zoku勇者 マザー2編・20

フォーサイド編・6

「これって一体……、どういう事……なの?」
 
「俺に聞くなよ……」
 
一方の……、異世界にいるジャミルとアルベルトは呆然とする……。
一体何故この様な事になっているのか、何が自分達の身に
起きているのか……、理解不能だった。二人はもう少しだけ、
酒場にいる人達に話を聞いてみる事にした。
 
「いいえ、私は酒場のママですよ!」
 
「いいえ、私もマスターです」
 
「……ひっひひっひ、ムーンサ……、ムーンサ……、イド~!
ムーンサササササ!ひひひ!」
 
「ムムム無無~ン、イイいいいい~!!いひいいいいいいい
いいぴゃぷうーーーーーーー!!」
 
「此処は、はいがいいえ、いいえがはいの世界だ、良く
覚えておくんだな……」
 
「な、何か真面に話……、してくれそうな雰囲気じゃねえなあ……」
 
「ジャミル、一旦外に出てみよう、僕、頭が……」
 
自分達もおかしくなりそうだった為、二人は酒場の外に
出てみる事に……。
 
「……はうわ!」
 
酒場の外も……、真っ暗で……、姿形はフォーサイドと全く同じだが、
まるで夜のネオン街の様な雰囲気だった……。
 
「……ああああ!ジャミルっ、あれっあれっ!!」
 
「♪~ふふひ、おいらのあたま~、とんでった~、ころっと
ごろごろご~ろごろころがって~、どっかにとんでった~、
とんでった~」
 
珍しくアルベルトが大声を。何かが歌いながら近づいてくるが、
それを良く見ると……、足だけが歩いており、足の後ろから
眼球が飛び出た様な顔がぴたぴた付いてくる……。
 
「ふふふ、ひひひ……、ぼくちゃんの胴体知りませんか?
ふふ、ふひひ……」
 
「……ぼくちゃんの胴体はこっちだよ、ふふひい……」
 
側に胴体だけが突っ立っており、その胴体は何故か自分の顔と
喋っているのであった。……胴体は腹が空け、中の腸やら胃が
……みんな見えている……。
 
「……落ち着け、俺、冷静になるんだ……」
 
いつもはお調子者のジャミルでさえ、今にも精神的におかしく
なりそうであった。が、自分の右手首に巻いた赤いリボンを見、
何とか自分を奮い立たせる。,……しかし、その後も次々と、何を
言っているのか分らない奇妙な街人たちに遭遇する……。
 
「ようこそムーンサイドへ ようこそムーンサイドへ
 ムよーンサムよーンサうイこドそへ」

「ムムーーンンササイイドドへへよよううここそそ」

「ンサイ、ンサイ、ンサイドムー、こそよう、こそよう、こそよう……」
 
「あんたたちったら郵便ポストのくせしてふらふら歩きまわったり
して可笑しいったらありゃしない ムムーーンンササイイドドへへ
よよううここそそ」
 
「スープが熱いうちにマニマニを何とかしないと
ナイフが錆びないうちにマニマニを何とかしないと」
 
「ここにいるとあたまがぼよよんになる、……ならない」
 
そして、無表情でしゃがんだままずっと此方を見つめている
うす気味の悪い男の子と女の子。……突然、ぱっと口を開いた。
 
「……おがーぢゃーん、ケ○ミ○の焼きビーフンにピーマン
入れんといてやー……」
 
「入れんといてやー……」
 
「……」
 
「おい、アル……、大丈夫か?」
 
「ごめん、ジャミル……、僕何だか不安で怖くなってきたよ……、
こんなに嫌な感じは初めてなんだ……」
 
ジャミルの方は何とかまだ、平静を保っていられたものの……、
アルベルトはかなり具合が悪くなってきた様子……。
 
(そりゃそうだよな、アルは俺と違って生真面目で
神経質だもんな……)
 
何処かでアルベルトを休ませてやりたかったが、そう言う
訳にもいかず……。このまま此処でもたもたしていれば、
ますます神経をやられてしまうだろう。一刻も早く、
この奇妙な異空間から脱出する事が先決である。……更に
この奇妙な街でも当然の様に敵が出現し、ジャミル達を
瞬く間に窮地に追い込む……。
 
