霊能探偵・芥川九郎のXファイル(50)【横浜の天狗騒動編】
第1章 東海道新幹線
霊能探偵・芥川九郎は、東海道新幹線に乗っていた。彼は車両の中で、隣の座席に座る友人の牧田と話していた。
芥川「まさか牧田君と横浜へ遊びに行くことになるとは、夢にも思わなかったよ。」
牧田「今回は、真理さんの伯母さんからのご招待だよ。横浜グルメをごちそうしてくれるんだってさ。」
明智真理は、東京の霊能探偵・明智光太郎の娘である。彼女は家出して芥川のところに来た際に、能力者として覚醒した。現在、名古屋で一人暮らしをしている。
真理「お父さんは魔人69面相の件、本当に反省しているんです。そのことを聞いた伯母さんが、名古屋の芥川先生にお詫びして、お礼がしたいと言うんです。」
東京で暗躍していた魔人69面相の正体は、真理の父・明智光太郎だったのだ。彼は東京でのし上がるために、魔人69面相による事件を自作自演していた。いわゆる、マッチポンプと言うやつである。名古屋で起きた事件を機に、芥川がその真相を暴いたという経緯がある。
芥川「別に、そんなに落ち込むことはないよ。魔人69面相の事件で死人が出たことはないんだし。そもそも、最終的に明智先生が自分で解決するんだから、実質的な被害も出ていない。」
牧田は話題を変えた。
牧田「真理さんの伯母さんは横浜在住なんですね。」
真理「そうなんです。今日は横浜中華街でごちそうしてくれるそうです。」
芥川「横浜中華街か・・・有名だよね。だけど一度も行ったことがない。楽しみだなぁ。」
第2章 横浜の天狗騒動
三人が乗る新幹線は約1時間半で新横浜駅に到着した。
牧田「少し早すぎたね。約束の時間まで1時間以上ある。」
芥川「いいじゃないか。せっかくここまで来たんだ。横浜をブラブラ歩いて楽しもうよ。」
真理「私がご案内します。近くにラーメン博物館がありますけど・・・」
牧田「これから中華街でごちそうになるんだから、食べ物系はやめておいた方がいいね。」
真理「そうですよね・・・でも、ラーメン博物館って、ラーメンを食べる以外にも、いろいろ楽しめるところなんですよ。」
芥川「おもしろそうじゃないか。せっかくだから行ってみよう。」
こうして三人は新横浜ラーメン博物館へ行くことにした。真理を先頭に、芥川と牧田がその後ろについて歩いていると、思わぬ人物に遭遇した。
鶴田「左京さん!あの人、名古屋の霊能探偵・芥川さんじゃないですか?」
左京「おや!本当だ。芥川さん、お久しぶりです。奇遇ですねぇ。」
芥川は、警視庁特別係の左京に声をかけられた。左京は警視庁随一の狂人と噂される人物で、霊丸拳銃を携帯する能力者である。
芥川「左京さん!こんにちは。本当に奇遇ですね。」
牧田「左京さんがここにいるということは・・・怪奇事件の捜査ですか?」
鶴田「はい。実は、天狗の目撃情報がありまして。」
真理「天狗・・・横浜駅周辺でですか?」
左京「怪異は神出鬼没です。横浜の街中に天狗が現れたとしても、不思議ではありません。」
第3章 警察官の本分
芥川と牧田、真理、それに左京と鶴田の五人がそんな話をしていると、天空に噂の天狗が現れた。
鶴田「左京さん!アレを見てください!!天狗が現れましたよ!!!」
左京「鶴田君!声が大きいですよ。気付かれてしまいます。」
牧田「けっこう大きいね。芥川君、どうしよう?」
芥川「霊丸拳銃を最大出力でブッ放せば仕留められるかもしれないけど・・・一撃で仕留められなかったらやっかいだな。」
左京「芥川さん!あなたが先に撃ちなさい。私がその後に撃てば、確実に仕留められます。」
左京の提案に、芥川は難色を示した。
芥川「私が先に撃って一発で仕留められなかったら、天狗は私に向かって襲いかかって来るでしょう。この場合、霊能刑事のあなたが先に撃つべきです!」
左京は即座に反論した。
左京「いえ。霊能探偵であるあなたが先に撃ち、霊能刑事である私が最後に撃てば、100%の確率で仕留めることができます。あなたが先に撃つべきです!」
芥川は少し腹を立てながら反論した。
芥川「私は霊能力者である前に、一般市民だ。あなたは警察官でしょう。こういう時こそ、市民のために体を張って戦うべきです!」
左京も少し興奮しながら反論した。
左京「警察官だから、市民のために自分の命を犠牲にするべきだというのは暴論ですよ!」
芥川は激高した。
芥川「そんこと言ってねーよ!お前は公務員なんだから、市民のために奉仕するのは当然だろっ!!」
左京も怒って絶叫した。
左京「市民に奉仕したくて公務員になった人なんていませんよ!みんな、安定した身分と給与がほしくて公務員になるんですっ!!」
第4章 真理の能力:防御魔法
左京と芥川が醜い言い争いをしている間に、天狗が五人に勘づいてしまった。天狗は、天空から五人がいる地点に向かって急降下し、襲いかかってきた。
芥川「しまった!!」
左京「私としたことが!!」
天狗は真理に向かって襲いかかった。しかし、五人の中で真理が一番冷静だった。
真理「防御魔法、発動!」
真理の防御魔法による霊気のバリアに跳ね返された天狗は、その衝撃によってバランスを崩し、明らかに狼狽している。
左京・芥川「今だ!!!」
左京と芥川は同時に、天狗に向かって霊丸拳銃を撃った。二人の放った強力な霊丸が天狗の体を貫通し、天狗はそのまま地面に落下した。そして、体中から白い煙を出しながら、そのまま灰になってしまった。
鶴田「やりましたね、左京さん!」
左京「全て、私の計算通りです!」
牧田「・・・・・・」
芥川「真理さん、大丈夫ですか?」
真理「はい。大丈夫です。」
さすがの芥川も反省しているようで、牧田に向かって静かにつぶやいた。
芥川「中華街で貸しを返してもらう前に、ここで借りを作ってしまったよ。」
霊能探偵・芥川九郎のXファイル(50)【横浜の天狗騒動編】