zoku勇者 マザー2編・16
フォーサイド編・2
ジャミル達はホテルへと戻った。……しかしその足取りは重く……。
せめて、今日一日ぐらい、楽しく過ごそうと思っていたトリオだが、
あんな悲惨な現場を見てしまった後で、又気分が落ち込んで
しまったのであった。アイシャもアルベルトも……、押し黙って
しまう……。
「元気出そうや、大丈夫だよ、あのおっさんの事だし、又
その内ひょっこり顔出すって!なあ!」
「……そうね、そうよね、大丈夫よ……、ね……」
ジャミルは特にアイシャの精神面の方を心配していた……。
流石にあの状態ではもう希望が無いのは分かっていたが、
こうでも言ってアイシャを元気付けるより他はないのであった。
「よし、出発すっか、目指すはトンズラブラザーズの
いるトポロ劇場だ!」
……きっと、奇跡が起きて、トンチキは又、皆の前に
変な格好で急に姿を現す。今はそう願う事しか出来ないが、
トンチキの無事を祈り、トリオはホテルを後にし、
トンズラブラザーズが滞在しているトポロ劇場へと歩き出した。
「この街……、恐竜博物館もあるみたいだね、ねえ……、
ねえ……?」
「……」
ちょっとアルベルトが顔を赤くし……、もじもじジャミルの
顔を見る。もはや、アルベルトはバンド演奏よりも、そちらの
方に興味が有る様であった。
「……先にトンズラの処行ってからだよ、それから考えてやる……、
俺はあまりお勉強的なモンは観たくねえけど……」
「うん、……考えておいてくれる……?」
「わ、私もっ、……お店でお洋服みたいの……」
「分ったよ、何につけても先にトンズラだ、トンズラ……」
「♪うん!」
アイシャもジャミルにおねだりし、この後の都会探索コースも
決まりつつあった。そして、漸く目的地のトポロ劇場へと到着する。
「ようこそ、チケットは30ドルです……」
「ん……」
売り場でチケット代金を支払って、チケットを受け取り、中に入り、
次は受付へと進む。
「お客様、チケットを拝見いたします、……折角、チケット
買って貰ったんですけどね、今夜のステージ、中止になって
しまいまして……」
「んあ!?……な、何ですと!?んじゃ、金払う前に
言えっての!」
「いえ、……いつか、騒がしい少年、ジャミルさん達が
来られたら、知人の彼らだけは通しておいてくれと、
トンズラさん達がおっしゃっていたので……」
「……あんた、俺らの顔見るのは初めての筈だけど、
何で俺がジャミルだって分る?」
「聞いております、赤い野球帽に、黄色いリュック、
お連れ様に赤いリボンのお団子ヘアの愛い赤毛の女の子、
……ですよね?それに、充分騒がしいじゃないですか」
「やだ、可愛いだなんて、トンズラさん達ったら……、
きゃ……」
「プ……、狂暴も付け加えとけよ……」
吹きだしたジャミルの頭部を殴るアイシャ……。
「あの、僕も新しく仲間に加わりました、アルベルトです……」
「ハア、わ、分りました……、でも、これであなた方が
ジャミルさんご一行というのは
完全に確認が取れましたね……」
「で、でも……、何で今日に限って中止なんだよ、
……楽しみにしてたんだけど……」
「まあ、理由は本人達からお伺いして下さい、……待機中は
ず~っと楽屋におりますので……」
「ず、ずっと……???」
……ずっとという言葉が引っ掛かり、何だか嫌な予感が
したが……、トリオはそのままトンズラブラザーズが
待機している楽屋へと向かった。
「おーい!」
ジャミルが勢いよく、楽屋のドアを開けると確かに懐かしい
トンズラブラザーズの群れが待機していた……。
「なんや……?お、おお、おおおおお!アイシャちゃんと、
ジャミルやないか!」
「ちーす!お久!……って、俺、2番手かい、まあいいけどさ……」
