zoku勇者 マザー2編・23

未知なる世界からの呼び声編

「……でさあ、アル、お前の方の話って?」
 
トリオは久々に今、飲み物片手にフォーサイドの街を歩いている。
こうやって3人で街を歩くのも久しぶりだった。
 
「うん、……昨夜僕が見てきた……、恐竜博物館の展示物の事
なんだけれど……」
 
……そういやお前、俺を置いて一人で逃げやがったなあと、
ジャミルは思い出した。
 
「骨」
 
「骨……?」
 
「そう、恐竜の……、何ていうかその……、神秘的で壮大な歴史の
ロマンを感じるというか、その、何だろう、とにかく君達も是非、
此処を離れる前に見ておいた方がいいと思うんだよ……」
 
アルベルトが異様にモジモジし、興奮し始めた。興味ある物に
一旦触れるとアルベルトは止まらなくなる。
 
「けどさ、恐竜なんぞ、厄介なだけで俺らの元の世界じゃ別に……
珍しくもなんともね……、あいてっ!」
 
「……今は世界観別なのよっ!突っ込んだら駄目っ!」
 
ジャミルの脇を抓り、注意するアイシャ……。
 
「うーん、しかし骨かよ、つまんねえ……、確かにさ、
後で付き合うとは言ったけどよ……、やっぱお勉強系は俺、
嫌だなあ~……」
 
「……どうせ君はそう言うと思ったさ、ま、知性の欠片もない
ジャミルに言っても無駄だったかな……」
 
「何だと、この野郎!俺を馬鹿にして舐めてんじゃねえぞ、
この腹黒眼鏡!」
 
「君の顔を舐めてもしょっぱいだけだし!それに、僕が眼鏡
掛けてるのはこの話だけだから!眼鏡もアクセサリーと同じ
様な物で伊達だし!」
 
「ちょ、ちょっと、やめなさいったらっ、二人とも!
人が見てるでしょっ!」
 
アイシャが注意するが、ジャミルとアルベルトは喧嘩タイム。
 
「じゃあ、博物館でも何でも行ってやるよ!人を舐め腐って
からに……!冗談じゃねえ!」
 
「よしっ、じゃあ、行こう行こう!恐竜博物館!」
 
「アル……?」
 
「お、おいっ、何だよ!」
 
ジャミルの返事を聞いた途端、急にアルベルトの機嫌が良くなった。
 
「アイシャもいいよね?付き合って貰えるかな?」
 
「……あ、うん、私は構わないわよ」
 
「ぞれじゃ、そう言う話で纏まったね、さあ、行こう行こう!」
 
「だから何なんだよっ!気持ちわりィなあ!」
 
アルベルトは先程とがらっと態度が変わり、ご機嫌でジャミルの
背中を押し始めた。……実は、ジャミルを博物館へ無理矢理誘う為の、
アルの作戦だったのかも知れないわ……、と、アイシャは思うのであった。
 
 
〔恐竜博物館〕
 
「……恐竜博物館は、本物の恐竜がいる訳ではなくて、
すべてレプリカです、まあ、当たり前の事ですけれどね、
それでもいいなら、入場料一人5ドルです」
 
「あーあ、5ドルでも勿体無……」
 
「うふふふ~……」
 
ジャミルの後ろに立ち、眼鏡を光らせスリッパを構えている
謎のスリッパ怪人。
 
「はい、5ドル……」
 
「頂戴いたします、では奥に研究員がおりますので、
分らない事があればお気軽にお尋ね下さい」
 
「♪~!さあ、奥に進もう進もう!」
 
「アル、恐い……、生き生きしてるわ……」
 
「……」
 
しかし、最初は躊躇していたジャミルであったが、
いざ蓋を開けてみると、展示物を意外と真面目に
眺めていた。
 
「へえー、結構面白いモンだなあ~……」
 
「わあ、これ恐竜さんの足跡ですって!……本当に大きいのねえ……」
 
ジャミルとアイシャは燥ぎながら二人で展示物を眺めている。
 
(……良かった、少しはジャミルも興味持ってくれて……、
食わず嫌いは良くないって事を、少しは分かって貰えれば
僕も嬉し……)
 
