ときめく恋はカフェオレの香り チャプター12
鈴原結奈(すずはら ゆいな)は、また、笹原蒼空(ささはら そら)くんと付き合い始めた。
今度の蒼空くんは、積極的で「早く、結奈ちゃんと家庭を持ちたいな」とか言って、結奈の腰に手を回してくるのだ。結奈の胸は、ドキドキ・・。
『あ、、蒼空くんに次に体を求められたら、絶対・・OKしちゃうわ』
なんてことも、結奈は考えていたのだ。
漆原美香(うるしばら みか)先輩の家から、自分の家に戻った結奈である。出て行った頃は、妹の円香(まどか)と、顔を合わせる気持ちにならなかった。けれど、だんだんママと妹が心配になって、やっと自分の家に帰る気持ちになったのだ。
相変わらず、少女っぽいママ(でも、2人の娘のために手料理を作ってくれる)と、しっかりしてそうだけど、ちょっと心配な妹の円香(まどか)。前の彼氏である、南川達郎(みなみかわたつろう)くんのことで略奪されそうになり、いろいろ問題があったけど、円香(まどか)はすっかり忘れたのか、「お姉ちゃんが帰ってきて、良かったわ」と、おべっかを言っている。
ーー そうそう、ママが習いものの先生に、恋をした話はどうなったのか?!ーー
なんでも妹の話によると、積極的なママは手作りのチョコマフィンを、先生(実は、ギターの先生だった。・・ママは、体験で2回だけ参加したのだ)に、プレゼントしたらしい。。
そこまでは良かったが、ママが
「先生、私、、、男性として、先生のことが好きなんです、、!」
「ちょっと、、だいぶ年上だけど、デートしてくれませんか??」
と、誘ったら、ギターの30代の先生は飲んでたお茶を吹き出したそうだ。
「あ、ぼく、来春、婚約者と結婚するんですよ‥ 。彼女のお腹には、赤ちゃんもいるんです。。すみません」
ここまで、円香(まどか)の話を聞いてゲラゲラと笑いだした結奈だった。
「ああ、ママも積極的ね。でも、赤ちゃんには負けるわね」
ーー 1週間後ーー
今日は、蒼空くんが我が家にやってくる日だった。前に付き合った時は「家に行くなんて恥ずかしいよ」と、来てくれなかった蒼空くんだった。けれど、「結奈ちゃんの大切な、家族だものな」と来てくれるのだ。
最近、蒼空くんはナイトバーで給料が入ったから、と言ってサプライズの花束を渡してくれたり、映画に誘ってくれたり、結奈にときめきを与えてくれるのだ。いつも、蒼空くんと会う時は最後に手を握って別れるけど・・
蒼空くんの手は、「ぷっくり」していて、それていて「男性的な大きさ」で、結奈に安心感をくれる・・。
『ママも、ずっとパパと会えなくって寂しいのかな』とママが心配になる。
~~ 午後2時 蒼空君が玄関に到着 ーー
蒼空くんは、「おみやげ」と言って海鮮市場で買ってきた「刺身の盛り合わせ」を持ってきてくれた。
「わあ、刺身なんて久しぶりだわ。はじめまして!蒼空さん、妹の円香(まどか)です」
妹は、愛想笑いなのかとびきりのスマイルで、蒼空くんにあいさつしている。
一方、ママはあまりにも蒼空くんがイケメンなので、頬が紅潮しているのが分かる。
それから、3時間あまり、4人でおしゃべりをしたり蒼空くんの弟の話を聞いたり、楽しい時間を過ごした。初めて、家に来たのに蒼空くんは「オレが、サラダも作りますよ」とか、キッチンに立ってくれる。まあ、ナイトバーでまかないもやっているので調理はお得意だものね!