「アルっ、大丈夫かっ、おーいっ!!」
 
「……大丈夫、……でも分からない……」
 
アルベルトはやっと小さく返事を返している。
 
今回のお相手さんは、止水プラグの様な怪物、怒りのプラグ、
ガソリンスタンドに有る給油機の様な容姿の怪物、ロボ・ガロン。
現われた時から、ロボ・ガロンは何やらブツブツ、……3、と
何故か数字をカウントしている。怒りのプラグはジャミル達に
大量の水で放水攻撃をし、大水を喰らう……。ジャミル達は
全身びしょびしょになり、その場に立ち尽くす……。
 
「……ひっ、くし」
 
何だか切なそうなアルベルトのくしゃみであった。
 
「おーい、アル、マジで大丈夫かよう……」
 
どんどんアルベルトに生気が無くなって言っているのが
手に取る様に分る……。ロボ・ガロンから更に……、2、
のカウント音が聞こえた。
 
「ジャミル、僕、もう此処は嫌だよ……、早く出たいんだよ、
誰かに頭をぎゅうぎゅう抑え付けらえる様な……、気持ちが
どんどん不安定になって……」
 
「んな事は俺だって分かってるよ!同じだよ!けど、
出られる方法が分かんねえんだ、どうしようもねえだろ!」
 
「……」
 
大分、精神面が不安定でおかしくなり身体はガタガタ……
脅えて震えている様であり、繊細で神経の細い彼は限界だった……。
 
「……1!」
 
「な、何だっ!?」
 
遂にロボ・ガロンの数えていたカウントが1になった……。
突如ジャミル達は大爆発に巻き込まれる……。
 
「う、ううう……、痛え……、ちくしょ……」
 
どうにかジャミルのHPは、ドラムカウンターギリギリ……、
15付近で運よく止まったが……。
 
「ああっ……!アルーーっ!!」
 
アルベルトのHPは0になり、その場に倒れていた。もう命の
うどんも無い状態の為、即、ホスピタル行きまっしぐらであった。
 
「しっかりしろっ、今、ホスピタルへ連れて行くかんな!」
 
決着がつかないまま、ロボ・ガロンと怒りのプラグはニタニタ
後ろで笑っていたが今はそれ処ではなかった。ジャミルは怒りを
堪え、敵を睨むとアルベルトを背負いその場からダッシュで逃走する。
 
「……うっはーっ!……俺ももう嫌かもーーっ!!」
 
ホスピタルを目指し突っ走るジャミルに、変な絵画の様な敵、
謎のゲージュツが襲い掛かってくる……。流石のジャミルも
泣きたい様な気持ちだった……。死に物狂いで走って漸く
ホスピタルの中へ辿り着いた……。
 
「……ハア、ハア……、た、頼む……、ダチが重体なんだ、
看てやってくれ……」
 
「御診察ですか?」
 
「そうだよっ!は、早くっ……!!」
 
「からかうのならお引き取り下さい、うちは暇では
ありませんので……」
 
「はあ!?な、何言ってんだよ、早く看てくれって……」
 
「いらっしゃいませ……」
 
「!?」
 
其処に別の患者がやって来る……。
 
「お願いしません、どうか診察しないで下さい」
 
「畏まりました、此方へどうぞ……」
 
受け付けは何故か、後から来た患者はすんなり奥へと通す。
 
「も、もうっ!いいよ、頼まねえよ!……くそったれが!!」
 
ジャミルは怒りに任せ、ホスピタルを出ようとするのだが……。
 
「では、あなた達も此方へどうぞ……」
 
「は、はあ!?」
 
受け付けは急に態度を豹変させ、ジャミル達を受け入れる……。
と、咄嗟に……、酒場の中にいた、ある男の言葉を思い出した。
 
此処は、はいがいいえ、いいえがはいの世界だ、良く
覚えておくんだな……
 
「成程、そう言う事なのか……、ちっ!マジで何もかも
狂ってやがる!」
 
「どうしたんですか?御診察希望されないのですか?」
 
「ああ、希望してねえよ!」
 
ジャミルは反対に返事を返すと、急いでアルベルトをヒーラーの
処まで連れて行き、ヒーラーとへんちくりんのやり取りをしながら、
アルベルトを治療をして貰うのであった。
 