と、アルベルトが思ったのもつかの間……。
 
「おお、これ見ろよ!恐竜のウンコのレプリカだとさ!」
 
「お客様!くれぐれも展示物のガラスケースを破損なさらない
様にお願い致します!壊したあげく、中の展示物にお手を
触れられても困りますが!」
 
「ジャミルのバカっ!みっともないでしょっ!!……ど、
どうもすみませんっ!!」
 
「……やっぱり前言撤回します、アホに知性を求めても
無駄でした……」
 
アルベルトは独りで奥にさっささっさと歩いて行った。
 
「あ、アルが行っちゃうわ!ジャミルほらっ、私達も
行くわよっ!」
 
「……うーん、壮大なウンコの歴史を感じ……、あ、
あてててっ!」
 
「下らない事言ってると又アルに頭叩かれるわよっ!」
 
ジャミルの耳を引っ張りながらアイシャも慌ててアルベルトの
後を追い、奥まで走って行った。
 
「これ、これだよ、……これを是非、二人にも見て
欲しかったんだよ」
 
「……へえー!」
 
「わあー!」
 
トリオよりも、ン十倍も大きさが有る、恐竜の骨の全身
レプリカであった。一体何の種類の恐竜かは分からないが。
展示品の説明にはこう記入してある。……スカラビ南で
発見された恐竜の骨、詳しい事は研究中につき聞かないで
下さい……。
 
「まだ詳しい詳細は分かってねえのか……、ん?」
 
「ああ、久しぶりに客が来て嬉しいなあ、あっ私、等、
博物館研究員のライスボウルといいます」
 
おかっぱ風で赤毛の変なおっさんがトリオに近寄って来た。
 
「あ、こんにちは!」
 
アルベルトが挨拶する、ジャミルは何をそんなに興奮
してんだか……、と思う。
 
「ライスボウル、略すと御飯の器ね、そんな様なヘアスタイル
して……いてててっ!」
 
アルベルトがジャミルの足を踏んだ。
 
「はあ、久しぶりに客が来たと思ったら……、こんな糞ガキ……、
玉にはアイドルが来ないかしら……、あっ、何でもないんですよ!
ははっはっ!」
 
「……」
 
「ええと、聞きたい事が有る様ですので、おおざっぱに
説明しますとね、恐竜は我々より、……大きい、以上です、
もう何も聞かないで下さい、私これでも仕事が忙しいので
すね、では失礼!説明終わり!」
 
「あ、あの……」
 
アルベルトが呼び止めると更に奥へ行こうとしたライスボウルは
めんどくさそうに立ち止まった。
 
「まだ何かあるんですか?実はですね、太古の昔に絶滅した
筈の恐竜がスカラビで目撃されたという話もあるんです」
 
「スカラビ……?」
 
「そうです、サマーズのその先にある国です、赤い帽子の少年、
恐竜は沢山いるので現地の人が喰われちゃった云う未確認情報も
有りましてね、ではこれで本当に失礼します!でも、もし
スカラビに行く機会でもあれば、写真でも取って来てよ、
……又、是非博物館にも遊びに来てね、私が淋しいからね!
でわでわ!」
 
ライスボウルは本当にいなくなってしまった。
 
「おいおい、あんなんで……、研究員かよ、いい加減だな……、
けど、サマーズの先っつー事は、……更に海を越えるのか?
しかし、変な親父だなあ~」
 
「ま、まあ、いいよ、僕も2回も恐竜の骨を見られたからね、
これで満足さ……さあ、ホテルに戻ろうか……」
 
「も、もういいのか、じゃあ戻るか……」
 
「うん……」
 
アルベルトはそう言っていたが、何となくまだ物足りなそう
だった……。出来ればもっと色々聞きたかった様であるが……。
そして、ジャミル達が博物館から出た後、仕事と見せ掛け、
事務室に籠ったライスボウルは……。
 
