zoku勇者 マザー2編・29

スカラビ編・1

今回の新しい場所、まるでエジプトの雰囲気の様なスカラビの町。
……これから目指す場所のピラミッドと言うからには当然の如く、
砂漠は付き物。4人は取りあえず軽く町の周囲を探索してみる事に。
 
「あつい、あつい……よおおお~、アイスうううう~……」
 
「言うだろうとは思ってたけどな……(ダウドの愚痴)……、
しかし暑いなあ……」
 
「……きゅううう~……」
 
砂漠を歩いている内に……、アルベルトが眼鏡から湯気を出し、
そのまま倒れた。
 
「ジャミル、アルがっ!」
 
「……倒れたか、仕方ねえ、町に引き返すか……」
 
糞暑いのでやはり此処でも日射病は付いて回る。4人はこれからの
砂漠探求の準備の為、すぐに町に引き返す。
 
「……?何か踏んだみたい、……う、うんこだよおおおおーーー!!」
 
「はあ?……うわ、マジだ!これ人間のだ、……誰だよ……」
 
「其処、気を付けてって言おうとしたけど遅かったね、
……ポーキーって言う外国から来た太ったガキが野グソ
してったから」
 
「早く言ってよおーー!いやだあああーーー!とって
とってええーーー!!」
 
「騒がないのっ!……もう干からびて硬くなってるから……、
後で靴だけどうにか洗えば大丈夫よ……」
 
着いた途端、しょっぱなからもう大騒ぎである。ダウドは暫く
ベソを搔いていた。
 
「お?ハッサンのお店だと、入ってみるか!」
 
……中にいたのは……。フンドシ半ズボンにモヒカンの
マッチョの……、何処からか出張して来たらしき逞しい
アニキなお方であった。
 
「おう!らっしゃい!来たからにはしっかりカイモン
してってくれよな!」
 
「……ハッサン違いじゃねえかよ!」
 
しかし、砂漠を横断するのに不可欠な濡れタオルは此処でしか
取り扱っていないらしい。買えるだけ濡れタオル、うらカンポーを
買い込み、店を出る。
 
「おう、毎度!又来いよ!がっはっは!」
 
「……この濡れタオル、何か汗くさくない?……男の匂いって
感じするよお~……」
 
「うげえ……」
 
……町には店と言うより、商売は市場がメインで其処に
行商人が屯している。
 
「俺がサマーズで買った……、ゴージャスなバット……、んだよ、
スカラビの方が値段が安いんだなあ~……」
 
「仕方ないわよ、バトルを乗り越えるためには強い武器が
不可欠なんだから……、もしもサマーズで買い渋ってたら、
下水道も音の場所も大変だったと思うわ」
 
アイシャがそうフォローしてくれるが、何となく不満そうな
ジャミル。……と、此処でジャミルはこっそり面白い物を
買ったのだったが今は隠しておく事に。悪ふざけにも使え、
後々訪れる魔境で役に立つアイテムである。そしてフラフラと
何気なく入ってみたホテルの中にもこっそりと、例の密売人が。
 
「ペンシルロケット5だ、ジャミル、買い溜めしておいていいかい?」
 
「うん、後、今んとこ買える場所が分かってんのは、フォーサイド
だけだしな、よし、補充しとけよ!」
 
「♪~ありがとう!」
 
アルベルトはご機嫌でペンシルロケット5を大量に買い込む。
しかし、持てる数にも限りがある為、とりあえず5本ぐらいが
限度である。暫く休んだ後、再び町を出、砂漠へ歩き出す……。
商魂たくましく、砂漠にも行商人がいた。
 
