zoku勇者 マザー2編・26

4人揃って大冒険開始編・1

……どおおおおーーーーんっ!!
 
 
「な、何だ、何だっ!?」
 
「きゃ!!」
 
突如聞こえた爆音に心地よい眠りモードだったジャミル達が
一斉に目を覚ます……。
 
「い、隕石が……、落ちたの……かな?」
 
アルベルトも慌てて落ちた眼鏡をずり上げ辺りを見回す。
 
「……」
 
ジャミル達が見ると、真っ黒黒の変な塊が倒れていた……。
 
「テレポート……、失敗……、ぶつかっちゃったよおお~……」
 
「よおお~?」
 
「……何処かで聞いた事が有る様な……、で、でも……」
 
アイシャがオロオロし……、ジャミルは試しに側に転がっていた棒で
喋る塊を突いてみる事にした……。
 
「し、慎重に……、最悪、屁でもされたら困るからな……」
 
「……何でそうなるんだよおーーっ!!それはジャミルじゃ
ないかあーーっ!!」
 
「お、お前……」
 
黒い塊は突如、ぱっと原型を取戻し、ジャミル達に姿を見せた……。
 
「ダウドなの……?」
 
「君は……、まさか……」
 
「そうだよ、オイラダウドだよ!……オイラが地球を救う少年少女の
最後のメンバーなんだよ!」
 
「♪あはっ!ダウドが最後のメンバーだったのね!嬉しい!
じゃあ、この世界でも私達4人が揃ったのね!又一緒に冒険
出来るのね!宜しくね、ダウド!!」
 
「あ、うん、アイシャ……、へへ、此方こそ宜しく、アルも……」
 
「まあ、こうなるよね、僕ら腐れ縁だものね、僕の方こそ……」
 
遂に、この世界での4人がやっと対面を果たし、再会の
喜びが交わされた。
 
「待て待て待てえーーっ!!」
 
……と、それを遮るジャミルの大音量。
 
「やっぱり……、突っ込んでくるよね、はああ~……」
 
「何で怒鳴るのよう!ジャミルったら!折角ダウドがメンバーに
入ってくれたのに!」
 
「何か不満でもある訳?……君は……」
 
「……突っ込みどころ満載なんだよっ!おめえ、今回は俺んちの
犬の役だっただろうがよっ!!」
 
「仕方ないなあ~、ちゃんと説明するから……」
 
ダウドは前回の話で、自分が一人称で話を進めていた大事な
箇所をジャミルにもきちんと説明した。ジャミルは納得した
様な……、納得しない様な表情をしていたが。あんなにはっきりと
した夢を見ていた割には目が覚めた途端、夢の記憶がすっ飛んで
しまっていた。
 
「そう言う事……、オイラはジャミルの下部なんだよ……、
という事です」
 
しかし、下部にしては逆らう、反発する、逆切れする事も
多いので困った下部である。
 
「そうか、……分ったよ……、じゃあ、お前が4人目なんだな、
分った……」
 
ジャミルが漸く頷いたので、アイシャとアルベルトも
顔を見合わせ一安心。
 
「けど、ちょっとこっち来い!」
 
「え?え?え?ちょ、ちょっと!何なのさあー!」
 
ジャミルはダウドを引っ張って何処かへ連れて行く。慌てて
アイシャとアルベルトも後を追う。……着いた先はショップで
あった。
 
「もしもし……、ファラか?」
 
『ああ!ジャミル、丁度良かった!……あたいも今、ジャミルと
話したい事があってさ……』
 
「分ってる、……ダウ犬の事だろ、こっちに来てるんだ……」
 
『ええっ!?マジっ!?』
 
ジャミルはダウ犬がいきなりいなくなった事で、ファラと
トレーシーが心配しているのではと、思い、念の為に家に
連絡をしたのである。案の定、騒動になっていた様だが、
トレーシーに電話を代わって貰い、事情を説明すると
安心した様子。
 
