ときめく恋はカフェオレの香り(番外編)

この話は、美香先輩と滑ちゃんの、、恋の話です。。よろしくお願いします。☆彡☆彡


漆原美香(うるしばらみか)は、今年の7月で44歳になる。
実家の母親から、宅配便が届いて、、中には「きゅうりの市販のつけもの、新品のパジャマ、紅茶のセット、、パウンドケーキ」などが詰まっていたのだ。

それを見て、美香は思わず溜息をついて、こう呟くのだった。

「こんなもの、こっちで買えるのに。わざわざ、遠くから・・」
そういって、年老いた母親の顔を思い浮かべた。
宅配便の中に、良く見ると一枚の封筒が入っていたのだ。
開けてみると・・。



「美香へ、
  お元気ですか。こちらは、あいかわらずです。
  そういえば、妹の萌香(もえか)のところに、3人目の子どもが
  できます。

  少しですが、彼氏さんと食べてくださいね。 母」

いつもだった・・。母親の手紙には、「彼氏と仲良く」と、いつも書いてあるのだ。。


直接、「結婚しろ!」とは言ってこないが、皮肉めいたことを言ってくる母が、まじで「うざい。。」と美香は思っていた。

5つ年下の妹は要領が良く、、美香が地元を離れると、数年して結婚したらしい。法事とかで、たまに会うと、
「お姉ちゃん、私はもう子どもが、可愛いくって。。。」と姪っ子を連れて話しかけてくる。


あんな小さかった萌香(もえか)が、3人の子持ちになるなんて複雑な心境の美香。



もう、地元を離れた時点で、美香は実家を捨てたつもりだったのだ。地方独特の地元感や、あまりにも慣れ慣れしい付き合いに嫌気がさして、、、今のマンションに、ひっそり一人暮らしをしている。



美香は、宅配便の箱を横に追いやると、、、


眠気覚ましに、、、、黒豆茶を、ホットにして飲んでみる。

『ふうーー。心が休まるわ、、一人で静かに過ごせるなんて贅沢ね、、私には、これが幸せなのよね』



ーー と、その時、携帯が急になったーーー


「久しぶり~! お、おれだよ、滑川だよ」

「あ、滑ちゃん、3週間ぶりね、どうしたの?」と、美香は明るく応える。
「う、うん、ちょっとご馳走するから、あの居酒屋で明日の7時に来てくれない・・?」


美香は、断る理由もなく行くと約束したのだった。

『滑ちゃん、、何かあったのかな? 急に、おごるなんて?」


40代同士の美香と、滑川の恋も相変わらず平行線であった。美香はある事情があり、滑川への想いを「自分でストップ」させているのである・・。
『私も、この年で家庭を持ちたい気持ちもあるけど、、』

美香も40代になり、実は、、家庭を持ちたかったのである。でも、過去のトラウマや自信が無いこともあり、、不安だらけ。


年下の結奈に、全部を話すのも恥ずかしいし、結婚相談所も、一度行ってみたが、、マッチングしなかった。
『一人が好き・・・って、ガードしてるけど寂しい時もあるよね。。』


残った黒豆茶で、せんべいをかじりながら美香はつぶやくのであった。



ーー 次の日の、居酒屋、7時であるーーー


滑川は、男として美香との関係をこのままでいい、とは思っていなかった。
『なんとかしたい、、けれど、、美香ちゃんって、他に好きなヤツとかいるのかな、」


滑川は、注文したハイボールを一気に飲み干す。そこへ、、ブルーのワンピースを着た美香がにこにこと近づいてきた。
「あら、滑ちゃん。先に飲んでたのね?久しぶりね」
美香は恋とか考えてなさそうで、滑川は思わずぷっと笑ってしまう。


美香は、「生ビール、、お願いね!あと、焼き鳥、冷ややっこ、スペシャルのピザ、。」
色気より、食い気の美香を見て、、、滑川は、なぜかほっとするのであった。いつものように、お互いの仕事の話や実家の話、、あと、結奈がカップルになったことなど2人は楽しそうに、歓談していたのだ。

滑川は、思わず最近はまっている「見合いのアプリ」を見せて、美香に言ってみたのだ。


「こ、この人だよ、、、1週間前に会ったんだけど、、韓国人のサクラでさ、、1万円くださいって言うんだぜ」
美香は、滑川の「はめられた話」が面白くてゲラゲラと笑いだした。