「……有難う、ジャミルごめんね、迷惑掛けてさ……」
 
ホスピタルを出、漸く復活したアルベルトが謝る。しかしまだ声に
活力は無く元気はなかった。
 
「気にすんなよ、どうしようも出来ねえんだから……」
 
「……」
 
「バイ、……、バイ……、ハロー……」
 
「?」
 
病院の前で、ブツブツ呟いているいかつい体格のモヒカン男が
ウロチョロ徘徊している。ジャミルは構わない様、アルベルトに
注意するのだが……。
 
「目を合わせない様に通り過ぎろよ……」
 
「分ってる……」
 
二人は男を見ない様、その場から去ろうとする、……しかし……。
 
「……ハロー、そしてグッドバイ!!」

「……ここって……」
 
ジャミル達はいきなりハローグッドバイ男に別の場所へと
飛ばされた。其処は見た事のある場所、異世界モノトリー
ビルの裏側であった。しかし、正面には変な男が邪魔をし、
通路を塞いでしまっていた。
 
「マニマニの像ならこの先にあるぞ……」
 
「……何だと?」
 
「けど、このおれが邪魔をしているから先には進めない、
眉毛の繋がった金歯の男も連れまわしていない様な奴に
此処を通る資格はないな」
 
早い話、こんなの蹴り倒してしまえば……、そうジャミルは
思ったが、アルベルトが止めるので仕方なしにやめにした。
 
「言ってる事が良く分からないけれど……、とにかく
金歯の男とやらを探せばいいんでしょうか……」
 
アルベルトがそう言うと、髭もじゃのいかつい変な男は
違うとばかりに首を振る。
 
「ジャミル、金歯の男を探してみよう、大変だけれど……」
 
「こんなとこ、又歩き回んのかよ……」
 
二人は金歯の男とやらを探し更にムーンサイドを歩き回る……。
いつの間にか、周囲には……、徘徊する大量のむさいハロー
グッドバイ男で溢れかえっていた。
 
「ハローグッドバイ!」
 
「ハローグッドバイ!」
 
「ハローグッドバイしろ!」
 
「バイバイバイ!」
 
「おーい、こんなん、一体どうしろと……」
 
「あ、当たらない様にするしか……、うわ!」
 
「ハロー、グッドバイ!」
 
とろいアルベルト、ハローグッドバイ男にぶつかり、
何処かへ飛ばされる……。仕方ないので、ジャミルも
自らぶつかり、一緒に飛ばされた。……二人が飛ばされた
先は又、ホスピタル前であった。
 
「ごめん、ジャミル……」
 
「気を付けろよ、頼むからさあ……」
 
と、ジャミルが言ってる間に……。
 
「ハローっ!」
 
「う、うわ!又きやがった!アル、逃げろっ!!」
 
「……うわわわわっ!」
 
最初にホスピタル前でジャミル達をハローグッドバイした
男が又此方に向かって再び突っ込んでくる……。二人は
必死に逃げ回ろうとするが、ハローグッドバイ男は異様に
足が速く……。
 
「ハロー、グッドバイ!」
 
体当たりしてきたハローグッドバイ男によって、二人は再び
何処かへ飛ばされたのであった。
 
 
「いちち、もう勘弁してくれっての……」
 
「……ジャミル、ここは又違う場所みたいだよ、別の場所に
飛ばされたみたいだ……」
 
「そうか、ん?プレゼントボックスがあるな、
貰っとこう……」
 
ボックスを回収し、又歩こうとすると……、今度はスーツ姿の
眼鏡の男がやって来た。
 
「ハロー!グッドバイ……するかい?」
 
そして、眼鏡男にまで体当たりされ、更に別の場所へ……。
此処にいる限り、俺らは延々とこんなワケ判らん事を
繰り返すのかとジャミルは飛ばされながらもう嫌に
なって来ていた……。けれどやはり、右手首の赤いリボンは
失意のジャミルに元気をくれた……。
 
 
……アイシャ、待ってろよ、俺はこんな糞変な世界に負けて
堪るかよ、……絶対にお前を……
 
 
「……」
 
「ジャミルっ!……大丈夫かい……?」
 
アルベルトがジャミルに声を掛け、はっと目を開けると
其処は……。
 
「今度は何処だい……?」
 
「どうやら、何処かの家の中みたいだ……」
 
アルベルトが慎重そうに周囲を見回す。確かに家の中では
あったが、やはりこの世界の為か、家の中も暗く、異様な
雰囲気である。それに何処にも部屋の入口、出口らしき物が
見当たらないのである。
 