「♪わあ、新しいフライパンだわ!ねえ、ジャミル……」
 
「はいよ、でも、打撃はあんまり無理しなくていいからな……」
 
「えへへー!ありがとうー!」
 
「毎度ー!」
 
ドルを払い、アイシャが嬉しそうに新しい武器のフライパン、
素敵なフライパンを受け取った。……破壊危険男アルベルトにも
新武器、クラッシュビームを。
 
「まあ、ぶっ壊れてるクラッシュみてえな奴だからな……」
 
「何、ジャミル……、ん?えーと、これは、……ペ、ペンシルロケット……、
に、20!?」
 
「うわ……!」
 
5を上回る……、このゲーム最強の破壊兵器、遂に登場である。
これさえあれば、ほぼ殆どのボスは壊滅的状態になって
しまうと言う……。
 
※しかし、お話のバランスも保ちたい為、この話ではあまり
使わない様にします。
 
「……うふふ、うふ、うふ、うふふ……、快感脳天ばああ~ん……、
うふふふ~……」
 
「……値段も高えぇなあ、そんなに買えねえって……、まあ、
1個ぐらいなら……、どうしてもの緊急時に使えばいいだろ……」
 
「わ、分った……、控えておくね……」
 
アルベルトが顔を赤くし、漸く我に返った。しかし、これで
当分の間のボス戦は心強い筈。
 
 
………
 
 
「……んでもって、ピラミッドのスフィンクス像前まで
来たけど……、具体的にどうすんだろ?此処で」
 
「踊りを踊るんでしょ?踊ってよ、ジャミル!」
 
アイシャが目を輝かせてジャミルの方を見ている……。
一体何を期待しているんだとジャミルは困惑する。
 
「……お前踊れよ!だんべ○踊りでいいからさ!」
 
(だんべ○踊りというのは未開の地に遥か昔から伝わる
聖なる踊りである)
 
「……ちょ、何でオイラに振るのさあっ!」
 
「ねえ、ヒエログリフのメモ貰ったよね?ちょっと見せて……」
 
「あ、ああ……」
 
「うーん……」
 
ヒエログリフの写しを受け取ったアルベルトが、じっと写しを見て
考え込んでいる……。
 
 
           ・   
      4          3
        2      5
 
「……見て、此処に5つのスイッチが有る、写しに書いてある
数字の通り順番通りに押す……と、……ふんふん、踊りを踊ると
いうのは、このスイッチを数字通り順番に押していく事かな、
とにかく押していってみよう」
 
「な、何だ、そうだったのか、はは……」
 
「つまんな~い!」
 
アイシャが不貞腐れている。……そんなにジャミルの阿波踊りを
見たかったのだろうか。
 
「……盗人か?勇者か?それともただの通りすがりの者か?
いずれの者かはおのずから分る、さて、どうするのだ?」
 
何処からか声が響いた。どうやらスフィンクスが皆に
語りかけている様子。
 
「……どうするも何も……、えと、取りあえず、一番目は写し書きにも
数字の位置は書いてねえけど、上が一番目なんだろうな、ぽちっと!」
 
スイッチの上に乗ると音がした。次に、左下の2番目、斜め上の
3番目、真横の4番目、……そして右斜め下の5番目……と、
スイッチを押すたび、段々音が高くなっていく。最後にもう一度、
一番目のスイッチを押すと……。
 
「おおおおっ!?」
 
……ピラミッドの入り口の扉が開いた。
 
「勇者たちよ、入れ、タカの目を探し出すのだ」
 
「開いたわね!」
 
「これで中に入れるよ、行ってみよう!」
 
「うええええ~……、嫌だなああ~……」
 
4人はピラミッドの中へ。上の階への登り階段があり、薄暗い中を
慎重に階段を登って行く。
 
「……!!」
 
「うわ!出たあ!!」
 
階段の先に、この先に続く部屋が見え、其処から石像男がぬっと
姿を現した。しばきひび割れである。堅そうな割には打撃攻撃も
すんなり通る様だったので問題はなかった。LVもそこそこ
上がっていたので特に大した相手では無く余裕でバトルは終わる。
 