「うーん、ビーナスちゅわあーんっ!ちゅっ、ちゅっ、
ちゅっちゅのちゅ!……は、ハアハア……」
 
……こっそりと、某大スターのブロマイドにちゅぱちゅぱ
していたのだった。
 
 
「博物館も結構面白かったわね!うふふ!」
 
「アイシャ、そう思う!?良かったー!」
 
「俺は恐竜よりも、ライスボウルのおっさんの方が面白かったと
思うんだけど……」
 
「ん……?」
 
「な、何でもないです、……アルさん、そんなに睨まないでくれる……?」
 
「もう~、あら?あの人何しているのかしら……?」
 
「……?」
 
アイシャが言った方向に目を向けると、壁に張り付き、何か
覗こうとしているおかしなお兄さんがいた。……壁が高すぎて、
乗り越えられないらしい。気になったのでジャミルが声を
掛けてみた。
 
「おーい、何してんだい、何かあんのかい?」
 
「此処、この壁の向こう側に何か有る様な気がするんだよね……、
気になって気になってさ……」
 
「んな事言われると、俺も気になるんだけど……、どら……」
 
「……ジャミル、早くホテルに戻ろうよ!もう日も暮れて来たよ!」
 
「分ってるよ、たくっ!自分の用事がすみゃこれだもんな!
……冗談じゃねえっての!」
 
壁際の向こうがジャミルはどうしても気になった様だが、
アルベルトが急かすので仕方なしに後を追った。
……この壁際の向こう側がジャミルにとって5番目に当る
自分だけの場所だと分るのはもう少し先の話である。

それからさらに数日が過ぎて。ジャミル達は最初にフォーサイドへ
来た時とは比べ物にならない程、楽しい都会での毎日を堪能していた。
……やがて、牡蛎食中毒のお騒がせラッキーも戻り、トンズラブラザーズ
とも再びお別れの時がやってきた。
 
……inスリーク
 
「ここで本当にお別れや、わしら、大した事は出来んかったけど、
ずっとお前らの味方や、苦しい時はどうかわしらの歌を思い出して
くれよ!遠い空の下でも、トンズラブラザーズがいつもコーラスに
ついてると思ってな!」
 
「カッカッカ!アイシャちゃん、又さらわれんやないで!
何処も彼処もわりィ奴は世界中本当に何処にでもおるからのう~!
キリないわ!ジャミ公もメガネ君も、しっかり護衛してやれや!
お前ら、頼もしいナイト様なんやからの!」
 
「も、もうう~、ナイスさんたら……」
 
「多分、無理だし……」
 
「な、何よ、憔悴しきったその顔はっ!ジャミルっ!?」
 
「プ……」
 
「目立たないおれだけど、君達の事はいつでも……、応援している
からね、ううう……」
 
「おいおい、泣かないでくれや……、オーケーのおっさん、アンタも
必ず目立つ時がくるって!」
 
「そうだといいなあ……」
 
「これ(ジャミル)ほど、悪乗りで目立っても困りますけど……」
 
アルベルトがジャミルの方を目線で見た。
 
「何だよっ!」
 
「元気でのう!わしはさよならは言わんけえのう、又一回り逞しく
成長したお前らにいつか会える日を楽しみにしとるけんのう!」
 
「♪まーたーねええええ!チャオー!」
 
「……グルービー、ゴージャスのおっさん達も元気でな!」
 
「んじゃのう、元気なお子様達!おう、ジャミ公!おねしょ
すんなや!」
 
「カッカッカ!グッドラック!」
 
……トリオはトンズラブラザーズが乗ったトラベリングバスが
見えなくなるまでいつまでも見送っていた……。
 
「寝小便なんか、誰がするかっての……、牡蛎中毒親父めえ~……」
 
「……本当に行っちゃったわね、これから私達も海の向こうとか、
ますます遠くに行かなきゃならないし……、今度はいつ会えるの
かしら……」
 
「さあ、僕らも行こう、僕の乗ってきたスカイウォーカーを
修理しなくちゃね……」
 
トリオはスカイウォーカーとアルベルトが墜落したスリークの
地下墓地まで再び足を運んだ。中に入ると二人ほど人がいた。
ジャミル達がいない間もスリークの人達が、スカイウォーカーを
いつも見守ってくれていたらしい。
 