ピザをつまみながら、、「滑ちゃんも、そろそろ身を固めたら、、、?お母さんも心配してるでしょ」と、美香はアドバイスするのだった。それから、ふたりは2時間くらい居酒屋で時間を潰し、それぞれが帰途につくのであった。


ーー 蒼空くんのアパートで(結奈) ーーー


鈴原結奈(すずはらゆいな)は、蒼空くんと同棲を初めて、、、1ヵ月くらいたっていた。まだ、ドキドキしたり2人でいてもぎこちないが、やはり嬉しかったのである。


けれど、結奈はたまに、一緒にマンションで暮らしてた美香さんを思い出していたのだ。

『ああ、美香さんと滑川さんがどうなったのかな」
「あの、2人のことだからまだ告白してないよね、、」


リビングでポテトチップをつまみながら、、ぎごちない40代の先輩たちについてあれこれと考えてみる。今日は、夕方から蒼空くんはナイトバーの仕事に行っていて、ずっとひとりだったのである。とうとう、結奈は1人じゃ解決できないと思い、思わず親友の琴葉に相談することに決めたのだ。


琴葉は、恋愛経験が豊富で、、きっと、この40代のふたりについてもいろいろ思索してくれるだろう・・。


結奈の脳内で、男性心理に詳しい琴葉の顔が、思わず浮かんできたのだ。スマホから、元気そうな琴葉の声が聞こえてきた、



ーー 3日後ーー

公園で、結奈は友人の琴葉と待ち合わせをする。気の利く琴葉は、缶コーヒーをふたつ準備していて、琴葉にそっと渡した。


「ふーーん、それで、滑川さんっていう男性が、あまりイケてないのね?」

「まったく、女性の気持ちも分からないって鈍感な男よね・・?」
早速、琴葉は恋愛の達人らしく、滑ちゃんの性格を言い当てて、鋭く切り込むのであった。

「ええ、でも滑ちゃんも、いい人なんだよ、私もよく励ましてもらったし」と、思わずフォローをする結奈であった。
「そうね、これは、40代のふたりじゃ、らちがあかないから、私たちで応援することにしようよ。」
と、他人の恋なのに、とってもやる気まんまんの琴葉である。



なんと、琴葉は、まずは「滑ちゃんに会ってみたいけど」と言って、滑ちゃんを会社のカフェに呼び出すことに決めた。

結奈は、滑ちゃんに連絡して、、、証券会社のカフェに呼び出すことに成功したのであった。



~ 1週間後の、カフェ・・3時過ぎ 〜

「ご、ごめんね、遅れて。。」

滑川は、額の汗を古ぼけたハンカチでぬぐいながら、琴葉にそう言ったのだった。

琴葉と滑が会うのは、これで2回目である。最初は、、結奈の友人ということで、紹介されて3人で会ったのだった。今日は、琴葉から滑ちゃんを呼び出したのだ。


「こんにちは、滑川さん、暑いところ、どうもね」

琴葉は、滑川のためにアイスティをオーダーしてあり、早速、汗をかいている滑川に勧めたのだ。
早い話が・・・琴葉は、40代のふたり恋愛事情を聞いて、うまくいかないようなので、
なんとか応援したかったのである。



琴葉は、滑川に結奈から聞いていた、、美香先輩の気持ちを伝えてあげたのだ。

「ええ、??美香ちゃんが、、俺のことを好きだって?」

滑川は、自分でも、、カツサンドを頼んでいて、パクパク食べながら、、、びっくりしてたのだ。
「そ、そう、、私も、滑川さんの恋はうまく言ってほしいのよ」


琴葉も、かにピラフをスプーンですくって滑川に答えたのだ。そこで、琴葉は、「滑ちゃん、改造計画」をさっそく、提案する・・。


☆彡滑川さん~~ 改造計画。 ☆彡

1,ヘアを茶色にして、、、若返らせる。
2,服装を、ブルー系はおやじなのでピンク系にしてみる。

3,眼鏡をかけて、「美香ちゃん好み」のイケイケおやじにする。


琴葉が、寝ないで考えたこのプランの紙を滑川に見せると、、、滑川は、目を丸くしておどろいた。
「ええ・・俺って、このままでもかっこ良くないか?」



「これでも、20代のころは、ロン毛で、よくラブレターをもらったんだよ」
琴葉は、吹き出し、、ちょっとロン毛の滑川を想像してみる。
「う、うん、でも、ちょっとイメチェンしたほうが、美香さんもその気になると思わない?」


