GQuuuuuuX世界のデラーズ・フリートへ……
機動戦士GundamGQuuuuuuX第7話『マチュのリベリオン』を参考にしつつ、GQuuuuuuX世界のデラーズ・フリートの命運を自分なりに妄想してみました。
第1話:終焉を迎えた筈の漢
スペースコロニー群に移住したスペースノイドの自立と自治を許可しなかった地球連邦政府の独裁的な政策に端を発した一年戦争は、362日もの死闘の後、地球連邦政府の勝利で戦いの幕を閉じた。
だが、この戦いを経てもなおスペースノイドの自立と自治を禁じる態度を改めない地球連邦政府の態度に怒った一部のスペースノイドが戦争継続を主張したり、終戦を告げる放送を阻止しようとする動きもあった。
その1人エギーユ・デラーズは、一年戦争における最終決戦であるア・バオア・クー攻防戦の最中に敗戦を確信するやいなや、宇宙ゴミが集積する暗礁宙域へと逃走を図り、そこで静かに部隊の再編を謀った。
そして3年後、地球連邦政府の食料自給率を激減させて宇宙への食糧依存度を高める『星の屑』を実行すべく『デラーズ・フリート』を結成した。
手始めに腹心であるアナベル・ガトーが強奪した核兵器をソロモン海域コンペイトウ湾内にて行われた連邦軍の観艦式にぶつけ、その隙に奪ったスペースコロニーを北米大陸の穀倉地帯に向かわせた。
だが……シーマ・ガラハウの裏切りとそれに伴うデラーズの死がデラーズ・フリートに致命的な打撃を与えてしまい、北米大陸に落とす予定のスペースコロニーの破壊を目的としたソーラ・システムIIの照射によって大打撃を受けて兵力を大量喪失。最期の意地でスペースコロニーを北米大陸にぶつけるも、肝心のデラーズ・フリートはほぼ壊滅状態であった……
幸い、本作戦の成否に関わらず全戦力を使い切る計画であった様で、戦闘宙域の後方に待機していたアクシズ先遣艦隊へ残存兵力の救助を依頼していた。しかし、問題は肝心のデラーズ・フリート残党が、腹いせにも見える連邦軍の猛攻を搔い潜ってそこまで辿り着けるかである……
そこで男気を魅せたのが、エギーユ・デラーズの腹心だったアナベル・ガトーである。
「いいか。1人でも突破し、アクシズ艦隊へ辿り着くのだ! 我々の真実の戦いを、後の世に伝える為に!」
そう言うと、ガトーは疲弊した自身の身体と大破寸前の愛機に鞭を打ち、たった1人で先行して敵艦隊に特攻し……連邦軍の宇宙巡洋艦を道連れにしながら爆死した。
……の……筈だった……
愛機と共に特攻して壮絶な爆死をした筈のガトーが目を開くと、目に映るはかつて見慣れた光景……ムサイ級軽巡洋艦内にある医務室のベットだった。
(私が……まだ生きている?アクシズはあの状態からどうやって私を回収したと言うのだ?)
自分がまだ生きている事を信じられないガトーが周囲を見渡すと、ガトーが目を覚ました事に気付いたケリィ・レズナーに声を掛けられた。
「大丈夫か?ガトー?」
「……ああ……どうやら大丈夫……」
が、ケリィの左腕を見たガトーがある種の違和感を感じた。
「ん?ケリィ、その左腕は?」
「俺の左腕?それがどうかしたか?」
ガトーが知るケリィは、戦闘中に左腕を失い、この負傷が原因でモビルスーツの搭乗資格を剥奪され、月面都市フォン・ブラウン市でジャンク屋として生計を立てていた……筈だ。
「……今年は宇宙世紀何年だ?」
一方のケリィは、自分が偽物だと疑われている事に気付かず、脳震盪や過労による一時的なボケだと勘違いした。
「……ボケたかお前?」
その後、ケリィと会話する内にガトーはある種のタイムスリップに巻き込まれた事を自覚した。
だが、ガトーが知る一年戦争の内容との相違点が多過ぎる事がガトーを更に混乱させた。
(シャア大佐がガンダムと木馬を強奪した……つまり、あの忌々しい白い悪魔はもういない!?……信じられんな)
一方のケリィはガトーの過労を疑い、今回の作戦参加を見送ろうかと考え始めた。
「ガトー、お前働き過ぎなんだよ。今でも語り草になっているサイド7の事件をすっかり忘れるのは、流石に重症過ぎるだろ?」
そんなケリィの心配をよそに、ガトーは目の前のケリィを疑った事を恥じ始めた。
(連邦が我々にガンダムを奪われる事態を寧ろ喜んでいる……それに例のあの出来事もしっかり憶えている。どうやら、連邦の悪質な嫌がらせでは無さそうだな)
それに、愛機の爆発に巻き込まれたにしては傷が少ない事も、目の前のケリィへの疑いを捨てる要因にもなった。
(それに……あの突撃で受けた傷をここまで治すなど、殺意ある者の行為とは思えんな)
「で、どうする?」
ケリィの突然の質問に困惑するガトー。
「どうする、とは?」
「これから行われるルナツー強襲作戦の事だ」
ジオンがルナツーを強襲する……ガトーが知る一年戦争の内に、この様な出来事は無かった。
(これも……あの連邦の白い悪魔がいなくなった事による変異……だと言うのか?)
「とりあえず、ドズル中将の無念を少しでも晴らそうと、今回のルナツー攻略作戦に参加した訳だが―――」
ケリィのこの言葉に、ガトーはショックを受けた。
「くっ!無念!」
そんなガトーの悔しそうな顔を視て、ケリィはその先の質問がまったく無意味だと悟った。
「……過労で苦しんでいるお前に戦いを強要する心算は無かったが……どうやら、止めても無駄の様だな?」
その後、艦隊が遂にルナツーに到着すると言う事で、ガトーは整備兵に残っている連邦側のエースパイロットについて質問した。
「我々が注意すべき連邦側のエース、ですか?」
「そうだ。ルナツーは敵の手中に堕ちたソロモン同様の連邦側の宇宙拠点。その防衛ラインの分厚さは容易に想像出来るからな」
それを聴いた整備兵は、少し考えてから溜息を吐いた。
「本当なら、ビグ・ザムの性能を信じて頂きたいと言いたいところなのですが……あの2人がソロモンではなくルナツーに配属になったらと思うと……」
不安そうにしている整備兵に反し、ガトーは意外そうな顔をしていた。
「たった2人か?意外と少ないな」
「なにせシャア大佐のせいで連邦側のモビルスーツ開発は大分遅れたらしいですからね」
改めてあの白い悪魔の恐ろしさに呆れるガトー。
(あの白い奴、そこまで罪深かったのか!?)
「で、その2人について何か知っているか?」
そこへ別の整備兵がやって来て、ガトーにある資料を渡した。
「それなんですが、奴が聖痕の魔女と呼ばれる由縁が大分判ってきました」
「……魔女?」
「はい。魔女に墜とされた機体を調べたところ、幾つかの不可解な傷がある事が判明。これ、最初の内は知らず知らずの内に宇宙ゴミに激突した際の傷だと思ったのですが、実際に魔女と戦い生還したパイロットの証言から察するに、ワイヤーアクションの軸として利用された時に出来た傷ではないかと思われます」
「奴はワイヤーで軌道を変えた……と言う事か?」
「はい。これによりAMBACでは不可能な移動を行う事で我々を翻弄。その結果、我々は知らず知らずの内に魔女の100キルに貢献してしまう事態に―――」
「100キルだと!?」
ガトーの怒号に驚かされる整備兵達。
「あ……はい……」
「幾百の英霊が、その魔女のせいで志し半ばで散ったと言うのか!?」
ガトーは怒りを表す様に拳を強く握った。
「ひっ!」
それに、ガトーの闘志の理由は魔女と呼ばれし撃墜王への怒りだけではない。
(無事に宇宙世紀0079に戻れた今なら……まだ間に合うのだ!今ならまだ、ア・バオア・クー防衛戦の結果を変える事が出来るのだ!魔女如きに、邪魔はさせん!)
前の世界線のジオン公国、デラーズ・フリート、そして地球連邦政府に虐げられてきたスペースノイドの無念を背負い、この世界線の一年戦争の結果をジオン勝利に変えんと奮戦を決意するアナベル・ガトーの明日はどっちだ!?
登場キャラ
【デラーズ・フリート】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
RX-78GP02Aガンダム試作2号機(サイサリス)〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
AMA-002ノイエ・ジール〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
エギーユ・デラーズ〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
グワジン級宇宙戦艦グワデン〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
シーマ・ガラハウ〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
【ジオン公国】
ケリィ・レズナー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ムサイ級軽巡洋艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
MA-08ビグ・ザム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【地球連邦】
サラミス改級巡洋艦〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
マゼラン改級戦艦〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
シイコ・スガイ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
第2話:ルナツー破壊命令
マ・クベ率いるルナツー征圧部隊がいよいよルナツーに到着しつつあった。
「敵勢力、グワジン級1!チベ改級30!ムサイ級16!パゾク級40!それに」
「それに?」
「ソロモン攻略戦で猛威を振るった巨大モビルアーマーが3!」
「……大盤振る舞いだな?」
報告を行っていた連邦軍通信手が慌てふためく中、ルナツー防衛部隊の指揮を任されていたバスク・オム大佐は冷静に数を数え直した。
「……これだけ集められれば……」
「大佐?」
「ああ、すまん。現在ルナツーに残っている者全員に迎撃準備をさせろ。それと、『長期戦になるから覚悟しておけ』と伝えろ」
「長期戦……ですか」
だが、マ・クベの本気を前に、連邦軍通信手は長期戦が出来る自信が無かった。
「お言葉ですが、長期戦扱いして貰える程、持ち堪えられるでしょうか?」
それに対し、バスクはやや薄情に言い放った。
「出来る出来ないの問題ではない。やれ!なのだ。せめて例の作戦が成功するまでは」
「作戦?」
「そうだ。例の作戦が成功すれば、ジオンは一気にジリ貧となる」
「で、我々連邦軍が再び戦いの主導権を握ると?」
「そうだ」
通信手がバスクの命令を伝えに去ると、入れ替わる様に女性兵士がバスクの許を訪れた。
「ジオン軍が遂にルナツーにやって来たそうですね?」
「魔女め、耳が早いな」
「で、その中にあの裏切り者はいますか?」
「……まだ解らん。敵はまだチベ改級かパゾク級の中だ」
yesともNOともとれる返答に女性兵士は苦虫を嚙み潰したような顔をした。
彼女とその裏切り者との戦いは、オデッサ奪還作戦まで遡る。
当時フライ・マンタのパイロットだった彼女は、自身が所属する5機編隊のリーダーを心から慕っていた。
だが……
連邦軍からガンダムを奪ったあの男が、よりによってガンダムが、そのリーダーの命を奪ったのだ。
勿論彼女も必死で戦ったが、圧倒的な力の差の前に何も出来ず、なす術無くジオンに奪われたガンダムを取り逃がしてしまった。
以来、彼女はフライ・マンタを捨て、軽キャノンに乗り換えた。ガンダムとあの男との力の差を少しでも埋める為に。
その上、ジオンが新たに開発したリック・ドムやゲルググとの差を埋めるべく積極的に改善提案を提示。
戦い方も変え、アクション映画のワイヤーアクションも積極的に取り入れた。
その結果、ジオン軍兵士は彼女の事を本名である『シイコ』とは呼ばず、仇名である『聖痕の魔女』と呼んだのである。
一方、ア・バオア・クー防衛戦の結果を変えようともがくガトーがムサイの格納庫に向かうが、
「緑色のGMだと!?」
「じむ?誰ですかそれ?」
『誰ですかそれ?』……
その言葉はつまり、GMが人物だと勘違いし、GMがモビルスーツだと気付いていない証拠である。
「誰ですかって!?……じゃあ、あの目の前にあるモビルスーツは何だと言うのだ?」
「シャア大佐がノリノリで(連邦軍から)奪ったガンダムのリバースエンジニアリングによるマスプロモデルのゲルググですよ。お忘れですか?」
「量産型ガンダムとも言えるゲルググがジオニックの新型から制式採用を奪った話は、今でも整備兵の間では語り草ですよ。ダハハ」
ガトーは改めてバタフライ・エフェクトの恐ろしさを実感した。
シャアが成功させたガンダム鹵獲が、この世界線の一年戦争の結果を変える最初の羽ばたきだった。
その羽ばたきがジオンと連邦のMS開発計画に大きな狂いを齎し、ガトーがよく知るゲルググやGMの姿を大きく変えてしまったのだ。
「それより、大尉がソロモンで使用していたリック・ドムを修理しておきましたが、いかがいたします?」
「……解った。そっちに乗らせてもらう」
その時、連装メガ粒子砲の発射音が鳴り響いた。
「……始まったか!?」
先に仕掛けたのはジオンの方だった。
ルナツー攻略作戦を時計の文字盤に擬えたマ・クベは、まず始めに部隊を3つ(9時方向、7時方向、3時方向)に分け、9時方向部隊が先行する事で連邦軍の目を9時方向と7時方向に集中させ、回り道をした3時方向部隊がルナツーに止めを刺す。これがマ・クベが描いたシナリオである。
「9時方向部隊が接敵。戦闘を開始した模様」
「7時方向部隊の進軍を急がせろ。3時方向部隊の到着まで持たせるのだ」
「は!心得ております!」
マ・クベが命令を下す中、ガトーが出撃準備を急ぐ。
「アナベル・ガトー、出る!」
遂に始まったルナツー攻略作戦。
その先陣を突っ走るガトーのリック・ドム。
「いいか!進路から大きく外れた大物は避け、ルナツーを落とす為の血路を開く事に集中するのだ!」
「は!」
「ただし、例の聖痕の魔女が現れたら私に知らせろ。奴の足は私が止める!」
ガトーの命に困惑する一同。
「大尉は魔女と戦う御心算か!?」
「危険過ぎます!遠い大物は避けよと言う命令に反します!」
だが、ガトーの意志は強かった。
「だからと言って、魔女にルナツー攻略部隊を殲滅されれば、この戦いに意味が無くなってしまう。この私の目が黒い内は……そうはさせない!」
「ルナツーに向かっているジオン軍艦隊が3つに分断されていきます!」
「分断!?まさか、我々と戦っている部隊は、本命を隠す為の囮か!?」
そう判断したマゼラン級戦艦の艦長が本艦の移動を命じようとした時、艦橋への至近弾となったビームが通過した。
「何だ!?艦の位置が少しでもズレていたら、当たってたぞ!」
だが、事態は艦長の予想より深刻だった。
「いいえ……今のでセイバーフィッシュが2機、大破した模様」
「レイヴン・ソード隊も出撃させろ!」
「軽キャノンの間違いでは?」
だが、目の前の敵を『本命を隠す為の囮』と見縊った艦長はここで致命的な出し惜しみを犯してしまう。
「それは駄目だ!これ以上、敵の本命を撃つ為の戦力を減らす訳にはいかん!」
その結果、ガトー専用リック・ドムの接近を許してしまった。
「敵モビルスーツ、接近!」
「弾幕を張れ!迎撃―――」
艦長の判断は致命的に遅かった……
艦長が自分の致命的な油断に気付いた時点で既に、マゼラン級戦艦はビーム・バズーカの直撃を受けて爆散寸前だった……
一方、ガトーはあまりの手応えの無さにある種の恐怖を感じた。
「敵モビルスーツの数が意外と少ない……これもシャア大佐が行ったガンダム鹵獲の影響か?それとも……」
もし自分達が『本命を隠す為の囮』だと見縊られていたとすれば、不味い!
3時方向部隊が危ない!
ガトーは一旦補給をしてから急ぎ3時方向部隊と合流しようかと考えたが、ガトーの善戦を聞きつけた1機の軽キャノンが命令を無視して出撃してしまったのだ。
「あの裏切り者め。他のユニカムに現場を任せ、自分は後方で左うちわか!?」
そんな軽キャノンの気配を感じたガトーは、補給を目的としたUターンを諦めた。
「どうやら……魔女とやらは思った以上に武人の様だ。だが!」
ガトー専用リック・ドムがこっちを向いた事に気付いたシイコは、シャアに奪われたガンダムをこの場に引き摺り出すべく臨戦態勢をとった。
「貴方に恨みはないけど、あいつを呼び出す為にも、貴方にはここで消えて貰うわ」
ガトーもまた、シイコに討たれ鉄屑と化した数多のザクの事を考えながら構えた。
「聖痕の魔女め!貴様に敗れ志し半ばで散っていった……幾百の英霊達の為に……死を以って償って貰う!」
その頃、ケリィはイライラしていた。
「おい!俺のビグ・ザムの出動は何時だ!?ビグ・ザムはルナツー攻略の切り札じゃなかったのか!?」
それに対し、整備兵達はジオンが抱える問題を皮肉りながら答えた。
「ビグ・ザムが活躍し過ぎると、ギレン総帥に貸しを作っちゃいますから―――」
が、現場で働く兵士達にとっては、後方の内輪揉めは下らない足枷でしかなかった。
「そう言う権力争いは勝ってからにしてくれ!負けたら、権力どころの騒ぎじゃない!」
9時方向部隊と連邦のレイヴン・ソード隊が激戦を繰り広げ、ガトーとシイコが一騎打ちを始めようとしている中、3時方向部隊が遂にルナツーに牙をむいた。
「9時方向部隊、並びに7時方向部隊が予定通りに膠着状態に入った。3時方向部隊は隙を見てルナツーを攻略されたし。どうぞ」
「了解した。こちらの士気は旺盛。何時でも進軍出来る状態にあり。どうぞ」
本隊と応答したエリクが改めてルナツーの方を向く。
「どうやら……3方向作戦は、今の所は上手くいっている様だ。ん?」
エリクはチベ改級から出て来た1機の白いザクが気になった。
「あの機体は何だ?」
「あのザクはキシリア様が開発に携わった機体だと聞いています。なんでも、赤いガンダムやキケロガに試験的に搭載されたサイコミュをザクに搭載する為の実験に使われたとか」
「だが、武器を装備していないし……足が無いぞ?」
エリクの指摘を受けて漸くこの事に気付いた。
「え?あ、本当だ」
「あいつ……あんな状態でどうやって戦う気だ?」
が、その後のエリクにその事を気にする余裕は失われた。
「やられました!軽キャノンがこちらに向かってきます!」
「軽キャノンだと!?ザクは下がれ!ザクでは軽キャノンのルナ・チタニウムには歯が立たん!」
そして、想定外の展開にエリクが歯噛みする。
「やはり今回の3方向作戦は見破られていたのか!?」
しかし、想定外な展開に巻き込まれたのは3時方向部隊だけではなかった。
あのサイコミュを搭載した白いザクが獅子奮迅の活躍をしたからである。
白いザクの有線誘導式腕部5連装メガ粒子砲が火を噴く度に数機の軽キャノンが爆散するからだ。
「これがサイコミュの力!?……いや、オールレンジ攻撃の恐ろしさか……」
その後も、白いザクは敵を探し求め彷徨い、その度に連邦軍の軽キャノンが撃墜された。
それを呆然と観ていたエリクであったが、白いザクのパイロットが何者か知らなかった事が仇となり、後でガトーに逆ギレ的な説教を受けてしまうのであった。
何故なら、パイロットであるキィはまだ……12歳の少女だからだ。
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MS-09RSガトー専用リック・ドム〔機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙〕
ケリィ・レズナー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MA-08ビグ・ザム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
キィ〔KEY THE METAL IDOL〕
MSN-01サイコミュ高機動試験用ザク〔MSV〕
エリク・ブランケ〔機動戦士ガンダム戦記Battlefield record U.C.0081〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
MS-06ザク〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
MS-09リック・ドム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
マ・クベ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
グワジン級宇宙戦艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ムサイ級軽巡洋艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
チベ改級重巡洋艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
パゾク級輸送船〔機動戦士ガンダム〕
gMS-α赤いガンダム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ド・ダイYS〔機動戦士ガンダム〕
【地球連邦】
シイコ・スガイ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
RGM-79シイコ専用軽キャノン〔本作オリジナル〕
フライ・マンタ〔機動戦士ガンダム〕
バスク・オム〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
マゼラン級戦艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
サラミス級巡洋艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
FF-S3セイバーフィッシュ〔機動戦士Ζガンダム〕
FF-S5レイヴン・ソード〔MSV-R〕
RGM-79軽キャノン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
第3話:悪夢VS魔女
「戦況伝えい!」
バスクの焦りの怒号に驚く通信手達。
「は、は!敵勢力は3方向に別れ、Wフィールドに戦力を集中しつつEフィールドからの攻撃も開始!」
「Wフィールドの被害甚大!サラミス級撃沈8!」
「敵巨大モビルアーマー、未だ後方で動かず」
(マ・クベめ。切り札を温存しながら戦う気か?)