「あんたら、何してるんだい?」
 
モヒカン頭の変な男がのっそりと此方に近づいて来た……。
 
「いや、勝手に入ったのは悪かったけどさ、俺らも入りたくて
入った訳じゃねえのさ……」
 
「おれは今、暇で暇で手が離せねえのよ、用事があるんなら
そこにいるおれの相棒に話し掛けてみちゃどうだい?」
 
「相棒って、……誰もいないみたいなんですが……」
 
アルベルトは首を傾げるが、ジャミルには何となく、誰かが
其処にいるのが分った。試しに声を掛けてみるが……。
 
「おい、其処にいんのか?」
 
「ひひひ、よくおいらが分ったねえ、そうだよ、いるんだよ、
ひひ、ひひひ……」
 
突如何者かが喋り出したのでアルベルトも漸くその存在を
確認出来た様であった。
 
「ひっひ、おいらが見えるってか、あんたら立派な
ムーンサイド人だあよ」
 
「……はあ、そんな物……、なりたくないよ、処で出口は
どこなのかな……」
 
「なんだとう!?」
 
「!?」
 
アルベルトがぼそっと呟くと、さっきのモヒカン男が
物凄い勢いで此方に向かって突進してくる。
 
「あんだとう!?ドアを探してる!?んなモンはなあ、
ここにはねえよ!おれの暇を邪魔するやつあ出て行けっ!
この野郎!!」
 
「ちょ、ちょっと待っ……、うわあーーっ!!」
 
「……アルっ!!」
 
「おめえもだっ、帽子の糞ガキっ!!でてけっ!!」
 
ジャミルとアルベルト、今度はモヒカン男に蹴られ、
又何処かに飛ばされてしまった……。二人が飛ばされた
場所は今度は……。
 
「ごめん、ジャミル、毎回毎回……」
 
「……何か今回はおめえがトラブルメーカーみてえだな、
ま、いいけど……、それより助かったぞ……」
 
「ここは……」
 
今度、二人が飛ばされた場所は、どうやらホテルの中の
様であった。
 
「ラッキー!折角だから少し休んで行こうや、身体もボロボロ
だしよ、疲れも落とさねえとな!」
 
ジャミルは早速ロビーでチェックインを済ませようとするが。
 
「ホテル・ダークムーンです、一眠り150ドルです、
眠りますか?」
 
「……頼むよ、もう、眠くて眠くて……」
 
「そうですか、では一晩中起きているんですね!
ほっほっほ!」
 
……まるで、どこかの某宇宙帝王の喋り方の様な
店員である。
 
「あちゃ、忘れてたよ、此処はひねくれて返事しないと
いけねえんだったな、えーと、んじゃ、眠るのやめたわ……」
 
「毎度!では、ごゆっくりお寛ぎを!」
 
どうにかこうにか、部屋まで案内される。……アイシャの事も
勿論心配だが、少しでも自分達の心と身体も何とか休憩
させなければどうにかなってしまいそうであった。
アルベルトはベッドに横になるなり、すぐに爆睡してしまった。
 
「……?」
 
ふと、ベッドの上で天井を見上げると、ジャミルは又
異様な気配を感じた。……誰かが見ている様な殺気を
感じたのである。
 
「……誰だい?」
 
「ひっひ、おいらだよ、おいら、あんたらにはおいらの姿が
みえている、と、面白そうだからおいらも付いていくよ、
安心しな、バトルになっても何もしねえからよ」
 
どうやら、変なモヒカン男の屋敷から、謎の影男も後を付いてきて
しまった様である。
 
「なあ、この金歯、すごいだろ?ひっひ!繋がった眉毛も
立派だろ!」
 
暗闇に何故か、キラキラ光る金歯だけが浮かんでいる……。
その気色悪い事と言ったら……。
 
(金歯に繋がった眉毛……?もしかしたら、こいつを連れて行けば、
マニマニの像の処まで……)
 
