Howling‐1

初心者ゆえ、至らぬ事もあるかと存じますが大目に読んで頂ければ幸いです🙌

夜になると聞こえる“遠吠え”。
でもそれは本当に存在する音なのか分からない。
学校でうまく馴染めない主人公・遥は、いつしか 周囲の些細な言葉や態度を「遠吠え」として受け取るようになる。
「この人も本当は苦しいんじゃないか」 「誰も気づいてないだけで、みんな叫んでるんじゃないか」
でもそれは “優しさ”なのか、“思い込み”なのか分からないんだ―。

気付いたら、カーテンの隙間から差し込む光が、朝を押しつけてきた。
スマホのアラームは、もうとっくに鳴り終わっている。
生きたまま死んでいるような僕は、
今夜も生き延びたと言う事実に、安堵と絶望を覚えた。
制服に袖を通し、重い鞄を背負う。
慣れたはずのその行動も、日に日に夢のように現実味を無くしていく。
今日も、牢獄のような学校へと続く波に逆らえずに呑まれて行くんだ―。
見慣れた街。自分の身を隠している物とは別に見える物をまとった同級生達が通り過ぎていく。
今日も、気づかれなかったな。
遥はただ一人別の学校へと通ってるようだった。

その日の夜。
制服のまま部屋の電気を消して、ベッドに横になる。
静かすぎる夜の中で―
どこからか、声がした気がした。
犬の遠吠え、みたいな。
犬、か?
でも、少しだけ違う。
まるで、
誰かが言葉を飲み込んだまま叫んでいるような音だった。
僕は、誰かの“遠吠え”に気づいても、絶対に振り向かない。
そう決めて居るんだ―。
助けない。関わらない。
それが正しいと信じている。
いや、そうしないと僕がもたないから。

その遠吠えも、もう聞き慣れていたはずだった。
「―もう、嫌だ」
不意に、すぐそばで囁かれた気がした。
目が覚める。
心臓だけが、やけに遅れて跳ねた。
今のは、遠吠えじゃない。
もっと近くて、
もっとはっきりしていて、
まるで——
自分の頭の内側に、直接落ちてきたみたいな声だった。
息を潜めて、耳を澄ます。
けれど、もう何も聞こえない。
ただ、さっきの一言だけが、
消え残ったみたいに頭の奥に引っかかっている。
……考えたくなかった。
目を閉じる。
意識だけを手放すみたいにして、
遥はゆっくりと、眠りの底へ沈んでいった。
あの声が、誰のものだったのかは考えないまま。

Howling‐1

Howling‐1

負け犬の遠吠え。 負けてなくとも、僕達はそうしてしまうんだ―。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-05-03

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