「ならば、こちらもEフィールドにいる敵を牽制しつつ、Wフィールドに戦力を集中!時が来るまで持ち堪えるのだ!」
と言いつつ、内心焦るバスク。
(コンペイトウは何をしている!?急げ!ワッケイン!)
そんなバスクの焦りなどどこ吹く風と言わんばかりにWフィールドで暴れ回るシイコ専用軽キャノン。
「どけ!雑魚に用は無い!ガンダムは……ガンダムはどこだ!?」
対するガトーがこれ以上シイコの暴走を放置する筈が無く、
「聖痕の魔女め!貴様に敗れ志し半ばで散っていった……幾百の英霊達の為に……死を以って償って貰う!」
だが、ガトーのビームバズーカによる先制攻撃はあっけなく回避され、攻撃を受けたシイコがワイヤーを使ってチベの真下にぶら下がて、ある種の人質にした。
「卑怯者と罵りたいのであれば好きにしろ……私の敵はガンダムだ!ガンダムを倒すまでは、私は死なん!」
が、勿論チベに当たらない様に角度を調節しているとはいえ、ガトーは躊躇無くビームバズーカを発射した。
「まさか、敵艦の背後に隠れるとはな……有効な戦術とは言え、あまり気が進まんな」
一方のチベ改級重巡洋艦の艦長にとっては冷や汗ものである。
「いくら下に回り込んだ軽キャノンを追い払う為とは言え、当たったらどうする気だ!?」
しかも、ガトーの奇襲は悉くシイコに回避された。
「やはりな……魔女を討つうえで最も邪魔なのは、あのワイヤーか!?」
シイコがガンダムを討つべく開発した戦術『スティグマ攻撃』。
乗機に仕込んだ小型ワイヤーフックを敵機に打ち込み、それを支点として急激な加減速・高機動によって攪乱させられたジオン兵達は、対応する暇無く撃墜されていった。
(これでは動きが読めん!だが、これ程の急激な動きだ。長期戦には不向きな筈!?)
ただ、強引な挙動から即座に攻撃態勢を整える卓越した姿勢制御は自機やパイロットへの負担が桁違いと言う諸刃の刃であり、それを平然を行える事もシイコが魔女と呼ばれる由縁の1つであった。
故に、ガトーがシイコ相手に長期戦に持ち込もうしている事もシイコはお見通しだった。
「甘い!ガンダムを倒す為に開発されたこのスティグマ……貴様程度で破られる程軟じゃない!」
シイコは一旦捨てたビームライフルをワイヤーを使って遠隔操作し、ガトーを背後から撃とうとした。
その時!
ここで話を少し巻き戻す。
ケリィはせっかくビグ・ザムのパイロットとなってルナツー攻略作戦に選ばれたと言うのに、ギレン派とキシリア派の政治的対立が仇となり、ギレンやドズルが推薦するビグ・ザムの印象はあまり良くなく、結果、ビグ・ザムは先遣隊から外され、後詰として後方待機させられていた。
「何時まで待たせる!ビグ・ザムはルナツー攻略の切り札じゃなかったのか!?」
「ですが、これ以上ビグ・ザムが活躍し過ぎれば―――」
更にイライラさせてくれる台詞を前に大激怒するケリィ。
「そんな内部の覇権争いなど、知るか!当面の問題は、勝つか負けるか!それだけだろ!」
そんな中、通信手から絶望的な連絡が入った。
「奴が……聖痕の魔女が現れました!」
「どこの部隊と戦っている!?」
「待ってください!」
通信手が慌てて調べた結果……
「魔女は現在……ガトー大尉と交戦中!?」
ケリィの独断専行を後押しするには十分過ぎる報告だった。
「くっ!?……もはや待てん!ビグ・ザム、出撃する!」
「ちょ!?待ってください!まだ命令が―――」
「同胞達の戦死を、ただ黙って見殺しにしろと言うのかぁーーーーー!」
こうして、ケリィを乗せたビグ・ザムは待機命令を無視してガトーの許へと急いだ。
無論、この命令無視はマ・クベの耳にも入ったが、彼もまた権力争いを理由としたビグ・ザム温存を快く思っていなかった。
「もう良い。他の2機も前面に押し出せ。ビグ・ザムの大火力をもって、一気にルナツーを叩くのだ」
そんなマ・クベに対し、ウラガンが進言する。
「それでは、ギレン総帥に借りを作る事になりますが?」
が、その進言は一蹴された。
「下らぬ!私は実利を優先している」
その実利の部分に違和感を感じるウラガン。
「シャア大佐とシャリア大尉をこの作戦から外した事、実利とは思えませんが」
心なしか非難された気がしたマ・クベ。
「嫉妬心だと言うのか?」
しかし、ビグ・ザムの出撃を急がせるもう1つの理由を通信手から聴かされる事になってしまった。
「何!?ソロモンが……グラナダに向かっているだと?」
その結果、シャアとシャリアをグラナダに向かわせた事が天祐として歴史に刻まれてしまったが、ガトーはその事実をまだ知らない。
いよいよガトーに止めを刺そうとするシイコであった。
「貴方に恨みは無いけど、貴方如きに苦戦してる場合じゃないの!」
「く!?ぬかった!」
が、シイコが使用する軽キャノンに入った通信がシイコの手を止めてしまった。
と言うより、ニュータイプとしての勘(彼女本人は否定)がシイコの顔を後ろに向かせた。
「ソロモンで墜ちたあのデカブツだと!?もっと良い切り札があるだろ!そっちを出せ!」
ビグ・ザムのせいで忌々しい赤いガンダムの出番が減り、その影響で赤いガンダムとの会敵回数が減ってしまう事を快く思わないシイコは、真っ先にビグ・ザムの許へ向かった。
そんなシイコ専用軽キャノンの後ろ姿を見届けたガトーは、自分の不甲斐無さに愚痴をこぼす。
「この私が、易々と生殺与奪を奪われるとはな……我ながら腕が落ちたか?」
そこへ、ケリィからの通信が入る。
「諦めるな!ガトー!」
「ケリィか!?」
「ここで魔女を止めるんだろ?ならば魅せてやろうぜ?ジオンを支えているのは、シャア大佐だけじゃないって事を!」
ケリィの叱咤激励を受け、この時間軸はまだ間に合う事を思い出したガトー。
「ふっ……そうだな。連邦の雑魚共にア・バオア・クーは墜とさせん!」
その連邦が聞いたら「お前らがルナツーを墜としに来たんだろ!?」とツッコまれそうだが、この時間軸に死に戻ったガトーは気にも留めないだろう。
そんなガトーの心情を知らぬシイコがケリィ達が操縦するビグ・ザムの許に到着した時には、既に多くのサラミス級がビグ・ザムの手によって轟沈していた。
「……これでは……これでは奴が来ない!この役立たずがあぁーーーーー!」
ビグ・ザムの活躍によって赤いガンダムの出番が無くなった(そもそも、赤いガンダムはルナツー攻略戦に参加していない)事で、もはや怨敵との決着が叶わない事を知り、絶叫を上げながらIフィールドに護られたビグ・ザムに向け届かぬ銃撃を連発していた。
赤いガンダムへの執着に溺れ、Iフィールドの弱点と自身の必勝パターンを忘れてしまったシイコの姿を哀れに思いつつ、
「……なんと他愛の無い……怨恨のみで戦いを支える者に歯車となって戦う男の思考すら解るまい!」
と、苦言を呈するガトーであった。
ただ、当のガトーもシイコとの戦いに時間を費やし過ぎて、彼が操縦するリック・ドムがガス欠寸前だった。
「……ぬかった……だが、我々の戦いは無駄ではなかった筈だ!」
完全にガトーの負け惜しみであったが、確かに無駄ではない。
現に、ガトーがシイコの足止めを成し遂げた隙に、7時方向部隊の大部分は既にルナツー外壁に着地していた。
「何をしてるんだ役立たず共!?ワッケイン艦隊の作戦が完遂するまで持たせろと言っただろ!?」
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MS-09RSガトー専用リック・ドム〔機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙〕
ケリィ・レズナー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MA-08ビグ・ザム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
MS-06ザク〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
マ・クベ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ウラガン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
グワジン級宇宙戦艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
MS-09リック・ドム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ムサイ級軽巡洋艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
チベ改級重巡洋艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
パゾク級輸送船〔機動戦士ガンダム〕
【地球連邦】
シイコ・スガイ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
RGM-79シイコ専用軽キャノン〔本作オリジナル〕
バスク・オム〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
マゼラン級戦艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
RGM-79軽キャノン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
サラミス級巡洋艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
コロンブス級補給艦〔機動戦士ガンダム THE ORIGIN〕
FF-S3セイバーフィッシュ〔機動戦士Ζガンダム〕
FF-S5レイヴン・ソード〔MSV-R〕
第4話:休戦に馴染めない男
ジオン軍がルナツーのドッキング・ベイを複数奪取した所で、急に両軍に休戦命令が下った。
チベ改級重巡洋艦の艦長としてルナツー攻略戦に参加したエギーユ・デラーズは、この休戦命令を勝利だと確信した。
「ふ、勝ったな」
「勝った?休戦ではないのですか?」
「ギレン総帥は未だに御存命。にも拘らず、連邦は我々に休戦を許した。それはつまり、ギレン総帥を止める力は残っていない事を意味しているのだ」
確かに、デラーズの見立て通り連邦軍にはサイド3に攻め込む力は残っていなかった。
それどころか、宇宙要塞コンペイトウ(旧ソロモン)を月面都市グラナダにぶつける作戦すら失敗して宇宙における拠点をすべて失い、連邦軍宇宙艦隊の停泊すらままならない状況であった。
「戦う理由を失った時点で、既にこの場に用は無い。我々はルナツーより撤退する」
嬉々としてサイド3へ帰ろうとするデラーズであったが、道中で連邦軍の最後の悪足掻きの影響で月の孫衛星となったソロモンを発見し、少しだけ悲しくなった。
「グラナダとの正面衝突をさせられそうになったソロモンを止めてくれたのは、シャア・アズナブルがサイコミュを使って発生させてくれた発光現象であったな……」
第2次ソロモン会戦の真実と正体を知らぬデラーズがソロモンを止める為に犠牲となった兵士達の為に黙祷をしようとしていたが、ガトーの休戦命令無視が勝利の余韻に水を差してしまう。
「大尉!駄目です!休戦命令が出てるんですよー!」
メカニックの制止を振り切って近くにあったゲルググに乗り込もうとするガトーだったが、
「待て、ガトー」
デラーズに呼び止められて振り返るガトー。ガトーを止めようとしたメカニックが慌てて敬礼する。
「デキン公王が打診し続けていた休戦交渉を連邦が漸く受け入れた」
「公王陛下が!?」
「これで連邦軍宇宙艦隊の完全撤退は確実なものとなる」
だからと言って、ガトーは連邦(特にワッケイン)がソロモンに対して行った非道の数々を見なかった事には出来なかった。
「大罪人の逃げる背中を見て見ぬふりをしろと!?私は行きます!」
デラーズが慌ててガトーの眼前に向かう。
「ならん!我らは生きて勝ち取った自治権を護り抜かねばならんのだ。生きてこそ得ることの出来る栄光をこの手に掴むまで、その命、儂が預かる!いいな!」
前の時間軸同様、またしてもデラーズに新たな使命を与えられて生かされたガトーであった。
「ソロモンよ、私は必ずお前の仇を討つ」
ジオン公国公王デギン・ソド・ザビは地球連邦軍総司令部に対して停戦交渉を打診、宇宙での全軍事拠点を喪失した地球連邦軍総司令部はこれを認め、宇宙世紀0080年1月3日に休戦条約が結ばれた。これにより、1年に渡るジオン独立戦争(一年戦争)は終結した。
だが、第2次ソロモン会戦中にシャア・アズナブルと赤いガンダムは行方不明となり、その原因となった謎の閃光は、後にゼクノヴァと呼ばれる事になる……
「何ぃー!?このタイミングで戦闘中止だと!?」
一方、連邦軍の方でも休戦に馴染めない男達がいた。
寧ろ、『敗北者』の汚名を着せられながら戦場を奪われた彼らこそが休戦を受け入れられない存在とも言えた。
軽キャノン小隊を率いていたブレイブ・コッドもその1人である。
「それじゃあ何か!ルナツーに取り憑いた宇宙人共をこのままほったらかしにしろと言うのか!?」
そんなコッドの怒りの通信を聴いていたトッシュ・クレイは残念そうに返答する。
「中止どころか休戦だよ」
「……は?」
根っからの地球至上主義者であるコッドは自分の耳を疑った。
「貴様……休戦の意味を知ってて言っているのか?」
「気持ちは解るが無理だ。ジャブローに残っている将校共が勝手にジオンとの休戦交渉を始めてしまったのだ」
無論、この報告はコッドの怒りの炎に油を注ぐ行為であった。
「モグラめえぇー!宇宙人の手でジャブローから掘り出されるのがそんなに怖いか!?地球人の誇りはどうした!?」
怒り狂うコッドであったが、それでもトッシュは言いたくない現実をコッドに伝えなければならない。
「これは俺の見立てだが、おそらくルナツー防衛戦の裏で秘密裏に行われていた何らかの作戦が失敗に終わり、それがジャブローに知れ渡った途端に勝ちを諦めたんだろう」
「諦めた?……では宇宙人共に地球を明け渡せと言うのか!?」
「今は……耐えてくれ」
「耐えろだと?地球人が宇宙人に屈しろと言うのか!?」
諦めが悪過ぎるコッドに対し、トッシュは遂に怒鳴ってしまった。
「本物が再び贋作に勝つ日まで待ってろよ!ブレイブ・コッド大尉!」
「!?……本物が贋作に勝つ日だと?」
コッドの根っからの地球至上主義者故の怒号を悔しそうに聞き流していたトッシュであったが、彼もまた、コロニーに生えた草花を『ニセモノ』と蔑む程の熱心な地球至上主義者であった。
「地球にある本物がジオンが作った偽物に負けるのを観るのは確かに辛い。だが、ルナツーまで失ってしまった状態で更に失うのは、危険過ぎるんだよ」
トッシュの説得を受けたコッドは、反撃のチャンスを待つべく渋々休戦を受け入れ、その足で地球に帰ってしまったのである。
(これで勝ったと思うなよ宇宙人共。いつか必ずや捻り潰してくれるわ!)
因みに、前の時間軸では2人共、ティターンズの残党勢力および地球至上主義テロ組織『ニューディサイズ』の首魁を務めていた。
ガトーやコッドの様な誰かの説得が無かったら決死隊となってその命を散らしてしまいかねない者達もいる中、逆に意気消沈して志気と殺意を焼失した者もいた。
先程までバーサーカーの如くガトーと戦っていたシイコもその1人である。
何故なら、彼女から戦友を奪った赤いガンダムと赤い彗星が、第2次ソロモン会戦によって行方不明になってしまったからだ。
その時点で、彼女のニュータイプへの逆恨みは一旦終わりを迎えた。結局、誰も理不尽には勝てないと思い知らされたからだ。
目標を失った途端、空気を失った風船の様に萎んでしまったシイコは退役を決意。
その後、同胞だったフライ・マンタ隊の墓参りに同行してくれた男性と結婚し、魔女シイコが死んでシイコ・スガイを名乗る主婦が生まれた。
それからしばらくして、地球連邦軍宇宙艦隊の完全撤退が正式決定した。
ただ、これは連邦政府の公式発表ではあるが、実際は各地にかなりの部隊が潜伏、企業化しており、その事実がシイコの首を絞める結果となる……
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
エギーユ・デラーズ〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
チベ改級重巡洋艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
デギン・ソド・ザビ〔機動戦士ガンダム THE ORIGIN〕
【地球連邦】
ブレイブ・コッド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79軽キャノン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
トッシュ・クレイ〔ガンダム・センチネル〕
シイコ・スガイ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
第5話:疑念だらけの査察
この時間軸の一年戦争がジオン側の勝利で終結してから5年の月日が流れた。
その間、ルナツー駐在官マ・クベの中将昇進、デギン公王の病死、フラナガンスクール開校とそれに伴うクルスト・モーゼスの怪死、黒い三連星全員免職とそれに伴うマッシュの市長選出馬、ザクの民間払い下げと、ジオン公国は大きく変わった。
そんな中、完全撤退した地球連邦軍宇宙艦隊に変わる宇宙警ら艦隊の必要性を訴えたデラーズは、宇宙世紀0081年8月15日ジオン国慶節にデラーズ・フリートを編成し、ガトー達もデラーズ・フリートに配属された。
だが、宇宙世紀0085年7月、ケリィはどう言う訳か九州のとあるゴーストタウンを訪れていた。
「ここか……本当にここか?」
ケリィは2人の女性と一緒にとある廃ビルを訪れたが、2人の反応は正反対だった。
1人はキィ。
ルナツー攻略戦ではニュータイプの素質を見込まれる形でサイコミュ高機動試験用ザクに乗せられた。その後、キィの年齢を知ったガトーがキシリアの実験台にする訳にはいかないとデラーズに進言。半ば強引に保護する形となった。
当のキィは極度な無表情と抑揚のない喋り方が特徴で、目の前の廃ビルを視てもまったく動揺しなかった。
もう1人はハマーン・カーン。
木星船団の拠点であるアクシズの総括責任者であるマハラジャ・カーンの娘で、彼の意思でデラーズに預けられた。
彼女もニュータイプの素質があるがキィとは対照的に表情が豊かで、豪快で行動的で、女の子らしい可愛い一面も多い。
故に、目の前の廃ビルにある種の恐怖心を抱いていた。
「あのぉー……本当にここを調べるんですか?」
ハマーンの質問に対し、ケリィも疑念を抱いた。
「ソドン隊の調べでは、ここにアマラカマラ商会がある筈なんだ」
そう。
宇宙警ら艦隊である筈のデラーズ・フリートが地球に訪れた理由はアマラカマラ商会を査察する為であった。
切っ掛けは、宇宙世紀0085年6月30日にサイド6のイズマ・コロニー内で発生した巨大モビルスーツテロ事件であった。
表向きは実行犯死亡による捜査難航とされているが、実行犯であるクラン「トゥエルブ・オリンピアンズ」の真の狙いはキシリア暗殺である事は明白であり、非公式の会談だったので本当の事が言えないだけであった。
だが、トゥエルブ・オリンピアンズのスポンサー企業であるアマラカマラ商会には謎が多く、宇宙に居ながらの調査では限界があると判断したラシット中佐がデラーズ・フリートに調査を依頼したのである。
とりあえず問題の廃ビルに入る事にするケリィ達であったが、ハマーンが最も乗り気ではなかった。
(うぅ……なんか……テロリスト以外が出てきそうなんですけど!)
早く廃ビルから出たいハマーンに反し、キィは何かを感じて案内板を触る。
「ここ」
「ん?」
「誰かが何かを剥がした」
「剥がした!?シール跡か!?」
(キィの馬鹿あぁーーーーー!)