「何かしら?これ……」
 
しばきひび割れが倒れた後、ミイラの包帯の様な物が。アイシャが
手に取ってみる。
 
「……」
 
「おい、どうした?アイシャ……」
 
「余は女王、世紀の絶世美女クレオパトーゥラ15世なり、世界中の
男をこれで拘束する……」
 
「……はああ!?」
 
「うふん、あっはああーーん!全てのオトコは私の物よっ!さあ、
靴をおなめっ!私にひれ伏せっ!!せいやっ!!ひざまづけっ!!
おりゃあああっ!!」
 
アイシャは包帯をムチ代わりにし、ジャミル達をビシビシ叩こうと
する……。危険なSM女王と化してしまったらしい。顔もいきなり
厚化粧状態になり、ケバくなっている。
 
「ちょ!落ち着けよっ!アイシャっ!!」
 
「これも……、ファラオの呪いなのかな……」
 
何だかやや諦めた様な表情でアルベルトが首を曲げた。
 
「何冷静になってんだっ!おめーはっ!!」
 
「怖いよおおおおーー!!」
 
男3人衆は今登って来た階段を夢中で駆け下る。……その後から
圧化粧顔のアイシャが物凄い勢いで包帯を持って追い掛けて来る。
アイシャをこのままにしたまま、ピラミッドの外に逃げるわけに
行かず、どうするか困ったまま、ジャミル達は壁際に追い詰め
られてしまった……。
 
「うふふ!早く私の下部におなりっ!」
 
「……たくっ!胸もねえ癖に色気づいてんじゃねえっつーの!
このまな板めっ!!」
 
「……何よおっ!ジャミルのバカっ!……あれ?」
 
「アイシャっ!!」
 
「……今だっ!」
 
ジャミルの毒舌でアイシャの表情が一瞬元に戻る。その隙を逃さず、
ジャミルが素早くアイシャの手元から包帯を引っ手繰る……。
アイシャは暫くぼ~っとしていたが、漸く完全に元に戻った……、
らしい。
 
「私、どうしてたのかなあ~?何かね、何処か国の女王様に
なっちゃった夢を見てたの……、って、何で皆で壁際に丸く
なって固まってるの?何かのゲーム?」
 
「……ひいいいい~!!」
 
「???」
 
固まって脅える男共を見て……、何をしたか良く覚えていない
天然モードのアイシャはきょとんと不思議そうな顔をしていた……。

「さてと……、中心部まで来たけど、…何だこれ?棺桶?」
 
部屋の中央に…、棺桶と見られる物体が置いてある。
ジャミルがちょんちょん棺桶を突っついてみる。後ろの
ダウドは嫌そうな顔。
 
「まあ、中に入ってるのは大概ミイラしかないよね……」
 
「うええ~……、嫌な事言うなあ~、アルってばあ~……、
どうせなら王様が隠した宝物とかにしてよお、夢ないよお~」
 
「今更ミイラも糞もねえだろ、よっと!……あれ?」
 
ジャミルが棺桶を開けようとするが……、開かない。
 
「うーんっ!……っ!の、野郎ーー!」
 
「よしなよお、ジャミル、うっかり開けてまた呪いでも
掛かったらどうすんのさあ!」
 
「……」
 
「何よ、アル、どうして私の方を見てるの?」
 
ダウドがやめる様に言うが、ジャミルはムキになって棺桶を
こじ開けようとする。結局、アルベルトとアイシャにも止められ、
あまりにも怪しすぎる棺と言う事にし、その場を離れる事にした。
 
「ちぇっ!つまんねーの!」
 
剥れるジャミルが壁に何かを見つけた。どうやら壁画らしい。
狼の様な…、犬の様な顔にち○まる子ちゃんのキャラに良く付く
様な線が入っている。ボーっと見ていると……、壁から壁画が
飛び出して来た!壁画ではあるが、名称は呪いの絵文字という。
 