『そっか、お兄ちゃんの所にいるんだね、なら安心か……、
それにしても、お兄ちゃんの後を追って海まで越えちゃう
なんて凄いね!ダウ犬も!お兄ちゃん、ダウ犬の事、
宜しくお願いしますね……』
 
「ああ、こっちの方は任せとけ、又電話するから、じゃあな……」
 
ジャミルは受話器を置く。……ダウ犬が人間モードに
なっている事は電話だと説明仕切れないので取りあえず
これで誤魔化しておいた。
 
「お電話終わりましたかあ!?」
 
「……終わりましたかあ!?……じゃ、ねえよ、たくもう……、
何か疲れて来たわ……」
 
「うふふ!でも、これで私達4人の本当の冒険が始まるのよねっ!
いけいけゴーゴーよっ!」
 
「あ、アイシャ……、またあまり燥ぎ過ぎない様にしてね……」
 
「アルったら!分かってるわよう!」
 
……ますます張り切る奴が出て来たとジャミルは頭を抱えた。
 
「それにしても……、何で胴着なんだよ、似合わねえこと……、
プ……」
 
「何だよお!うるさいなあ!!」
 
「あの、お客様……、他のお客様もいますので……、くれぐれも
店内ではお静かに願います……」
 
「あ……」
 
店員に注意され、4人が小さくなった……。
 
「ねえ、ダウド……、それじゃ素手だし、君用の武器も
買った方がいいんじゃない?」
 
「うん、でも……、オイラ下手に武器を装備すると、返って
攻撃力が下がるんだ、だからって素手でも痛いけど……、
素手の方が良い仕組みなんだ……、しかもね、防具も
装備出来る物がそんなになくてね……」
 
回復食べ物も、水と一部の物しかで回復出来ない仕様なのだが、
ダウドは普通に色々、皆と同じ物を食べたいので、それは
黙っている事にした。
 
「そ、そうなんだ、大変だね……」
 
「うん、大変なんだよお……」
 
アルベルトとダウドが会話を交わす横で、不安そうな表情で
ダウドを見るジャミル。
 
(素手かよ……、おいおいおい、戦闘スタイルも何だか微妙だなあ~、
大丈夫なのか……)
 
LVがまだ低く、加えてそれ程強くない4人目が加入した
ばかりの大変さは……この後のマグネットヒルで否応なしに
味わう事となる……。
 
「で、これから何処へ行くのさ?」
 
「ん?ああ、船で海を越えてスカラビへ行くんだ、その為の
手順を漸く踏んだ処にお前が飛んで来たってワケ」
 
「……海か、船が沈没……、あるいは遭難しないといいね……」
 
「お前なあ……、だからヘタレ愚痴垂れるんだったらはよ実家へ
帰れ!!あるいはお前の人間体の時の故郷とやらでもいいぞっ!!
どっちみち、道中、海の怪物と……ふがっ!!」
 
(ジャミルっ、……あ、あまり刺激しちゃ駄目だよっ!もうっ!)
 