ケリィはキィが感じた案内板の異変を、別の場所で待機しているガトーに伝えた。
「案内板にシール跡が在るそうだが、どうする」
それを聴いたガトーは確信する。
「やはりな。キシリア暗殺に失敗した事に気付いた指示役は既に逃走している」
「と言う事は?」
「トゥエルブ・オリンピアンズをクランバトルに参戦させる為のペーパーと視るのが正しいな」
ガトーの予想にケリィは別の意味で呆れた。
「それだと、ユズリハ家の家宅捜索をしているサイド6の軍警察が間抜けに見えるな」
ガトーは少し考えたのち、
「……今回の査察任務を早急に終わらせてしまおう」
最近のガトーにしては熱意に欠ける発言に、ケリィは耳を疑った。
「おいおい!あれだけ大事になった事件に関連する査察だぞ!それを適当って」
だが、ガトーには別の意図があった。
「サイド6の素人共が、連邦軍の卑劣な戦術に勝てると思うか?」
「連邦軍が背後にいるだと!?」
そんな2人のやりとりを聞いていたハマーンはますますサッサと問題の廃ビルから出たかった。
「もう嫌だこの任務ぅー」
とりあえず、キィが発見したシール跡が示す階を重点的に査察する事になった。
「うぅ……やっぱり入るんですね……」
他の2人が普通に扉を開ける中、ハマーンは祈る様な形で気合を入れて扉を開けた。
「は!ふ!ほ!」
「……おい」
ケリィに背後から声を掛けられたショックで大音量の悲鳴を上げてします。
「きゃああぁーーーーー!」
「どうした!?……って、誰もいないではないか。脅かすな」
「脅かしてるのはケリィ大尉の方でしょうが!」
ビビりなハマーンにケリィが呆れる中、キィは淡々と全ての部屋を視て回ったが、目ぼしい物は無かった。
「俺達が遅かったか……それとも、ガトーの言う通りのペーパーだったか……」
そろそろ廃ビルから出られると期待するハマーンだったが、キィは1つだけ気になる事が有った。
「これ、電話?」
無造作に置かれた西暦時代の黒電話に酷似した通信機である。
「何だ?骨董品の様な通信機は?」
(まさか!?その骨董品を調べるの!?)
ケリィが躊躇無く受話器を持ち上げるが、
(変なのに乗っ取られるなんて事、無いですよね!?)
ケリィが望む結果は得られなかった。
「ダメだ……既に機能を失ってる」
(駄目だ……心臓に悪い!)
「結局、ケリィ大尉は目ぼしい物を発見する事は出来ませんでした」
フィリーネ・イステルの報告を聴いたガトーは予想通りだと思った。
「やはり指示役は既に逃げた後か?ま、想定内だ」
それに反して、ボブは嫌そうな顔をしながら目の前の研究所を見た。
「と……なると……」
「当然、あそこも査察しなければならなくなるな。ま、出来ればの話だが?」
待機中のガトー達の前にある研究所……前の時間軸では悪名高い『ムラサメ研究所』として機能しており、投薬や催眠療法などにより被験者を無理矢理『ニュータイプ』に変えてしまう『強化人間化研究』を行っていた邪悪な研究所である。
「確かに……あの研究所は人聞きが悪い噂しか聞きませんな」
ゲイリーの親告にガトーは溜息を吐く。
「だとしたら、あの研究所を綺麗に吹き飛ばして、悪しき実験の餌食になった生贄を弔う花火にしてやりたいが、5年前の休戦条約が未だ有効とあってはな」
ザンジバル級機動巡洋艦のメインブリッジで待機中のヴィリィがそんなガトーを窘めた。
「ガトー少佐、焦る事はありません。待ちましょう。攻勢の時を」
だがその時、ザクフリッパー小隊が数機の不審なMSを発見する。
「何だ?あのMS?」
「連邦系か?こんな所で何を?」
「今直ぐインストーラデバイスの有る無しを確認……」
ジオン公国独自の規則として、MSを民間に払い下げる時は戦闘用のインストーラデバイスを外す事が絶対条件となっており、それを破ったMSのモノアイは赤くなって外観から武装のロックが解除されている事が識別可能となる。
だが、先程も言った通り、この法律はジオンが勝手に敷いたものであり連邦軍のMS払い下げに関するルールについては、お世辞にも丸裸とは言えない状況であった。
しかも……
「ちょっと待て!?このMS、武装しているぞ!」
「落ち着け!この機体は偵察用だ!武器は積んでない!」
「待て待て!ジオンを敵に回す気か!?」
ザクフリッパー小隊が敵意が無い事をアピールすべく両手を上げるが、謎のMS小隊はお構いなしにHWF GMG・MG79-90mmを発砲する。
「偵察隊!アンノウンからの攻撃を受けてSOS信号!」
フィリーネは焦るがガトー達一年戦争生還組はいたって冷静に臨戦態勢をとる。
「どこの馬鹿かは知らぬが、先に引き金を引いてくれたのは好都合だ。アナベル・ガトー、ゲルググJ、出る!」
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
gMS-01JGゲルググJ〔本作オリジナル〕
ケリィ・レズナー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
キィ〔KEY THE METAL IDOL〕
ハマーン・カーン〔アクシズのハマーンさん〕
ボブ〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ビッグ・ガン〔機動戦士ガンダム サンダーボルト〕
ゲイリー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MS-09F/Tropドム・トローペン〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
フィリーネ・イステル〔機動戦士ガンダム戦記Battlefield record U.C.0081〕
ヴィリィ・グラードル〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ザンジバル級機動巡洋艦〔機動戦士ガンダム〕
MS-06E-3ザクフリッパー〔MSV〕
【?】
RGM-79Cジム改〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
第6話:無言と言う名の肯定
ソドン隊のラシット中佐の命を受けたケリィ達は九州にあるアマラカマラ商会を査察するも、既に退去した後であり残されていたのは無人の廃ビルだけであった。
一方、ケリィの帰りを待つガトー達は悪名高いムラサメ研究所を巡回する謎のMS小隊の襲撃を受けていた。
「偵察部隊から送られて来た動画を現在解析中!……早くして」
ついつい本音が出てしまったフィリーネを優しく𠮟るヴィリィ。
「落ち着けフィリーネ伍長。冷静に訓練通りに作業していれば問題は無い」
だが、解析結果は結局『識別不可』だったので、フィリーネはやはり焦る。
「手元にあるデータだけでは解析不能!」
それがかえってガトーの闘志に火を点けた。
「敵は新型機か!?面白い!」
そして、漸く謎のMS小隊がいる現場に到着したガトー達であったが、ゲイリーはその姿に首を傾げた。
「キャノンを失った……アレを軽キャノンと呼んでよいのか?」
前の時間軸の事をまったく知らない者から見たら、目の前の謎のMSはビームキャノンを失った軽キャノンにしか見えない。
だが、この時間軸へと死に戻ったガトーにとっては見慣れたMSであった。
「アレはキャノンを失ったのではない。キャノンを捨てたのだ!」
「捨てた!?接近戦仕様か!?」
謎のMSはキョトンとしているゲイリーに向かって容赦無くビームサーベルを振り下ろすが、ゲイリーが操縦するドム・トローペンがヒートサーベルで受け流す。
「と、言う事は……当然持ってるわな?ビームサーベル。だが!」
すれ違いざまに謎のMSを一刀両断するゲイリー。
「その力量では、キャノンからの卒業は無理だな」
アダムスキーもまた、謎のMSを1機撃破していた。
「こいつら、キャノンを捨てた意味があったのでしょうか?寧ろ、手数が減った印象すらありますが」
それに対してガトーの皮肉が飛ぶ。
「乗り手の力量にもよる。例えガンダムであろうと、パイロットが未熟な内は宝の持ち腐れよ」
だが、ガトーの考えに同感したのは謎のMSとは別のアンノウンであった。
「同感だな!」
「増えた!?」
困り果てるフィリーネに反し、ガトーは冷静にこの時間軸のMS開発の速度について考えていた。
(かつての私が実行した星の屑作戦は0083だったが、今の私が立っている場所は0085。だとすると、シャア大佐のガンダム強奪のせいで連邦のMS開発は2年も遅れたと言うのか!?)
せっかくアンノウンが発言してくれたのだ。ならばこっちも発言してやろうと思うガトーであった。
「ちゃんと言葉が話せるではないか?では何故、我々が放った偵察部隊を攻撃した?」
だが、アンノウンは急に無口になりながらガトーを攻撃した。
「む!?問答無用か!?」
この時、ふと前の時間軸の事を思い出してしまう。
(なんたる短気。これなら、コウ・ウラキの方がまだ紳士的であったな)
だが、コウ・ウラキの事を思い出せたお陰で、ガトーの疑念が確信へと変わった。
「何故語らぬ!?自分の行為を正当化したい者はもっと多弁な筈だそ!私にはその無言、後ろめたい何かが有ると診た!」
それでも、アンノウンも謎のMSも無言を貫いた。
ガトーにはそれが、口が滑って余計な事まで言ってしまう事を恐れている様にしか見えなかった。
「こちら側の偵察部隊の損傷から視てもそうだ。本当に隠し事が1つも無いのであれば、オーバーツーリズムを追い払うかの如く接近してから攻撃する筈だ。だが、貴様らは口より先に手が動いた。それは、目の前の者が敵だと知っている者が行う行為だ!」
しかし、問題のアンノウンを操縦するパイロットの力量がガトーの口数を図らずも減らしていく。
「ちっ!敵にくれてやる耳は持たぬと言う訳か?」
だが幸いな事に、ゲイリーとアダムスキーが謎のMS小隊を壊滅させてくれたお陰で、アンノウンは退却してくれたのであった。
「引き際まで見事か……なら、なおのこと解せん。剣は人の道とも言う。それだけの腕を持ちながら、何故隠し事をしているのがバレバレな無言を貫いた?」
そこへ、アダムスキーが操縦するドム・トローペンがガトーに近付いて来た。
「御無事か?ガトー少佐」
「ああ。今のところはな」
同胞達を安心させつつも、ガトーの目はムラサメ研究所への猜疑心で満ちていた。
「ただ、そのせいであそこの研究所の中身が更に気になってきたな」
「……確かに。MSが警備する程ですからな。連邦はあの施設をかなり重要視しているやもしれませんな」
その後、ジオン公国およびデラーズ・フリート本隊に対してムラサメ研究所への査察許可を求めたが、連邦との調節か上手くいかずにただ待ち続ける事しか出来ないガトー達であった。
ムラサメ研究所にカメラ・ガンを向けたガトー達を奇襲したジム改部隊であったが、返り討ちに遭い、ムラサメ研究所に帰還したのはブレイブ・コッドが操縦するジム・カスタムだけであった。
「先に新型を4機出して、結局戻ってこれたのは後から出た俺だけか。やはり実戦が足りないとダメだな」
「しかも、その内の1機は足だけ壊されてそのままお持ち帰りだそうです」
「……今回来た宇宙人、絶対に一年戦争経験者だろ?」
ガトー達と部下達の場数の差に頭を抱えるコッド。
「やはり付け焼刃だけでは駄目だ。これからはもっと模擬戦などの実技の時間を増やして貰うとしよう」
そこへ、ムラサメ博士がやって来て、
「そんな事より、我々の研究成果が盗撮される事など無いよな!」
コッドは危うく舌打ちしかけた。
(パイロット候補の鍛え直しより貴様の研究の方が大事かよ!)
ただ、何か言わないと本音が出そうなので、今後やるべき事を淡々と告げた。
「今回の盗撮騒ぎに関する苦情・文句をジオン公国に申し上げる必要があるかと」
予想外かつ想定外の黒幕の名を言われて狼狽える狂乱するムラサメ博士。
「じ、ジオンだと!?奴らは既にグラナダにフラナガン機関を持ってるだろ!何で今更!?」
コッドは完全に呆れてしまった。
(あのバカガキがヘマしたからに決まってるだろ!だから、あんなガキじゃなくて俺がイズマ・コロニーに往くべきだったんだ!)
キシリアとペルガミノが秘密裏に会談を行う事が判明した事によるキシリア暗殺計画が持ち上がった際、コッドは喜んで実行役に立候補したが、サイコミュ搭載機を操縦出来ないと言う理由だけで落選。
「え!?」
(えぇーーーーー!?)
そして選ばれたのは、本命としてドゥー・ムラサメ。クランバトルのルールを利用した同行補欠および現場指揮官としてオーガスタ基地所属のゲーツ・キャパ中尉が選ばれた。
2人共地球連邦軍のニュータイプ研究所出身であり、絶対にシャアの赤いガンダムやシャリアのキケロガを意識し過ぎてる選定に、コッドは場数や経験値を軽視された事への怒りで珍しくヤケ酒をした。
しかも、計画翌日から問題の2人からの連絡が途絶え、何故かアマテ・ユズリハが国際指名手配され、
「こいつ誰!?」
肝心のキシリアに関するニュースは一向に流れなかった……
以来、元から職人気質だったコッドはバスク少佐などが推し進める強化人間計画に猜疑心を抱く様になった。
「……そもそも、あんな怪しげな薬やVRだけでエースパイロットに熟れるなら、誰だって苦労しねえよ」
コッドは今回のムラサメ研究所警護に関して少し気になる事が有った。
「あの時、やたらと口喧しい奴が言ってたな?自分の正当性に自信があるなら、もっと口を使えと……」
そして疑問に思う。
「黙秘って何だろうか?」
(隠蔽工作は解る。軍事においてとても重要だ。でも黙秘って、何だろう)
例えば警察に逮捕された場合。
(黙秘したところで、警察が証拠を掴んでしまった時点で隠蔽した事にはならない。いや……黙れば黙る程、警察の質問はしつこくなる……意味あるのかこれ?)
考えれば考える程、コッドは沼にはまる。
(あいつの言う通り、何も言わな過ぎてかえって怪しまれてないか?かと言ってあいつの様に口喧し過ぎると……?……あれぇー!?あいつ大事な事言ってたっけえぇー!?ん…んんーーーーー……あいつ、なんだかんだで正体明かしてないぞ?そうか!あいつ、自分の主義主張だけ言って隠蔽すべき事は何も言ってないのか!?)
「そっ……そーか……あいつは自分の語彙力から言える言葉をちゃんと割り振っていたのか……」
(冷静に考えるとアレだな……俺って鈍ったな……)
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
gMS-01JGゲルググJ〔本作オリジナル〕
ゲイリー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
アダムスキー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MS-09F/Tropドム・トローペン〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
フィリーネ・イステル〔機動戦士ガンダム戦記Battlefield record U.C.0081〕
ヴィリィ・グラードル〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ザンジバル級機動巡洋艦〔機動戦士ガンダム〕
【地球連邦】
ブレイブ・コッド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79Nジム・カスタム〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ムラサメ博士〔機動戦士Ζガンダム フォウ・ストーリー そして、戦士に…〕
ドゥー・ムラサメ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ゲーツ・キャパ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
RGM-79Cジム改〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
第7話:待つ者、待たされる者
予想されていた事とは言え、何時まで経ってもムラサメ研究所査察命令が下りない。
これだけでガトーの疑念は確信に変わる。
(ムラサメ研究所は間違いなく何かを隠している。それに、先に仕掛けたのは向こうとは言え我々はあれだけのMS戦闘を行って捕虜まで捕らえ、しかも戦死者まで出ている。なのに何故、私への苦情が一向に来ない!?)
何かを隠す為に先程の戦闘に巻き込まれた者達を無視した。
ガトーにとってはこれだけで不義だと感じた。
無論、ガトーだって『敵を欺くにはまず味方から』の意味を知らぬ程の馬鹿ではないが、それにしたって、ムラサメ研究所の敗北した警備兵に対する塩対応は、敵ながら不快に思う。
寧ろ、先制攻撃したのはガトー達の方だと嘘を吐いて先程のMS戦闘を非難する可能性まで考慮したのにである。
「あのなぁ!ここはジオン公国じゃないっ!ケッ!」
ガトー達に悪態を吐く捕虜を見て、最初こそ怒りが湧いたが、今は捨てられた駒の不憫さを醸し出してさえ見え、気の毒ですらある。
だが、強気でジオンの悪口を言う捕虜の姿を見て、この場で全てを暴露する気にはなれなかった。
前の時間軸でコウに言われた事がそれを阻むのだ。
『ガトー!俺は決着をつけるまで、お前を追い続ける!』
そして結局、
「安心しろ、我々には条約に従う義務が有る」
ガトーが言えたのは、それだけだった。
(ムラサメ研究所め……許さん!このアナベル・ガトーの目が黒い内は、いつまでも大義に反する邪な行為を続けられると思うな!)