「わ!何こいつっ!」
 
壁画はささっと凄いスピードでジャミル達の顔に落書きを始める。
顔を汚されたジャミル達は激怒し、数ターンで壁画を倒した。
倒された壁画は又壁へと戻って行った。
 
「やられたねえ~…」
 
ダウドが肩を落とす。アイシャは猫の髭、ダウドは極太眉毛、
ジャミルは鼻毛を、それぞれ顔に悪戯描きされた。
 
「アルは……?」
 
「み、見るなっ!」
 
見るなと言われたが、ジャミルは見てしまった。アルベルトは
眼鏡に目を描かれ、駄菓子屋や玩具屋などで売っている、変眼鏡
状態になっていた……。
 
「ぷ……、うひゃひゃひゃひゃ!!」
 
「ペンシルロケット……、ノーマル……」
 
「やめなさいよっ!アル、勿体無いでしょっ!ジャミルも人を
構わないのよっ!」
 
アイシャがジャミアルのケンカを止めに入った。4人は
濡れタオルで顔を拭き、汚された顔を元に戻すのであった。
 
「さて、今度は下り階段か、ダウド、こけて転がらねえ様に……」
 
「もう転がってますよおお~!」
 
「……」
 
ダウドは丸くなって長い下り階段をごろごろと転がって行った。
 
「やれやれ……」
 
「ダウドーーっ!……だいじょう……」
 
「ひゃあああーーーっ!!」
 
アイシャがダウドを呼ぼうとすると階段の下でダウドの悲鳴が
聞こえ、ジャミル達は大慌てで階段を駆け下りる。見ると、
ダウドは何かにぶつかったらしくそこで止まっていた。
 
「痛いよお……」
 
「何だろうこれ、……又棺桶だ、これが……、この先の通路への
入口を塞いでしまってるんだね……」
 
「アル、お願い、オイラの心配もして……」
 
……ダウドがぼやいた瞬間、棺桶の中からしばきひび割れよりも
一回り大きい石像が飛び出して来た。石像の元締めである。
 
「これはっ!……こんな小さい棺桶の中にこんなでけえのが
収まりっこねえだろが……」
 
「ジャミル、文句言ってる場合じゃないだろ、戦わなきゃ!」
 
「へいへいですー!」
 
アルベルトがクラッシュビームを構え、アイシャもPSIを使う
体制を整える。しかし、元締めはジャミル達野郎を拳で軽く
ぶっ飛ばし、残されたアイシャの身体を両手で捕まえ拘束する。
……捕まえたアイシャもそのまま勢いよく地面に叩き付ける気である。
 
「……い、いやっ!!」
 
「させるかよっ!この野郎!!」
 
ジャミルが素早く元締めをブン殴りに掛かり、アルベルトが
クラッシュビームを放ち援護する。ダウドは……、と言うと。
殴られてひっくり返って倒れて伸びていた。この石像もHPが
少ないのが幸いし、どうにか粉砕する事が出来た。……バトルが
終わった頃、ひっくり返っていたダウドがむっくり起き上がる。
 
「みんな、凄いねえ~……」
 
「オメー、タイミング見て起き上がったんじゃねえだろうな……」
 
「そんな事ないよお~、い、今、目が覚めたんだよ、本当だよお!」
 
「どうだかな……、ん?何だ、あのスイッチ……」
 
石像が入り口をふさいでいた隣の部屋に、何やら気になる
スイッチが有る。試しにジャミルが上に乗っかってみると……。
 
「……上の方で音がしたみたい?」
 
「戻ってみよう、ジャミル!」
 
「ああ!」
 
「あっ、皆待ってよおー!」
 
四人は同じ部屋の棺桶の中にあったしずくのペンダントも回収し
急いで又階段を上がり、元来た場所へと急ぐ。先程の怪しすぎる
棺桶の部屋に変化が有り、下の地下へと続くらしい穴があいていた。
 