「えへへ!トンズラさん達、お久しぶりです、私たち、等々
フォーサイドまで来ちゃった!」
「変わりないなあ、ホンマに……」
ラッキー、抜け目なくアイシャの手を握り、ブンブン
振り振り握手する。
「おや?一人、新入りさんがおるのう……」
広島なまりのグルービーがアルベルトに近寄って行く。
「は、初めまして、僕はアルベルトです……」
「俺らのダチだよ、一緒に旅してくれる事になったのさ」
「そうかそうか、又、賑やかになってよかったのう!のう!」
「は、ははは……、宜しくお願いします……」
「♪相変わらず、……働いてるのにおかねない~、
とほほのほ~、でも元気さ~」
「オレも相変わらずの目立たない存在だけど……、君達も
元気そうで良かったよ……」
ゴージャスとオーケー、この二人も相変わらずである。
「ところでさ、何で今日のステージ中止なんだ?マジで
楽しみにしてたのによ……、ん?」
何となく、ジャミルが違和感を感じたのか……、此処にいる
トンズラのメンバーを見回した……。
「足りなくね?……後、一人……」
言われてみると、確かに一人足りないのである。演奏時
以外絶対に姿を現さない謎の6人目の男、キーボーを除いて。
「ナイスか……、実はの、奴はな……」
「や、やっぱりっ!何かあったのかっ!?」
「……!!」
アイシャも心配してメンバーに駆け寄る……。どうやら
ナイスがこの場にいない事と、ステージが中止になったのは、
どうやら関係があるらしかった。
「インフルや……」
「はああ!?」
「いや、だから……、インフルエンザB型……、どうもファンの
奴からサイン強請られたときに感染したらしゅーての、今、
ホスピタルで治るまで隔離されとるわい……、急にぶっ倒れての、
……わてらアカン、どうもアカン、……タミフルアカン、カッカッカ、
(笑い声)……言うて、タンカで運び込まれてったわ」
「……何だ、びっくりした……、俺はまた、不慮の事故で他界……」
「ジャミルっ!!」
「冗談だっての、んなに怒るなよ……」
「怒るわよっ!!失礼でしょっ!!」
「相変わらずお前らも面白い奴らじゃのう……」
グルービーがじゃれ合うジャミルとアイシャを見て苦笑する。
「しかし、今回はホンマ、アカンかも知れん……、ナイスは
急病、これでは碌に仕事も出来ん、んでもって、まーた、
此処から動けん様になってしもうたしのう……」
「……はあ」
「動けん様になったって、まさかとは思うケド、アンタらまさか又……」
「……エネルギーが切れてしもてな……、ちゅーのは冗談や……」
トンズラ達はジャミルに聞かれると、それきり困った様に
黙ってしまった。その様子を見て、何があったのかすぐ
理解出来た。
「……アイシャ、アル、行こう、此処の支配人の処へよ!」
「ええ!」
「僕は始めてだから、詳しい事情は分からないけれど、
い、行くよ……」
トリオは一旦楽屋を出るとすぐにトポロ劇場の支配人の
部屋へと向かった。
「♪はあ~いん、ぼくちゃんたちぃ~、何か御用かなあ~?」
今度の支配人は眼鏡の女性であった。しかし、今度もどうにも
こうにも又良くない様な性質の感じの女である。
いかにもな、金に目が無く、がめつい様な。
「あのさ、……トンズラブラザーズは……、どうして此処から
動けないんだ?」
「なあに?あなた達、トン・ブラのファンなの?だーめよぉ、
だめだめ!このバンドはウチに100万ドルの借金を
してるんだから!契約を破ったらおまわりさんにコラッて
お仕置きされちゃうのよ!……それとも、ぼくちゃん達が
100万ドル立て替えてあげるのお?まあ、無理よねえ!
彼らが此処を出られるようになるには、埋蔵金でも
掘り当てなきゃ駄目ね!ほほほほほほ!おほほおほほ!