とは言え、勇み足による勘違いのせいでユズリハ家に捜査の目を向けるサイド6の介入が始まる前に終わらせたかったガトーの思惑とは裏腹に、ラシット中佐を納得させる査察結果を得るのに日数が掛かり過ぎている以上、これ以上の艦中泊生活はあまり得策ではなく、施設が整った基地への停泊を余儀なくされた。
「とりあえず、ラサ基地のガルシア少将に連絡を入れておきますね」
「頼む」
ラサ基地。
一年戦争の際にジオン軍が制圧し、工廠施設を備える秘匿性の高い軍事施設へと改造されたエリアである。
その後、当時の司令官であるギニアス・サハリンが工廠を私物化してしまいアプサラスシリーズ開発を強行するが、シャア大佐のガンダム強奪事件を契機にMS開発は刷新され、ギニアス自慢のアプサラスIIIは日の目を見る事無く開発中止となり、どうにか完成させたアプサラスII試作1号機もビグ・ザム量産化計画の生贄になったと言っても過言ではない酷な扱いを受けてしまい、それ以降、アプサラスシリーズの責任者であるギニアスを見た者はいない。
そして、ギニアスに見捨てられたラサ基地はガルシア・ロメオに手に渡り、休戦協定によってジオン軍が残された地球での拠点をそのまま運用出来る事になったのでガルシアはそのままラサに滞在しているのである。
因みに、ギニアスを失ったラサ基地司令官の最初の候補にユーリ・ケラーネが上がっていたが、当人が今後の戦局は宇宙に移行すると読んでア・バオア・クーへの左遷を要求したので、次点候補であるガルシア・ロメオが選ばれたのであった。
ラサ基地に到着するやいなや、ヴィリィが早速ガルシアに謁見した。
「先程も申し上げた通り、デラーズ・フリートの一部部隊が次の査察任務が訪れるまで御基地に滞在させていただきます」
「ん」
「これが、総統府に送信した査察要請書です」
ヴィリィからタブレットを受け取ったガルシアが要請書の内容を確認する。
「ん……これはぁー、気長にやった方が良さそうだな?」
「我々にその意思はありません。要請が通り次第、直ちに出発させていただきます」
ヴィリィの主張に対して溜息を吐くガルシア。
「だが、相手はあのムラサメ研だ。連邦の連中は、ムラサメ研の中を俺達ジオンに1度も魅せていない」
「だからこそ怪しいのです。査察の必要有りと思われます」
ムラサメ研究所の査察を諦めないヴィリィの一本気な頑固さに諦めの溜息を吐くガルシア。
「はぁー……永い戦いになるぞ。気長にやれ」
ヴィリィの肩を叩きながら去ろうとしたガルシアであったが、直ぐに言い忘れていた事を思い出して再びを口を開く。
「あ。そう言えば、お前らは未登録のMSを鹵獲していたな?」
「は」
「なら、この基地で解析させて貰うぞ」
「心強い限りで」
一方、ガトーはムラサメ研究所周辺から鹵獲したMSの解析を見物していた。
「どうだ?そのMSから何か出たか?」
「出過ぎです。使用しているインストーラデバイスはWG-X22100どころかV-440ですらありませんよ」
「では、何者かが新しいインストーラデバイスを組み立てたと言うのか?」
「それどころか、フロッピーディスクまで出てきましたよ」
「しかも、足が無いから確定とは言えませんが、攻撃力と装甲以外は軽キャノンより優れてるかもしれません……この機体、どこで拾って来たんですか?」
ガトーは頭を掻きながら告げる。
「それはこっちが知りたい。その為にムラサメ研究所査察を何度も要望してるのだがね」
その時、モニターにリムジンが発進する姿が映った。
「ん?誰がどこへ向かっているのだ」
今度は整備兵達が頭を抱えた。
「……カバスの館す」
『カバスの館』に卑猥な何かを感じたガトーも頭を抱える。
「そいつの位はどのレベルだ?事と次第によっては、部下共に示しが付かんぞ……」
とことん生真面目で一本気なガトーであった。
ド・ダイYSに乗ってラサ基地を警備しているゲルググが、ガルシアがカバスの館に遊びに行ったのを確認して密かに呆れた。
「けっ!あのおっさん、またかよ」
「物好きっすよねぇ。あの人」
「物好き、じゃねえよ。こっちの身にもなって欲しいぜ。連邦軍はもう襲ってこないとは言え、いつ何が来るか解んねぇって言うのによ」
「仕方ないっすよ。俺達下っ端なんで」
「だからって……どうせガルシアの無精髭野郎、ああでもしないと女を抱けないんだろよ」
そこへ、隊長格のゲルググがやって来た。
「そこの見張り、何をぺちゃくちゃと喋ってる?」
「は!何でもありません!」
「あ、この人が、ガルシア少将は女にモテないから風俗通いしないと女とヤれないって」
「え?言っちゃう?ね、セバちゃん!全部、言っちゃう?しかも、ちょっとなんか、ハードな仕上がりにしてない?」
「それ……上官冒涜罪として報告してやろうか貴様ら?」
「いや、冗談です!やめて!お願いだから!」
そんなやりとりを、ブレイブ・コッドは悔しそうに遠くから観ていた。
「ちっ!宇宙人どもめ……」
「ですが大尉、そこから先はジオン領ですよ」
「知るかそんなの!ここは地球だぞ!」
コッドは5年前の休戦協定により地球に残っているジオン軍の拠点に手も足も出せない状況を苦々しく思っていた。
対する連邦政府の私服警官はコッドを宥めるのに必死であった。
「ダメです大尉。こっから先でトラブルを起こしたら、ジオンが何をしでかすか分かりませんよ」
「望むところだ!今度こそ宇宙人共を1匹残らず捻り潰してやる!」
「ダメですって!下手にジオンを刺激し過ぎてブリティッシュ作戦の様な惨劇がまた発生したら、誰がどう責任を取るんです?」
「その前に!この俺が―――」
「ダメですってば!」
連邦政府の私服警官達がコッドを抑えきれない状況に追いやられかけた時、トッシュ・クレイがコッドがある報告を告げにやって来た。
「コッドさん。そんな事よりあの裏切り艦が大気圏に接近中との事だ」
「裏切り?……ソドンか!?」
「ああ。このままだと、その裏切りのソドンが地球に降り立つなんて事も有り得るぞ」
「つまり、こんな所で遊んでいる暇が有ったら、さっさと戻ってさっさと返り討ちの準備をしろと言う事だな?戻るぞ!」
去って行くコッドの背中を視たトッシュは、私服警官達にウインクした。
「な、コッド大尉はこうやって制御するのだ」
寧ろ私服警官達の困惑と狼狽が更に悪化した。
「いや、コッド大尉はソドンを墜とそうとしてますよね?寧ろもっとハードな仕上がりになってますよね?」
その日の夜、ラサ基地は忙しかった。
「何!?ソドンがインド洋に降臨するだと!?」
「は!何でもシャロンの薔薇の発見のめどが立ったとの事です!」
ソドンと言えば、連邦軍が企てた宇宙要塞ソロモン(コンペイトウ)をジオン配下の月面都市グラナダに落下させる計画を破綻させてグラナダを死守した伝説艦だ。
その際、ゼクノヴァを発生させてソロモンの3分の1を消失させて最悪の事態を回避したシャア・アズナブル大佐は、この日を最後に戦闘中行方不明となった挙句、17バンチ事件に関わったテロリストの組織名として利用されてしまった。
また、ガトー達が地球に降り立つ切っ掛けとなったサイド6のイズマ・コロニーで発生した巨大MSテロ事件でも、単独での敵機撃破は叶わなかったとは言え、最後まで戦い抜いてキシリア・ザビが戦場と化したイズマ・コロニーからの脱出に一役買った奮闘艦でもある。
そんなもう博物館行きになってもおかしくない伝説艦がもう直ぐ地球にやって来るのだ。
しかも、シャア大佐の元M.A.V.にしてイズマ・コロニーで発生した巨大MSテロ事件の実行役2人を撃破したシャリア・ブル中佐を伴ってである。
位の低い一般兵にとってはある意味雲の上の連中がやって来てくれるのだ。緊張しない方がおかしいとも言える。
ガトーは溜息混じりに言う。
「明日は朝から忙しくなるぞ」
故に、ガルシアが慌てて伝えたカバスの館放火事件はほぼ忘れ去られ、カバスの館放火事件とソドン隊によるシャロンの薔薇奪還が1人の少女の手によって繋がってしまった事に気付く者は、ラサ基地の中にはいなかった……
一方の連邦軍もソドンがインド洋に向かっている事をキャッチした。
「宇宙人共に尻尾を振ったあの船……今更何しに地球にやって来た?」
コッドはイライラしながら出撃準備を整える。
しかし、ソドン隊が地球に訪れた本当の目的までは見抜けなかった。
シャロンの薔薇は宇宙世紀0079年6月、まるでフラナガン機関設立を見越したかの様にシスルナ空域に突如現れ、ジオン公国軍突撃機動軍が連邦軍に発見される前に回収した謎多きMAである。
だからこそ、連邦軍はMSの運用ノウハウだけでなくサイコミュの運用ノウハウもジオン軍より数段も出遅れたのである。
だが、ジオン軍はそんな肝心なMAをコンペイトウ落としによるグラナダ破壊作戦(第2次ソロモン会戦)の最中に謎の紛失を行ってしまったのだ。
故に、連邦軍は今回のソドンがインド洋に降臨する事態の理由を事前に知る術が無かった。
ただ、この後行われる筈のソドンとの戦いがこの時間軸の歴史に大きく作用する事は既に明らかであった。
「何しに来たかは知らんが、無傷で宇宙に帰れると思うなよ裏切り者。明日は朝から忙しくなるぞ」
明日に備えて気合を入れ直すコッドであった。
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ヴィリィ・グラードル〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ザンジバル級機動巡洋艦〔機動戦士ガンダム〕
ガルシア・ロメオ〔機動戦士ガンダム THE ORIGIN〕
軍用リムジン〔機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〕
シャリア・ブル〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ペガサス級強襲揚陸艦ソドン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ド・ダイYS〔機動戦士ガンダム〕
【地球連邦】
ブレイブ・コッド〔ガンダム・センチネル〕
トッシュ・クレイ〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79Cジム改〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
第8話:ソドン降臨!
ソドン隊がインド洋に沈んだシャロンの薔薇を回収するのを手伝うべくズゴックEに乗せられたガトーは少し不安だった。
「本当に良いのだろうか……こんな素人をこんな大仕事に抜擢して」
「誰の事を言ってます?」
「私だ」
通信手達は鼻で笑った。
「ガトー少佐が素人?御冗談を―――」
「宇宙戦と地上戦なら飽きる程行った自負はあるが、水中戦は今回が初めてだった気がする」
食い気味にガトーが答え、通信手達は面食らった様な顔をした。
「……え?」
「まったく覚えてない」
ガトーはいたって真面目に答えている。
「ん、ちょま、ちょ待って?え、初めて?」
「ユーコンに乗った覚えはあるが、そのくらいだった筈だ。私の水中戦経験は」
通信手達が動揺の声を上げた。
「ちょっと待って!え、そのユーコン内で何してたんですか?」
「アフリカのキンバライド基地に向かっただけだ」
「ちょちょちょ、その時に連邦の水中用に襲われたんですよね?」
「記憶に無い」
「バカなのか。え、え?バカなのか?敵の潜水艦を素通りにしてどうすんだ」
言われてみて改めて連邦軍の腐敗と劣化に呆れるガトー。
(確かに前の時間軸はほぼすんなりキンバライド基地に辿り着けたな……)
「こうも呑気とはな。こんな奴らと戦っていたとは」
そこへガルシアの怒号が飛ぶ。
因みに、彼は前日の放火事件のせいで暫くカバスの館に行けなくなったのでイライラしていた。
「何を呑気な事を言っとるか!この作戦に失敗したらラサ基地の命運そのものが傾くと思え!」
「だからこそ、素人に関わらせる訳にはいかないのです」
「素人!?誰の事だ!?」
「自分です。少将」
ガトーの白状に対して笑い飛ばすガルシア。
「貴様が素人だと?がはは!そんなまさかぁー」
ガトーは、増えすぎた名声が足枷になる事もあると思い知ったのであった。
ガトー達がインド洋に到着した時には、ソドンも既にインド洋に到着していた。
「はあぁー……これが、シャア大佐が勝ち取り運用した伝説の戦艦かぁー……」
一年戦争終結後に入隊した新兵が惚けている中、ガトーは別の意味で感慨深かった。
(まさか……この私があの憎き白い木馬の味方になろうとはな……)
確かに、前の時間軸のガトーはペガサス級強襲揚陸艦には良い思い出が無かった……
前の時間軸のU.C.0079.10.04。
ガトーとシン・マツナガがソロモン司令部に呼び出された。
「ドズル閣下、どの様な用件で?」
「すまんな2人共。俺は、しばらくソロモンを離れてサイド3に戻らねばならん」
それを聴いたマツナガが首を傾げる。
「ドズル閣下が!?それはどう言う事です!?」
それに対し、ドズルは涙声で残念そうに呟いた。
「……本当は大きな声で言いたくはないが……ガルマが……死んだ……」
ガトーもマツナガも驚きを隠せなかった。
「ガルマ!?……あのガルマ様がですか!?」
「く!?……無念!」
対するドズルは気丈かつ淡々と語る。
「それに、親父はガルマの事を心底可愛がっていたからな……親父の事も心配だ」
「デキン公王が何をすると?」
「それはまだ解らん……が、ほっとく事も出来ん。だから俺は、サイド3に戻る。ソロモンの護り、お前達に任せた」
そう言ってソロモンを離れたドズルを見送り、ガトーは直ぐに通信手に事情を問いただした。
通信手の話によると、シャア・アズナブル少佐(当時)が9月18日にサイド7、1バンチで発見した地球連邦軍の新型戦艦と新型MSを何度も追撃し、ルナツー、大気圏、更に北米などで何度も強襲を行い、ニューヤークでガルマ大佐率いるガウ部隊と挟撃する運びとなったが……
「そのまま返り討ちに遭ったと……」
愕然とするガトーであった。
そして、U.C.0079.10.06。
ガルマの戦死は、ギレンが全地球規模の演説を行う形で知れ渡る事となる。
「我々は1人の英雄を失った。しかしこれは、敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!地球連邦に比べ、我がジオンの国力は30分の1以下である。にも拘らず、今日まで戦い抜いてこられたのは何故か?諸君!我がジオン公国の戦争目的が正しいからだ!一握りのエリートが、宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して50余年。宇宙に住む我々が自由を要求して、何度連邦に踏みにじられた事か!ジオン公国の掲げる人類1人1人の自由の為の戦いを、神が見捨てる訳は無い!私の弟、諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ!何故だ!?この悲しみも、怒りも、忘れてはならない!それをガルマは、死をもって我々に示してくれたのだ!我々は今、この怒りを結集し、連邦軍に叩きつけて、初めて真の勝利を得る事が出来る。この勝利こそ、戦死者全てへの最大の慰めとなる!悲しみを怒りに変えて、立てよ国民!ジオンは諸君らの力を欲しているのだ!ジーク・ジオン!」
このギレン総帥の演説を、ソロモンで怒りに身を震わせながら聴いていた者も存在していた。ガトー大尉(当時)もその人である。テレビ画面に向かって敬礼する姿がそれを物語っていた。
だが、この時間軸ではガルマの戦死は回避され、当のガルマはニューヤークの市長選に出馬する為にジオン軍を退任した。
この時間軸に死に戻ってからのガトーがその事実を知った時、たった1隻の敵艦の運命が変わるだけでこうも世界は変わるモノなのかと自虐的に笑った。
そんな……たった1人の英雄の運命が変わるだけで世界の歴史が大きく変わる事実への怒りに身を震わせる者も存在していた。
この時間軸の連邦軍にとって、U.C.0079.09.18は最悪の厄日だった。
レビル将軍ら改革派が大艦巨砲主義にこだわり続ける反対勢力を振り切り、ジオン軍のMSに対抗するためのV作戦を4月1日に発動。MSの開発を主とするRX計画と、一週間戦争及びルウム戦役で失われた艦隊を再編成する為の建艦計画であるビンソン計画を同時進行させ、戦力の増強と一大反攻作戦のチャンスを狙っていた。
この様に連邦軍は独自のMSを開発する一方、鹵獲ザクを運用した特殊部隊を編成し、各地のジオン軍補給拠点を襲撃。7月には極東方面に第1機械化混成大隊(通称コジマ大隊)が設立され、連邦軍のMS運用体制は整いつつあった。
しかし……
「しかし呆れるな……コックピットを解放したままとは」
9月18日、地球連邦軍唯一の宇宙基地であったルナツーに近いサイド7にて、極秘にテストを行っていた地球連邦軍の試作MS群が、シャア・アズナブル少佐指揮下のザク偵察部隊に発見され襲撃を受ける。
その挙句、試験のため稼働待機状態にあった試作MS『ガンダム』にシャアが咄嗟の判断で乗り込み、
「名は……ガンダム。連邦らしい俗っぽい名前だ」
出撃したガンキャノン1機を撃破。更に欲張ったシャアはペガサス級強襲揚陸艦まで遠慮無く強奪した。
シャアの『やりやがった』の影響は凄まじく、RX計画が投入した資金に見合う成果を上げる見込みが無いと糾弾した保守派が危うくビンソン計画に全振りしかけるなどの混乱が渦巻き、その間にジオンと連邦の兵器性能差が更に広がってしまった。
そして……
「何であんな所にジオンのマークが……」
ジオンに制圧されたグラナダを監視していた偵察部隊が発見したのは、シャアに強奪され破損部の修復と塗装変更を経て『ソドン』へを豹変したペガサス級強襲揚陸艦の姿であった。
以来、連邦軍はソドンの事を『裏切り艦』と呼んだ。
地球連邦政府とジオン公国との間に休戦条約が締結してから5年後の宇宙世紀0085年。
第2次ソロモン会戦のさなかに行方不明となったシャアの捜索の為に宇宙を彷徨っていたソドンが、アマテ・ユズリハが地球に逃走した事を契機に遂に発見されたシャロンの薔薇を回収する為に地球に降臨しよとしているのだ。
だが、シャロンの薔薇の存在を知らない連邦軍は、地球に降臨しつつあるソドンの真の狙いを測りかねていた。
「裏切り者が……今更何しに地球に来た!」
ソドン降臨に連動する様にラサ基地で待機していたジオン軍水中部隊が慌ただしく動き出した事も、連邦軍の一部の過激派の猜疑心を刺激した。
「ジオンめ!自分勝手な事をしやがって!」
「あいつら、地球はもう自分達の物だと勘違いしてやがる」
「図々しんエイリアン共め。くそ!」
そんな中、地球に降臨しつつあるソドンをモニター越しに悔しそうに観ていたコッドに話しかけようとしている人物がいた。
「やあ。随分悔しそうだね君?」
「誰だ!?」
コッドはあまりに悔しさに声を荒げてしまったが、声を掛けた人物が誰かを知って直ぐに恥た。
「貴方は……失礼しました!」
謝罪代わりの敬礼を行うコッドに対し、その人物は穏やかかつ冷静に宥めた。
「構わんよ。今はただの校長だ」
彼の名は『ブライアン・エイノー』。
一年戦争時は連邦軍宇宙艦隊提督を務めていた高官であったが、対ジオン強硬派、いわゆるタカ派であり、最後まで休戦ではなく「ジオン討つべし」と主張した為に、休戦中は高等士官学校の校長という閑職に回されていた。
「それより……悔しいかね?あの裏切り者が未だに地球の空を我が物顔で闊歩しているのが」
その質問がコッドの台詞をまたしても荒げた。
「恨みしかございません!」
それを聴いたエイノーはニコリと微笑む。
「そうかね……なら、ちょっと面白い物を魅せてやろう」
コッドはエイノーの意図が解らず、ただただ首を傾げながらついて行くと、1機のMSに辿り着いた。
「な!?……ガン、ダム……」
コッドの驚きに対し、エイノーは子供の様に笑った。
「ははは。君もそう見えるかね?」
「……はい?」
「残念だが、これは単なるそっくりさんだよ」
「……そっくりさん?」
「RGM-79N/GHガンダム・ヘッド。ジム・カスタムの頭部とカラーリングをガンダムタイプのものに換装した機体だ。ガンダムの名声によるジオンに対する心理的影響を意図したドッキリだよ」
エイノーはジオン撃破をまだ諦めていないと読んだコッド。
「そのそっくりさんに乗って例の裏切り者に会え、と?」
対するエイノーは遠回しに肯定した。
「察しが早くて助かるよ」
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MSM-07EズゴックE〔機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争〕
ガルシア・ロメオ〔機動戦士ガンダム THE ORIGIN〕
ペガサス級強襲揚陸艦ソドン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ドズル・ザビ〔機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE〕
シン・マツナガ〔機動戦士ガンダム U.C. ENGAGE〕
ギレン・ザビ〔機動戦士ガンダム〕
シャア・アズナブル 〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
RX-78-02白いガンダム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【地球連邦】
ブレイブ・コッド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79N/GHガンダム・ヘッド〔機動戦士ガンダム サンダーボルト〕
ブライアン・エイノー〔ガンダム・センチネル〕
ヨハン・イブラヒム・レビル〔機動戦士ガンダム〕
RX-77-02ガンキャノン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ペガサス級強襲揚陸艦〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【?】
シャロンの薔薇〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
アマテ・ユズリハ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
第9話:嵐直前
「ワイヤーの設置、完了しました」
「よし。ではゆっくり上昇だ」
ソドンが吊り下げたワイヤーをゆっくりと巻き上げながらゆっくりと上昇する。
その様子をマッド・アングラーの甲板から見届けるコモリとシャリア。
「シャロンの薔薇がこんな所にあったなんて」
「マチュ君には礼を言わなければなりませんね。お陰で探し物が見つかりました。キシリア様にも良い報告が出来る」
(その目論見で(アマテ・ユズリハの)好きにさせてたの、か?)
そして、海から1機のMAが引き上げられた。
「あ、屈折して見えます」
その理由をシャリアはこう推測する。
「この宇宙では不安定な状態なのでしょう。これは我々の作った物ではないのです。開発中止となり、結果的に建造されなかった、特殊なMAです」
ただ、この推測自体が言った本人ですら疑問を抱かざるおえなかった。
「何故それが、我々の目の前にあるのか?」
そんなシャリアの疑問に質問で答える者がいた。
「あの子は『誰が乗っているのか』と訊ねていました」
その質問に感心するシャリア。
「流石新世代のニュータイプ。そこにも気付いていましたか」
そして、シャリアは謎のMAのコクピットを睨んだ。
「時間凍結されたままのシャロンの薔薇の内部には、今も1人の少女が眠っている。あれは恐らく、向こう側からやって来たニュータイプ……」
シャリアが思い出すは、第2次ソロモン会戦の最終局面でのシャアと何者かとの不可解な会話。
ソロモンに閉じ込められた赤いガンダムに搭載されたサイコミュが誤作動を起こした。
「サイコミュが反応している。これは私ではない。一体、誰の精神に反応しているんだ?」
その途端、グラナダに落下しつつあるソロモンが突然発光する。
「どうした!?何が起こってるんだ!?」
「発光の原因は判りません。爆心地は……赤いガンダム」
その直後、シャリアの耳にララァ音が響く。
「何なのだ、この声は?サイコミュを通じて聞こえているのか?」
だが、今はソロモンに閉じ込められたシャアの安否確認の方が先だった。
「大佐!何が起こっているのですか!?大佐!」
シャアはシャリアの通信には答えず、謎の声への質問に終始した。
「何者なのだ?お前は?向こう側から来たと言うのか?」
(誰と話しているのだ?向こう側とは何だ?)