琴葉の提案を、受けることにして、、どの美容室に行くか、、なと、2人で相談を始めたのだ。


〜 それから1週間後 〜


いつもの居酒屋である。


結奈の隣には、、美香さん、そしてその向かいの席には、滑ちゃんと琴葉が座っていたのだ。

「ねえ、何か頼まない?えっと、私はカシスのチューハイと、ほっけ焼ね」

「えっと、私は、オレンジのチューハイと、ピザ、チキンの甘辛煮ね!

それから・・・エビサラダ、あとは焼き鳥も頼んじゃおっと。」

相変わらず、琴葉は元気な感じでメニューをオーダーする。一方、美香さんはずっと下を向き、滑ちゃんもビールも飲まずもじもじしていたのだ。滑ちゃんは、琴葉に手伝ってもらい「改造計画」をしたのだ、なんと茶髪になっていてピンクのポロシャツなど着ているではないか・・。


それを見た美香は、あまりにもいつもの滑ちゃんと違っているので、びっくりしてしまったらしい。

「ねえ、美香さん、滑川さん、イケメンになったでしょ?よく見てあげてよ、、」と、琴葉は美香に伝えるのだった。それから、4人でくだらない話(上司の悪口や、マンションの住人の老人のこと、琴葉の妹の話など・・、)、1時間くらい、話していた。


その居酒屋は、会社帰りの社員が多くていつも賑わっている、新人社員らしい、女性たちなどは、すぐに酔っぱらっていて紅潮した顔をしているし、40代くらいのおじさん達も、ビールで盛り上がっているようだ。


実は、結奈は居酒屋とかで盛り上がっている人たちを、何気なく観察するのが好きだったのだ・・。
昼間は、会社で図面とかパソコンに向かっている人なのに、、夜になると、カラオケをしたりお酒で盛り上がったり・・。裏の人間模様を見ているようで、面白いなあといつも感じている。

『この人たちも明日の朝になったら、また、すました顔で出勤しているんだろうなあ・・』



結奈は、ピザをつまみながら、含み笑いをするのであった・・。

いよいよ、滑川は美香さんに告白をするらしい。滑川は、目の滑にあったジョッキ杯を、ぐうっとの飲み干すと、美香さんに向かってこう言ったのだ。



「み、みかちゃん、、ちょっと話したいことがあって。」

そうすると、、気を利かした結奈は、、

「滑ちゃん、私たちは席をはずそうか・・?」
「い、いや。。。みんなが居てくれたほうがふんぎりがつくからね。」


「そ、それで、、話って、なになに??」と、琴葉は滑ちゃんを、冷やかしている。

「う、うーん、美香かちゃん、俺って、くたびれているいし実母もいてお荷物もあるけど。。」


そこまで言って、滑ちゃんは今度はお冷を飲みほして、、一気に話すのだ。


「ずっと、美香ちゃんのこと、、女性として意識してたんだ。俺の、、、彼女になってくれないかな・・?」


美香のほうは、、ずっと下を向いたまま、何か考えているようだった。



ーー 5分くらい後 ー


5分くらい、、4人の間に、、沈黙が流れていた。。

ようやく、美香さんは滑ちゃんのほうを見て、こう言ったのだった。


「ごめんね、お断りするわ、私って、もう年をとっちゃたし、、男性よりも、女の子と居るほうが楽しいのよね。」美香さんは、そういって焼き鳥をパクパクと食べ始めたのだ。


その後は、誰も美香さんを突っ込むこともなく、ぎこちない時間が流れ、、30分後に解散したのだった。
 

ーー 美香のマンションで ーー


結奈は、美香のマンションを訪ねていたのだ。目の前に 座っている美香先輩は、ちょっと落ち込んでいて、、年上だけど、5歳くらい年下に見えてくるのだ・・、


「うん、、美香さん、どう?体調は悪くないの?」
「ええ、だいじょうぶよ、それよりもお土産のケーキありがとうね」


美香は、そういって視線をケーキの箱に移すのであった。その表情は、痛々しくって結奈は見ていられなかったのだ。

「そういえば、、、この前のことだけど・・」

なんで断ったの? ほんとうに、美香先輩の本心だったのですか?」さらに、結奈は、こう言ってあげたのだ。


「今は、いいけど、、親が死んだら一人に、なっちゃうんじゃないですかねーー?」

それを聞いてか聞いてないのか、美香は、ケーキ皿に、ケーキを取り出していた。。モンブラン、苺のショートケーキ、チョコレートケーキ、木苺のババロア、、チーズスフレ、、抹茶のタルト、エクレアなどなど。