おーーっほっほっほお!……無理な話ね!」
「チッ、やっぱり……、そう言う事かよ……、しかも借金の額が
パワーアップしてんじゃねえか……」
女支配人はジャミル達を見て、小馬鹿にした様にベラベラ
喋り高笑いする……。
「ジャミル……」
「見てろ、畜生め……、又一旦楽屋に戻ろうや……」
トリオは又小走りにトンズラのいる楽屋に急いで戻る。
全くもって、あっちいってこっちいってと、おつかい
アリさんの様に、常に休む事を許されないのであった。
「……わしら、又偽の契約書で縛られてしもうてな、此処から
出られん様になっとって困っとるんや……」
「おっさん達、もうちょい注意力働かせろっての、
マジでお人好しにも程があんぞ……」
「面目ないのう、けど、ええんじゃ、わしらもう、
一生を此処で費やすと決めたんじゃ、のう、皆……」
「おーい……」
ラッキーがメンバーに呼び掛けると、他のメンバーも
力なく頷く……。皆、もうヤケクソでいじけている様に
見えなくもない。
「それにしても、埋蔵金並みの借金金額かよ……、
ちっ、マジで汚ねえな、手も足も出……」
そう言い掛け……、ジャミルははっとしてアイシャと
アルベルトと顔を見合わせた……。
「ショージ・モッチーさんだよ、ジャミルっ!」
「戻ってみましょ、ドコドコ砂漠に……!!」
「ああ!」
「なんや?いやに楽しそうやなあ……」
「おっさん達、俺らちょっと用があってドコドコ砂漠に
行って来るわ!」
「ん~?……砂漠かあ……?何でまた、お前ら物好きやのう……」
あんたらの為に行くんだよっ!と、ジャミルは言いそうになるが、
びっくりさせようと思って黙っている事にした。
「いいんだよ、おっさん達はちゃんと次のステージの準備に
備えとけよ、じゃな!カッカッカのおっさんがいつでも
戻って来れるようにさ!」
「……」
トリオはいそいそと楽屋を出て行く。その様子をあんぐりと
見ているトンズラ達。
「はあー、若いってええんじゃのう、わしにもあんな頃が
あったんじゃのう……」
「まさか、又あの子らが……、おれ達を助けてくれるとか……、
んなワケないよね……」
「♪ゆ・め、みすぎ~!」
「……はああああ~……」
トンズラ達は揃って又、大きなタメ息をつくのであった……。
そして、ジャミル達は再びバスに乗って、ドコドコ砂漠方面へ……。
トリオが再び埋蔵金発掘本部に戻った時点でエライ事に
なっていた。現場にはショベルカーが出動し、周りには
沢山の人達と、前よりも更に掘った穴が拡大していた。
……が。
「おっさんっ!」
「おお、お前らか、みろこの穴!おれが此処まで掘ったんだぞ!
凄いだろう!」
「凄いな……、で、成果はどうだい?どうにかなりそうか?」
「それがよう、ここんとこまでおれが穴掘ってきて、
楽ショーだったんだがね、途中で迷路をみっけてよう、
でけえモグラが5匹……邪魔して先に進めなくなっちまった……
……バケモンさえのしちまえば、もっと先に進めるんだいね、
はあ、おらあ、胃がいていよぉ」
ショージはそう言いながら、ジャミル達の方を見て、
ちらっ、ちらっ……。
「モグラかよ……、あーもう、しゃーねえなあー、アイシャ、
アル、行こう!」
ジャミルの言葉に二人も頷いた。
「わりいなあ、……頼もしいお子様達、頼りにしてんぜえ!」
穴に入って行こうとするトリオを見ていたヤジが
心配しだした……。
「な、何!?君達、この穴に入るの?止めときなよ……」
「それでもいかなきゃなんねーの!」
「何という無謀なお子様達だ、気を付けてね……」
「あ、中に入るなら色々買って行ってね、喉も乾くでしょ、
アイスもあるよ!」
ちゃっかり出張して来た商売上手な店員がドロドロに
溶け掛かったアイスキャンディーを差し出した……。
「いらねえ……、こんな砂漠で売るな……、それよりも
他のモン買っておくか……」
それ以外の必要な物を買い込んでおき、中に入る準備をした。
「信じようが信じまいが私はヒーラー……、何時でも