蒼空くんが、キッチンに立つとママが「あ、蒼空さん、私がやりますよ」と後を追っていった。 ママは、蒼空くんの腕をつかんで、まな板を取り返そうとしているのだ。 『こんなふうに、未来に蒼空くんがキッチンに居るといいのにな』と、結奈は勝手に想像して楽しくなっていた。
その時、妹の円香(まどか)が急に耳打ちしてくる。
「ねえ、ママって様子がおかしくない・・??」そう言って、2人のことを指差しているのだ。未来の想像をして、ひとりでにんまりしていた結奈だったが、ママと蒼空くんのほうを見ると・・・・焦ってしまう。
「この、レタスは切るよりもちぎったほうがいいですよ」と、蒼空くん。
その脇で、、まるで女子高生みたいに、
「わあ、すごくおいしそうね。蒼空くんて、教え方が上手ね」と、
蒼空くんに、べたべたしているママがいるのだ。。こころなしか、ママの表情を観察していると、、
好きな先輩の前に居る、「恋する女子高生」のように輝いているではないか・・?!
ーー 結奈の脳内に、妹の円香(まどか)に、、
達郎さんを略奪された記憶が、戻っていたのだーー
『え、えーーん、次は、ママがこんなふうに なるなんて。。。?!』
まあ、女性に人気がある蒼空くんは、どこふく風で適当にママをあしらっている様子であるが・・。結奈の心は、「また、何か厄介な問題が起きなきゃいいけど」と、不安の雲でいっぱいになったのだった。
ーー 1ヵ月後ーー
何もなくて、平和な日々が続いていた。
蒼空くんは、「ナイトバーの収入だけでは足りないや」と言って、すき間時間に違う
バイトを始めたらしい。 そんな蒼空くんを思いやって、結奈も連絡を控えていたのだ。
結奈も、勤務している証券会社の仕事が忙しくて、毎日、残業でひとりでゆっくりしたかったのだ。『蒼空くんも忙しそうだし、恋愛はしばらくお休みにしましょう。」、そういって、夜の10時過ぎ、、、結奈は、ビールを飲んでベッドになだれ込む・・。
ーー ママ(鈴原加奈子)の作戦 ーー
結奈のママ、名前は鈴原加奈子(52歳)・・12章にして、始めて、フルネームが登場するのである。が。・・。
加奈子は、今、迷っていた。初めて、娘の彼氏である笹原蒼空くんに会った時に、なぜか20年以上前、結婚前に夫の他に付き合っていた彼氏に、そっくりだったのである。さすが、遺伝というか、、結奈とママで、似たようなタイプの男性に恋をしていたのである。
『この人を、年下の彼氏にしたらどんな感じかしら??』
単身赴任の旦那がいるくせに、すぐに若い男性を意識するのが、加奈子の特徴であった。その理由として、、加奈子は若い時から、モテ系の女性で自信が有ったのである。天真爛漫な上に、顔もアイドル系で明るい性格。
今だに、ヘアサロンに行くと、、30代の男性から褒められたりしていたのだ。
「加奈さんといると、明るくて楽しいな」と、何度、周囲の男性から言われたことだろう・・、
単身赴任の旦那は、もちろん大切だったがもうトキメキも無く、家族としての愛情しか残ってなかった。
加奈子は、いつも思っていた・・。
『私はまだ女性だわ、若い時に男性にちやほやされたらか、まだ恋人くらい隠れて付き合っても許されるわ」・・・と、
そこに、ドンピシャに登場したのが娘の彼氏である蒼空くんだったのだ。蒼空くんは、弟がいて優しいし、それに加奈子にも女性慣れしているので、料理を教えてくれてなんて紳士的な若者なのだろう・・。
結奈には悪いけど、、熟女の私のほうがお似合いだわ、、、
なんせ、笹原蒼空君って女性慣れしているし、、恋愛経験が多そうだもの。。モテ系の、好都合の男性に違いないわ、
加奈子は、、、娘から聞き出した蒼空君の携帯に連絡を始めた。
