ときめく恋はカフェオレの香り (番外編 ②)

(今までのあらすじ)

鈴原結奈(すずはら ゆいな)は、30代の会社員である。憧れの蒼空(そら)くんと、両想いになれて、
一緒に、同棲生活を始めた。一方、結奈の先輩である、漆原美香(うるしばら みか)は、友人の滑川と、あまり恋愛がうまくいってない。

結奈の友人である、緑川琴葉(みどりかわ ことは)と2人で、、やきもちしているのだった。ある日、琴葉は、
滑川に「イメチェン作戦」を、教えてあげて、、早速、イメチェンをする滑川だった。
ところが、かんじんの美香は、全然、その気にならず、滑川の告白を、断ってしまう。

代わりに、琴葉は、同僚の女性を、滑川に、恋人候補として紹介するのだった・・。



( 本編 )

滑川は、ずっと友人だった美香に「お断りしますね」と言われて落ち込んでいた。

『あー。美香ちゃんって、俺を好きって聞いてたのに、もし、俺がロン毛で若かったらうまくいったかな・・?』



どんなときでも、ユーモアで切り返すのは滑川のいいところだった。
「まあ、いいか、美香ちゃんが幸せなら・・。」


滑川をそう呟いて、琴葉から紹介された女性の写真をじっと見てみる。確かに、ちょっと太っているが中身は周囲に信頼されそうな女性である。何より、幼稚園で園児の世話をしているから、母性あふれる人なんだろう・・。


滑川は、琴葉と3人で会うことに、やっと気持のふんぎりをつけたようだ。



それから2週間後、その太った女性ーー 河村 美月さんーーと、3人でホテルのラウンジで会う。

美月さん(容貌と違い、可愛い名前であった。)は、琴葉とやってきて
水色のブラウス、白いスカートで思ったよりもおとなしめである。



「こんにちは!私は美月です。今日は楽しみにしてました、、」


幼稚園の先生らしく、明るい声で滑川にあいさつするのだ。



それから、3人で紅茶を飲みながら滑川が仕事でお客さんに人気があること、琴葉が旅行好きで九州に行った話、美月さんのお母さんもデブっていて、ふたりで夜食にラーメンを食べること、居酒屋のレモン杯がおいしいこと、、などずっと話していた。


美月さんは、話すときに相手の目をじっと見るタイプらしく、滑川もドキドキしてしまうほどだ。
「ええ、美月さんって子どもに人気とか、あるんですか?」


「そうよ、美月ちゃん、明るいから子どもにオルガンとか弾いてあげるよ」と琴葉。

美月も、「私は太っているから、『デブ先生』って、ふざけて言う園児もいるのよ」と、笑う。



ふたりは、けっこう意気投合して楽しそうであり琴葉の提案で、次に2人だけのデートの約束もしてしまったのだ。


~ 美香のマンションで ~


漆原美香(うるしばらみか)は、今度の誕生日で45歳になってしまう。地方独特の、慣れ慣れしい人付き合いが嫌で実家を離れたが、『私って、他人と暮らすことが嫌なのかしら?』と自問自答する。



確かに、家庭を持ちたい気持ちも大きく、滑ちゃんも男性として意識していた。

なのに・・、みんなの前で告白されたのに、美香の脳内で、、『お断りしなくっちゃ・・!』の意思表示が出ていたのである。


やっぱり、若い頃の恋愛のトラウマは大きくって、今更この年齢になって誰かと生活したり、ご飯を食べているイメージがわかないのである・・。


「滑ちゃん、、、友達もやめちゃうのかなあ・・」と、思わずひとりごとを言ってしまう。友達でもいいから、滑ちゃんにはずっとそばに居てほしかったのだ。ふたりの関係が壊れたら、美香にもすごい孤独が襲ってくるだろう・・。



中年女性の孤独は、経験した人にしか分からないというが、まだ、30代の結奈に、相談する気持にもなれなかったのである。



美香は、最近通っている「温泉スパ」のチラシをずっと見て、「次は、ここにしようかな、、」とか「ここの、カフェテリアがおいしそうね:」など、自分で気分を盛り上げていたのだった。



鈴原結奈(すずはらゆいな)も、また、、考えていたのだ。



『なんで、美香さんって踏み切れないのかな、、あんなに、天然系で癒しタイプで感じが良いのになあ』



結奈は、ケーキを美味しそうに食べたり一緒に温泉にいって、はしゃいでる美香の姿を思い出していた。
結奈には、実の妹・円香(まどか)という、ちょっと憎めない存在があったが、別の意味で、、美香さんは天然系のお姉さんに思えてきたのだ。



『まあ、無理強いしてもダメだよね。。そっとしておくかな』結奈は、「他人を動かそう」なんて策略は苦手だったので、、考えるのをそこまでにして、、、ゆっくり寝ることにしたのだ・・。