「……むぐううー!」
 
アルベルトに口を塞がれるジャミル、慌てふためく……。
 
「あはは!何だか本当に又、賑やかになって来たねー!私、
ますます楽しくなってきちゃった!皆で頑張ろうねっ!ジャミル、
アル、ダウドっ!」
 
「う、うん、そだねー……」
 
「……ぷはあっ!何がそだねーだ!かわい子ぶんな!このウスラ
腹黒ド畜生SM糞メガネ!!」
 
「うるさいなあー!又ガムテープ張るよ!?単細胞ノータリン
馬鹿!!アホっ!!下痢男!!帽子の下はこのハゲーー!!」
 
「……4人目にはいろかな、やっぱり……逃げよかな……」
 
「あっ、また猫さんだわ!きゃあーっ!!」
 
「お、おーいっ!!勝手に外行くなってんだよ!
又誘拐されたらどうするっ!こらああーーっ!!」
 
「……だから、店内では静かにして頂けますか、お客様……」
 
結局、余りにも騒がしくした為……、4人は揃って店から
つまみ出される……。
 
「追い出されちゃったじゃないかっ!もうっ!!」
 
「……何だよっ!けど、もうこの店じゃ装備品も買ったし、
買う物ももうねえからいいよ……」
 
「じゃあ、次はいよいよサマーズの海を越えるのね、何だか
ワクワクしちゃう!」
 
「オイラはあんまりワクワクしないよお~……」
 
と、それぞれが言った処で、ワゴンを押した夫人が通り掛かる。
船長の奥さんであった。
 
「良かったわね、あなた達、又お友達が増えたのね、随分
楽しそうじゃない、うふふ」
 
「あっ!……さっきはども!ケーキ滅茶苦茶美味かった!」
 
「ごちそうさまでしたー!」
 
「ええ、思わず夢見心地になってしまいました……」
 
「……皆、揃ってケーキ食べたんだね、オイラが来る前に……、
何だかずるいなあ~……」
 
「喜んでもらえて嬉しいわ、新作のケーキも良かったら食べに来てね!」
 
「是非っ!!」
 
「あ、オイラも今度は、えへへ……」
 
ジャミル達が声を揃えると、奥さんはニコニコと笑った。
 
「私もさっき、主人とちゃんときちんと話をして来たの、
ごめんなさいね、御心配掛けて……、あなた達、海を
越えるんでしょう?もう、主人も活力を取り戻したし、
大丈夫よ!」
 
「じゃあ、もういつでも出発出来るって事だな!よっしゃよっしゃ!」
 
「その前に……、此処の施設は全部廻ったかしら?スカラビ文化
博物館もあるのよ」
 
「は、博物館……?」
 
「ええ、とても珍しいスカラビの歴史資料が沢山あるの、
これからスカラビへ赴くのならお勉強にもなるわよ、
じゃあ、又ね!」
 
奥さんは去って行く。ジャミルは嫌な予感がした。とても嫌な
予感がした……。恐る恐る、アルベルトの方を見ると……。
 
「ハク、ブツ、カアアーーン!!」
 
「うわああーーっ!やっぱり駄目だっ!このアホウメガネ!」
 
噴気したアルベルトが目を輝かせていた。……おまけにメガネも
光らせていた。こうなるともう逆らえなくなるので、アルベルトと
対の大の勉強嫌いのジャミルは否応なしに又博物館へと
連れ回される事になる……。

