シミュレーション
生きることに疲弊したとき
悪を為す自分を想像する
すると少しだけ心が晴れる
自殺は悪だろうか
私は自殺を否定も肯定もしない
だから悪でも善でもない
人が死ぬということは
一つの宇宙が閉じること
そう説いた人間がいた
それは可能性を奪うこと
ありえたはずの未来を奪うこと
自殺を考えることは
夜をやり過ごす最良の手段だ
そう説いた人間もいた
行為が裁かれるのか
動機が裁かれるのか
それは誰が決めるのだろう
私という宇宙は
まだそこに在りたがっているだろうか
それとも、閉じたがっているだろうか
それは私にも判断できない
私が判断できるのはただ
自殺は悪でも善でもないということだけ
私は惰性で生きていくことだろう
苦しい夜には死のイメージに縋って
この世界に未練などないことを再確認して
眠りという死のシミュレーションを行う
シミュレーション