「このスカイウォーカーだけど、ペンキ塗って誤魔化してみたんだ、
でも、機械の扱い方分からないから動かせそうにないんだよね」
 
「……ゆっくりしていって欲しいけど、そうもいかない事情が
あるんだろうね、さようなら、次に来た時は是非、このスリークで
寛いで行ってくれよ、君達の事は忘れないよ……」
 
「……皆さん、本当にありがとうございます……」
 
アルベルトが去って行く町の人達にお礼を言い、ジャミルと
アイシャも頭を下げる。
 
「これぐらいなら何とか直せそうかな、ちょっと待ってて……」
 
スカイウォーカーをガチャガチャいじりまくり、ちゃんと動くか
機体の確認をするアルベルト。
 
「どうだい、何とかなりそうか?」
 
「……う~ん……」
 
ジャミルとアイシャが見守る前で、スカイウォーカーの
修理をしていたアルベルトが唸り始めた……。
 
「動くには問題ないけど、このままだとウィンターズまで
戻ってしまうんだ、サマーズまで行くにはウィンターズの
研究所にいる、……この世界での僕の父さん……、はあ、
父さんかあ……、アンドーナッツ博士に手伝って貰って
機体を改造して貰えれば、あるいは……、とにかく……、
ウィンターズの研究所まで戻ろう……」
 
「なるほど、……ま、んじゃ先にウィンターズとやらまで
行ってみるか……」
 
話は決まり、取りあえずトリオはアルベルトが一旦仮修理した
スカイウォーカーに乗り込み、一路ウィンターズへと向かう
事になった。
 
「わあー!本当にお空飛べるのね、凄いわあー!」
 
……ギュルルル……、ガコガコガコ……、ギリギリギリ……、
ブリブリブリ……
 
「おいおい、何かこの機械……、すげえ音してんだけど……、
ウィンターズまでもつのかよ……、それに最後の音は
なんだよっ!」
 
「分らない……」
 
「……おおーーいっ!?」
 
「操縦は集中力が大事だから……、話し掛けないでくれる……?」
 
ジャミルはアルベルトの顔を見る……、心なしか、額に汗が
浮かんでいる様子……。スカイウォーカーがスリークに墜落
した時の事を思い出し……、頼むから、墜落するならせめて、
どうか地上の安全な場所で……、と、ジャミルは頭を抱えた。
もしも海にでも墜落すればたまった物ではない……。
 
