紋白蝶 羽根の痛みのすこしあり





枯草の上に座って休んでいた私の後ろに小さな白い蝶が飛んできた
いなくなるのかと思えば舞い戻ってきては羽根を休めている
よく見ると羽根の先の方が少し無くなっている


事実は、永遠のなかの一瞬の出来事
私の感覚は蝶を見る事に費やされ、蝶以外のものは消え去った
客観は奇蹟という言葉を使わず、事実という言葉を使う
奇蹟という言葉は意外にも無責任である
奇蹟という概念に事実を閉じ込めてしまえば、それ以上、事実を追い求めなくても済む
つまり奇蹟という言葉にはあやふやな非確定的な要素が多分に含まれている主観的な言葉である
だから客観は奇蹟という言葉を嫌う
事実はどこまでも事実である
変えようののない確かな出来事である
客観は事実を横目で見ながら、主観はどうですかと尋ねている

羽根の破れた蝶の行方は知らず
感性は永遠を知る短い時間に拘束されてはいない
奇蹟には奇蹟という言葉は相応しくない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2026-04-09

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