霊能探偵・芥川九郎のXファイル(40)【全裸株主編】

第1章 守屋愛の株式投資

 霊能探偵・芥川九郎は、中区にある事務所で友人の牧田と話していた。中区にあると言っても、古びたビルの一室に過ぎないのだが。
芥川「守屋先生から、とある企業の株主総会に出席するよう依頼されてね。」
牧田「守屋愛は株式投資をしているのかい?」
守屋愛は魔法学会から追放された危険な魔術師である。芥川と彼女は過去にいろいろと因縁があるのだが、今はビジネスパートナーとしてお互いに利用し合っている。
芥川「牧田君。今は投資の時代だよ。守屋先生に限らず、お金に余裕がある人はみんな投資をしている。」
牧田「それはそうだけど・・・彼女は君を株主総会に出席させて、何を企んでいるんだろう?」
芥川「さぁ。何も企んでいないと思うよ。いつもの気まぐれだろう。」
牧田「気まぐれねぇ・・・」
芥川「せっかくの機会だから、君も出席するといいよ。今から手続きを済ませておけば、まだ間に合うから。」
牧田「そうだね。出席するだけでいいなら、僕も行こうかな。どこの会社の株主総会だい?」
芥川「外食チェーンの会社だよ。」

第2章 株主総会当日

 こうして芥川と牧田はとある企業(外食チェーン)の株主総会に出席することとなった。当日、二人は少し早めに会場入りした。
牧田「こういう場に出席するのは久しぶりだから、なんだか緊張するね。」
芥川「うん。特に何かやるわけじゃないのにね。」
株主たちはぞろぞろと会場に入ってくる。しばらくすると、会場は出席者でいっぱいになり、株主総会が始まった。
牧田「いよいよ始まったね。」
芥川「うん。」
監査報告・事業報告は滞りなく終了した。そして、議案の上程が行われた後に、質疑応答に移った。質問のある株主は挙手して、議長に指名された人がマイクで質問するという流れだ。新しいメニューの提案・要望、店舗の衛生管理、不祥事対策、株主優待の拡充など、株主たちはそれぞれ、いろいろな意見を主張した。
芥川「せっかくだから、一つ質問してみよう。」
牧田「えっ!君がかい?」
芥川「なんでも経験することが大切だよ。」
牧田「一体、何を質問するんだい?」
芥川「醤油ペロペロについて質問してみよう。」

第3章 芥川の質問

 芥川はそう言うと、さっと挙手した。しばらくすると議長に指名されたので、彼は立ち上がって自分の意見を述べた。
芥川「醤油ペロペロ対策として、醤油差しの注ぎ口に、剃刀の刃とか針のような棘とか、そういうものを取り付けるべきではないでしょうか?」
議長「店舗の衛生管理や迷惑行為対策について、貴重なご意見をいただきありがとうございます。お客様に安心してご利用いただくための安全対策は、当社としても最優先の経営課題と認識しております。しかしながら、注ぎ口にカミソリの刃や針などの鋭利なものを取り付けた場合、一般のお客様、特に小さなお子様やご高齢のお客様が、誤って触れて怪我をされる重大なリスクがございます。万が一、お客様が店舗の備品で怪我をされた場合、企業としての管理責任を問われる可能性があり、安全な食事環境を提供するという本質に反することになります。当社では現在、迷惑行為への対策として、防犯カメラの活用、警察への通報などのような取り組みを進めております。今後も、全てのお客様が安心して、安全でおいしいお食事を楽しめるよう努めてまいりますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。」
芥川「分かりました。ご回答ありがとうございました。」
非の打ち所がない回答に、芥川は納得してイスに座った。その時である。一人の男性が突然、立ち上がって絶叫した。
男性「次は俺の番だぁ!」

第4章 全裸株主

 その男は全裸だった。正確に言うと、白いブリーフだけ履いていた。
男性「私は村川ファンドの村川だ!」
芥川「牧田君。村川ファンドの村川さんだよ。こんなところで本物を見ることができるとは、夢にも思わなかった。」
牧田「村川さん、本当に全裸だよ。あれはさすがにまずいだろう。」
芥川「何言ってるんだ。ちゃんとパンツを履いているじゃないか。」
牧田「そうだけど・・・」
村川の登場に会場は騒然となった。しばらくすると、議長から警告がアナウンスされた。
議長「村川様に申し上げます。総会の秩序を乱す不適切な服装、公序良俗に反する行為は固くお断りいたします。直ちに衣服を着用し、態度を改められない場合は退場を命じます。」
しかし、村川は全裸のまま、わけの分からないことをわめき散らしていた。
議長「村川様。度重なる警告にもかかわらず、衣服を着用せず、総会の正常な進行を妨害されているため、退場を命じます。速やかに退去してください。事務局及び警備員は、当該株主を退去させてください。また、必要に応じて警察への通報を行ってください。」
 村川は泣きながら絶叫した。
村川「お金儲けをして、何が悪いんですか?私の何が悪いんですか?」
村川は事務局社員及び警備員によって連れ出された。その後、各議案の採決に移り、全て可決されて総会は終了した。
牧田「ハプニングはあったけど、無事終了したね。」
芥川「村川ファンドの村川さんを見ることができて、本当に来た甲斐があったね。」
芥川は村川ファンドの村川の雄姿を見て、真の戦う株主の魂に心の底から感動していた。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(40)【全裸株主編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(40)【全裸株主編】

「お金儲けをして、何が悪いんですか?」 霊能探偵・芥川は今回、なぜかとある企業(外食チェーン)の株主総会に参戦。 過激な質問を繰り出す芥川の次に現れた質問者は、まさかの「全裸株主(※ブリーフは履いてる)」だった! 混沌を極める会場で、芥川が心の底から感動した理由とは・・・ サクッと読めてクスッと笑える、経済小説(?)でお気楽なコメディ第40弾!

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-07

CC BY
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  1. 第1章 守屋愛の株式投資
  2. 第2章 株主総会当日
  3. 第3章 芥川の質問
  4. 第4章 全裸株主