「あ、ちょっと、アッサムの紅茶を用意してくるわね」

美香は、立ち上がってしまい、結奈はあ然としてしまった。結奈は、ずっと美香にも幸せになってもらいたい、と願っていたのだ。

ずっと、一緒に暮らしていて、美香先輩は「全然、平気よ、」というけど、、「寂しそうな後ろ姿とか」見てられない気持ちになることも、あった。美香は、ぱくぱくとチーズスフレを食べ始めるが、すぐに泣き始めてしまう。

「ううえん、、だって滑ちゃん、、ずっと友人の立場だったから・・・。」

美香先輩の話によると「女性のほうが好き」ということも、本音らしいし、それに過去の恋愛のトラウマも、まだ心に残っているらしいのだ。。


結奈も、木苺のババロアを食べながら、ゆっくりアッサムテイーを飲む。

「えん、でも、なかなか、自分のことを好きって、言ってくれる男性って居ないと思うけど・・。考えてみてくださいよ」
「滑ちゃんって、けっこういい旦那になりそうですよね、、」


美香は、泣き止んで、また、チョコレートケーキを、やけ食いしていたのだ。



ーー 琴葉と滑ちゃん ーーー

落ち込んでいる滑川の脇で、琴葉はオレンジの缶ジュースを飲んでいた。。「おれ、やっぱり、ふられたよ、
 美香ちゃんって、あんまり、俺のこと好きでなかったんだなあ」

「ごめんね、、結奈からが、好意がある、、って聞いてたんだけどな、美香さんも、なんか、勝手すぎるわよね」と、琴葉。


包容力のある琴葉が、脇にして安心するのか、、滑川は、ぐったりした様子でつぶやくのだった。


「ううん、滑川さんよ、もうあきらめたら?私が、別の可愛い女の子を紹介するわよ」

恋愛達人の琴葉は、「見込みのない相手は、追わない」という持論をモットーにしていたのだ。
それに、滑川にも友情がわいていきて、なんとか幸せになってほしいと思ってたのだ。


「ね、、こんな子、どう・・?私の幼稚園にいるけど、彼氏募集してるみたいよ。」

そういって、琴葉が見せた写真には、ちょっぴりデブだけど、きれいな女性が写っていたのだ。

「この後輩の女性、、話好きで、、父兄にも人気があるの。滑川さんにピッタリだと思うなあ」

落ち込んでいる滑川を、なんとか説得して、3人で会う日時を、決めてしまう琴葉だったのだ。
一体、滑ちゃんの恋はどうなっていくのだろうか・・・?!


~ 蒼空くんのアパートで 〜


結奈は、蒼空くんが帰ってくるのを待っていた。

テーブルの上には、ポテトピザ、コーンサラダ、あとは蒼空くんの好物の刺身、そして、ウイスキーを入れるグラスが2人分・・。同棲して、早・・2ヶ月。。なんだか、好きな男性と一緒に住んでみると、堅苦しい気持ちもあったり、わずらわしい時もあることに気付く・・。


でも、蒼空くんが居なくても、、蒼空くんのワイシャツを一枚ほど、畳むと蒼空くんの香りがして、嬉しい気持ちになれたのだ。。



『ああ、蒼空くん、今日は遅いんだね。体を壊さないといいけどな」


一方、美香さんと滑ちゃんの恋の行方や、、、そして、琴葉の不倫のことも気になる。みんな不器用だけど好きな人がいて、、事情も違っているのだ。



ーー 蒼空くんの帰りが、あまりにも遅くって、つい、結奈は居眠りをしてしまうのだった。ーーー 

ときめく恋はカフェオレの香り(番外編)

ときめく恋はカフェオレの香り(番外編)

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-16

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