雷撃
あなたともう一度出会って
〈わたし〉を生き直したい
忘却が希望となるのは
慣れを恐れているあいだだけ
あなたは水中でもがくわたしに
差し出された酸素ボンベだった
息苦しくて仕方がない現実を
耐えうるものにしてくれた
確立した〈わたし〉が散逸するとき
それはあなたを忘却したということ
この忘却は希望ではなく絶望であり
思い出すことを怠っていた結果だ
習慣や連続性は安心を与えてくれる
しかしそれにあぐらをかいていると
思わぬ打撃を喰らわされる
安寧は永久ではないことを知らされる
もう一度はじまりに立ち戻りたい
もう一度まっさらな〈わたし〉で
あなたという雷撃に当たりたい
生の実感とは衝撃、意外性
あなたなしで生きる
それはすべてを手放して自閉すること
あなたに手酷い裏切りを喰らわすこと
それはほんとうにわたしが望むこと?
思い出す限りにおいてあなたは永遠だ
思い出すということは詰まるところ、
はじまりを何度でも生き直すことだ
そしてそれだけがわたしの唯一の生き甲斐だ。
雷撃