「大佐!早く脱出を!ソロモンはもう落ちます!」
「何と言う事だ……時が……見える」
それを最後に、シャアはソロモンの3分の1を道連れにゼクノヴァの中へと消えた。
(大佐も、ソロモンで同じ少女を見たのですね?)
シャリアの言う『向こう側』と言う単語にガトーは自虐的な微笑みを浮かべた。
(もし、この私が死に戻ったと言ったら、シャリア中佐は何と言うのであろうな)
それだけじゃない。
ガトーが知る前の時間軸のガンダムは……ジオンの敵だった。
サイド7遭遇戦から脱出できたホワイトベースとガンダムは、シャアの追撃から逃れつつ世界各地を転々とし、ガルマ・ザビ、ランバ・ラル、黒い三連星などのジオン側の重要人物を次々と殺され、連邦軍はガンダムから得た戦闘データを使って独自のMS開発・量産に成功してしまう。
前の時間軸のジオンは、ガンダムに真綿で首を絞められる形で敗北したのだ。
そのガンダムがこの時間軸ではシャアの活躍によってジオンの味方となっている。
前の時間軸でトリントン基地からガンダム試作2号機(サイサリス)を核弾頭ごと強奪したガトーですら驚きを隠せない展開だった。
「ガトー少佐」
「う!?」
不意打ち気味にシャリアから通信が入ったのでドキッとするガトー。
「すまん。シャリア中佐、どうなされた?」
「少し……彼らを引き付けてくれませんか」
ガトーは、これは敵に出現を意味していると悟った。
「ただし、地位協定の許す範囲内で、だったか?」
「そうです。出来る事なら、先の大戦の様な大規模な戦争は起こしたくないのです」
恐らくそれがシャリアの本心だろうとガトーは思う。
実際、連邦軍との戦いを短期で終わらせたかったジオンは、スペースコロニーをジャブローにぶつける『ブリティッシュ作戦』を強行し、その結果、55億人もの人命が失われ、本来ブリティッシュ作戦とは無関係だった筈のシドニーを消滅させて湾に変えてしまったのだ。
ジオンの中にもブリティッシュ作戦に否定・反対する者もおり、ドズルに至っては、
「俺は……何億人ものミネバを殺した」
と狼狽し号泣する程であった。
その様な惨劇はもう懲り懲り……それがシャリアの本心だと、ガトーは信じたかった。
「ガトー少佐……」
どうやら、キィもシャリアが見つけた敵の存在に気付いている様だ。
「了解しましたシャリア中佐。キィ、その怪しい部分に案内してくれ」
「解りました」
「ただし、これはあくまでソドン直掩任務の一環。ソドンとシャロンの薔薇が無事にラサ基地に到着した時点で我々の勝利だ」
ガトーの作戦説明を受けたズゴック達が一斉に敬礼した。
「はっ!」
時間を少しだけ巻き戻して、ソドン襲撃予定の連邦軍MS小隊の準備の様子をお伝えする。
コッドが頭部とカラーリングをガンダムタイプのものに換装したジム・カスタムに関する説明を受けていた。
「こちらの機体が使用するビームライフルはボウワ・XBR-M-82Aと言い、Eパック方式を採用しております」
「Eパック?」
「ビームライフル用マガジンとでも思っていただければよろしいかと」
「一応、長期戦の事も考えての兵器選択と言う訳なのだな?」
「それだけではありません。銃身下部に緊急防御用小型ビームサーベルが搭載されております。我々はこれを『ジュッテ』と呼んでおります」
「で、そのビームジュッテを攻撃に転用する事は可能か?」
「出来ません。あくまで敵の近接攻撃を捌くのが目的なので」
「つまり盾と言う訳か」
「盾と言えば、伸縮ギミックを搭載したこちらの盾には、先程申し上げたEパックを2つ搭載出来ます」
「なかなか考えられた機体だな?その場しのぎで良い所取りしようとした軽キャノンとは大違いと言う訳か」
コッドの嫌味な皮肉にトッシュが呆れた。
「お気持ちは解るけど……」
と言いかけて自分が言おうとしていた台詞に疑問を抱いたトッシュ。
「……どの道、敗北したのでは意味が無いか」
2人の言い分に整備兵達が狼狽え困り果てた。
「ちょっと待ってくださいよぉー!こっちだってザクやゲルググに負けない新兵器の開発に尽力しているのですから―――」
「だが、我々は間に合わずに敗けた。違うか?」
食い気味に言うトッシュの図星に、整備兵達はあんぐりと口を開けた。
「結局、戦場では結果が全ての様だな?」
整備兵達は返す言葉を失い困惑する。
「お……俺達がしてきた事って……いったい……」
そんな整備兵達を無視して、トッシュが今回のソドン襲撃作戦の説明をする。
「コッドさん達は途中までスードリで移動、スードリが投下ポイントに到達した途端に空中に投げ捨てられる形となり、そこからは完全に陸路だ」
「これだけ苦労して負けたら、俺も笑いものだな」
「ただし、制限時間はこちら側にある。ラサはほぼジオン領。そこに入られたら、我々は再びソドンに手が出せなくなる」
コッドは自信満々に鼻で笑った。
「ふっ……十分!」
トッシュがスードリのメインブリッジに乗り込む。
「出撃だ!あの忌々しい裏切り艦を、今度こそ藻屑にしてやれ!」
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MSM-07EズゴックE〔機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争〕
キィ〔KEY THE METAL IDOL〕
MSM-07ズゴック〔機動戦士ガンダム〕
シャリア・ブル〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
MAN-03キケロガ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
コモリ・ハーコート〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
マッド・アングラー〔機動戦士ガンダム〕
ラシット〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
オシロ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ドレン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ペガサス級強襲揚陸艦ソドン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
シャア・アズナブル〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
gMS-α赤いガンダム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【地球連邦】
ブレイブ・コッド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79N/GHガンダム・ヘッド〔機動戦士ガンダム サンダーボルト〕
トッシュ・クレイ〔ガンダム・センチネル〕
ガルダ級超大型空中輸送機スードリ〔機動戦士Ζガンダム〕
【向こう側】
シャロンの薔薇〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【?】
アマテ・ユズリハ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
第10話:ソドン争奪戦(前編)
キィがガトー達ズゴック部隊を敵部隊がいると思われる場所に案内していると、
「目の前の輸送機が何かを投下した様ですね?MSの様です」
「機体確認!」
「やってます!……こちらのデータバンクには入ってない様です」
ガトー達がもたもたしている間に、スードリから投下されたMS小隊の1機がソドンがいると思われる方向に向けてビームキャノンを発射した。
「あの一撃は軽キャノン!?いや、2本だからガンキャノンか?」
「だとしたらおかしいぞ!?どちらもジオンのデータバンクに入ってる筈だ!」
焦る部下達に対してガトーが一喝。
「はやるな!まだ遠い。脅しだ!」
ソドンとシャロンの薔薇がラサ基地に到着した時点でガトー達の勝利なのは解っている。だが、焦りは禁物だ。謎のMS群の攻めに乗じて、攻撃に転ずる。
ガトーはその機を正確に読むべく、集中していた。
「ソドンの(ラサ基地)到着まで、あとどれくらいだ?」
「残り……200㎞を切りました!」
「その200㎞が永くなりそうだな?」
一方、言われるがままビームキャノンを発射したジム・キャノンIIのパイロットであるジョッシュ・オフショーが、命中しなかった事を悔やんだ。
「くっそ!かすりもしねえ!」
しかし、コッドは冗談交じりで宥めた。
「落ち着け。今のはただの挨拶。脅しだ」
とは言ったものの、その挨拶代わりの1発が悪手になる予感がした。
(ただ、宇宙人共が思ったより冷静だったのは予想外だな。もっと慌てて、こちらの方を向くか、急に速度を上げて下にぶら下げている物を落としてくれたら面白かったのだが)
そして、ファスト・サイドが慌ててコッドに報告した。
「ソドンのラサ到着まで、残り200㎞を切った!」
「逃げる裏切り者は追撃者の都合を無視って訳か」
ここでコッドは決断した。
「強行突破する。全機、飛べえぇー!」
コッド達が森から飛び出し、謀らずも結果的にガトー達を飛び越え様とする。
その中に、見慣れたMSによく似たMSが混ざっている事に驚くジオン兵達。
「え?ええっ!?」
「何かあっ!?」
「ガトー少佐……例のアンノウンの中に……ガンダムがいますぅー!」
対するガトーは自虐的に笑った。
「ははは。やはりこうなったか?私やシャア大佐がどんなに足掻こうと、ガンダムはやはりジオンの敵と言う訳か!」
謀らずもガトー達を飛び越え様とするコッド達をズゴックのメガ粒子砲が襲った。
「待ち伏せ!?来る事を判っていたのか!?」
「ここから先は通さん!」
手始めに3機のズゴックがジム・カスタムを包囲する。
「M.A.V.より1機多いが悪く思うなよ」
一方、キィが操縦するズゴックがジム・キャノンIIを引き受けようとする。
「そこのガンキャノンは私が相手します」
「任せた!」
その結果、ムラサメ研究所前の一件以来のガトーとコッドの一騎打ちの再開である。
「何度奪取しようと、貴様は我々ジオンを敵に回す運命らしいな……ガンダム!」
だが、通信手はガトーのこの言葉に違和感を感じた。
「ですがガトー少佐、ガンダムは最早、連邦軍の敵の筈です!」
「何を寝惚けている?現にこうして立っているではないか」
このやり取りはコッドをイラつかせるのに十分だった。
「寝惚けるな!ガンダムは元々、貴様ら宇宙人共を成敗する為に我々地球連邦が開発したMSだぞ!」
が、通信手の主張は逆だった。
「いや……てっきり連邦軍はガンダムを『あっさりシャア大佐に寝返った尻軽MS』として忌み嫌われているとばかり……」
「そんなに!?」
最初は驚くガトーであったが、ふと前の時間軸でコウに言われた事を思い出してしまう。
「満足だろうな、ガトー!でもそいつは2号機を奪われた俺達にとって屈辱なんだ!」
その途端、ガトーは返答に困った。
「ううむ……兵士は縁起を気にするからなあ……」
一方のコッドは大激怒である。
「元はと言えば貴様ら宇宙人共が悪いのだろうが!盗人風情が!」
ガトーはコッドの負け惜しみともとれる怒号に対して自虐的に鼻で笑った。
「あの時はやむをえなかったのだ。苦しみに耐え抜いた人間が武器を取るのを悪と呼ぶなら磐石の汚名でもあえて受けよう。再びジオンの理想を掲げる為に」
対するコッドは怒りで真っ赤になった。
「汚名を着せられたのは[[rb:地球人 > こっち]]の方だ!盗人猛々しい宇宙人共めぇーーーーー!」
「しかし、怨恨のみで戦いを支える者にこの私は倒せん!只の兵でないのなら、大局的にものを見ろ!」
ガトーとコッドの舌戦が終わろうとしている頃、キィが操縦するズゴックがアイアン・ネイルでジム・キャノンIIを貫こうとするが、チョバムアーマーが思ってたより頑丈だったのでなかなか上手くいかない。
「ネイルが効かない」
キィが何かを感じてジム・キャノンIIのビームキャノンを真上に向けさせた。
「撃たせない」
一方のジョッシュは機能性、運動性能が他の機体よりも劣るジム・キャノンIIに悪戦苦闘していた。
「こいつ、思ってたより遅い!このままでは」
ジョッシュは苦し紛れに60ミリバルカンの砲口をズゴックに向けたが、キィが既に気付いてジム・キャノンIIから離れた。
「くそ!?あっちのMSの方が早いじゃないか!」
ジム・キャノンIIとズゴックの運動性能の差に腐るジョッシュであったが、キィもニュータイプ特有の早とちりによるミスを犯していた。
「あ。ガンキャノンのビーム砲を壊すの忘れてた。砲身冷却が終わる前に壊さないと」
だが、流石に普通にビームキャノンを撃っても当たらないと悟ったのか、手持ちのジム・ライフルとシールドで応戦するジョッシュ。
「ぬおぉーーーーー!」
でも、やはり『当たらなければどうという事はない』なのである。
それどころか、ズゴックのメガ粒子砲がジム・キャノンIIのビームキャノンにかすったのである。
「操縦は上手けど、経験値が不足しています。貴方は、ルナツーにいましたか?」
一年戦争後に入隊した事がバレてしまい、実戦経験がほとんどないを理由に煽られる(?)ジョッシュ。
「バカにしやがって……誰がヒヨコだ!?」
ところが、必死になるジョッシュに反してズゴックはジム・キャノンIIに背を向けながら240mmロケット弾を発射した。
「何故ぇー!?……まさか」
「そのまさかだよ。小五月蠅い泳げる瓜坊を3匹片付けて来た」
キィが操縦するズゴックがファストが操縦するジム・カスタムとジョッシュが操縦するジム・キャノンIIに挟まれた。
「ズゴック3機を?熟練者?」
キィの質問は無視され、ファストがジョッシュに指示を出す。
「そこのニュータイプモドキは俺が片付ける。お前はこのままソドンに迎え」
「しかし―――」
「これはあくまで俺の勘だが、あの裏切り者をこのまま宇宙に揚げたら、何かとんでもない事が熾る」
「……くっ!」
悔しさを押し殺しながらソドンの許へ急ぐジョッシュの進路を塞ごうとするキィであったが、ファストのビームサーベルがそれを阻む。
「貴様の相手は俺だ。ニュータイプモドキ」
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MSM-07EズゴックE〔機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争〕
キィ〔KEY THE METAL IDOL〕
MSM-07ズゴック〔機動戦士ガンダム〕
ペガサス級強襲揚陸艦ソドン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【地球連邦】
ブレイブ・コッド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79N/GHガンダム・ヘッド〔機動戦士ガンダム サンダーボルト〕
ファスト・サイド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79Nジム・カスタム〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ジョッシュ・オフショー〔ガンダム・センチネル〕
RGC-83ジム・キャノンII〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ガルダ級超大型空中輸送機スードリ〔機動戦士Ζガンダム〕
コウ・ウラキ〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
【向こう側】
シャロンの薔薇〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
第11話:ソドン争奪戦(後編)
キィが行った報告・謝罪は、ガトー達の劣勢を物語っていた。
「5対3が2対3に成り果てたか……我々ジオンですら勝利の美酒に溺れると平和ボケする様だな」
「2対3?3対3の間違いだろ?」
「あくまでソドンを墜とす魂胆か」
「そうだ……そして!直ぐに3対0になる!」
「貴様らがさっさと退散してくれればな!」
ガンダム・ヘッドのビームライフルとズゴックEのビームカノンがぶつかり合い、眩しい閃光となる。
「やはりガンダムにはビーム兵器が良く似合いか」
「そして、ガンダムは我々地球人が良く似合う!」
ガンダム・ヘッドが再びズゴックEに向かってビームライフルを発砲しようとするが、ガトーがズゴックEの背部ジェットパックと脚部主推進器を点火させて体当たりを敢行する。
「く!……慣れてるな?貴様」
対するコッドもガンダム・ヘッドの頭部60ミリバルカン砲でズゴックEの背部ジェットパックを破壊する。
「貴公もな。そのガンダムごとソドンの格納庫に放り込みたくなった」
「寝惚けるな!あんな裏切り艦、地球の藻屑にしてくれるわ!」
とは言ったものの、ズゴックEが仰向けに倒れているガンダム・ヘッドに馬乗りになっている状態である。
「如何する?ここで降伏するなら、地位協定に基づき―――」
「そう言うのを……油断と言うのだ!」
コッドが各部スラスターを起動させてズゴックEの股からすり抜けた。
「やるな!?連邦の手先にするのが勿体ない!」
なんとかマウンド状態から抜け出したコッドがビームライフルを発射するが、ガトーはズゴックEを横に転がして全弾回避する。
「力量に差無しか……これは永くなりそうだな?」
コッドのしつこさとしぶとさに呆れるガトーであった。
だが、呆れているのはコッドの方だった。
「ここで仕留めないと、この宇宙人と永い付き合いになる!」
一方、ファストがジョッシュと交戦していたキィを足止めしていた。
「どいてください。私達には大事な仕事があります」
「断る。ソドンはそろそろ、自身の罪を清算する時期にきたのだ」
実力で移動させるしかないと判断したキィは、ズゴックのアイアンネイルを目の前のジム・カスタムに向けるが、いとも簡単に回避された。
「確かにMSのノウハウは貴様らジオンの方が上だ。だが、テクノロジーは連邦の方が上だ」
ファストが操縦するジム・カスタムは、『特長がないのが特徴』・『エースパイロット専用量産機』と揶揄されるほどバランスに優れたMSであり、この時期の連邦製量産機としては最上位機種に位置づけられた、ガンダムタイプを除けは最高の運動性能を誇る名機である。
本来なら、5年前の一年戦争中期に量産化したMSであるズゴックでは荷が重い相手である。
だが、それでもキィはアイアンネイルを貫通させようと接近を試みる。
ジム・カスタムなら簡単に捌ける近距離攻撃であり、頭部60ミリバルカン砲やジム・ライフルを上手く使えばノーダメージも夢ではないお粗末な攻撃である。
だが、それがかえってファストの疑念をいたずらに膨らませる。
(何故急に零距離攻撃に移行し、それにしつこく拘る?先程のグレネードによる先制攻撃が嘘の様だ……)
そこで、ファストはジム・ライフルのマガジンを交換しながらシールドを囮にし、その隙にズゴックとの距離を広げようとする。
「これで、近距離攻撃は無駄に終わる……」
だが、ズゴックはあえて接近に拘る。
「撃たない!?接近戦に活路を見出す心算か!」
ファストがジム・ライフルを発砲するが、生憎キィはニュータイプ。
キィが操縦するズゴックは銃口を向けられた時点で既に回避行動を終えており、一見するとジム・カスタムが見当違いな場所に向けて発砲している様にしか見えない。
(全弾回避だと!?それでなぜ近距離攻撃しかしてこない!?)
そうこうしている内に、ジョッシュが操縦するジム・キャノンIIがビームキャノンの有効射程内にソドンを捉えた。
「ターゲット、ロック。弾込め、よし。ファイヤー!」
が、2本の細長い閃光がジム・キャノンIIがビームキャノンの砲身に命中。発射不可能に陥った。
「……え?」
「これで、ガンキャノンのビーム砲は封じました」
ここで漸く、キィが操縦するズゴックが急に接近戦しかしなくなった理由を理解したファスト。
(しまった!接近戦移行はエネルギー切れを恐れての温存策だったか!?しかも、あの距離でジム・キャノンIIがビームキャノンのみを正確に撃ち抜いただと!?……これが、ニュータイプの推察力の高さが成せる技か?)