「おおっ、新展開!」
 
「この下が怪しいね、飛び込んでみるかい?」
 
「オイラ、遠慮……あああああっ!?」
 
ダウドを引っ張り、問答無用でダウドを抱え先にジャミルが
穴の中へと飛び込む。その後に続いて飛び込むアイシャとアルベルト。
 
「この部屋は……?お……」
 
飛び込んだ先の部屋の中央に台座があり、何か置いてある。
手に取ってみると、……何やら又声がピラミッド内に響き渡り……。
 
「そうだ、それがタカの目だ、……勇者たちよ、そのタカの目を持ち、
魔境へと進むのだ……、魔境は過酷だ、……心して進め……、決して
挫けるな……」
 
「スフィンクスの声か……、でもこれがタカの目なのは間違いねえな、
よし、次は魔境へ行こうぜ!」
 
ジャミルの言葉にアイシャ達も頷く。4人は急いで脱出口から
ピラミッドを後にする。
 
「はあ、次は魔境なんだね、でも……、どうやって行……」
 
「……ダウド王子!」
 
「誰だっ!!」
 
突如、竜巻に乗って何者かが姿を現した。ジャミル達は
思わず身構える……。
 
「えーと、……まぼろし仙人さん?」
 
「な、何だよ、ダウドの知り合いかよ……」
 
「一応ね……」
 
「良かったあ……」
 
アイシャとアルベルトも安心し、大きな息を吐いた。
 
「よくぞ此処まで辿り着いた、やっと会えたのう、星の位置が
お前に出会う事を伝えておったが……、今こそ、そなたに星を
落とす方法を伝授する時……」
 
「ほ、星……???」
 
「さよう、しかし、その為には暫くの間仲間と離れ、儂と共に
修行に明け暮れ、共に過ごす事となろう、返事は一つ、嫌だと
言っても無理にでも引き止めねばならぬ、……暫くの間此処に
留まるのだ、よいな!」
 
「あーう~、オイラに選択権はないのね……、でも、星を
落とせるって……、もしかしたら凄い技なのかも知れないね、
……少しでも強くなって皆のお役に立てるかも知れないのなら
オイラ行くよ……」
 
「ダウド、行っちゃうのね……、無茶はしちゃ駄目よ、早く
戻って来てね……」
 
「朗報を待ってるよ、ダウド……」
 
「うん、アイシャもアルも有難う……、ちら……」
 
「……」
 
ダウドが横目でジャミルの方を見る、何か言葉を期待して
いるらしいが。
 
「ダウド、……そのまんまトンズラすんなよ……?」
 
「なっ!……に、逃げないよおーー!オイラだって地球を救う
選ばれたお子様なんだからねっ!……で、でも……、場合に
よっては……、そのまんま逃走……」
 
「んーっ!?」
 
「ちゃんと戻って来るよおーー!皆の所にっ!……オイラみんなが
大好きだもん、絶対にね……」
 
ダウドは何となく……、涙目になっている様であった。
 
「よしっ!行って来い!皆で待ってるからよ!……ほら、行けっ!
へへっ!」
 
「ジャミル……、ありがとう、アイシャもアルも……、それじゃ
行ってくるね……」
 
「うむ、ダウドの努力次第では早くお前達の元に帰して
やれるやも知れぬ!期待して待て!」
 
「……うわあ、こりゃ無理っぽいぞ……」
 
「何だよお!……オイラもう何がなんでも絶対に早く修行早く
終わらせるんだからね!見てなよ、馬鹿ジャミルっ!」
 
「馬鹿は余計だっ!は、早く行けっ!」
 
「たく、もうう~!!」
 
「では、失敬!」
 
ダウドはまぼろし仙人と共に竜巻に乗り、姿を消した……。
 
「……行っちゃったわね……」
 
「うん、……早く戻って来れるといいね……」
 
「……」
 
ジャミル達はダウドが消えた方向を暫く見つめていた。
……こうしてメンバーは再び、暫くの間、3人トリオへと
戻る事になる。
 
(……ダウド、俺……、大事な事……、お前に聞くのを忘れちまったよ……、
なあ、お前はさ……)

