誰もいらないから

近づけば刺しあってしまうから
嘘をつくんだよ
たとえば何もかもうまくいって
共に生きられたとしても
食器が割れるたびに
雨に打たれている気分になるの
名前でさえ
すぐには思い出せなくて
それでもまだ忘れてはくれなくて
駅前の喧騒や
隣家が壊れていく騒音のなかでは
誰も居場所を見出せないから
わたしがいなくても
あなたの周りで
電車の遅延が起こりませんように
そんな当たり前の奇跡を信じて
もう探さないで
触らないで
サイレンやクラクションに気が付かないで

誰もいらないから

誰もいらないから

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-28

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