待ちながらやはり、とりとめもない会話を続けていた。
御手洗「僕たち妖怪は、人間なんかよりもはるかに長生きすることができる。人間は大体、80年で死んでしまう。長生きしたって、せいぜい100年だ。」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)はコクッと1回、小さく頷いた。
御手洗「僕もそれなりに長生きしているからね。芥川なんかよりもはるかに、哲学というものを理解しているつもりだ。」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)は少し首を傾げて、考えている仕草をしている。
御手洗「ハハハッ。哲学なんて難しい話をして悪かったね。そうだなぁ・・・能年君。君の大切なものは何だい?人生の宝と呼べるものを、君は何か持っているかい?」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)はコクッと1回、小さく頷いた。
御手洗「何だい?教えてくれよ。あぁ、そうか。君はしゃべれないから・・・」
御手洗はバッグからメモ帳とボールペンを取り出し、能年(鎧)に手渡した。
御手洗「書いて教えてくれよ。」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)はコクッと1回、小さく頷いてから、メモ帳に文字を書き、御手洗に返した。
第4章 謎の術師・夏目半兵衛
御手洗はメモ帳に書かれた文字を見て突然、涙を流して泣き出した。
御手洗「・・・友だち・・・」
能年(鎧)「・・・・・・」
能年(鎧)はコクッと1回、大きく頷いた。
御手洗「ありがとう!僕にとっても君は、大切な友だちなんだよ。ありがとう・・・ありがとう・・・」
能年(鎧)「・・・・・・」
御手洗は一人で勝手に感激し、能年(鎧)の両手を自分の両手で包み、感謝の言葉を述べた。
やがて交差点の信号が青になったので、二人はまた歩き出した。ようやく久屋大通公園に着いた二人が、相変わらずとりとめもない会話をしていると、不思議な雰囲気の男が近付いてきた。
男「おや?こんな街中で妖怪どもが白昼堂々、何をしているんだ?」
御手洗は男に気付き、険しい表情をした。能年(鎧)も少し緊張している。
男「やれやれ。名古屋観光のついでに、妖怪退治か・・・」
男は法術使いのようで、両手で法印を結んでいる。
御手洗「お前はどこの霊能力者だ!?俺たちは、名古屋の偉大な霊能探偵・芥川九郎様の配下の者だ!俺たちに手を出せば、芥川様が黙っちゃいないぞっ!!」
御手洗は大声でハッタリをかました。能年(鎧)もコクッコクッと2回、大きく頷いた。
男は御手洗の言葉を聞き、法印を解いてから言った。
男「芥川君は名古屋でも相変わらず、酔狂なことをしているようですね。妖怪を子分にして・・・本当に奇特な御仁だ。」
御手洗「あなたは・・・芥川様のご友人でいらっしゃいますか?」
男「私は夏目半兵衛と申します。旧交を温めに滋賀から来ました。」
芥川の旧友・夏目半兵衛が滋賀から、わざわざ名古屋へ来た目的は・・・それはまた次の話。
霊能探偵・芥川九郎のXファイル(60)【能年君の休日編】