グレート・サザーン・国際観光ホテル……
 
ダウドが外れたその夜、トリオはスカラビの町に有る
ワケ判らん名称のホテルで休憩し、今日の疲れを落していた。
 
 
「ジャミル……、寝ないのかい?明日も早いよ……、今度は魔境へ
行く方法を探すんだから……」
 
いつまでも寝ようとしないジャミルにアルベルトがベッドの
中から声を掛けた。
 
「あのさ、……アル、聞いてもいいか?」
 
「何?」
 
「……アルは……、元の世界での記憶って覚えてんのか……?」
 
「覚えてるよ、……それは僕の運命だもの、僕の本当の父上、
母上……、大切な物を全て失う事も……、それでも僕は前に進むよ……、
例え何処の世界にいても忘れたりしない……、大切な家族との
記憶も思い出も……」
 
「アル……?」
 
「すうう~……」
 
疲れたのかアルベルトはそれきり眠ってしまった。
 
「も、もう俺も寝ないとな…、……ダウドにも聞いておきたかったん
だけどな……、まあ、いいか……」
 
ジャミルももう就寝しようとするが、……急に今日市場で買った物を
思い出し、……リュックの中を探った。
 
「……どうしてもやりたいんだ、許せ、アル!」
 
そして、ジャミルはアルベルトの鼻にある物を付けた。
 
「……」
 
「……ぷ、ぷーっ!……う、うわあああーっ!は、腹痛えよーっ!!
ブ、ブタ…、くくくくくっ!」
 
これがバレた時、後々ジャミルも同じ目に遭わされる羽目に
なるのである。やれば必ずやり返される……、という事。
 
 
……そして、次の日の朝……。
 
 
「ジャミルっ、起きてっ!早く!」
 
「ん~?……な、何だよ……」
 
早朝、ジャミルはアルベルトに叩き起された。何だか珍しく興奮して
噴気している様子。
 
「何かあったん?」
 
「ありありさ!見てっ、遂に完成したんだよ!」
 
「……おまえ、それ……、昨夜俺より早く寝たんじゃねえの?」
 
「うん、その後でね、何だか急に目が冴えちゃってさ、
起きちゃったんだよ、それでね、徹夜で壊れたバズーカを
直していたんだ、そしてスーパーバズーカになったんだ!」
 
アルベルトはマグネットヒルでの下水道に落ちていた壊れた
バズーカを修理し、スーパーバズーカへと改良したのである。
 
「♪これがあれば敵全体にも大ダメージを与えられるし、随分と
役に立つと思うんだ!」
 
アルベルトは嬉しそうである。本当に頼もしい戦力にはなるし、
それはそれで良かったのだが、……ジャミルはちょっと変な想像をし、
アルベルトから数歩離れる……。
 
 
毎朝、早朝……
 
アルベルト:……お早うございます……、よーく寝てますねえ~、
……バズーカ発射!!
 
 
「……うわああああーーーっ!!早朝バズーカはよせーーっ!!」
 
「ちょっと……、ジャミルどうしたの!?何青い顔してるんだよ!
おーい!」
 
「お早う、二人とも支度出来た?……って、ジャミル、何してるの?」
 
アイシャが二人の部屋にやってくる。アイシャは変な想像をして
魂が抜け掛かっているジャミルを見て首を傾げた……。
 
「ねえ、アル……、ジャミルは何してるの?」
 
「分らない……」
 
「……ぷしゅうう~……」
 
 
そして、トリオは情報集めの為にスカラビ砂漠の探検へと
再度繰り出す。
 
「……あちいなあ~……」
 
「ホント、暑いわね……」
 
「暑いよね……」
 
それしか言葉が出てこないのか、暑いを連発する3人。……と、そんな
トリオの前に、敵が出る。ドコドコ砂漠にいたトサカランの色違い、
凶悪版のドザガランと、気配りユーホーであった。
 