~スカラビ文化博物館~
 
「はい、入場料一人3ドルです、しっかりお勉強していって
下さいね、一部改装中の箇所もありますよ」
 
「……勉強……、わわわわわ!」
 
まだ中に入ったばかりだというのに、もうジャミルは
汗だくであった。
 
「ジャミル、あんまり思い詰めちゃ駄目よ、恐竜博物館の
時みたいに、何かジャミルにとっても面白い発見が有るかも
知れないわよ!」
 
アイシャが落ち着かせようとするが、ジャミルは不満顔。
 
「だあーってよお、……ブツブツ、やっぱつまんねえよ、
俺には合わな……、お、おお!?」
 
何か興味をそそるものがあったらしく、展示物目掛けて
ジャミルが走って行った。
 
〔ラムレーズン5世のおまる〕
 
「ウ、ウンコ、当然、本人のウンコのミイラも有る筈だよな!」
 
「アル、良かったわね、ジャミルが息吹き返したわよ……」
 
「うん、これで少しは落ち着いて展示物、見て行けるかな……」
 
「……ウンコ博士にでもなればいいんだよお、いっその事、
洋式便器を研究所にしてさ」
 
「んだとっ!?ヘタレ、この野郎!!」
 
「お、お客様、館内ではお静かに願います!!」
 
「……」
 
アイシャとアルベルトが揃って下を向き、いつもの如く
溜息をついた。
 
〔トタンカーメンの弁当箱……〕
 
〔トタンカーメンの筆記用具……〕
 
「ほうほうほう、へええ~……、弁当箱か、一体何食って
たんだろうな?」
 
「どうしてあれは……、変な物ばっかりならまともに見るんだろう……」
 
「それでも、真剣に見てるんだからいいと思うわ……」
 
取りあえず、こっちの見学を邪魔されないのでまあいいか、
と、アルベルトは思いつつ。熱心?にウロチョロ見学をする
4人の処に、メガネのおじさんが近寄って来た。
 
「やあ、感心だね、君達若いのに……、僕はこの博物館の
スタッフのチャップスティックと言います、フォーサイドの
恐竜博物館のライスボウル君とは親友なんだ、でね、彼が
何だか自慢げな電話を掛けて来てるらしいんだ、……あ~、
何なんだろう!気になる~!あ、僕はこれでちょっと外出
しますのでお気になさらず!ゆっくりしていってね!」
 
チャップスティックはスキップしながら何処かへ出掛けて
行ってしまった。
 
「何なんだよ、確かライスボウルの親父の知り合いって
言ってたよな?……類は類を呼ぶっちゅう奴かい?」
 
ジャミル達は不思議そうな顔をしつつも更に館内を
色々と見て回る。
 
「さっき、お前らと歳同じぐらいの太ったガキが来てたぜ?
やたらと金周りのいい様なよ……」
 
「ふ~ん、どうでもいいよ、金持ちは嫌いなんだよ、ささ、
次行こうぜ!」
 
「あっ、待って、ジャミル!」
 
先に進もうとしたジャミルの後を慌てて追うアイシャ達。
……この、太った金周りの良いガキ……、と言う客の言葉に
気づかないジャミル。もっとも思い出すのも思考に入れるのも
嫌だったのだろうが。
 
「この先、2階だよお、でも、改装中みたいだけど」
 
階段の側に立て掛けてある看板をダウドが見る。確かに2階、
改装工事中と書いてある。
 
「もうこれ以上見学は駄目かなあ……」
 
「とりあえず、行ってみるし!」
 
アルベルトが考えていると、ジャミルはどんどん一人で2階への
階段を登って行ってしまった。
 
「全くもう、やれやれ……」
 
「ばか止まらないって感じだよお~」
 
他の3人も階段を登る。上まで行くと、係員と話している
ジャミルの姿が。
 
「どうしても駄目なのか?」
 
「……此処のブースは改装中で見せる訳にはいかないんだよ、
だけどね、私は宝石が大好きでね、いつも懐にせしめてい
たいんだ、ああ、袖の下が何だかスースーする……、ん?」
 
「……な、何?」
 
係員の男が一番最後に階段を登って来たダウドの方に近づき、
クンクン匂いを嗅ぎ始めた。
 
「其処の困った顔の少年……、君、何か宝石を隠してないかね?」
 
「え、え……」
 
ジャミル達も揃って目線が一斉にダウドの方を向く……。
皆に見られて視線が痛くなってきたダウドは仕方なしに
口を開いた。
 
「確かに持ってるけど……、このちいさなルビーはランマに
昔から伝わる大事な宝なんだよお……」
 
「もしもその宝石を私にくれたら、ここの特別展示室を
見せてやらない事もない……、この部屋はね、本当に貴重な
資料を展示しているのだが……」
 
「え、ええええーー!」
 
「……やめろダウドっ!どう考えたって宝石の方が
大……んむむむむ!」
 
ジャミル、又もアルベルトに羽交い締めされる……。
 
「ダウド、もしかしたら僕らにとって必要な情報が入るかも
しれないんだ!……君の大事な宝石を手放させてしまうのは
申し訳ないと思うんだけれど……」
 
「分ったよお、はい、どうぞ……」
 
ダウドはあっさり係員にルビーを渡す。係員は目の色を変え、
ジャミル達を特別室へと案内するのであった。通された部屋には
何だかよく分からない、石版の様な物が。……しかし面白くないのは
ジャミルである。ダウドがランマの宝である宝石を隠し持ち、
それを訳の分からない展示物の回覧の為、あっさりと手放して
しまったのだから。
 
「……むすう~……」
 
「ワハハ、素晴らしいでしょう!壮大な歴史を感じますね!
このルビーよりも遥かに偉大な価値があると私は思いますよ!
いやー、この間もですな、フォーサイドからヘリコプターで
飛んできたブタがこのヒエログリフの写真を撮って行きましたよ!
あんときゃ礼金をたっぷり頂きましたけどね!」
 