「は、はい・・?蒼空ですが。。ああ、結奈ちゃんのママね!」
「ええ、実は頼みことがあって、、」
そういうと、加奈子は弱々しい声で、単身赴任の旦那にプレゼントを送りたいから、男性の蒼空くんに選んでほしい、、、と頼んだのた。ちゃっかり、2人で会う日時を決めて、、、蒼空君とのデートを約束する加奈子・・・。さすが、若い時に、たくさんの男性を転がしただけあって、恋愛が上手なのであった。
その週末・・土曜日である。
50代には見えない加奈子は、黒のニットドレスを着て赤いバッグを持ち、待ち合わせ場所に現れた。
どこから見ても、40代前半のマダムにしか見えない。
『今日は蒼空くんと、楽しむつもり・・。うまくいったらキスでもしちゃおうかな。』
すっかり、娘や旦那のことは忘れてイケメンの蒼空くんのことばかり考えているのだ。そこへ、蒼空くんは戸惑いながらも表れて、、「旦那のプレゼント選び」というのにだまされて、可哀そうな結奈ママを助けるつもりで、やって来たのである。
それから、蒼空くんの助けを借りて加奈子はおいしいお蕎麦とお茶をセレクトした。お礼に、蒼空くんに、レストランでランチをご馳走してあげる。でも、加奈子の狙いはそんなことじゃなくって、蒼空くんと親交を深めることなので、、、ここからが大切であった。
「ねえ、蒼空くん、ありがとうね。この後だけどちょっと公園でも歩かない??」
加奈子は、公園にさそって手をつないだり、あわよくばもっと接近するつもりであった。いやはや50代で、ふたりの娘がいるとは思えない熟女の作戦である。何も知らない蒼空くんは、、
『これから、結奈ちゃんとずっと付き合うから、、ママとも仲良くなっておかなくちゃ・・。ここで、逆らっても・・」
とちょっと迷ったが、おとなしく公園に行ってくれたのだ。
ーー 昼間だけど、静かな公園の中でーーーー
加奈子は、さっきから転んだふりをして、さっと蒼空くんの手を握ってしまったのだ・・。びっくりした蒼空くんだが、「たぶん、転んでびっくりしたのかな?」と不思議にも思わず、そのまま結奈ママの手を握ってあげていた。
加奈子は、どんどん欲求がエスカレートして、今度は、蒼空くんの耳元でこうつぶやいたのだ。
「ねえ、蒼空くん、結奈のことが心配だわ」
「結奈ってちょっと奥手でしょ・・?」
蒼空くんも戸惑う。
「ええ、そこが可愛いんですよね。」
「でもね、、私で練習してみない・・?
このあと、ちょっと休憩できるところへ、行ってみない?」と
どんどん誘ってくる加奈子なのであった。
蒼空くんは、聞こえなかったふりをして結奈ママから離れようとする。焦った加奈子は、、とっさに後ろから蒼空君をハグしはじめたのだった。
「え、ええ、、あばさん、どうしたの・・?」とびっくりする蒼空君。
一方の加奈子は、何も言わず、、ずっと蒼空くんを後ろから抱きしめていた。
「え、ええ、ちょっと、このままでお願いできる??旦那も単身赴任だし、、、娘のことで悩みもあるの。私だって、誰かに頼りたくなる時もあるのよ、、」
加奈子は、か細い声で、、、蒼空くんに泣きついていたのだ。(これが演技だとは、蒼空くんでも気が付なかった。)けれど、蒼空君の頭の中には、、いつも笑っている結奈の顔が、ふと浮かんできたのだ。
「いけない、、まずい。結奈ちゃんに、ばれたら・・」
「おばさん、俺、帰りますね、急用を思いだして。。」
蒼空くんはそう言って、加奈子を引き離してきびすを返して、、走って逃げてしまったのだ・・・。
残された加奈子だったが。帰っていた蒼空君の後ろ姿を、じっと見つめていたのだった。
ときめく恋はカフェオレの香り チャプター12