此処におりますのでどうぞいつでも安心して倒れて下さい……」
「ちゃっかりしてんなあ、たく……」
ちゃっかりし過ぎの皆様方に呆れつつ、穴の内部へと入る。
中に入るとネズミの親子がいた。
「私は穴抜けネズミの母親です、どうぞ一匹連れて
行って下さいませ、出口にすぐ出たい時にウチの子が
誘導致しますわ」
「ぼくも連れて行って欲しいよう…」
「んじゃ、世話になるかね……」
「丈夫な子ですから、グッズ扱いして頂いて結構です」
穴抜けネズミの子を一匹借りると、トリオは洞窟の奥へと
進んで行った。
「……しかし、広そうだなあ、見てるだけで嫌になってくるぜ……」
「頑張りましょっ!トンズラさん達を助ける為でもあるんだもの!」
「ふう~…」
先に進もうとすると……、一瞬、ドーナツの怪物の様にも
見えたが、綱に目玉が付いている変な敵が現れた。
ツナマンである。名前だけ聞けば何だか美味しそうな
イメージなのだが。
「お?」
ツナマンは縄をにょろにょろ伸ばすとジャミル達3人を
拘束して動けなくしそのままひょいと持ち上げ……、
身体ごと地面に思い切り叩き付けた。
「な、何しやがるっ!?」
「……やだ、もうこのパターンっ!えっちっ!放しなさいよっ!!」
「うっ、くっ……!」
「♪~」
「ちょっ、ちょっ!やめれっ!!」
ツナマン達は……、楽しそうに集団でジャミル達を
担ぎ上げて持ち上げると……、何処かに運んで行こうと
する……。
「やだやだやだあーーっ!!」
「も、もしかしたら……、僕らをこの穴にいる怪物の処まで……、
運んで行こうと……、うわわわっ!!」
アルベルトが言い終わらない内に……、トリオは何処かに
通じているらしき穴にほおり込まれるのであった……。
「……あ~れ~ええええええええ!!……いでっ!!」
縛られた状態のまま、ジャミルが周囲を見回した
今の処、ほおり込まれた穴は敵の気配はないが……。
「お前ら、平気か……?」
「大丈夫よ、それよりこの縄、どうにか何とかならないかしら……」
「かなりきつく縛られてるね……、どうやっても解けないよ……」
「なろお~……、冗談じゃねえってんだよっ!!」
どうにかして自分達を拘束している縄を解こうと、
ジャミルがもがいて奮戦してみるが、どうにもならず……。
「ちゅう~!」
と、ジャミルのリュックの中から、さっき借りた
穴抜けネズミが顔を出した。
「お兄さん達、何だかたいへんみたいですね、何かぼくに
出来る事はありますか?」
「助かったっ!こ、この縄、どうにか解けねえか……?」
「おまかせあれ!ちゅう~!」
穴抜けネズミはすぐにジャミル達の背後に回ると拘束している
縄を鋭い歯で齧り始めた。子ネズミとは言っても、やはり
歯の鋭さは立派であった。どうにかジャミル達は縄から
解放された。
「助かったよ、本当に……、んじゃ、わりいけど、あぶねえから、
又リュックに入っててくれな」
「ちゅうー!」
穴抜けネズミは了解すると再びジャミルのリュックへと戻った。
「たく、あの糞縄共め!今度会ったら只じゃおかねえ!」
「……ジャミル、何か来るわ!凄く大きい……」
「え?え?え?」
「モ、モグラだっ!!」
暗闇から足音がし、……巨大なモグラが近づいてきた。
ショージが言っていた、発掘の邪魔をしている穴の主で
あろう。
「へえー、ブチ込んでくれた先が、主の処だったのか、
丁度いいや!」
頷き、アイシャとアルベルトも身構える……。
「おれはこの穴のヌシだ、この穴には5人のヌシがいる、
5人と言ってもモグラだからな、性格には5匹だ、
おれはその内で3番目に強い、どこからでも掛かって来い!」
「……リリパットステップの、№3巨大モグラの系統かな……」
「かも知れないわね……」
「???」
「……待て!おれが3番目に強い穴のヌシだ、勝負してやる!!」
別のモグラが現れ……、ジャミル達は困惑する……。
「待て待て待て!」
「……」
「おれは2番目のヌシよりは弱いが、4番目には強い!