そんなガトー達とコッド達の暗闘もつゆ知らずなラシットは、ヴィリィ・グラードルからの中間報告を聴いていた。
「なな何!?じゃあ貴様は、アマラカマラ商会が無いと言い張る気か!?」
「いいえ、これはただの中間報告。我々はあくまでペーパーの疑いがあると申し上げただけ。我々が彼らを取り逃がした可能性を否定している訳ではございません」
ラシットはしかめっ面をしながら項垂れる。
「……ただでさえ、軍警察の馬鹿共が正宗空調有限公司の船を取り逃がしたと言うのに」
ラシットの言葉から、ヴィリィはある推測が浮かんだ。
「もしかして、正宗空調有限公司もムラサメ研究所とグルだったのでは?」
その推測は『何を今更』と言えるくらい疑いの余地が無かった。
現に、連邦軍の『キシリア暗殺計画』では、正宗空調有限公司がサイコガンダムの密輸入を担当。コロニー公社発注の超大型空気清浄機『マサムネエアコン』に偽装して、サイド6内に持ち込む。
その結果……サイコガンダムがサイド6の軍警察が使用するザクを次々と撃破し、ソドンの妨害行為もものともせずにキシリアの眼前に到達してしまい、シャリアが撃破してくれたお陰でキシリアは無事にグラナダに帰還出来たとは言え、イズマ・コロニーは100を超える死傷者を出してしまった。
「しかも軍警察の馬鹿共は……」
と言いかけて、嫌気がさしてしまったラシット。
「……この話は一旦止めよう。それより、ザンジバル級の準備はどうなっている?」
「ガルシア閣下が大急ぎで進めている」
そんなガルシアは、ラサ基地で作業員達をせかしていた。
「急げー!英雄のソドン隊は待ってはくれないぞー!」
せっかく発見・回収したシャロンの薔薇であったが、宇宙に飛ばしたくてもソドンの格納庫では狭過ぎると言う事で、急遽、ラサ基地に残っていたザンジバル級機動巡洋艦ケルゲレンに乗せて大気圏離脱させる事になったのである。
だがそれも……シャロンの薔薇を運ぶソドンが無事にラサ基地に到着出来ればの話であるが……
そんなソドンの命運を密かに握っている暗闘も、キィの機転によってジオン側にも勝ちの目が僅かながら出てきた。
「何だと!?ジョッシュがヘマしただと!?」
「すまない。俺のミスだ。まさかあんな距離からジム・キャノンIIのビームキャノンを撃ち抜くとは……」
ファストの報告を聴いたコッドは戦況悪化に歯噛みする。
「く!……これでは火力が足りない……宇宙に帰って往く裏切り艦を指を銜えて観ている事しか出来ないのか……」
そこへ、1隻のガンペリーがやって来た。
「ん?」
それを見たガトーは迷った。
これが一年戦争の最中なら容赦なく墜としていただろうが、今は休戦交渉によって得られた地位協定の中に居る状態。
正当防衛が成立しなければ、非難されるのはジオンの方となる。
そんなガトーの迷いが、コッドにたった1度のチャンスを与えてしまう。
ガンペリーが投下したのは、HB-L-07/N-STDブラッシュ社製360ミリハイパー・バズーカだったからだ。
「な!?」
「あのナカワレめぇー!」
ガトーはそれがコッドの手に渡るのを阻止しようとメガ粒子砲を発射するが、ガンペリーが身を挺してバズーカを庇い墜落した。
しかも、墜落するガンペリーを回避しようとバックステップしてしまった間に、バズーカをキャッチしたコッドがどんどん遠ざかるソドンに標準を合わせてしまっていた。
「ダメで元々よぉー!」
「しまった!」
時すでに遅く、コッドはバズーカを発射してしまった。
ガトーもキィも顔面蒼白になりながら弾道を追った。
「やめろおぉーーーーー!」
「ごめんなさい。このズゴックのエネルギーは、残り少ないです」
が、謎の細長い閃光が榴弾に命中し爆発した。
「チッ!やっぱダメか?」
撃ったのはシャリアだった。
「私にとっても困るのですよ。シャロンの薔薇が無事に宇宙にお帰りいただけねば」
しかも、その爆発はラサ基地からドダイYSとゲルググを出撃させてしまう。
「おい!お前ら!そんな所で何をしている!?」
最後のチャンスまで棒に振ってしまったコッドは、悔しさを嚙み締めながら撤退を決意した。
「くっ!……これで終わりと思うなよ!」
ガトーは汗だくになりながら敗走するコッド達の背中を見送った。
「やはり連邦は侮れぬか……こちらも早急な立て直しが必要だな……」
こうして、ソドン護衛任務は無事に終了し、シャロンの薔薇はケルゲレンに乗せられて宇宙へと飛び立って行った。
これがとんでもない事態の第1歩とも知らずに……
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MSM-07EズゴックE〔機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争〕
キィ〔KEY THE METAL IDOL〕
MSM-07ズゴック〔機動戦士ガンダム〕
ラシット〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ペガサス級強襲揚陸艦ソドン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
シャリア・ブル〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
マッド・アングラー〔機動戦士ガンダム〕
ガルシア・ロメオ〔機動戦士ガンダム THE ORIGIN〕
ザンジバル級機動巡洋艦ケルゲレン〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
ヴィリィ・グラードル〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ド・ダイYS〔機動戦士ガンダム〕
【地球連邦】
ブレイブ・コッド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79N/GHガンダム・ヘッド〔機動戦士ガンダム サンダーボルト〕
ファスト・サイド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79Nジム・カスタム〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ジョッシュ・オフショー〔ガンダム・センチネル〕
RGC-83ジム・キャノンII〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
CB-X5ガンペリー〔機動戦士ガンダム〕
MRX-010サイコ・ガンダム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【サイド6】
MS-06SSPEX軍警ザク特殊部隊仕様〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【向こう側】
シャロンの薔薇〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
第12話:次なる任務
ソドン墜落が未遂に終わってしまった原因であるジョッシュがブライアン・エイノーにビンタされた。
「勝った方が正義であると、心に刻め!」
それを観ていたドレイク・パーシュレイが慌ててブライアンを制止する。
「ちょっと待てちょっと待て。それは流石にパワハラだから」
だが、ブライアンの怒りは治まらない。
「千載一遇のチャンスを台無しにしたんだぞ?これで勝ったと言えるか!?」
ソドン墜落未遂に関して深く反省しているのか、コッドは深くお辞儀した。
「申し訳ない!俺の、監督不行き届きが今回の敗北を招いたんだ」
「私も、あそこで日和らずにスードリを前線投入していれば……」
「ちょ!?ブレイブまで!?」
ソドン墜落未遂を後悔する一同を視て、ドレイクは少し怖くなった。
(待て待て!ソドンと言えば、赤い彗星がかつて愛用した艦船だぞ。それが墜ちたら、ジオンが何をしでかすかを想像しただけでも怖い!)
しかも、彼らは知らないが、今回のソドンはシャロンの薔薇奪還と言う大重要任務を帯びていた。
それを妨害しようものなら……
だが、ソドン墜落未遂の反省点で盛り上がる一同の前では、そんな不安を口にする事は出来なかった。
(バスク少佐もサイド6にサイコ・ガンダムを派遣したとも聞く……このままでは、我々連邦軍はまたジオンと戦争させられるぞ!)
そこで、ドレイクは隙を見て保守派でありながら悠然とした態度を貫くゴップ提督にソドン墜落未遂事件の詳細を報告した。
「何故かね?ブライアンは今、高等士官学校の校長室にいる筈だろ?」
「その筈でしたが、ブライアン提督はブレイブ大尉の様な反ジオン派将校と密かに通話していた様です。その証拠に……」
ドレイクは監視カメラの映像を提出した。
「一部のメカニックがお遊びで魔改造したジム・カスタムまで持ち出したのか?」
「はい。我々はこの機体をガンダム・ヘッドと呼んでいます」
「これを観たジオンはたいそう驚いただろうねぇー」
「頭部はほぼガンダムですからね。ジオン兵の心理的影響は計り知れませんよ」
一通りの報告を終えたドレイクがゴップの執務室を退室したが、それを1人の男性に見られてしまった。
その男の名はローレン・ナカモト。連邦軍所属の科学者でオーガスタ研究所勤務。
今回のソドン墜落未遂の反省点を話し合うべくブライアンに呼び出された人物だったが、これが後にドレイクの命取りとなった……
ガトーとキィがソドン墜落を目論むコッド達の猛攻に耐え抜き、どうにか自力でラサ基地に帰り着いた頃には、シャロンの薔薇は既にケルゲレンの中であった。
「2人共お疲れ様です。お陰で、シャロンの薔薇を宇宙に帰す準備が完了しましたよ」
シャリアはガトー達を労ったが、ガトーの気分は晴れない。
「ですが、我々はズゴックを3機も失いました」
それを聴いたガルシアが慌てた。
「ズゴックが墜とされただと!?」
ガルシアの姿を見るや、ガトーがビシッと敬礼する。
「は。幸い、3人共回収・入院済みですが、私の指揮が至らなかったばかりに―――」
「連邦の新型を見縊ったから……と言う事ですか?」
シャリアの指摘にガルシアが困惑した。
「新型!?デラーズ・フリートがこの前捕まえた機体以外にもあると言うのか?」
「ズゴックEのモノアイが録画した筈です。御覧になられますか?」
ガトーの提案を受け、ズゴックEの録画映像を解析する。すると、
「ガンダムだと!?連邦はサイド7でのあの事件で懲りたんじゃなかったのか?」
「いえ……寧ろシャア大佐は目立ち過ぎたのかもしれません。私がサイド6内で撃破した巨大MSの頭部も、ガンダムに酷似していましたから」
「だとしたら……あまりにもせこくないか?」
「ただ、敵を攪乱させるのであれば擬態も悪手とは言い切れません。あくまで、勝ちに拘るならの話ですが」
自身の質問に真顔で答えるシャリアを見て恥ずかしくなるガルシア。
「いや……今は戦時中ではありませんから」
しかもガトーに反論されてしまった。
「もしも、相手側がそう思っていなかったら?」
「それはそれで、哀しい話です」
口をあんぐりしながら沈黙するしかなかったガルシアであった。
とここで、シャリアがラシットに呼び出された。
「シャリア中佐、そろそろソドンも宇宙に打ち上げたいので戻って来て貰えますか?」
「おっと。どうやら出発の時間が来てしまった様です。では、私はこれで」
ガトーは改めてビシッと敬礼した。
だが……
(どうやら……事態は思った以上に危うい方向に進んでいる様ですね?もし、この連邦の新型MSの存在がザビ家にバレたら、彼らは何をしでかすのか計り知れません。となると、このタイミングでシャロンの薔薇を奪還したのは天祐と言えますね。これで暫くはザビ家の視線をイオマグヌッソに向けられるのですから)
そう……シャリア・ブルはこの停戦を長期化させるべくジオン上層部からザビ家を排除しようと企んでいたのだ。
その後も、キィはソドン護衛任務中の戦闘の録画映像の解析に余念がなかった。
「やはり、このガンキャノンは私が知ってるガンキャノンとは違う」
「確かに……外見が違う、だけでは説明出来ない部分も多いですね。特に左前腕部が気になります」
「そこにビーム・サーベルがある」
「それだとガンキャノンと言うより軽キャノンですね。ガンキャノンがビーム・サーベルを使用したって話は聞きませんし」
そこへ、ア・バオア・クーから通信が入る。
「話は聴かせて貰ったぜ。その新型ガンキャノンとやら、サイド7事件の様に鹵獲……て言うのは難しいか?」
ユーリ・ケラーネの無茶ぶりに困惑する整備兵達。
「鹵獲って、シャア大佐じゃあるまいし」
でも、この命令はユーリなりに筋が通ったモノであった。
「戦争が終わった筈なのに新型MSを開発している。て事は、そいつらは既に次の戦争の準備をしているって事だろ?ま、その矛先が俺達ジオンに向けられてると、決まった訳じゃねえがな」
「まさかとは思いますが、これからの連邦の主戦力となる新型MSを解析しろと仰る訳ですね?」
とは言え、キィは整備兵の困惑とは別の意味で了解を渋る理由があった。
「でも、ガトー少佐はムラサメ研究所を調べたい」
「言うと思ったよ。そこでだ、ボーン大尉、イリヤ大尉、バリー軍曹をそちらに送った。それにガトー少佐を加えた面々で今後の予定を話し合って欲しい。じゃあな」
キィは早速ガトーにユーリの命令を報告し、それを聴いたガルシアが吠えた。
「あの野郎!……勝手な真似をしやがって」
「だが気持ちは解る。サイド7のアレだって連邦の新型に関する情報を得たのがきっかけであったろ?」
「それはそうだが……チッ!」
ただ、ヴィリィにはちょっと困った事が有った。
「ですが少佐、ラシット中佐には『調査中』と報告してしまいまして」
「そうなると、我々を二手に別けなければならんな」
「俺達ラサ基地もそのどちらかに入れと?俺はデラーズ・フリートに入隊した憶えは無いぞ」
「それに、ムラサメ研究所査察許可がまだ下りてねえだろ?」
漸く到着したボーンの横やりに悩む様な仕草をするガトー。
「……痛い所を突くな君も」
命令を求められてる気がしたガルシアが渋々怒鳴り散らした。
「解った解った!とりあえず、ソドンを墜とそうとしたガンダムを徹底調査だ!制限時間はムラサメ研究所査察許可が下りるまでだ!ボーン!ニエーバ!お前達はガウを動かせる様整備をしておけ!ガトーはガウの整備完了までに参加メンバーを選抜しておけよ!」
ガルシアが怒鳴り終えると、ラサ基地は慌ただしく動き始めた。
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
MSM-07EズゴックE〔機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争〕
キィ〔KEY THE METAL IDOL〕
ガルシア・ロメオ〔機動戦士ガンダム THE ORIGIN〕
シャリア・ブル〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ラシット〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ペガサス級強襲揚陸艦ソドン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ザンジバル級機動巡洋艦ケルゲレン〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
ヴィリィ・グラードル〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ユーリ・ケラーネ〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
ボーン・アブスト〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
バリー〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
ニエーバ〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
イリヤ・ソラリ〔機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム〕
【地球連邦】
ブレイブ・コッド〔ガンダム・センチネル〕
RGM-79N/GHガンダム・ヘッド〔機動戦士ガンダム サンダーボルト〕
ジョッシュ・オフショー〔ガンダム・センチネル〕
RGC-83ジム・キャノンII〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
トッシュ・クレイ〔ガンダム・センチネル〕
ブライアン・エイノー〔ガンダム・センチネル〕
ドレイク・パーシュレイ〔ガンダム・センチネル〕
ゴップ〔機動戦士ガンダム THE ORIGIN〕
ローレン・ナカモト〔機動戦士Ζガンダム〕
第13話:とりあえず容疑者に擬態してみた。
複数組のジャンク屋が連邦軍に逮捕された。
その中に、ジム・キャノンIIの鹵獲を目論むジオン兵も含まれていた。
「これで、連邦の基地に入れるな」
「ええ、予定通りにね」
ルネンはヘイリー・アーフンの格好を見て皮肉を言った。
「でもまさか、怒られてばかりの原因であるその格好が今回の作戦の役に立つなんてな」
「私のファッションタトゥーに文句あるか?」
ヘイリーはピンク髪・鼻ピアス・全身タトゥーの独自のパンクスタイルが特徴の女性少尉であったが、今回は彼女よりもっと目立っている男がいた。
「何で俺まで逮捕なんだよ!?俺はただ、落ちてた部品を回収してただけだぞ!」
男の言い分にバリーは呆れた。
「いや……普通に不法侵入と公務執行妨害だろ」
彼の名はゲモン・バジャック。
元はサイド1のジャンク屋組合会長であり、久々にジオン軍と連邦軍が激突したと聞きつけてわざわざやって来たのである。
「あわよくば、連邦軍の新型を、と考えたんでしょうね」
護送していた連邦軍兵士がヘイリー達の会話が五月蠅いと思い、声を出した。
「五月蠅いぞお前ら。静かにしろ」
が、それがゲモンを更にうるさくした。
「本当にそう思うなら、さっさとここから出せ!」
そのやかましい怒鳴り声は、護送車を警備しているホバートラックの操縦手が頭痛を訴える程である。
そんなゲモンのうるささに耐えながら、ヘイリー達は容疑者に偽装する形で連邦軍の基地に侵入した。
「この喧しいのは何なんだ?」
「は!この前の戦闘の現場で怪しい動きをしていた連中を逮捕しました」
「不当逮捕だ!訴えてやるぞ!」
兵士達はこれ以上ゲモンに付き合ったら長くなると判断し、後ろのトレーラーに目を向けた。
「このザクもか?」
「インストーラデバイスは無いぜ」
ヘイリーの言い訳を聞いて笑うかの様な溜息を吐いた。
「払い下げられた中古か。作り過ぎたって訳か」
「だが、中は視せて貰う。一応、規則だからな」
ヘイリー達はそのまま基地内にある留置所に連行されるのだが、規則と言っておきながら大したボディーチェックをしなかった事が、連邦軍にとって小さな災いと成った。
「ん?」
(あれって確か……)
ヘイリー達が持ち込んだ隠しカメラに映る映像を観て呆れるガトー。
「連邦も休戦と言う毒に侵されている様だな?」
「はい。我々の予想よりミノフスキー粒子が薄いのが幸運でした」
一方のイリヤは別の問題が浮上してしまった事に驚いた。
「そんな事より……何であいつがあんな場所に居るのよ?」
容疑者に偽装して連邦軍の基地に侵入したヘイリー達が撮った動画は、即座にア・バオア・クーに居るユーリに送られた。
「あいつは!?あのデカブツと一緒にイズマに侵入した新型じゃねぇか?」
この日丁度デラーズがいた。
「例の事件に連邦が関与した良い証拠になりそうですな?」
「それくらい、こんな動画を視なくても解るだろ!」
「キシリアが死んで誰が喜ぶって話ですかな?」
これ以上は政治的な話になると判断したユーリは、話をイズマからずらした。
「それより、何であんなのがあそこに居る?奴らがこいつを持ってる事の方が問題だ」
「貴公が欲しがってる新型ガンキャノンと言い、連邦はまだまだ油断出来ない相手と言う訳ですな?」