「ぶ、豚さんがヘリコプターに乗って来たんですか?落ちなかった
かしら、ヘリコプター……」
 
アイシャまでポーキーの事を視野に入れておらず、本物のブタが
ヘリコプターに乗って来たのだと勘違いしている。それ程、皆に
とって思い出したくない、触れたくもない存在なのであった。
 
「……天よりの侵略者に我々は四角すいの要塞を建造し……」
 
「だ、ダウド……?」
 
「はあ!?ダウド、お前読めんのかよ!!」
 
「何となくだけど……、読めちゃうみたい……」
 
「凄いわ!ダウド!!」
 
「只のヘタレのアホ役じゃなかったんだなあ~……、今回だけは……」
 
「うるさいよお!ジャミルはっ!……えーと、続きを読むよお!」
 
ダウドは更に石版に近づくと続きを読み始める。
 
 
戦いに備えた。しかし我々は敗れた。
だが我々の要塞はスカラビの神によって守られた。
天から来た侵略者は1000年ごとに生まれ変わり襲ってくるという。
侵略者は時の彼方に隠れ、悪の巣箱を置いた。
時の彼方は魔境のはるか先。地の底のむこう。
魔境は暗き闇。タカの目だけが見る。
スフィンクスが全てを守り真の勇者の訪れを待つ。
 
           ・
      4          3
        2      5
 
スフィンクスの前で踊れ。
 
 
「……だ、そうです、ピラミッドが鍵みたいだよお」
 
「何を踊るんだよ……、ま、とりあえずこれでスカラビでの
目的がやっと分かって来たな、とにかくピラミッドまで
行ってみりゃいいって事か」
 
……どういう思考なのか、踊りと聞いて阿波踊りを思い
浮かべるジャミル。
 
「うーん、何と勉強熱心なお子様達だ!その熱意に応じて
これをあげましょう、分からなくなったらこれをみなされ!
わはは!」
 
ジャミルは係員から石版の内容を映した物、ヒエログリフの
写しを受け取ると1階へと降りた。出口に差し掛かると、
受付のテーブルに置いてある電話がけたたましくなっているが、
受付が居眠りをこいていた為、誰も電話に出ず……。
 
「おいおいおい!な、何してんだよ!こんなに大音量で電話が
鳴ってんじゃねえか!」
 
 
「zzzzzz、すぴ~……」
 
 
「ジャミル、君が取りあえず応対しなよ!」
 
「はあー!?何で俺が!……あーもう!もしもしっ!?」
 
アルベルトに急かされ、勝手にこんな事していいもんかいと
思いながらもジャミルが受話器を取った。
 
『ああ、チャップスティック君かい?……何だか声が異様に
違うみたいだけど……、僕だよ、ライスボウルさ、忙しいから
自分の用件だけ伝えます、とにかく僕はあるとんでもないモンを
発見してしまったんだ!何が凄いってとにかく凄いんだよ!
あ、これは決して自慢ではないんだよ!本当だよ!では、
忙しいのでこれにて!……ガチャン、ツーツーツー……』
 
「……」
 
……電話は切れた。ジャミルは静かに受話器を置くと、仲間達の方を
振り返るのだった……。

「……と、言う事だ、電話の話、聞こえたな?お前ら……」
 
「聞こえたわ」
 
「はっきり」
 
「聞こえたよお!」
 
「んじゃ、そう言う事で……」
 
スカラビに向かう予定ではあったが、ライスボウルの
とんでもない物……、の話をうっかり聞いてしまった為、
4人は一旦、フォーサイドに戻り恐竜博物館に再び
行ってみようと言う事になった。道路沿いまで出て、
其処からテレポートを使う事にした。
 
「じゃあ、俺のテレポートで行くかね……、いっちょ走りますか……」
 
「オイラ、テレポートβ使えるよ、βは走らなくてもいいんだ、
側に障害物でもあってぶつからなければ皆で固まってぐるぐる
回るだけでいいんです!って、イースーチーが言ってた」
 
