雷撃

あなたともう一度出会って
〈わたし〉を生き直したい
忘却が希望となるのは
慣れを恐れているあいだだけ

あなたは水中でもがくわたしに
差し出された酸素ボンベだった
息苦しくて仕方がない現実を
耐えうるものにしてくれた

確立した〈わたし〉が散逸するとき
それはあなたを忘却したということ
この忘却は希望ではなく絶望であり
思い出すことを怠っていた結果だ

習慣や連続性は安心を与えてくれる
しかしそれにあぐらをかいていると
思わぬ打撃を喰らわされる
安寧は永久ではないことを知らされる

もう一度はじまりに立ち戻りたい
もう一度まっさらな〈わたし〉で
あなたという雷撃に当たりたい
生の実感とは衝撃、意外性

あなたなしで生きる
それはすべてを手放して自閉すること
あなたに手酷い裏切りを喰らわすこと
それはほんとうにわたしが望むこと?

思い出す限りにおいてあなたは永遠だ
思い出すということは詰まるところ、
はじまりを何度でも生き直すことだ
そしてそれだけがわたしの唯一の生き甲斐だ。

雷撃

雷撃

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-04-09

Copyrighted
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