おれの腕を試してみるか?来い!」
更に、又別のモグラが現れる……。
「何が何だかわかんねーんだけど……、何でそんなに3番目に
こだわるん???」
「待てーーっ!おれこそが正真正銘のナンバー3のこの穴のヌシだ、
本物の中ぐらいの強さをみせてやる!!」
「ちょ……」
「待て待てーーっ!」
「ま、又……」
等々、5匹目も出現した模様……。
「ふっふっふ、お前達は……、一番強いこの穴のヌシと、
2番目に強いこの穴のヌシと……、4番目に強いこの穴の
ヌシと……、一番弱いこの穴のヌシと……、今、目の前で顔を
揃えている訳だ、ふふふ、しかし、おれが、おれが……、
真の3番目に強いこの穴のヌシなのだ!」
「ええええーーーっ!?」
……一体何故そんなに3番目に拘るのか……、ジャミル達は
訳が分らず混乱するが今この場で、この穴に5匹いるという、
巨大モグラに一同囲まれてしまったという事実は間違い
ないのであった……。
「……い、一気に5匹投入とか……、幾ら何でも意地悪だわ、
厳しすぎるわよう……、この話書いてる人……、もう~、
一体何考えてるの……」
「諦めんな!何とかやってみるんだ、……俺ら、そうやって
何度も何度も立ち向かって来たんだかんな……」
「そうだよ、アイシャ、3人で力を併せよう!」
珍しく気弱になるアイシャをジャミルとアルベルトが励ます。
アイシャは少し元気になった様であった。
「分ったわ!私、全力で頑張るから二人も支えてね!」
「よしっ!」
「ああ!」
しかし、……折角トリオが結束を高め始めた横で…。
「おい、さっきから気に食わねえぞ……、3番目は俺だぞ……」
「何を言うか!3番目は俺様だっ!」
「うるさいぞ!俺だっ!」
「いいや、俺だね!」
「俺だぞっ!!……雑魚の癖に何を言うか!!」
「あの……」
……穴のヌシが一体誰が3番目かで揉めはじめ……、遂に
ケンカまで発展した様であった。皆、同じ外見の為、
もはや誰がどのモグラか分からなくなっていた……。
「はあ、この間にシメちまうか……、たく!」
「おい、貴様ら!」
「は、はいいー!?」
急に喧嘩がぴたっと止まったかと思いきや……、穴のヌシ5匹が
一斉にトリオの方を見る……。
「俺達は結論を出した、それは……、真のナンバー3は、
誰が一番最初に貴様らを倒したかで決まるのだ!!」
「そう言う事だ、大人しく倒されて貰おう!」
「ナンバー3獲得の座はこの俺様だっ!」
「いいや、この俺だっ!!」
「しつこいぞ!俺だと言っているんだ!」
「結局、最初からそうすりゃいいだろ……、まあ、
これで俺らもやっとバトルに入れるっつーこった、
行くぞ、アイシャ、アル!!」
「了解!!(ラジャー!!)」
二人が頷くと、穴のヌシが一斉にトリオに飛び掛かってくる。
「PKファイアーβ乱れうちっ!!」
「ペンシルロケット大放出!!」
アイシャのPKファイアーβが穴のヌシ達に一斉に襲い掛かり
ヌシ達はあっという間に炎に包まれる。アイシャのPK連打で
モグラ達に最初から掛かっているシールドの効果も消えた頃に
丁度買いだめしておいたペンシルロケットも大活躍であった。
ヌシもあっという間に数が消え、残り2匹だけとなる。
「はあ、大分PP使っちゃったけど……、後はジャミル、大丈夫?」
「おう、任せとけ!残りは俺がやるからよ!」
「俺様は消えないぞっ!ナンバー3はこの俺様なのだっ!」
「ま、まだ言うか……」
「ジャミルっ、危ないっ!!」
残った2匹のうち、一匹がジャミルに襲い掛かろうとするが、アルベルトが
残っていたペンシルロケットの最後の一発を発砲した。
ヌシはその場に崩れ落ち、等々最後の一匹だけとなる……。
「僕の方も……、これでペンシルロケットが終わってしまったけれど……」
「大丈夫だ、俺もいいとこ見せなくちゃな!アイシャを頼むな、アル!」
「分った、気を付けて!」
疲れ切ったアイシャを支えアルベルトが後ろに下がらせ、
ジャミルが前面に出た。残ったヌシと最後の対決である。
「ふふふ、俺様が最後に残った……、と、いう事は……、
この俺様こそがこの穴で最強のナンバー3だったと
言う事だっ!ふふふ、ふふふふ!」
……どうやら、彼こそが最強のナンバー3になったと
言う事で……、生き残ったヌシがほくそ笑んでいる……。
「もしもし……?」
「ふふふ、ふふ、ふふふふ!」
もはや、戦いよりも、ナンバー3の座を獲得したのが
嬉しいらしく、ジャミルの方など見向きもしない。
「あのなー!人の話聞けっつんだよっ!!」
「おお、そうか!邪魔者を忘れていたな、悪かったな!