「敵だわっ!」
 
「アイシャ待って、ここは僕に任せて!」
 
「アル?」
 
PSIを使おうとしたアイシャの前にアルベルトが率先して出る。
ジャミルは何だかアルベルトに異様な雰囲気を感じ……。
 
「うふふ~の……うふうーー!」
 
アルベルトが笑った。スーパーバズーカを取り出し、うすら笑いを
浮かべている……。
 
(や、やっぱりこいつは……殺気満々だっ……!)
 
「……発射ーーっ!!」
 
アルベルトが敵に向け、バズーカを発射した……。一撃では
仕留められない物の……、それでも大ダメージを確実に敵に与え、
HPを削れるのは間違いなかった。
 
「アル、凄ーいっ!何処で買ったの!?」
 
「いや、買ったんじゃないよ、前に下水道で拾った……、ホラ、
壊れたバズーカを……、ね……」
 
「わあ!ますます凄いじゃないっ!凄く頼りになるね!」
 
「おい、……後は俺がやっちまうけど、いいか?」
 
「あっ、頼むよ!」
 
「……」
 
敵の後始末はジャミルが行い、敵を見事に退治する。
 
「……あー、気持ちいいなあー!」
 
アルベルトはご機嫌。しかしジャミルは等々……、高○純○
アルベルトが降臨してしまった事に……、不安を覚えるので
あった。
 
「撃つなよ、頼むから……、俺によう……」
 
「はあ~、暑いわあ~……、ねえ、一旦スカラビに戻らない……?
お水も切れちゃったし……」
 
「うふふ~!……きゅうう~……」
 
アイシャがしゃがみ込み、アルベルトも日射病で倒れた。
いつもの通り。お昼も近いので、トリオはスカラビに
戻る事にした。
 
「お?おいつ、何だ?」
 
「……凄いわ!ロープの上で正座してる!」
 
町の中央にひときわ目立つ変なおっさんがいた。長いロープを垂らし、
その上で空中正座しているのである。
 
「私は趣味でこういう事をやっているんだがね、かっこいいだろ?
最近、友達が出来てね、ダンジョン男君だ、ダンジョン作りの職人でね、
ダンジョンが好き過ぎで、遂に自分自身がダンジョンになって
しまったという、変わり者さ、どうだい?彼に会ってみたくないかい?」
 
「おう、面白れえ奴は大好きだぜ!会ってみてえなあ!」
 
「……ジャミル、幾ら自分が変だからって……」
 
「何だっ!アルっ!?」
 
「ふふ、そう来なくては……、ではダンジョン男君の部屋の鍵を
あげよう……、……?な、ない……、何処かに落とした様だ、すまない……」
 
「ええええーーっ!?」
 
トリオは声を張り上げ、大ブーイングする……。
 
「砂漠の何処かに落ちていると思うんだが……、私は細かい事に
拘らない主義でね、すまないが、鍵は自分達で探しておくれ……」
 
「仕方ないわ、……鍵、探しましょ!」
 
「……コンタクトレンズの悪夢到来じゃねえか……」
 
仕方なしに、トリオはもう少し町で休んだら、再び砂漠へ
繰り出す事にした……。
 
「それにしても……、ダンジョン男……、……はて、何処かで……?」
 
「何してんだよ、アル!また砂漠へ入る準備しとかねーと!」
 
「今いくよ!」
 
アルベルトが慌ててジャミルとアイシャの後を追う。かつて
ウィンターズで出会ったダンジョン職人のブリック・ロードの事を、
すっかり忘れてしまっていたアルベルトなのであった。

zoku勇者 マザー2編・29

zoku勇者 マザー2編・29

SFC版ロマサガ1 マザー2 クロスオーバー 年齢変更 ジャミル×アイシャ カオス ギャグ 下ネタ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-20

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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