そう考えた処で、この謎の影男は実に貴重な存在かも
知れない事に気づき始める。
 
「なあ、お前、其処に居ろよ、何処にも行くなよ、頼むから……、
後付いてきていいからさ……」
 
ジャミルが話し掛けると、暗闇に浮かんだ金歯が
ピカピカ光った。
 
「ひっひ、こんな面白そうなの……、何処にもいかないよ!
ひっひ!」
 
影男は常にジャミル達の側を離れようとしなかった。しかし、
見張られていると思うと……、あまりいい気はせず、ゆっくり
就寝も出来ず……。
 
「あ、あんた今、スカシこいただろ、ひっひ!」
 
「……」
 
 
そして場面は再びモノトリービルに幽閉されている
アイシャに戻る。モノトリーが深夜出掛けて行った頃……。
 
少しアイシャは大人しくしていた為か、SPの監視が
ゆるくなり部屋に鍵も掛けていかなかった。これを
狙っていたのである。……夜、アイシャはこっそり、
部屋から廊下に出る……。
 
「あの怖いおじさんはいないみたい……、マニマニを
探すのなら今がチャンスね!」
 
此方も諦めておらず、何とか自分の手でマニマニを探して
破壊しようとするのだが……。
 
「……何してるのかなあ!!」
 
「!!」
 
アイシャは暗闇から聞こえてきた声に思わず身を縮める。
向こう側から歩いて来たのは……。
 
「ぼくだよ、ポーキーだよ、お前、何してるんだよっ!こんな
夜中にっ!!ええっ!?」
 
「べ、別に何も……、あっ!!」
 
ポーキーはアイシャに突っかかる。そして、縛ってある
アイシャのツインテールの片っぽを思い切りぐいっと
乱暴に引っ張った。
 
「何だよ、この髪型は!似合わねえな、はははは!ブスが
こんなのしたって似合う訳ないだろ!やめちまえ!おらっ!!
ブスっ!!」
 
「やめてっ!何するのっ、……お願いだからやめて……」
 
「ならやめてやろうか?……んじゃお前、ぼくのお嫁さんに
なれよおお!ええっ!?」
 
「……お断わりよっ!いい加減にしてっ!!」
 
「オウっ!?」
 
アイシャ、間髪入れずに思い切りポーキーの頬を叩く。
激怒したポーキーは再度アイシャに突っかかり髪の毛を
無理矢理むしった。エツコさんがセットしてくれた折角の
アイシャのツインテールは……、無残にも乱れてぐじゃ
ぐじゃになった……。
 
「この野郎、よくもやったな、ブスブスブスっ!お前なんか
……こうしてやるっ!!」
 
しかし、アイシャは落ち着き払った様子でポーキーを見つめ、
口を開き一言言葉を漏らした。
 
「……あなたは可哀想な人だわ、人を傷つける事でしか自分を
落ち着かせられないのね……」
 
「こ、このっ!何処までブスなんだっ、おまえはっ!えーい
この野郎!!」
 
ポーキーがアイシャに殴り掛かろうとする……、が、その手を
誰かが止めた。……あのSPであった。
 
「な、何だっ、お前っ!何で止めるんだっ!邪魔すると
お前もおしっこ引っ掛けるぞっ!!」
 
「腹が立つでしょうが、どうか此処はお引き取り下さい……、
もしも坊ちゃまの身に何かありましたらそれこそ私が社長に
お叱りを受けてしまいます、あなたは社長の大事な秘書
なのですから……」
 