貴様を倒し、この穴を支配する俺様がナンバー3の座に
輝くのだ!!」
「マジで本当にナンバー3に拘る理由も聞いてみたい気も
するけど、時間の無駄だしな、……行くぞっ!!」
「掛かって来いっ!♪ああん、俺の親父わああん~、
ナンバー3、ナンバー3!」
「……訳わかんねえ古いネタ引っ張って来んなよ!
……誰も分かんねえっつーの!!」
両者、一斉に飛び掛かり、最後の穴のヌシが鋭い爪攻撃を
ジャミルに噛ます、……ジャミルの頬から血が伝い流れ出た。
「っつ~……」
ジャミルが流れ出る血を抑えながら穴のヌシを睨む。
勝ち誇った様にヌシは飛び跳ねている。
「ジャミルっ!……アル、やっぱり私も加勢に!」
「駄目だよ、アイシャ、無理しちゃ駄目だ!君はもう今日
充分頑張ったんだから、これ以上無理したら又ジャミルに
怒られてしまうよ!!」
「アル、分ったわ……、ジャミルを信じる……」
「うん……」
アルベルトに諭され、アイシャは静かにジャミルの勝利を祈る……。
「……んなろお~、こっちだって決して暇じゃねえんだかんな、
とっととケリつけたらあ!!」
「望むところだっ!!」
ジャミルがバットの先を最後の穴のヌシに付き付けた。
両者、再び互いに睨み合った。
(けど、奴はシールド張ってっから……、物理はやっぱ厳しいか、
ならやる事は一つだけだ……!)
ジャミルはバットを投げ捨てると穴のヌシに突っ込み、
全力でPKキアイ攻撃を連呼する。それこそPPが
尽きてしまいそうなほどの勢いで……。一気に勝負を
付けてしまおうとしていた。
「俺もっ!PKキアイβ!!特大サービスっ!!……喰らえーーっ!!」
「小癪なっ!……う、うおおおおーーーっ!?」
ヌシに攻撃する隙を与えまいとジャミルが必死にPKキアイ
攻撃でごり押しした結果……、どうにか最後の穴のヌシも
倒す事が出来たのであった。
「はふう~……」
「大丈夫っ、ジャミルっ!は、早くっ、ダブルバーガー食べてっ!!」
「……ア、アイ……、む、むぐぐぐぐっ!」
疲れて座り込んでしまったジャミルに、錯乱したアイシャが
慌ててダブルバーガーを口に押し込もうとした……。
「アイシャ、落ち着いて!そんなに慌てて食べさせたら
ジャミルが窒息してしまうよ……」
「あっ!ご、ごめんなさい!つい、慌てちゃって……」
「……お前なあ~!人を殺す気かっ!!落ち着きのねえのも
いい加減にしろっ!!」
「何よおー!だって心配だったんだもん!落ち着きないとか
ジャミルに言われたくないわっ!ジャミルのバカっ!!」
「二人とも、喧嘩するなら穴の外に出てからにしようよ……」
「ちゅうー!おにいさん達、がんばりましたねえー!この穴に
いるこわい怪物たちの気配もなくなったみたいですよ!」
穴抜けネズミが再びジャミルのリュックから顔を出した。
「……マジでか?」
ほおり込まれた穴から上に出てみると……、ツナマン達も
出てくる気配がしなくなり辺りは静かになっていた。
「ヌシがいなくなったからかな……、随分と落ち着いたね」
「よしっ、出る前に、折角うるせーのもいなくなった事だし、
もうちょい穴ん中探索してみるか!」
トリオは静かになった穴倉を探索し回り、彼方此方に置いてある
プレゼントボックスからアイテムを回収しまくると、穴抜けネズミの
力を借りてホクホクで無事地上へと出るのであった。
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