霊能探偵・芥川九郎のXファイル(27)【サイコアーマー編】

第1章 大連土産

 霊能探偵・芥川九郎は、事務所で大連土産のジャスミン茶を淹れていた。ちなみに、彼の事務所は中区にあって立地はよいが、古びたビルの一室に過ぎない。
芥川「牧田君、ジャスミン茶は大丈夫だよね。」
牧田「うん。大丈夫だよ。むしろ他のお茶より好きなくらいだよ。」
芥川はジャスミン茶を2杯入れ、1つを牧田に渡した。
芥川「牧田君は、大連で日本語教師をやっている友人に会ってきたんだよね。」
牧田「おかげさまで久しぶりに古い友人と再会し、旧交を温めることができたよ。」
牧田はそう言ってから、ジャスミン茶を一口すすった。芥川もジャスミン茶を一口すすってから話を続けた。
芥川「僕は一人であちこち観光していたんだけど・・・」
牧田「星海広場でフォー・ハルサメ氏と偶然、再会したんだろう?」
フォー・ハルサメは日本唯一の公的な超能力研究所・ハルサメ研究所の研究員である。先日、芥川と牧田は日本超能力協会(NCK)名古屋支部総会後の立食パーティーで、彼女と出会ったばかりだ。
芥川「そうなんだよ。本当にびっくりしたよ。」
牧田「彼女は大連で一体、何をしていたんだろう?」
芥川「日本の超能力研究所の研究員が中国で一人・・・怪しいと言いたいんだろう?」
牧田「彼女は外部の人間と交流する際に、本名の使用を制限されている研究員なんだろう?」

第2章 サイコアーマー

 牧田はジャスミン茶を一口飲み、腕を組みながら言った。
牧田「しかも彼女は、サイコアーマーなんていう物騒なものを研究している・・・」
芥川「牧田君。何の証拠もないのに推理したって、時間の無駄だよ。空想でいろいろ仮説を組み立てることはできるけど、結局は空理空論、砂上の楼閣になるだけさ。」
牧田「でも、サイコアーマーって、超能力を軍事利用するための装備品か何かなんだろう?」
芥川「多分、そうだと思うけど・・・筋の悪い研究だと僕は思うよ。」
牧田「筋の悪い研究・・・」
芥川「今後、AIとロボット技術がどんどん進化していく。未来の戦争の勝敗を決するのは、ドローンによる制空権の奪取、そして地上戦ではロボット兵器だろう。もちろん、他にもいろいろな要素・論点があるけどね。」
牧田「なるほど。サイコアーマーにこだわる必要はないわけか。」
 芥川は思い出したかのように、ジャスミン茶をゴクゴク飲んでから言った。
芥川「フォーさんとサイコアーマーの話はもういいだろう。さて。今日は妖怪博士の草野先生が来所されるんだよ。」
牧田「氷室コレクションの件でだね。」
妖怪博士・草野茂は日本における妖怪学の権威である。氷室コレクションとは、強力な妖怪が封印された黒い小瓶のコレクションのことだ。昔、氷室という霊能力者がいて、封印の秘法で妖怪を黒い小瓶に封印していた。一部の物好きなマニアがこれを収集しているのである。
芥川「うん。僕が豊田市の足助地区で封印した伝説の神獣・白虎を、草野博士が引き取ってくれると言うんだ。ありがたい話だよ。僕もこんな危険な代物、自分のところに置いときたくないからね。」
芥川はそう言って、机の上に置いてある黒い小瓶を牧田に見せた。
牧田「確かにそうだね。」

第3章 妖怪博士・草野茂

 しばらくすると、草野が事務所にやって来た。
草野「やぁ、芥川君。久しぶりだね。」
芥川「どうも、先生。こんにちは。」
牧田「お久しぶりです。こんにちは。」
草野「今日は能年君は留守ですか?」
芥川「能年君は、私の叔母と一緒にスーパーへ買い出しに行きました。」
能年は鎧の妖怪である。芥川の事務所に住み込み、彼の助手として働いている。
牧田「先生。どうぞお掛けください。」
草野「うん。ありがとう。」
草野はそう言うと、おもむろに勧められた椅子に腰かけた。
 牧田は席を立つと、草野のためにジャスミン茶を淹れた。
牧田「草野先生はジャスミン茶、大丈夫ですか?」
草野「やぁ、わざわざありがとう。いただきます。」
牧田はジャスミン茶を草野に渡した。草野はジャスミン茶を一口すすってから言った。
草野「おいしいジャスミン茶だね。」
芥川「ありがとうございます。先日、二人で大連旅行に行ってきたんです。」
草野「へー、大連旅行か。いいですねぇ。」
芥川は、机の上に置いてあった黒い小瓶を草野に差し出して言った。
芥川「先生。これが例の物です。」
草野「ありがとう。氷室コレクションだね。しかも中身はあの伝説の神獣・白虎・・・」

第4章 呪いの鎧武者

 芥川は率直に言った。
芥川「先生。正直に言うと、これでほっとしました。こんな危険な物をどのように保管・管理したらよいものか、途方に暮れていたんです。」
草野「ハハハッ。普通はそういうもんなんだろうね。」
牧田「草野先生も氷室コレクションを収集しているんですか?」
草野「保管・管理のためですよ。大変危険な物ですから。」
 草野はジャスミン茶を一口飲んでから、話題を変えた。
草野「実は、芥川君に会いに来た目的は、白虎の瓶だけではないんです。つい先日、名古屋市内で氷室コレクションを不用意に開封した者がいてね・・・」
牧田「それじゃあ、白虎のような危険な妖怪が解放されてしまったんですか?」
草野「それが、その小瓶に封印されていたのは妖怪ではなく、強力な悪霊だったんだ。」
芥川「なんでまた氷室氏はわざわざ、封印の秘法で悪霊を封印したんでしょうね?」
草野「これは私の推測だけど、普通の法術では除霊できないような代物だったんだろう。恐ろしい鎧武者の悪霊だ。」
牧田「その恐ろしい鎧武者は今、どこをさまよっているんですか?」
草野「開封したのは守山区在住のYouTuberだから多分、今も守山区のどこかをさまよっているんじゃないかな。」
芥川「分かりました。鎧武者の悪霊の件、調査してみます。」
草野「ありがとう、芥川君。」
草野はそう言うと、肩の荷が下りたようにほっと微笑んだ。

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(27)【サイコアーマー編】

霊能探偵・芥川九郎のXファイル(27)【サイコアーマー編】

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-26

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  1. 第1章 大連土産
  2. 第2章 サイコアーマー
  3. 第3章 妖怪博士・草野茂
  4. 第4章 呪いの鎧武者