「そ、そうか、そうだよな、フン!んじゃ、ぼくは部屋に
戻るぞっ!こいつの始末はちゃんとどうにかしてくれよな!
ひひひ、ブースブース!」
 
ポーキーはアイシャに悪態をつくとそのまま逃走した。
 
「はあ、……あの、有難うございました……、ごめんなさい、
ご迷惑をお掛けして……」
 
「早く部屋に戻れっ!……この糞がっ!!……調子に
乗りやがって!!」
 
アイシャ、再び部屋に幽閉され、鍵を掛けられて
しまうのであった……。
 
「大丈夫、私は元気だよ、笑顔でいないと……、ね?」
 
鏡の前に座ると、笑顔を作り、乱れた髪を直すといつもの
お団子ヘアに髪型を整えるのであった。

「ジャミル……」
 
「アイシャ……?」
 
気が付くと、ジャミルの前にアイシャがいた。……モノトリーに
捕まった筈のアイシャが……自分の目の前で微笑んでいる。
 
「ね、かけっこしよう!」
 
「は?又、何でまたお前……」
 
「いいのっ!ほらいくよっ、私、これでも凄く足が
速くなったのよっ!よーいどんっ!!」
 
「お、おいっ!……待てっ、アイシャっ!待てっての!おおーいっ!!」
 
アイシャはどんどん……、自分の目の前から遠ざかってゆく……。
幾ら走ってもアイシャに追いつかず、等々自分の目の前から
遂に消えてしまった。……彼女の姿が……。
 
「うわあああーーーっ!!」
 
「ジャミル!?」
 
ジャミルの悲鳴で隣のベッドで眠っていたアルベルトも
目を覚ました。彼がジャミルを見ると大分寝汗をかいていた
様であった。
 
「……夢か……」
 
「大丈夫かい……?」
 
アルベルトが心配してジャミルにタオルを渡すと、ジャミルは
やつれた様にタオルを受け取り返事を返した。
 
「なあ、アル……、俺らまだ間に合うよな……?アイシャを
助けられる……よな?」
 
「ジャミル、また……、本当にどうしたの、君らしくないよ!」
 
「分かってるさ、けどな……、前にアイシャを捕まえた
カーペインターつう爺さんはアイシャをギーグの生贄に
しようとしてたんだ、モノトリーの野郎も恐らく目的は
同じだ……」
 
ジャミルはそう呟くと、再び右手首の赤いリボンを見つめる。
 
「大丈夫、信じるしかないよ、アイシャは強い女の子だから……、
きっと大丈夫……」
 
「そうだな、一旦爆発すれば大変だからな、……時限爆弾
並だしな……、捕まえたモノトリーも、監視してる奴らも
案外苦戦してるかもな……」
 
「いや、そう言う意味で言ったんじゃないんだけど……、
とにかくまずは一刻も早くこの変な世界から抜け出さなくちゃ、
行こう!」
 
「ああ……」
 
二人は荷物を纏め、ホテルを後にしようとした。
 
「ひひひ、おいらもいるよ……、忘れちゃいやよー!」
 
暗闇で、金歯がピカピカ光って合図する。
 
「えーと、本当にいるんだね、眉毛つながりの……金歯さん……」
 
「ひひひ!」
 
「……」
 
ホテルを出て、もう一度、エセモノトリービル付近まで向かう。
相変わらず、先の通路には変な男が通せんぼしていたのだった。
 
「あんだ?お前ら、又来たのか、おれがここは通さねえって……、
お、おおおおお!」
 
「にかにかにか!」
 
「眉毛繋がりの金歯さん!へへ、どうもどうも!こりゃたまげた!
こんなガキ共ほおっておいてバーボンでも一杯引っ掛けに
行きましょうや!へへへへ!」
 
変な男は何処かに行ってしまい、道を開けてくれたが。
 
「もう、ワケわかんねーんだけど、取りあえず、この先に
進める様になったって事だな!」
 
「行こう!」
 
二人は変な男に通せんぼされていた道を漸く通る。……その先で
見た物は……。
 
「モ、モノトリーっ!……爺っ!!」
 
「……!!」
 
「ひいいっ!?」
 
モノトリービルの入り口に置いてあるマニマニの像の側で……、
脅えているモノトリーであった。
 
「……く、来るなっ!私はモノトリーなんかではない……!!」
 
「んな処にいやがったのか!……アイシャは何処だっ!!」
 
「モノトリーさん、……アイシャを返して下さい!!」
 
ジャミルとアルベルトはモノトリーに詰め寄るが、モノトリーは
怯えて後ずさりする……。
 
「私は……、うう、わ、儂は……、も、もう、嫌だっ!!
……あんな惨めな毎日に戻るのは、もう……」
 
「う、うっ!!」
 
モノトリーが叫ぶと、マニマニの像が突如光り出怪しい
光を放つ……。暗い中での眩しさに暫く慣れた頃にはもう
其処にモノトリーの姿はなかった。
 
「……畜生!逃げられたかっ!!」
 
「ジャミル、この像は……!」
 
「ああ、こいつがマニマニの悪魔だ!人の心に漬けこんで
精神も何もかもおかしくしちまう……、一気にぶっ壊しちまおうぜ!」
 
幸いな事に、マニマニの悪魔はそれ程大した相手ではなく、
アルベルトのペンシルロケット5攻撃連発、ジャミルの
PKキアイβであっという間に像を破壊する事が出来たので
あった。
 