ユーリとデラーズは知らない事だが、サイコ・ガンダムと共にキシリア暗殺計画に参加したオーガスタ研究所製の試作型可変MSは『ハンブラビ』と言い、暗殺実行時はドミトリー社からマグネット・コーティングを買収する前だったので変形時間がそれなりに長かったが、それも徐々に改良しつつあった。
「まだまだ遅いぜこれ。これじゃあ、変形が終わる前に着地が終わっちまうぜ」
「ドミトリーから買い取った例のシステムの初歩を試験的に搭載しては視たんだが、変形後の姿の実践投入はまだ早そうだな」
舌打ちしながらマグネット・コーティングの実験機と化したハンブラビから降りたヤザンは、諦め悪そうに喚きながら基地内の営倉に連行されるゲモンを発見する。
「なんだあいつら?」
「ブレイブ大尉が目論んだソドン墜落の現場で盗みを働いたジャンク屋だそうです」
「あー。結局墜とせずに宇宙に帰しちまったアレか」
「ジオンが経済難を脱する為に大量販売したザクじゃ物足りないらしい様ですよ」
「おいおい。あいつら、まだクラバを続けてる心算か?」
「サイド6版はそろそろ終焉と言ったところでしょうが、フォン・ブラウン版はまだまだ続きそうですよ」
「フォン・ブラウンね……アナハイムは何を企んでいる事やら」
ヤザンは臆する事無くヘイリー達に近付いた。
「おい!ちょっと待てって!」
「よおー盗人ちゃん達」
対するヘイリーは強欲なジャンク屋のフリをした。
「ケチケチしないでさ、MSをもっとドバーっと払い下げてくれねえかなぁー。どうせ戦争はもう終わりだろ?」
ヤザンはそれを皮肉で返した。
「そいつはどうかな?俺はそこまで偉くないから解んないけど、上の連中が何を言うかな?」
その夜、ボーン、イリヤ、ガトーはヘイリー達が逮捕・収容と言う名目で侵入した基地からどうやってジム・キャノンIIを鹵獲するかを話し合っていた。
「と、言っても、どっちかと言えばあのとんがり頭の方が重要性が高そうに見えるがな」
「だが深追いは避けたい。こう言うのは鹵獲した機体の重要度によって追手のしつこさが変わるからな」
ガトーのこの意見は、前の時間軸での経験を基にしたモノである。
「つまり、追手がしつこい程こちら側の生存率が下がるって事で良いのよね?」
ガトーは少し前の時間軸の事を思い出してから首を縦に振った。
「ああ。追手に追われる時間が長引けば、その分だけ戦闘回数が増える」
「シャア大佐の証言だと、ルナツーからやって来た01ガンダムは鹵獲不可能と判断して破壊したそうだし、理想としては鹵獲時の1回のみ……で、よろしいんだな?」
「ああ。もっと贅沢を言わせていただけるのであれば、鹵獲してから脱走成功までの時間も出来るだけ短くしたい。追手が動き出す前に」
「せっかく終戦まで生き延びたあの子達を死なせたくないしね」
その頃、当のヘイリーはゲモンの愚痴を聞かされて疲れていた。
「まったく……あのおっさんは諦めが悪いな?」
「そりゃあ軽キャノン以外を盗もうとすりゃあ、連邦だって目くじらを立てるわさ」
「……軽キャノン以外?」
無論、ヘイリー達もイズマ・コロニーでのキシリア死亡未遂事件の詳細を聴かされているので、連邦が軽キャノン以外のMSを所持している事は容易に想像出来るが、実際にその事実を聴かされると驚きを隠せない。
「お前さん、スペースノイドだろ?」
「判るの?」
「まあな。宇宙に居ながらじゃ、あいつらの狡さも見え辛いからな」
「つまり、連邦はジオンの目を盗んで新しいMSを造ってるって事か?」
「気付いてなかったのか?やっぱお前はスペースノイドだわ」
「でも、その隠蔽もイズマ・コロニーの馬鹿騒ぎでおジャンだよ」
ヘイリーに話しかけた男性は、ヘイリーの皮肉に対してある不安を抱いた。
「だとすると、ジオンは長くないかもな」
「何でだよ!?」
「国力が無いジオンが連邦相手に善戦出来たのは、新兵器であるMSのお陰だろ?だから連邦はガンダムを開発しようとしたが赤い彗星に盗られ、そのせいでMS有る無しの差を埋め切れずに敗けた。でも、もしその差を埋める手立てが有ったらとしたら?」
「……後は国力差で圧し切るのみ?」
「……だな。5年前の連邦はそれが出来なかったから敗けた。違うか?」
ヘイリーは考え込んだ。が、返答はしなかった。
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ルネン〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
バリー〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
ヘイリー・アーフン〔機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム〕
MS-06W作業用ザク〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ユーリ・ケラーネ〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
エギーユ・デラーズ〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ボーン・アブスト〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
イリヤ・ソラリ〔機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム〕
【地球連邦】
ヤザン・ゲーブル〔機動戦士Ζガンダム〕
ORX-139ハンブラビ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
M353A4ホバートラック〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
【ジャンク屋】
ゲモン・バジャック〔機動戦士ガンダムΖΖ〕
第14話:鹵獲作戦開始
ボーンがガウのメインブリッジの中で色々と指示を出す。
「いいかお前ら、パラシュートはちゃんと人数分以上用意しろ。何せ今回は―――」
「まさかと思いますけど、このガウが墜ちるとお思いで?」
「何言ってんだお前ら。俺達が今からやる事は、対空砲にぶっ殺されても文句が言えねえ事だぞ」
「こっちも戦争帰りなんですよ。ガウの操縦には慣れてますよ」
一同がドッと笑った。
「……馬鹿」
彼らがこれから行う作戦はこうだ。
先ずは1隻のガウが連邦軍の基地の真上を通過。
それに伴う騒ぎに乗じてヘイリー達が脱獄して新型ガンキャノンを鹵獲。
ヘイリー達は別の場所で待機しているトレーラーに乗って逃走し、そのままラサ基地に移動する。
一方のボーン達のガウは、運が良ければキンバライド基地が回収する。
と言った内容である。
「それじゃあ……気合を入れて往きますか」
基地内に警報が鳴り響く。
「何事だ!?」
「領空侵犯です!ジオンの輸送機が、この基地の真上を通過しようとしています!」
「なに?」
どんどん近付くガウの姿に大慌てな中、ヘイリー達が脱獄のチャンスを窺っていた。
(これは合図……いや、催促だな。この騒ぎに乗じろと言う)
ヘイリーの突然の脱走に、同室の囚人が困惑する。
「何!?」
1度開けたドアをどうしようか迷うヘイリーであったが、
「こいつらも出してやれ。騒ぎは大きい方が良い」
バリーの助言を受けてドアは開けっ放しにする事にした。
「……何なんだ……あいつら……」
因みに、ゲモンもこれに乗じて脱走した。
「この俺が、このまま捕まって堪るか!」
ヘイリー達にとっては都合が良い現地調達囮とも気付かずに……
ヘイリー達が鹵獲した新型ガンキャノンを乗せる予定のトレーラーを遠くから眺めているガトー達。
「どうだ?逃走用のトレーラーの動きは?」
「まだです。あいつらが逮捕されてまだ2日目ですので、見取り図が頭に入ってませんよ」
そこへ、キィから連絡が入る。
「例の基地が漸く動いた。戦闘機が3機離陸した」
その報告に呆れるガトー。
「敵の大型輸送機が領空侵犯した割には動きが遅い。下手に地位協定を破って炎上するのを恐れているのか?」
ガトーは一応ゲルググJに乗り込む。
「残念ながら、ボーン大尉が熾した騒ぎは予定より響かなかった様だ。キィは密かにラサに帰還。我々は例のトレーラーの直掩を行う」
地球連邦軍の全領域戦闘機『ワイバーン』3機がボーン達が乗るガウを包囲する。
「チッ!たった3機かよ?MSですらねぇ」
「ここから先は我々地球連邦の領空だ。今から迂回して貰う」
「ただのウーバーだよ俺達は。キンバライド基地にピザを届けに―――」
ボーンのギャグは無視された。
「こちらは進路変更を求める。従わない場合は威嚇を含めた攻撃も厭わないものとする」
「如何しますか?」
操舵士に意見を求められ、意を決して直進を命じかけたボーンであったが、格納庫に居るイリヤが宥めた。
「こっちはゲルググしか乗ってない。まともに空中戦が出来る状態じゃないわよ」
イリヤの説得を受け、ボーンは迂回を命じた。
ガウの目的地と迂回を確認した基地司令部は多少安堵したが、厳戒態勢を解かない。
「ワイバーンはこのまま、ガウが完全に背を向けるまで追跡しろ。少しでも妙な真似をしたら、構わず討て」
「ラジャー」
部下への指示を終えた司令官が疲れたかの様に椅子に座る中、ミケーレ・コレマッタが司令部に入室する。
「問題のガウを目視で確認。対空砲の使用許可を求めます」
「そっちは向こうの動き次第だ。もしもこの基地の真上を通るなどの不審な動きを見せたら、遠慮なく撃てと伝え―――」
それを見当違いと見做したヤザンが、ハンブラビのコクピットから怒鳴った。
「馬鹿かあんたら!?何時までそんな馬鹿デカい囮に注目してる!」
「何を言っているんだ!?上官侮辱―――」
だが、通信手の報告がヤザンの言い分が正しかった事を証明した。
「脱獄です!昨日逮捕して営倉送りにしたジャンク屋が逃走!」
「な、な……なんだって!?」
「ほれ視ろ。あんな馬鹿デカい囮に何時までも注目するから」
「貴様の上官侮辱罪については後だ!直ぐに脱獄犯をお探し!草の根分けてでも探し出してくるんだよ!」
「へいへい」
ヤザンが呆れながら返事する中、コレマッタが慌てて司令部から退室した。
ヘンリー達の脱獄がバレた事で基地内の混乱はピークに達した。
「あいつら……どうやら人探しを始めやがった」
「それを掻い潜ってあそこの倉庫まで行きたいんだけど……」
「あのガウが、思った程敵MSを引き付けてくれなかったのも痛かったですね」
そうこうしている内に、ヘンリー達が隠れている茂みに不穏な何かを感じた連邦兵がそちらを視かけたその時、
「いたぞ!あの五月蠅い奴だ!」
ゲモンがヘンリー達より先に発見されてしまったのだ。
「こら待て!逃げるなぁー!」
「このまま不当逮捕されてたまるかあぁー!」
「……あの五月蠅さに感謝だな」
ゲモンのヘマのお陰で、意外とすんなりMS用倉庫に辿り着けたヘンリー達は、早速ターゲットであるジム・キャノンIIのコクピットに侵入するが、ここで問題発生。
「うわ!?狭っ!?」
「これは流石に……3人乗りは難しいな」
「あいつら、5年前に何に負けたのかをもう忘れたのか?」
どうやら、視認性は軽キャノンより大幅に改善された反面、居住性はザクに比べても一層悪化していた。
「モニターを改善するのは良いが、パイロットの身にもなって欲しいぜ」
「そんなに良質なモニターを載せたいなら、奮発して全天周囲モニターにしてくれ」
つまり、誰か1人以上はジム・キャノンII以外の方法で逃走しなければならないのである。
「レディーファーストだ。お前さんはそこにいろ」
ヘンリーをコクピットに残し、ルネンとバリーがじゃんけんを始めた。
「おいおい。今から?」
そんなヘンリーのツッコミ通り、彼らに残された時間は少なかった。
ヤザンがハンブラビでジム・キャノンIIのコクピットに残されたヘンリーを轢き殺そうとしたからだ。
「よお!ボケたかジオンの盗人!?そいつはジム・カスタムじゃなくてジム・キャノンIIだぜ!」
「げ!バレてる!?」
本命がジム・カスタムだと勘違いしている以外は、完全にヤザンの読み通りだった。
だからこそ、ヤザンは慌てず急がず、ハンブラビのコクピットで待機していたのだ。
「いたぞぉー。奴さん、間違えてジム・キャノンIIに乗ってるぜ」
ゲモンを追い回している部隊に漸く追いついたコレマッタが慌ててヤザンに命令する。
「逃がすな!その機体を破壊しても構わん!」
「えぇえーーーーー!?」
ヘンリーは慌ててビームキャノンを発射するが、ヤザンは楽々と回避した。
「戦場では、びびった者が死ぬんだ。覚えておけ!」
ヘンリーの混乱は、ガウを包囲していたワイバーンにまで伝染した。
「戦闘!?基地内で!?」
「何時の間に侵入を許した!?」
「誰か状況を説明しろ!」
だが、彼らが基地にUターンする事は無かった。
ガウの前方ハッチが開き、中からイリヤが操縦するゲルググが出て来た。
「これはあくまで威嚇射撃よ。頼むから当たらないで」
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
gMS-01JGゲルググJ〔本作オリジナル〕
キィ〔KEY THE METAL IDOL〕
イリヤ・ソラリ〔機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ボーン・アブスト〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
ガウ〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
ヘイリー・アーフン〔機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム〕
ルネン〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
バリー〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
【地球連邦】
ヤザン・ゲーブル〔機動戦士Ζガンダム〕
ORX-139ハンブラビ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ミケーレ・コレマッタ〔機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線〕
RGC-83ジム・キャノンII〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
FF-08GBワイバーン〔ガンダム・センチネル〕
【ジャンク屋】
ゲモン・バジャック〔機動戦士ガンダムΖΖ〕
第15話:ハンブラビ
ユーリ・ケラーネの「新型ガンキャノンを鹵獲出来ないか?」の一言から始まった容疑者偽装作戦も、ヘイリー・アーフンがジム・キャノンIIのコクピットに乗り込んだ事で佳境を迎えた……かに見えた。
だが、そんなヘイリーを轢き殺すべくヤザン・ゲーブルがハンブラビの操縦桿を握ったのである。
ヘイリーは慌ててビームキャノンを発射するが、ヤザンは楽々と回避した。
「戦場では、びびった者が死ぬんだ。覚えておけ!」
「うわ!?ちょっと待って!」
ヘイリーはシールドを使ってハンブラビの体当たりに耐えようとするが、ハンブラビの背部ビーム・ライフルが怪しく光る。
「あめえよ!」
ヘイリーはハンブラビの両肩から放たれたビームをどうにか躱すが、その隙に長い何かがジム・キャノンIIに巻き付いた。
それを観たミケーレ・コレマッタは悪態を吐きながら逃げ去った。
「あの馬鹿!こんな所でアレをやるか!?」
そして……ヘイリーが乗るジム・キャノンIIを高圧電流が襲った。
「ぐぎゃあぁーーーーーー!?あっ、あっ」
それを観たバリーは戦慄する。
「電磁ハーケンだ!あのままでは、中に居るヘイリーが感電死してしまう!」
「どうだい?連邦特製海ヘビの味は?」
そこでバリーは何か使えそうな物を探し始めた。
「何か……あいつの電磁を止めるのに……ん?」
バリーの視線に入ったのは、この基地に侵入する為に容疑者に偽装した際、生贄として連邦にくれてやった作業用ザクであった。
「アレだとかなりの型落ちになるが、やるしかないか」
そんな事とはつゆ知らぬ兵士達が銃も持って倉庫内に入ろうとしたが、ミケーレがそれを押し戻す。
「止せ!今はハンブラビに近付くな!感電するぞ!」
その間も、高圧電流が再びヘイリーが乗るジム・キャノンIIを襲った。
「ぐあぁーーーーー!はぁ、はぁ、はぁ」
ヘイリーが苦しむ中、ミケーレの説得を受けた連邦兵が漸く逃げる様に倉庫を出た。
「速くしろ!巻き込まれるだろ!」
一方のヤザンは優勢のせいか呑気にフェダーイン・ライフルを手にした。
「さて……そろそろ、トドメと逝きますか」
「何でそっちを使うんだ?あんなに長い銃身だと―――」
連邦兵がヤザンの選択に疑問を感じる中、ミケーレはヤザンの意図を察した。
「違う。あのライフルには、もう1つの使い方が在るんだ」
そう。ヤザンがフェダーイン・ライフルを選んだ理由は、ビーム・サイズを使用する為。
「はぁ……はぁ……何だ?……どこからビームサーベルを……出してんだ……はぁ、はぁ」
「このまま一気に首チョンパと……逝きますか!」
このままフェダーイン・ライフルのビーム・サイズを振り下ろしていれば、ヘイリーがヤザンに殺されて終わりだった。
だが、肝心のヤザンが致命的な余所見を何度も行ってしまったのだ。
「ん?」
1度目は、この基地の上空を通過する筈だったガウを追っていたワイバーンが急に戻って来た事だ。
「何で戻って来た?例のデカブツはどうした?」
「そいつから威嚇発砲を受けた。こちらも応戦しようかと思ったが、恐らくジオンは針路妨害をした航空機の針路変更を促す為とか言いそうだったので―――」
「なにビビってんだお前?先にやって来たのは向こうさんの方―――」
逃げ帰ったワイバーンに文句を垂れるヤザンだったが、そんなヤザンを2度目の余所見の原因が襲った。
「あー!あの五月蠅いの!鹵獲したゲルググに乗って逃走を図ろうとしてるぅー!」
ヘイリー達の鹵獲作戦開始に乗じて脱走したゲモン・バジャックが、連邦に鹵獲されたゲルググを発見してしまい、これ幸いと借りパクしてしまったのだ。
「がははははは!このゲルググは、今回の不当逮捕に対する賠償として受け取ってやるぜ!」
「……楽しいおっさんだぜアイツ」
ヤザンは半ば呆れながら背部ビーム・ライフルの照準をゲモンに借りパクされたゲルググに向けた。
「こんな事がなきゃ、気の合う仲間に、なってたかもな」
だが、ここでヤザンは3度目の余所見を強要された。
「だ!?しまった!」
バリーが乗る作業用ザクがハンブラビを襲ったのだ。
「まさか!?」
「行けえぇー!こいつは俺が抑える!」
だが、ザクがいくら一年戦争初期のジオンを支えた名機であっても、一年戦争終結後に開発されたMSが相手では分が悪い。
「邪魔するな!」
直ぐに引き剥がされて蹴り飛ばされた。
見かねたヘイリーが加勢しようとするが、バリーが拒否の怒号を上げる。
「行けえぇーーーーー!必ずそいつを持ち帰れえぇーーーーー!」
そう言うと、作業用ザクは再びハンブラビと取っ組み合いを始めた。
「しつけぇんだよ!どけ!」
今直ぐにでも助けたい思いを押し殺し、断腸の思いで逃走を図るヘイリー。
「必ず……必ずこいつを持ち帰るぜ……すまねえぇーーーーー!」
それがかえってヤザンを混乱させた。
「今から3機同時に撃ち落とせって言うのかよ!」
それを見かねたミケーレがワイバーンに命令した。
「逃走を図っているジム・キャノンIIを空爆しろ!」
だが、ワイバーンのパイロットは言ってる意味が解らなかった。
「爆撃!?抜き打ち模擬戦ですか!?」
「違う!」
ミケーレの命令がかえって連邦側の混乱を助長させてしまったものの、ワイバーンは直ぐに逃げるヘイリーに追いついた。
「盗人め!撃ち落としてやる!」
先ずは小手調べとばかりに60mmバルカンを発砲するが、ジム・キャノンIIの頑丈な装甲が相手では歯が立たない。
「糞!あいつら撃ちやがった!速く走れよこいつ!」
「やはり駄目か……ならば!」
ワイバーン隊はジム・キャノンIIにミサイルを発射しようとした。
(此処までか……バリー、ゴメン!)
