定規が割れた日

教室で筆箱を開いた。定規が割れていた。今朝登校中に転んじゃったからなぁ。朝露に濡れた用水路の金属カバー。たしかグレーチングっていうのだとか。今日は走って登校してた。そしたら濡れたグレーチングにつるっと足を滑らせた。リュックのおかげで頭を打たないで済んだから僕はとてもついてると思う。そのおかげというかそのせいで定規が割れたんだけど。それでも怪我をしなかったんだから僕は本当に幸せ者だ。

「うわぁ、その定規どうしたん?バキバキやん」
「めっちゃかわいそう。転校したてで大変なのにうっかりしてるね。ウケる」
僕には失敗を心配してくれる、笑ってくれる友達がいる。僕はなんて恵まれているのだろうか。転校したばかりの僕を気にかけてくれる人がいる。それだけで僕は本当にうれしくなれるんだ。

「うん。転んじゃった」
「ふーん。バカだね。本当に」
「そうかな、よくわからないや」
「なあ転校生くん。その定規、本当に転んだから割れたって思ってんの?強がってんじゃねえよ」
僕には冗談を言ってくれる友達がいる。あたたかいな。こうして人々は仲を深めてきたのだろう。冗談を言って、笑い合って。ふざけ合ったりたまにはぶつかり合って。

「今日も登校中走ってたけどさぁ、そんなんで俺らから逃げられると思ってんの?」
僕には一緒に遊んでくれる友達がいる。本当に幸せな環境だと思う。
「はぁーあんなに逃げなければもっと綺麗に割ってあげられたのに走って、そのくせ転んでさぁ」
僕の定規をさっと取る友達。定規を割る友達。割れた定規を僕の手に押し付ける友達。うっすらと血が滲んだ僕の手。

僕にはたくさんのトモダチがいて本当に恵まれていると思う。それなのに僕の頬に涙が流れる。あぁ。定規はそんなにお気に入りってわけじゃなかったけど実際に壊れたらそういうものこそ悲しかったりするんだよな。なんだか愛着が湧いてきた。割れて鋭く尖った先に血液のついた僕の定規に。

定規が割れた日

使ってた文房具が壊れるのは悲しいことですよね。私も使っていたクルトガが壊れた時は悲しくなりました。皆さんもそう思うことってありますか?

読んでいただいてありがとうございました。

定規が割れた日

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-04-13

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