悪魔城殺人事件 in 東三河(1)【開幕編】

第1章 霊能探偵・神谷龍之心

 東三河の霊能探偵・神谷龍之心は美雪と悪魔城に来ていた。
美雪「本当に立派な別荘ですね。すごい!」
神谷「うん。噂通り、壮麗な館だなぁ。」
神谷は東三河随一の霊能探偵だ。美雪は神谷の遠い親戚で、名古屋で活躍する男の娘アイドルである。悪魔城の主・土井氏は美雪の熱烈なファンであり、そんな彼の気まぐれで開催されるパーティーに彼女が特別に招待されたのだ。
神谷「美雪さんのおかげです。土井氏のパーティーに参加するのは、私も初めてです。」
美雪「私一応アイドルなんで、一人で参加するわけにもいかなくて。こういう時にいつも同行してくれる女性マネージャーさんの都合が悪くて、それでダメ元で神谷さんにお願いしたんです。」
神谷は、今回のパーティーに招待された美雪の付き添いで来たのだ。数か月前に、名古屋で奇妙な怪奇事件が起きた。事件に巻き込まれた美雪は神谷に救出されたのだが、それ以来、彼女は神谷にこいいう頼み事をするようになった。
神谷「さぁ、入りましょうか。悪魔城へ。」
美雪「神谷さん。土井さんの前では、悪魔城なんて言ったらダメですよ。気分を害されるでしょう。」
神谷「土井氏は器量の大きな人物ですから、そんなことで怒ったりしないと思いますよ。」

第2章 東三河の悪魔城

 悪魔城とは、東三河の大富豪・土井平八郎氏が鳳来地区の山奥に建設した豪壮な別荘の通称である。なぜ悪魔城と呼ばれるようになったのか?そのいわれは、一代で巨万の富を築いた土井氏の悪魔的な魅力に由来する。この男が東三河の経済界を支配するまでに、一体どれだけのライバル企業が潰されて、どれだけ多くの労働者たちが解雇され、路頭に迷ったことだろう。しかし、偉大な経済人である彼には言葉で形容しがたい魅力があふれており、東三河を代表するカリスマ経営者として人気がある。そんな彼が東三河の山奥に建設させたのが、この悪魔城なのだ。と言ってもこの館は、土井氏が鳳来地区に建てた別荘に過ぎない。しかし、彼の底知れぬ悪魔的な魅力と、この建物自体が放つ場違いで異様な雰囲気のために、いつの間にか悪魔城などと呼ばれるようになったのである。
執事「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。」
神谷が門のインターホンを鳴らすと、建物から執事が迎えに来てくれた。
美雪「どうも、こんにちは。名古屋のアイドルグループ・あんこ娘の美雪です。こちらは私の付き添いの神谷です。」
執事「旦那様からお聞きしております。美雪様、神谷様。どうぞお入りください。お部屋までご案内いたします。」
 執事は美雪と神谷を部屋まで案内してくれた。部屋は3階にある個室で、美雪の部屋は西側、神谷の部屋は東側にあった。どうやら、男性は東側、女性は西側という部屋割りのようである。今回のパーティーは1泊2日の予定だ。
執事「午後6時に1階の食堂に下りてきてください。バイキング形式のディナーを用意しておりますので。皆様が集まってから旦那様がごあいさつして、パーティーが開始する運びでございます。」
美雪「ありがとうございます。」
神谷「6時までは自由にしていていいんですね?」
執事「はい、建物内でご自由におくつろぎください。何かありましたら、私や他のスタッフにお声がけください。他の参加者の方もお見えですので、ご自由にご歓談ください。」
執事はそう言うと、1階に下りていった。パーティーの準備で忙しいのだろう。

第3章 パーティーの参加者

 神谷と美雪は、3階の廊下にあるソファーに座って話していた。
神谷「パーティーの参加者って、他に何人いるんだろう?僕は美雪さんに付いてきただけだから、よく知らないんだけど。」
美雪「ごめんなさい。神谷さんにはまだ、詳しく話してなかったわね。事前に参加者のリストはもらっていたんです。私たちを含めて約20人です。東三河の政財官界の要人が来るみたいですよ。」
神谷「そんなパーティーに、名古屋のアイドルとその付き添いが参加することになったわけか。」
美雪「これが参加者のリストです。パーティーでは、おいしいお酒や食べ物が飲み放題・食べ放題らしいですよ。」
神谷「東三河の経営者、市町村や東三河県庁の幹部、弁護士、医師・・・なるほど、みんな名士ばかりだなぁ。」
美雪「あくまで参加予定者ですよ。市長の代わりに部長とか、代理の者が来るかもしれませんし。中には欠席する人もいるでしょう。」
 廊下の向こうから男性と女性が話しながら歩いてくる。どうやらパーティーの参加者のようだ。
男性「どうも。私たち、6時からのパーティーに参加するんですけど、あなたたちも参加者ですよね。あなたはもしかして、あんこ娘の美雪さんですか?」
美雪「どうも、はじめまして。美雪です。よろしくお願いします。」
神谷「付き添いの神谷です。」
男性「私は弁護士の誉と申します。」
女性「私は医師で、和田と申します。」
神谷「二人はお知り合いですか?」
誉「いえ、さっき知り合ったばかりですよ。」
美雪「今回のパーティー、土井さんと親交のある方々が参加するんでしょうか?実は私たち、初めて参加するんです。」
正木「そうでもないみたいですよ。知り合いの知り合いの知り合いみたいな方も混ざっています。実は、私がそうなんです。私は知人の紹介で参加することになったんです。」
そんな雑談をしているうちに、やがて日は暮れ、もうすぐ6時である。

第4章 殺人事件の発生

 6時5分前に、美雪と神谷は1階に下りて食堂に向かった。食堂にはすでに、パーティーの参加者たちが集まって歓談している。弁護士の誉と医師の和田も、他の参加者と雑談しているようだ。美雪と神谷も、他の参加者たちと適当に話しながら、パーティーの開始を待っていた。その時である。青い顔をした執事がやって来て、医師の和田に話しかけた。何やら深刻な話をしているようだ。執事は弁護士の誉にも話しかけ、三人は2階に上がっていった。
美雪「6時を過ぎたのに、なんで始まらないんだろう。何かトラブルでもあったのかな?」
神谷「そうかもしれないね。執事さんが医師の和田さんと相談していたから、土井氏に何かあったのかもしれない。」
美雪「急病かな?」
神谷「でも、執事さん、弁護士の誉さんも連れていったけど・・・何か事件でも起きたのかな?」
 やがて、誉と執事が食堂に戻って来た。誉がパーティーの参加者たちに向かって話し始めた。
誉「私は刑事弁護士の誉と申します。土井氏が殺されました。警察にはすでに連絡済みです。犯人はまだ分かりませんが、まだこの館の中にいるはずです。ですから当面、私が現場を保存・管理します。」
悪魔城殺人事件の幕開けである。
【この小説の第2編から第?編までは、事件の本筋と全く関係のない余談が続きます。忙しい人は開幕編と終幕編だけ読んでください。】

悪魔城殺人事件 in 東三河(1)【開幕編】

悪魔城殺人事件 in 東三河(1)【開幕編】

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-04-19

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  1. 第1章 霊能探偵・神谷龍之心
  2. 第2章 東三河の悪魔城
  3. 第3章 パーティーの参加者
  4. 第4章 殺人事件の発生