「……マニマニハ……チキュウノスベテノニンゲンドモニ……
ハカイト……アクムヲトドケル……ノダ……」
 
「……悪夢……?」
 
像は一言意味深な言葉を呟くと……、ジャミル達の目の前で
バラバラに崩れ落ちた……。
 
「はあはあ、道中の変な敵の方がよっぽど厄介
だったっつー……の……」
 
「うん、全く……だよ……」
 
しかし、マニマニの悪魔を撃破した二人はそのままばたっと……
倒れてしまった……。
 
 
「おいおい、あんたら大丈夫か……?」
 
「……?」
 
誰かがジャミルに声を掛け、……ジャミルは漸く意識を
取り戻した。
 
「あれ、俺達……、確かマニマニの像を破壊して……、それから
どうしたんだっけ?」
 
「記憶が……、飛んでる……」
 
アルベルトも目を覚ました様子。二人が辺りを見回すと、
どうやら此処は……何処かの倉庫の中らしかった。
 
「ちゅうー!あんたらうつろな表情をして、ずっとこの
ボルヘスの酒場の倉庫の中をウロウロ歩き回っていたぜ!」
 
「ボルヘス……?」
 
ジャミル達に話し掛けてきたのは喋るネズミで、二人に
丁寧に状況を説明してくれた。
 
「お、俺らはずっと……、夢遊病みたく……、倉庫の中を
歩き回ってただと……?マ、マジか…?」
 
「ああ、黙ってみてたけど、結構面白かったぞ!」
 
……だったら倒れる前に声を掛けてくれ……、とジャミルは
思った。
 
「ジャミル、この像は……、幻影マシーンかも、この像が僕らに
悪夢を見させていたのかな……」
 
「……確か、像が壊れる前に何かブツブツ言ってたよな……、
地球の全ての人間共に破壊と悪夢を届けるとか何とか……」
 
アルベルトがボロボロの像を眺める。ムーンサイドは
マニマニの像が作り出した幻影の……、悪夢の街だったので
あった……。
 
「とにかく、此処を出ようや……」
 
二人は倉庫を出る。……出た先は……、ボルヘスの酒場の
カウンターであった。
 
「……ありゃ?」
 
「あれ?君達、何時入り込んだの!困るなあ、この先は
関係者以外立ち入り禁止だよ!」
 
酒場のマスターがジャミルとアルベルトを慌てて引っ張る。
そして、倉庫の入り口を棚を動かすと塞いでしまった。
 
「全く!」
 
「あのさ、おっさん……、モノトリーの爺さんが……、ここの酒場に
出入りしているって聞いたんだけど……」
 
「は?モノトリーさんがウチに出入りしている?そんな事有る
ワケないじゃないか!」
 
「見た事がないなあ……」
 
マスターも客もすっとぼけているのか、モノトリーは此処には
全く来ないと言う……。
 
……プルルルル……
 
「?」
 
と、突然通信電話から連絡が入る、久々のアップル
キッドであった。
 
 
『もしもし、アップルキッドです、お元気ですか?変な物が
出来たんですがお役に立つかどうか……、ぐるめどうふマシンて
言って、なんと色んなおいしさの豆腐が作れちゃうんです、でも、
今の処、いちごどうふしか成功しなくて、これからエスカルゴ
ウッカリ特急便で送りますから!近いうちに其方に着くと思います、
それでは研究の方が立て込んでますので、では!』
 
「……」
 
アップルキッドからの通信は途絶えた。……俺らが大変な思い
しとる時に……、おまーは一体何つくっとんじゃい……、と、
ジャミルは思うのであった。しかし、彼の作る珍発明品は
しっかりジャミル達を救ってくれる?のである。

zoku勇者 マザー2編・20

zoku勇者 マザー2編・20

SFC版ロマサガ1 マザー2 クロスオーバー 年齢変更 ジャミル×アイシャ カオス ギャグ 下ネタ みんなのトラウマ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-17

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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