『指先の毒を舐める』
それが毒であることに
意味なんてなかったんだ
『指先の毒を舐める』
まるで儀式みたいなその行為
子供の遊びのように誘っては
戸惑いながら受け入れる君を
最前列で楽しんでいた
僕は演者にはなり得ない
その事を君だけが嘆いたけど
些細な違いじゃないかと宥める
そんな事は別に問題じゃないんだ
僕には僕の役割があり
それが君との隔たりになっても
貫き通すと決めていたから
ただルールの中で楽しむだけ
君にとって僕は悪魔だったかい
それとも淫蕩へ手引きする
色慾の精霊だったろうか
一度も触れることなく事は済む
何故と泣くのはやめた方がいい
本当は君も楽しんでいるのだから
心は捨てて肉体に支配されれば
いつか全てから解放される
白い絹のナイトドレスが滑り落ち
疲れ果てた細い身体に寄り添う
この時間が一番好きだという事は
きっと生涯口にしないのだろう
何処まで汚れれば君を愛せるか
そんな妄執に近い感情を持て余す
余りに綺麗なものは嫌いなんだ
あの頃より今の方が君は美しい
踏み躙られ泥に塗れた君を
誰より優しく掬い上げるよ
だから華奢なその指で
どうか僕を裁いて欲しい
うっそり上げた腕の白さ
その美しさのままに毒を掬い
人差し指を差し出す君を
僕はやっと心底愛せるのだから
「貴方の為だけに、アタシは毎夜娼婦になる」
『指先の毒を舐める』