「もてよ、もてよ、頼むから……、もってくれよー!」
 
「……」
 
「キャー、ほんとに凄ーい!」
 
無邪気に燥いでいるのはアイシャだけである。墜落の心配など
お構いなしに空の旅を楽しんでいる。ハラハラしながらも……、
数時間に渡る空の旅は続いた……。
 
「つ、着いた……のか?」
 
「着いたよ、アンドーナッツ博士の研究所だよ、さ、降りて」
 
「あー、面白かったわあ!遊園地のアトラクションみたい!」
 
1人で余裕で……、元気なアイシャにジャミルは困り果てる……。
スカイウォーカーから降りると、トリオを出迎えたのは……。
 
「あっ……」
 
「キャキャーン!キャキャキャン、主人がいつぞやは
お世話になりました、私達、やっと結婚したんですの!」
 
「キャキャキャ!よう、腹黒メガネ!元気だったか!?」
 
あの、バルーンモンキーカップルであった。
 
「此処にもおさるさんがいるんだね!初めましてこんにちは、
私はアイシャです!ふふっ、アルのお友達なのね!」
 
「あの、その……、あう……」
 
等々、ジャミアイコンビとバルーンモンキー夫妻が顔合わせを
したので……、アルベルトは笑いを堪えるのに必死に耐えていた……。
 
「アンタっ!真面目に挨拶しなさいよっ!この馬鹿っ!!」
 
「ウギャーーワーー!!」
 
バルーンモンキー、奥さんに飛び蹴りを噛まされ……、
その場に倒れた……。
 
「うわあ~、すんげー奥さんだなあ~!」
 
「ギャギャギャ!ギャ!ギャギャギャ!おう、赤い帽子の
アンタ、話がわかんじゃねえか!」
 
「うふふ、強くて素敵な奥さんね!頼もしいじゃない!」
 
「……プ、ププププ……」
 
アルベルトは、……アンタらの同類だよ……と、笑いたいのを堪え……、
只管耐えている……。奥さんがリボンをしているので余計である……。
 
「そんな訳で……、メガネ腹黒、前に通って来たストーンヘンジの
北の洞窟が気にならないか?おれは気になる!何があんのか是非、
確めて来てくれ!じゃあ、おれ達は初夜を控えた新婚さんなので
これで失礼するよ!キャッ!」
 
……バルーンモンキー夫婦はキャッキャと退場していった……。
 
「……何じゃ、随分賑やかだと思ったら、アルベルトか、
戻って来ておったのか」
 
「父さ……ん……」
 
アンドーナッツ博士がのこのこ姿を現す。アンドーナツを食べながら。
 
「君達がジャミル君とアイシャさんだね、アルベルトは時々おねしょも
するし、寝言も言うし、寝屁も歯ぎしりもするがいい子だよ、これからも
仲良くしてやっておくれ」
 
「……お、おねしょなんかしないですっ!おならなんか余計
しませんよっ!!其処にいるジャミルじゃないんですよっ!」
 
ジャミルがラッキーに言われた事と同じ様な事を言われて
しまったアルベルト。
 
「お前の親父さんか、そっくりだな……」
 
「……」
 
アルベルト、何も言わずスリッパを取り出す……。
 
「もうっ!二人ともやめなさいったらっ!」
 
「コホン、話があります……、父さんに……、お願いしたい事が
ありまして……、戻って来ました、僕達はこれから海を越え、
更にサマーズを越えたその先にも行かなくてはなりません、
でも、今のままのスカイウォーカーではとても無理なので……、
機体を改造して貰うべく、父さんに力を貸して頂きたく、
参りました……」
 
ジャミルの頭にスリッパをグリグリ押し付けたままの体制で
アルベルトがアンドーナッツ博士に頼み込んだ。
 
「別に構わないが、少々時間が掛かるが……、その間、
どうするんだ?只、此処でぼーっと待つのも退屈じゃろうて」
 
「だよな、暇なのもなあ~、アル、どうする……?」
 
「ふむ、バルーンモンキー君が言っている通り、ストーンヘンジの
北の洞窟は地元の人達もレイニーサークルと呼んでおり、あまり
誰も近づかない場所だ、わしも以前からあそこは気にはなって
いたんだがね、どうだね?君達が其処を探索している間に、
スカイウォーカーを改造しておくよ、行ってみてはどうだ?」
 
「……確かに以前、此処まで来る途中に通って来た洞窟の中に、
何だか気になる場所があったけど……、光みたいなのがあってさ、
僕一人だったから、どうにもならなかったけれど、あ、バルーン
モンキーだっていたけどさ、でも、君達二人もいる今なら……」
 
「んじゃ、行ってみるかね……」
 
「♪決まりねっ!」

「ああ、待ちたまえ、其処に居るビッグフット君は暴力嫌いで
人間好きの優しいナイスガイだ、私も彼によく干し肉を売って
貰ったりしているんだよ、君達も出掛けるなら何か必要な
アイテムが有れば売って貰うといい」
 
