続高校珈琲 第六話
おはようございます。第六話のお届けです。今は堂々と人生を生きている立村槇を前にして、僕は自分が恥ずかしかった。お楽しみに。
第六話
「続高校珈琲」
(第六話)
堀川士朗
思い出した!
槇との出会いは連盟祭が初めての事じゃない。
宇田川女子高の『アウトアンドコントローラー』の舞台だ!
高校演劇の地区大会で僕が高校二年の時に観た槇の主演芝居。
その年、彼女たち宇田川女子高は見事東京大会に進出した。
ここで初めて僕は槇に出会い、恋心を抱くようになった。
槇は僕の事はいち観客としか認知していなかったけど。
一年越しの恋だったんだ。
どうしてもっと大事に出来なかったんだろう……。
僕はその時トイレに行きたかったが行かなかった。
用を足している間に槇が喫茶店からいなくなっていたらという恐れが多分にあったからだ。
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今日初めて自宅の俺専用の離れで立村槇を抱いた。
愛情があった。
深い愛情があった。
距離感を埋めたかったのもあったし、ずっと近い存在でありたかった。
彼女は初めてだった。
なるべく早く俺とはこういう事は済ませたかったらしい。
なぜかと尋ねたら、
「そういった段階を飛び越えてあなたとは恋人でいたいから」
と槇に言われて訳分からなくてまるで未知の領域だなぁと思った。
そうか、恋人関係ってそういうものなのか。
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喫茶店モゾビーにいる僕ら二人。
立村槇とこうして30年ぶりに話をしているのがとても嬉しくて楽しい。
何だこの多幸感は。
しかし昔を思い出して思考を巡らせるとどうしても間が空く。
立村はどうしたの?という顔をしている。
今は堂々と人生を生きている立村槇を前にして、僕は自分が恥ずかしかった。
まるで、恥ずかしさのプールにビート板を使って四方八方めちゃくちゃに泳いでいるようなものだ。
ビート板だから余計に恥ずかしかった。
アイス珈琲の中で氷がカランッと笑った。
つづく
続高校珈琲 第六話
ご覧頂きありがとうございました。また来週土曜日にお会いしましょう。