だが、一筋の閃光がワイバーン隊を散開させた。
「く!?何だ!?」
出て来たのは、ガトーが操縦するゲルググJであった。
「我々は、ジオン公国宇宙警ら部隊デラーズ・フリート。見たところ、連邦軍のMSと戦闘機の様だが、こんな所で何を?」
ワイバーン隊が困惑する中、ゲモンの捕縛を終えて漸く追いついたヤザンが潮時と判断する。
「こっから先は、どちらも本気で戦争する気が有るか否かと言う訳か……下がるしかねえな」
「えぇー!?だが、鹵獲された―――」
「下手にデラーズ・フリートとやり合ったら、最悪、戦争の幕開けだぜ?」
「くっ!」
ヤザンの説得を受けて渋々下がるワイバーン隊であった。
「……見た目に反して節度がある奴だったな」
とりあえずジム・キャノンIIの鹵獲には成功したものの、ヘイリーにとっては納得が出来ない結果となった。
「バリーが!脱出に失敗しただと?」
「それどころか……あのとんがり頭に……」
バリーを救えなかった事を悔やんだガトーは、悔しさに表情を歪めながら連邦軍基地の方向へ敬礼した。
一方、終始味方に足を引っ張られ続けた挙句、ジム・キャノンIIをジオンに盗られたヤザンであったが、その表情は意外と軽かった。
「良かったですなぁー。相手が間違えてジム・キャノンIIを選んでくれて。これがもしジム・カスタムだったら―――」
「どれだけの首が飛ぶか、と?」
ミケーレの皮肉に屈する事無く明るく答えるヤザン。
「なにせ、サイド7事件の二の舞だからなぁー。と、なると、次の奴らの狙いは、オーガスタのハンブラビですかい?」
対して、ミケーレはヤザンが指差した方向の逆を指差した。
「いや、ムラサメのサイコ・ガンダムだ」
ヤザンは、面白くなってきたと言わんばかりに鼻で笑った。
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
gMS-01JGゲルググJ〔本作オリジナル〕
ヘイリー・アーフン〔機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム〕
バリー〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
MS-06W作業用ザク〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【地球連邦】
ヤザン・ゲーブル〔機動戦士Ζガンダム〕
ORX-139ハンブラビ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ミケーレ・コレマッタ〔機動戦士ガンダム MSイグルー2 重力戦線〕
RGC-83ジム・キャノンII〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
FF-08GBワイバーン〔ガンダム・センチネル〕
【ジャンク屋】
ゲモン・バジャック〔機動戦士ガンダムΖΖ〕
第16話:イズマ・コロニー事件を振り返れ
ラサ基地にて、バリー未帰還と言う代償を支払って鹵獲したジム・キャノンIIを早速解析しようとしたのだが、ちょっとした本機の問題点にぶつかってしまう。
「このガンキャノン、メンテナンスがちょっと面倒ですな」
整備兵の報告に嫌そうな顔をするガルシア。
「面倒?どう言う事だ?」
「このガンキャノンは、装甲の厚さなどの防御面は問題無いのですが、そのせいで各装甲をオープンにしないとメンテナンスが出来んのです」
それに対し、ガトーは真面目に聴き入った。
「つまり、ただ装甲を分厚くすれば良いとは限らないと言う訳だな?」
「はい。重要機器を守るのには最適かもしれませんが、運動性能も少し不安と言わざるを得ません」
「となると……この機体は長距離支援が目的か?」
「その線が妥当だと思いますが、左腕の膨らみ、やはり見立て通りのビーム・サーベルでした」
「長距離支援用なのにか?」
「ただ、あくまで予防的な装備なので、グリップはゲルググより少し短い様です」
そこへ別の整備兵がやって来て、
「肝心のビーム砲なのですが、基本仕様はジェネレーター直結型でありますが、予備回路としてエネルギーCAPシステムも装備しており、高威力でありながら出力はある程度安定しています」
それを聴いたガトーは嫌な予感がした。
「この様な機体を連邦は量産しようとしているのか?ただの防衛にしては過剰過ぎないか?」
その途端、場の空気が重くなった。
「少佐は、連邦の逆襲を恐れているので?」
「ああ。ギレン総帥も仰っていただろ?ジオンの国力は連邦の30分の1だと。故に、連邦が我々のジリ貧を待ち、頃合いを謀って強襲!……私は、有り得ない話とは思えない」
ルネンとヘイリーが改めてジム・キャノンIIの方を観たのであった。
その後、ライフルとシールドも解析したが、有効射程6,200m。ケースレスで排莢機構はないが、ジャミング対策にコッキングおよびイジェクト機能は残されている。表面に耐ビーム・コーティングが施されている。裏面にマガジンを2基隠し持てる。などの高性能が次々と判明するのであった。
「これは……下手な軽キャノンを負かすな」
ガトーが苦虫を嚙み潰した様な顔をしていると、基地の外が急に騒がしくなってきた。
「巨大飛翔体、接近!」
「強襲か!?」
ド・ダイYSに乗ったゲルググが警戒する中、ヤザンが操縦するハンブラビが意趣返しとばかりにラサ基地上空を通過した。
「あー!あの時のとんがり頭!」
「我々ジオンの行いが全て間違っているとでも言いたげだな」
と、ラサ基地は騒いでいるが、当のヤザンはムラサメ研究所に向かうついでに行った冗談交じりの余興でしかなかった。
「例のMAの行方ですが、日本の九州に着陸した模様です」
「九州?」
ケリィの表情が硬くなる。
「そこって確か!?」
ガトーもまた、釣られる様に表情が硬くなる。
「ああ……ムラサメ研究所があった場所だ」
そもそもな話、ガトー、ケリィ、キィの3人は本来、ジオン公国宇宙警ら艦隊デラーズ・フリートに所属していた筈だったが、イズマ・コロニー内で巨大MSが暴走した(実際はキシリア暗殺未遂だったが、機密会談だったので便宜上そう呼んでいる)事で、実行役であるクラン『トゥエルブ・オリンピアンズ』のスポンサーであるアマラカマラ商会を査察するべきと判断されてガトー達が九州に派遣された事で、ガトー達の運命は変わり始めたのである。
アマラカマラ商会の方は連邦が用意したペーパーで片付けられそうな状況だったが、その背後にあるムラサメ研究所には査察どころか入場すら出来ず、査察許可が下りるまでシャロンの薔薇を奪還しに来たソドンの護衛やジム・キャノンII鹵獲などの地球での任務に甘んじだ訳である。
「全ての元凶たるムラサメ研究所の詳細が解ってしまえば、状況は大きく変わる筈なのだが」
フィリーネが恐る恐る現状をガトーに伝える。
「ですが、キシリア様は兎も角、連邦側が査察を拒否し続けているので……」
ガルシアが呆れた様に言い放った。
「だから怪しいんだろうが!」
それをガトーが宥めた。
「将官が新人を驚かすのはやめて頂きたい」
「そんな事は貴様に言われんでも解っとる!しかしだな……」
予想されていた事とは言え、ガトー達がラサ基地に居座ってからかなり日が経ってしまって事に焦りを感じるガルシアであった。
しかし……
ガトー達がラサ基地に居座るそもそもの原因であるイズマ・コロニー事件とはいったい何だったのか?
その詳細を知る必要がある。
そこで、ガトー以外にももう1人、前の時間軸からこの時間軸に死に戻って貰う事にする。
前の時間軸の宇宙世紀0105。
地球を一部の特権階級が私物化できる法案の可決などの地球連邦政府の腐敗を快く思わぬ者達が1人の青年の許に集い、彼らはテロリストと成った。
だが、活動拠点であった運搬船の沈没、オーストラリアのアデレード襲撃計画失敗などにより、彼らは空中分裂してしまった。
そして……
彼らを1つに纏め続けた表向きの首領格である『マフティー・ナビーユ・エリン』、本名『ハサウェイ・ノア』の銃殺刑が急ピッチで行われた。
マフティーに加担したテロリスト達への見せしめと言う意味合いもあったが、銃殺執行を指揮したケネス・スレッグは大先輩にして英雄でもあるブライト・ノアへの配慮の意味合いも有った。
ハサウェイはブライトの息子だからだ。
「……マフティー・ナビーユ・エリンだな?」
「そうだ」
「では、地球連邦政府参謀本部の命令によって、貴下の処刑を実施する訳だが……最後に言いたい事はないのか?」
そんなケネスの表情はどこか寂しげであったが、対するハサウェイは気丈に答えた。
「マフティーとして言いたい事は言った。いつかは、人類の健やかな精神が、この地球を護ると信じている。それまでは、人の犯した過ちは、今後ともマフティーが、粛清し続ける」
「懺悔したい事は?」
「これまで、僕に関係してくれて、僕に豊かな人生に提供してくれた人々すべてに、心から感謝する」
ケネスはつい未練がましい台詞を吐いてしまう。
「ん……ハサ、好きだぜ?」
「ああ、僕もだ。大佐……」
だが、ケネスは未練を捨てて叫ぶ様に命令した。
「射てーっ!」
こうして、ハサウェイの銃殺は執行され、決意と感謝の言葉を遺しハサウェイ・ノアはこの世を去っていった……
だが!ジオンが一年戦争に勝利した時間軸で発生するあの光……『キラキラ』がハサウェイの死体を包んでしまったのだ!
「何だ!?この光は!?」
「判りません!爆心地は、マフティー・ナビーユ・エリン!」
死んだ筈のハサウェイに何者かが話しかける。
「ハサウェイ。ハサウェイ」
「その声は……アムロか……」
「君は、最期まで地球連邦を信じる事が出来なかったんだね?」
「いや……どっちかと言うと、連邦よりシャアを信じたと言った方が正しいかもしれない。『人類を産んだ地球を滅亡させてはならない。保全すべきだ』と言う考えに」
「地球連邦は信じるに値しないと?」
すると、ハサウェイの前にGQuuuuuuXが姿を現し、その口が大きく開かれた。
「口!?何なんだ!?このMSは!?」
「このままでは君は成仏出来ない。かと言って、僕は君が望む世界を魅せる力は無い。だから、せめて地球連邦が絶対に観たくない光景にほんのちょこっとだけ近い世界線でも観て、それで満足して欲しい」
「どう言う意味だ?それは!」
だが、GQuuuuuuXはハサウェイの質問には答えず、ハサウェイの遺体を包んでいたキラキラはゼクノヴァとなって消滅した。
ハサウェイの遺体がゼクノヴァに連れ去られて消滅した事は、ケネスにとってはある意味ラッキーだった。
ケネスは自分の後任であり、マフティーの正体を知らないブライト・ノアに子殺しの汚名を背負わさない為に予定を前倒ししたり、またバリアーによる全身火傷のダメージが抜けきらない状態で銃殺刑となるハサウェイの苦しみを最低限にする為に迅速に刑の執行に臨んだ。しかしながら彼の努力はメジナウム・グッゲンハイム大将の余計な行為によって無駄となってしまった。
新聞にマフティーの正体とその裏に隠された地球連邦軍の苦衷というリーク記事が書かれ、マフティーの正体は世間に知られる事となった。
「何だこれはあぁー!?」
そのリークの内容は、『処刑を行ったのは父親のブライト・ノア大佐』『このような形式での処刑はあくまで息子の犯した罪を知ったブライトの強い希望によるもので、軍も政府もそれを止める事が出来なかった』『ハサウェイも父の諫めを受け入れて自身の行った非人道的テロ行為を反省して潔く処刑された』というあまりにも事実からかけ離れた捏造に満ち溢れていたものだった。
ハサウェイがGQuuuuuuXに語った通り、地球連邦政府はシャア・アズナブルより信用出来ない存在であったのだ。
こうして……
ケネス・スレッグは連邦軍を去った……
一方、ゼクノヴァに連れ去られたハサウェイは、民間用シャトルの中で目を覚ました。
「どう言う事だ!アムロ!」
ハサウェイの叫び声はかなり煩かったらしく、乗客が一斉にハサウェイの方を見た。
「あ……失礼しました……」
振り返った乗客達に謝りながら着席するも、内心は色々と困惑しているハサウェイ。
(何時の間にこのシャトルに乗せられた?しかもスーツ姿……そもそも、俺はケネスに撃たれて死んだ筈じゃ……)
ここでふと、GQuuuuuuXに言われた言葉を思い出す。
「せめて地球連邦が絶対に観たくない光景にほんのちょこっとだけ近い世界線でも観て、それで満足して欲しい」
(これが……このシャトルが連邦政府が嫌がる光景に僅かだけ近いと言うのか?)
その時、ハサウェイが来ているスーツのポケットに入っているスマホが振動した。
(スマホ!?……手錠も無いし、少なくとも、俺は囚人扱いされていない)
取り合えず、そのスマホを視て見ると、1通のショートメールが届いていた。
「FOOLYPEDIAでジオン独立戦争と検索してみて……待てよ!」
ハサウェイは一心不乱にスマホを操作し、GQuuuuuuXが言っていた『地球連邦が絶対に観たくない光景にほんのちょこっとだけ近い世界線』の意味をようやく理解した。
「サイド7事件?……ルナツー陥落!コンペイトウ落とし作戦失敗!休戦条約!……この世界線では、地球連邦はジオン軍に、敗けた!?」
ハサウェイが自分が一年戦争の結果が逆転した時間軸に飛ばされた事に気付く中、彼を乗せたシャトルはサイド6へと向かう。
ガトー達がラサ基地に居座る原因となった事件の爆心地であるイズマ・コロニーに……
登場キャラ
【ジオン公国】
アナベル・ガトー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ケリィ・レズナー〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
キィ〔KEY THE METAL IDOL〕
ガルシア・ロメオ〔機動戦士ガンダム THE ORIGIN〕
ヘイリー・アーフン〔機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム〕
ルネン〔機動戦士ガンダム 第08MS小隊〕
フィリーネ・イステル〔機動戦士ガンダム戦記Battlefield record U.C.0081〕
gMS-01ゲルググ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ド・ダイYS〔機動戦士ガンダム〕
【地球連邦】
ヤザン・ゲーブル〔機動戦士Ζガンダム〕
ORX-139ハンブラビ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
RGC-83ジム・キャノンII〔機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY〕
ケネス・スレッグ〔機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〕
【マフティー・ナビーユ・エリン】
ハサウェイ・ノア〔機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〕
【?】
エンディミオン・ユニット〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
第17話:新たなる転生者
ケネスに敗れ銃殺刑になった筈のハサウェイは、GQuuuuuuXに導かれる様にこの時間軸に来ていた。
「……地球連邦がジオン公国に敗けた世界線か……これが地球連邦が見たくない光景に僅かながら近い世界線だと言うのか?」
ふと自分の両親の正体を思い出したハサウェイは、この時間軸に自分がいると言う矛盾に驚いた。
「ちょっと待て!この世界線だと俺の両親は結婚出来るのか!?ハサウェイ・ノアが生まれない可能性の方が大きくないか!?じゃあ、ここにいる俺は何者なんだ!?」
その疑問に答えるかの様に、1通のショートメールが届いた。
「ん?マフティー・ナビーユ・エリン……サイド3で働く貿易商の息子!?」
展開がどんどん漫画じみてきた事に困惑するハサウェイ。
「……この世界線だと、マフティー・ナビーユ・エリンは実在の人物かよ」
そうこうしている内に、ハサウェイを乗せたシャトルがイズマ・コロニーに到着した。
ガトー達がラサ基地に居座る原因となったあの事件の爆心地に……
どうやら、この時間軸のマフティーは親の仕事を手伝う為にイズマ・コロニーにやって来た様だ。
で、肝心の交渉は予想外にスムーズに進み、ハサウェイは暇を持て余す羽目になった。
「さて……ここからどうしたら良いんだ?」
が、1台の車とすれ違った事で、ハサウェイに緊張が走った。
「な!?マンハンターの車!?ここはコロニーの筈だろ!?」
問題の車は、難民街と呼ばれる場所で停まり、中から軍警察の職員が出て来た。
「今から使用しているMSの一斉検査を行う。ただし、これはお前達がインストーラデバイスを所持していない事を証明する為の形式的で簡素な……」
その途端、1機のザクが慌てて逃走した。
「おい!?ちょっと待て!貴様らがインストーラデバイスを持っていない事を証明するだけで良い筈なのになぜ逃げる!?」
つまり、彼らはインストーラデバイスを持っているのだ。
一応インストーラデバイスを外してあるのでモノアイは水色とは言え、実際はインストーラデバイスを所有しているので逃げの一手しかないのだ。
が、当然軍警察のザクも怪しいザクを追う。
「ザク対ザク!?この世界線の一年戦争は終わったんじゃないのか!?」
「ハハハ。あのザクはどっちもジオンじゃねえよ。ジオンは中古のザクをどんどん払い下げてるし、クラバはトゥエルブ・オリンピアンズVSポメラニアンズで盛り上がってるし」
突然話しかけて来た右目に医療用眼帯を着けた難民風男性に驚きつつも、どこか懐かしさを感じるハサウェイ。
(誰だ?ケネス大佐に似てなくもないが……)
「ジオンから買い取ったザクを使って何をやってんだ、と?」
「言ってくれるな。お、逃げるタイミングを間違えた馬鹿が……ほーら」
軍警察のザクが逃走したザクを連行していた。
「どこで手に入れたこのデバイス!?後で全部吐いて貰うからな!」
1組のクランバトラーが軍警察に逮捕される中、ハサウェイは現場の近くにあった売店によっていた。
「ここの警察はザクをあんなに頻繁に使用するのかい?」
「確かにあいつらはひどいけど、ここ最近は、ひどいね。ソドンがこのコロニーに来た時でさえここまで騒がなかったのに」
「そうなのかい?」
そこへ、ケネス似の謎の難民が再び話しかけた。
「ジオンのお偉いさんが来るって噂だ」
「お偉いさん?」
「そのお偉いさんがこのコロニーで死んだら、サイド3は何を言い出す事やら」
「確かにジオンにとっては一大事だな」
「つまり、あいつらはジオンが怖いんだよ。だからザクやマゼラン級を大量購入したり、ああやって危険分子を排除している」
サイド6の過剰な軍備強化に不安を覚えるハサウェイ。
「軍隊の心算でいるのか?」
「難民へ相当厳しい取り締まり体制を敷いている上、一般市民への被害も顧みないため、住民からの評判は……よろしくない」
その謎の難民の言葉に、ハサウェイは思わず吹いた。
「ぶっ」
「あ?」
「逆に言えば、軍隊が好きな一般市民がどれだけいるかって話だよ。その軍隊が腐敗していたらなおね」
「特に地球でドンパチする様なテロリストはな」
それがかえってハサウェイの笑いを誘ってしまう。
「はははははははは」
「何が可笑しい?」
「いやいや。君、俺の昔の友人にそっくりだなって」
「ふーん」
一方、そんなイズマ・コロニー中空の駐留するソドン内は緊張しっぱなしであった。
「で、先程軍警察に捕まったザクは、キシリア様とは関係無いのだな?」
「はい。ただのクランバトラーの様です」
ここでシャリアがラシットへの報告に補足説明を加える。
「彼らはポメラニアンズに敗けたチームの一員ですしね」
だが、キシリアがイズマ・コロニーにお忍びでやって来た事を知るラシットの緊張は解けない。
「だと良いが。キシリア様に何か遭っては一大事だからな。何か不審な点が無いか、ちゃんと確認しておけよ!」
その後、そのケネス似の謎の難民と別れたハサウェイは予約している事になっているホテルに向かおうとするが、先程の会話がどうも引っ掛かる。
(やはりさっきの話、気になるな)
「マフティーさん」
ホテルの受付に声を掛けられてハッとするハサウェイ。
「あ、はい。なんでしょうか?」
「303号室をお使いください」
「あ、どうも」
そのまま客室に向かおうとするハサウェイであったが、
「チェックアウトをお願いします」
ホテルを出て行こうとする2人組が、一瞬レーン・エイムとダブって見えてしまった。
「レーン・エイム!?」
ハサウェイの大声に驚き振り返った2人組は、背の高い方は兎も角、背の低い方はレーンとは似ても似つかない別人だった。
そして、自分が呼ばれた訳じゃないと勘違いした2人組は、困惑するハサウェイを無視してホテルを後にした。
そこが盲点であり惜しかった。
この2人組こそが、今夜発生する、ガトー達がラサ基地に居座る原因となったイズマ・コロニー事件の実行犯であるゲーツ・キャパとドゥー・ムラサメである。
つまり、ドゥー・ムラサメとレーン・エイムがダブって見えてしまった瞬間こそが、事件をハサウェイの手で未然に止める最初で最後のチャンスだったのだ。
その後、ホテルを離れたゲーツはスマホで誰かと話していたが、その内容に驚いた。
「何!?今夜のクランバトルの場所が変更になった!?どう言う事だ?」
で、ゲーツの正体を知らぬまま客室に入ってしまったハサウェイは、スマホで交渉の結果を父親に報告するが、この時間軸におけるマフティーの父親になかなか慣れないハサウェイ。
「……判らんな。アムロはこの世界で何をさせたいのかが……」
その後、何もする事が無いので、客室で食事をし、シャワーを浴びてからベットに転がった。
ハサウェイがホテル内で呑気に食事をしている頃、サイド6軍警察本部ではポメラニアンズとトゥエルブ・オリンピアンズの逮捕に失敗した事を悔んでいた。
今夜のクランバトルが予定通りに行われてしまう危険性が非常に高まってしまったからだ。
「くそおぉーーーーーー!よりによってこんな日にクランバトルを始めやがってえぇーーーーー!」
「なにせ今日は、ペルガミノ大統領とカムラン・ブルーム大統領首席補佐官だけでもすごい事なのに、うわ!?」
上司に書類を投げつけられた刑事が驚いた。
「そこまで解っていながら、何故あいつらまで辿り着けなかった!?ワードとチャイチは未だに連絡が途絶えたままだ。挙句の果てには、あのグラナダからお客さんが来ちまったんだぞ!よりによって、キシリア・ザビがだ!」
そのキシリアの暗殺こそが、ガトー達がラサ基地に居座る原因となったイズマ・コロニー事件の真の目的であった。
イズマ・コロニーに危機が迫る!
登場キャラ
【ジオン公国】
ハサウェイ・ノア〔機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〕
ラシット〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
オシロ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
シャリア・ブル〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ペガサス級強襲揚陸艦ソドン〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
キシリア・ザビ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【地球連邦】
ゲーツ・キャパ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
ドゥー・ムラサメ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
レーン・エイム〔機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〕
【サイド6】
マンハンター車両〔機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〕
MS-06SSP軍警ザク〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
MS-06ザク〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
民間車両〔機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ〕
ペルガミノ〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
カムラン・ブルーム〔機動戦士Gundam GQuuuuuuX〕
【?】
ケネス似の謎の難民〔本作オリジナル〕
GQuuuuuuX世界のデラーズ・フリートへ……