上半身裸で、タラコ唇の大きな原始人がいた。商売の為?なのか
分からないが此処に住み着いているらしかった。
 
「うほうほ、いらっしゃいませ、お勧めはうらカンポーです、気絶、
状態異常を回復出来ますよ」
 
「これまでボックスで貰った中にも、んな様なモンがあった
気がしたけど、イマイチ使い処が分かんなかったんだよな、
へえー、便利だったんだな、んじゃあ、買い込んでおくか……」
 
「うほうほ!ありがとう、でも気絶は必ず回復効果がいつも
現れるわけではないので使う時は注意してね、うほ!」
 
ビッグフットから、うらカンポーと干し肉を買い込んで
研究所を出たトリオであったが、又通信電話が入る。
いつものアップルキッドだった。今度は何だと思いながら
ジャミルは電話に出てみる。
 
「もしもし?」
 
『もしもし?いつものアップルキッドです、ジャミルさん、又
いつものリンゴデブかと思ったでしょ?はい、リンゴデブですよ!』
 
「……いや……」
 
『いいんですよ、どうせ食べ物の事しか頭にない僕はリンゴデブ
野郎ですから!』
 
「だから……」
 
今回の彼はやけにいじけて不貞腐れた様な感じである。
 
「いや、あんたは天才だよ、で、何の用だい……?」
 
『そう思いますか?……やっぱり僕は只のリンゴデブじゃ
なかったんですね!」
 
ジャミルの言葉にアップルキッドの声が何だか明るくなった。
 
『ジャミルさん達と、全ての人類の敵が何であるかが分かりました、
それでですね、何とかこの敵との戦いに勝たなければいけない
わけで、スペーストンネルという物を作る必要があるんです、
だから僕はこれからさすらいの科学者、アンドーナッツ博士を
探して、一緒にスペーストンネルを作るんですよ、つまり、暫く
留守にしますので、宜しく!あっ、オレンジキッド君も今回は
ジャミルさんにお話があるそうです、では!ガチャン、ツーツーツー!』
 
アップルキッドは言いたい放題べらべら喋ると電話を切った。
それから数分後、今度はオレンジキッドから通信が。
 
『もしもし?オレンジキッドです、長い事、連絡出来なくて
すみません……、実は、今、ゆで卵を生卵に戻す研究をしてましてね、
此方の方はまだまだ時間が掛かりそうなんです、……頑張りますので
宜しくお願いします……』
 
「……頑張らんでええわ!」
 
オレンジの方はどんどんトンチンカンになり……、ボロが出てくる
様だった。
 
「……気を取り直して……と」
 
気を取り直し、ジャミルはアイシャとアルベルトと共に、レイニー
サークルの洞窟へと向かう。
 
「此処で間違いないんだな?」
 
「うん、ここの洞窟だよ……」
 
アルベルトが言っていた場所まで、それ程距離は長くなく、
すぐにたどり着ける。以前に、アルベルトが訪れても何の
反応も示さなかった場所、……光のオブジェがジャミルが
近づいた途端、反応し始めた……。オブジェは今度は巨大な
キノコへと姿を変える。
 
……よく来たな、ここは4番目のお前だけの場所だ、しかし
今は私の場所だ奪い返してみるがいい……、奪い返せる物なら……
 
「やっぱり此処はジャミルだけの場所だったのね!」
 
「よし、焼きキノコにして食ってやる!」
 
「さっさと片付けてしまおう!」
 
しかし、……厄介なキノコの部類だけあり……、ジャミル達は揃って
胞子をばら撒かれ、3人並んで頭からキノコがにょーっと生え、
いけない気持ちになる……。
 
「あらら、ぽっくん、ま~たあたまにキノコがはえたぶぁい!
とっちくり!」
 
「いやーなのおおーー!こーんなのーーー!きゃうーーん」
 
「あはは、うふふ!あは、うふふ!……ひィーっひっひ!ひひーん!
おっけけけ!」
 
一番最後の人が相当ヤバイ感じであるが……、ヒーリングを使える
ジャミルがラリっているので、折角買ったうらカンポーもこういう時、
充分役に立つのだが3人揃っておかしくなっている為、どうにもならず。
 