~ 滑ちゃんと彼女のデート ~


「滑川さーーん、」



とっても大きな声で、美月は滑川のことを呼ぶ。だいぶ、太っているだけあって「細かいことを気にしない」ようで、、周りの人間がこっちを見ていても、ニコニコしている美月だった。



「ええ?!最初のデートなのに、ランチを作ってくれたのかい?」滑川は、美月が持ってきて籠(とう)のバスケットと、ドリンクを見てびっくりした。


「ええ、ええ、だって、外食すると高いんだもの、私、、、節約するの好きなんですよ」


籠(とう)のバスケットから、美月は「梅のおにぎり」「ツナとレタスのサンドイッチ」などを出して、、、滑川に差し出す。



サンドイッチを食べながら、ふたりでいろいろ家族の話や、仕事、趣味の話をしてみた。



滑川は、美月に教員の父がいること、年の離れた弟がいて世話をしている、そのせいで幼稚園で働いていること、、、などの情報をゲットした。

『やっぱり世話好きなんだな、それに、大らかだし。。わりと良い女性なのかも・・?結婚を前提に付き合おうかな」滑川は、目の前で大きな口を開けて、パクパク食べている美月をぼーーと見ながら考えていたのだ。


ーー 5時に解散して、美月は夜は友人と会うと行って、そそくさと帰ってしまったーー



滑川は、その日の夜に琴葉にメールをうっておいた。


「ありがとう、今日は楽しかったんだ、琴葉ちゃんのお陰だよ」



一方の琴葉は、部屋でビデオを見ながらピザをつまんでいたのだ。

「ああ、滑ちゃんね、なになに・・?」

「ふーん、うまくいったのね、初めてのデートは。。、良かったあ。」


琴葉は、しみじみとつぶやいて、アメリカンコーヒーを飲む。


あの2人がうまくいってくれると、なぜだか琴葉も嬉しかったのだ。煮え切らない美香さんなんて、放っておいて、滑ちゃんと美月でカップルになったほうが良いのに・・。

ーー 琴葉は、また夢中になっていたSF映画を
    じっと見始めたーー



緑川琴葉(みどりかわ ことは)は、他人の恋の応援も得意だったが、自分の恋愛も、それなりに楽しんでいたのだ。

結奈の母も、蒼空くんを誘惑したことがあったが、同様に琴葉も、「女として自信がある」タイプであった。琴葉は、多趣味であり男性と居ても趣味の話をすると、誰も「面白い子だなあ」という視線で、見てくれる。


「男って、最後は面白い女が好きなのよね!」と茶目っ気だっぷりに言うと、、不倫の彼氏・川本さんのことを考える。



川本さんは娘さんが2人いて、、優しいだけでなくって、包容力もあり不倫するには、最高の男性だったのだ。
琴葉も、同年代の彼氏にはあまり甘えないけど、、12歳も年上の川本さんなら悩みも話せるし泣いたりもできたのだ。



奥さんも優しい人らしく、最初に入社した会社での職場結婚だったらしい。

けれど、琴葉には「妻には、もう飽きたよ、趣味も無いし話題も、芸能人の話ばかりで魅力が無いんだよねーー」と愚痴っていた。



奥さんに比べて、自分は若いし旅行という趣味などもあり、生き生きしている。

幼稚園ので、懇談会などで若いパパに人気があるって言われたこともあり、妻帯者には自信があったのだ。(笑)



この前は、不倫の川本さnと隠れ家の温泉に行った琴葉であった。彼氏はいつものように優しくて、、、「もうすぐ、妻とは別れるからね」と言ってくれた。 料理もおいしくて、、夢のような3日間であった。



ーー けれど、、現実的な琴葉は不倫相手の、甘い言葉などは実は信じてなかったのである。



『ずっと、この状態で良いはずは無いわ。。もう終わりにしようかな。。』蒼空くんとカップルになった結奈は、急に化粧したり女っぽくなり、ちょっとジェラシーを感じちゃうわっ・・。


私も、、自分だけを見てくれる彼氏を作ろうかしら。。

『そうだ、、あの作戦を使おうかなあ、成功するかしら・?」

琴葉は決心した様子で、りんとした表情をしていたのだった。



な、なんと・・?!積極的な琴葉は、次の週末に・・・不倫相手の川本さんの、自宅をのぞきに行くことに決めたらしい。

「どんな奥さんなのかしら?? 専業主婦って言ってたけど・・。きっと、地味系のおばちゃんっぽい人に決まってるわ。奥さんの顔でも、見てくるかなあ・・面白くなりそうね。」



琴葉は、ホットミルクを飲みながら、ぷっと吹きだしていたのだったーー。

                  

ときめく恋はカフェオレの香り (番外編 ②)

ときめく恋はカフェオレの香り (番外編 ②)

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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-20

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