人工灯

朝、淹れたはずの一杯だ
寝ぼけ眼で挽いた香りに
ぐしゃぐしゃな髪をかき混ぜ
おやすみ と別れた



秒針が震えて進まない
電池も全部死んでいた
口をつけたのは分かっていて
縁が、唇が汚れている



立つ鳥跡を濁さず
絞った布巾は塊になった
瓶詰めの黒い豆たち
からんころんと寝そべる



飲み込むことばは選べない



おそよう は好きな造語だ
すっかり冷めてただ苦く
後味の悪い寝覚めを
わくわくさせる 宵の明星



反射が不得手な眼鏡の湾曲



終電を見送って数時間
誰もが走ろうとしない光景
所定の欄に住み込む
僕らは何かになれただろう



あーあ
あーあ



喚くカラスが漁らないゴミを手に、出くわした影に、首をふる
電灯の。瞬き。

人工灯

人工灯

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-16

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