「……しぎゃぴーーー!」
 
巨大キノコに殴られ珍しく、速攻でジャミルがぶっ倒れ、
天使になった……。
 
「きゃあああー、いやああーー!ジャミルー、うらカンポー
よおおおお!」
 
パニクリアイシャがジャミルの口にぐいぐいと無理矢理、
うらカンポーを押し込む……。そのお陰でどうにかこうにか、
平静を保った状態でジャミルが復活した。
 
「……た、助かった……、よしっ、ヒーリングβっ!」
 
漸く、アイシャとアルベルトも元に戻った様であった。
 
「もう嫌だわあ~……」
 
「ふうう~……」
 
「やっぱり、キノコは焼いちまうのが一番だな、アイシャ、
今回も頼むぜ!」
 
「任せてっ!いくわっ、PKファイアーγよ!やっと覚えたん
だから!」
 
これまでとは威力が格段に違うアイシャの新PKファイアー
初披露。やはりアイシャのPK攻撃は頼りになる。
 
「僕もっ!ペンシルロケット5っ!」
 
しかし、……又も、巨大キノコがトリオに胞子を飛ばし……。
 
「仲間に……なれ……」
 
「!?う、うわああーーっ!何じゃこらーーっ!!」
 
「やだああーーっ!!」
 
トリオのヘアスタイルが……、揃って○ート○ズの様な髪型……、
いわゆる、キノコ……、マッシュルームカットになった。
……HPドラムも回っていないのにアルベルトに至っては
ショックで気絶してしまった。
 
「……ざーけーんなぁああ!」
 
ジャミル、怒りのすっごいヨーヨーin、スマッシュ!巨大キノコの
頭部を見事に貫いた。
 
「ハアハア、おい、アル、終わったぞ、起きろ……」
 
「……はっ!早く、外に出よう!外に出れば、か、髪型も
元に戻るよ!」
 
慌てて外に出るジャミル達、……其処は何故か雨が降り、
水たまりが出来ている。……漸くトリオはマッシュルーム
ヘアから解放された。
 
「此処が……、レイニーサークルなのか……?あ……」
 
水たまりに近づくと、ジャミルの脳裏に又何か記憶が
流れ込んでくる……。
 
「雨……?」
 
路地裏で一人、氷の様な冷たい雨を浴び、……蹲っている少年……。
その目も冷たく、瞳に輝きがない。まるで野良犬の様に
通りがかる通行人を睨み……。
 
「俺、ここの記憶……、知っている気がする……、でも、どうして……?」
 
はっきりとは完全に思い出せない……、でも、確かにそれは
自分が何処かで見た事のある記憶であった。そして、孤独な
少年に手を差し伸べる優しい手、……少年はその手を拒否し
乱暴に振り払う。
 
……其処で記憶は途切れ、再び元の場所へと戻る。
 
音の石が……、レイニーサークルでの音の記録をしみ込ませた。
 
「……」
 
「ジャミル、大丈夫……?顔色が何だか悪いみたい……」
 
「ん?な、何でもねえよ、さあ、戻ろうぜ、スカイウォーカーも
気になる処だしな……」
 
ジャミルがアイシャに笑って見せる……。しかし、これまでとは
違い、自分だけの場所が見せる不思議な記憶が……ジャミルに
とってどんどんと複雑な感じになってきているのが嫌でも
分ったのであった。

zoku勇者 マザー2編・23

zoku勇者 マザー2編・23

SFC版ロマサガ1 マザー2 クロスオーバー 年齢変更 ジャミル×アイシャ カオス ギャグ 下ネタ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-30

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work