「何ですと?おま、俺より上LVの使えるってか、ほお~……」
 
そう言う事で、今回はダウドの上級テレポートにお世話に
なる事になる。
 
「じゃあ、行くよ、皆で輪になってね、……行くよおおおおおっ!!」
 
4人はぐるぐる回り出し、段々と回転するスピードが倍に
なって行く……。例えると洗濯機の中で高速で回っている様な
感じなのであろう。……4人がフォーサイドに着いた時には……。
 
「うおええええ~……」
 
「これ、慣れないと……、きついね……」
 
「げええええー……、思ったよりも……、実はβはオイラも今回が
初めてなの……」
 
「面白かったあ!テレポート最高ね!」
 
……アイシャを除く男共は酔っ払いの如くゲロゲロの
オエオエ状態である。
 
「……さあ、恐竜博物館まで行ってみるか……」
 
「待って、あの、私……、行きたい場所があるの……」
 
アイシャの行きたい場所とは……、彼女がモノトリービルに
拉致られていた時にお世話になったメイドのエツコさんの
所であった。エツコさんはモノトリービルが他者会社に
渡ったのち、メイドを辞め、ジャミル達から渡された
ぐるめどうふマシンで個人で豆腐スイーツのお店を
フォーサイドに開業し、細々と商売を始めたらしかった。
ジャミル達がフォーサイドを離れる前にエツコさんもトリオに
挨拶をしにホテルを訪れていたのだった。
 
「ああ、構わねえぜ、焦る必要もねえしな、お前らもいいよな?」
 
「うん、僕もいいよ」
 
「皆と合流したばかりでよく分からないけど、オイラもいいよお!」
 
「みんな、有難う!」
 
4人はエツコさんの経営する豆腐スイーツショップへ……。
 
「……おお、盛ってんなあ!」
 
エツコさんの作るいちご豆腐は大人気で、今は殆ど
すぐに完売してしまう程の人気っぷりらしかった。
まだお店を開いたばかりで、従業員の数も少数の為
多量の分は作れないのだろう。
 
「いらっしゃいませ、あ、ごめんなさい、本日は数が
後3個で完売なんですよ……、それも予約のお客さんの
分だけでして……」
 
「あの、御迷惑でなかったら少し待たせて貰えませんか?
私達、エツコさんの……」
 
「アイシャお嬢様……!?」
 
「エツコさん……、あはっ!」
 
店員さんとアイシャが話をしている時に、丁度店の奥から
エツコさんが出て来てジャミル達を見つける。今日ももう
完売でもうすぐ店を閉めるので片付けが終わるまで4人は
店のテーブルを借り待たせて貰う事に。やがて店も閉め、
従業員さんもエツコさんに挨拶し帰って行った。
 
「どうぞ、丁度苺が少しだけ余っていたので、苺ジュースです」
 
エツコさんは苺をジューサーに掛け、甘い生苺ジュースを
4人に出してくれた。
 
「すげえな、商売繁盛じゃんか!」
 
「いえいえ、自宅を少し改装して始めたばかりの小さな
店ですから、まだまだ……、それにしても、アイシャお嬢様も、
皆さんもお元気そうで何よりです……」
 
「エ、エツコさん、だからお嬢様じゃなくて、アイシャで
いいわよう、もう~……」
 
顔を赤くしてアイシャが苺ジュースを慌てて飲み干した。
 
「滅多にお嬢様なんて呼ばれるこたあねえんだからいいじゃん!」
 
「……何っ、ジャミルっ!?」
 
「ふぃへ、ふぁんふぇもへーれす……」
 
……毎度お馴染、アイシャ嬢のジャミルの顔横に引っ張るわよ!
攻撃が発動した。
 
「プ!ガ、ガマガエル……」
 
「何処まで伸びるんだろう、……ねえ、オイラもやってみていい?」
 
「……ふぃっげーほお!おふぇーたひふぁふぉ!!えふぇ
ふぇふぇふぉ!!」
 
※本当にもう何語か不明
 
(ふふ、本当に相変わらず可愛いわ、アイシャお嬢様ったら……)
 
「……私も色々と悩みました……、モノトリー社長が
遠い旅……に、出てしまわれて……、モノトリービルは
もう人手に渡り……、自分はこれから一体どうしたら
いいのか何が出来るのか何度も考えましたけど……、
このぐるめどうふマシンのお蔭で、自分が本当に
やりたい事が見つかりました……、これもジャミルさん達と
出会えたお陰ですわ……、本当に有難うございました」
 
愛おしそうにエツコさんがぐるめどうふマシンに触れる。
それを見たジャミルは黙って頷いた。
 
「このマシンを発明した奴がいるんだ、それを俺らに
送ってくれたのさ、もしも機会があれば、そいつと
会ってやってくれよ!ちょっと変わってるけど、
凄い奴なんだ、未来の大発明家の卵だよ、喜ぶからさ!」
 
「まあ!……ええ、是非いつかお会いしたいわ!私、この
マシンでもっともっと皆さんに喜んで頂ける美味しい
スイーツを沢山作りますね!又、是非食べに来て下さいね!」
 
「ええ、勿論よ!楽しみにしてるわ、エツコさん!」
 
「はい、アイシャさん……」
 
アイシャとエツコさんが笑って手を握った。又必ず店に
寄る事を約束し、4人はエツコさんのお店を後にするのであった。
 
……さて、甘い苺ジュースで喉を潤した後は……、むさ苦しい
ライスボウルがいる、目的の恐竜博物館へと向かう。
 
「また、5ドルかよ、5ドル……」
 
ダウドが増えたので、入場料合計金額は20ドルに……。
 
「……何かオイラが分裂した様な言い方だよお……」
 
「プ……」
 
「毎度ありがとうございます、しっかりお勉強なさって
いって下さいませ」
 
今回は見学ではなく、ライスボウルに用があるのだが。
急いで館内の奥に行くと相変わらずつまんなそうな表情の
ライスボウルがいて鼻糞を穿っていた。
 
「……君達、又来たの?まだ何か見学?熱心だねえ」
 
「いや、今日はおっさんに用があって……、俺らスカラビ
博物館にいた時に、おっさんが電話で喋ってたの聞いちまったんだ、
凄いモン見つけたとかの……」
 
「ああ、凄い物……、ね、話が聞きたいんだ?」
 
「聞きたいですっ!!」
 
4人が顔を大きくして声を揃える……。元気のいい4人組の
ガキにライスボウルはうざったらしそうな顔をするのであった。
 
「それにしても、僕がチャップ君の所に電話入れたのって、
数時間前だけど……、君達、サマーズにいて、もうフォーサイドに
いるとか……、空でも飛んで来たの?」
 
「あう、それはその……、とにかくっ、俺達、おっさんの話が
聞きたいんだよっ!!」
 
自分達はテレポートが使えるとか、どうせ言っても通じないので
とにかく早く話を進めたいのであった。ライスボウルは暫く
考えていたが、やがて何か思いついた様に頷くと、四人組の
方を見た。
 
「じゃあこうしよう、交換条件なんだけど、受ける?」
 
「あ、ああ!」
 
「トポロ劇場に新人の歌手さんいるでしょ、ビーナスさんて言う……」
 
「ビーナス、……!」
 
「その人のサイン入り消しゴム貰ってきてよ、消しゴムがなければ
サイン入りちり紙でも何でもいいからさ、そうしたら……、凄いモンて
奴を見せてあげるからさ……、どう?」
 
「……分った!行ってくる!」
 
ジャミル達は凄いモン……、の為に、ライスボウルの我儘を叶える為、
トポロ劇場へも又足を運ぶ事になった。

zoku勇者 マザー2編・26

zoku勇者 マザー2編・26

SFC版ロマサガ1 マザー2 クロスオーバー 年齢変更 ジャミル×アイシャ カオス ギャグ 下ネタ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-06-07

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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