zoku勇者 マザー2編・8

スリーク編・序盤

「なななななんとっ!?……こ、この金はっ!?」
 
「一万ドルは有る筈です、如何ですか?このお金と交換条件で、
トンズラブラザーズの皆さんを借金から解放して頂けますか……?」
 
「……むうううう~っ、信じられん、しかし……」
 
ドッグフードはアイシャが開けたトランクの中を……、まだ
信じられないと言った感じで何回もジロジロと見回す。
 
「しかし……、一体何故、こんな大金を……、君達の様な子供が……、
出所は一体何処なんです……?」
 
「それについてはお答え出来ません、もしも、これ以上
この件について突っ込む様なら……、お取引は無かった事に
して、お金は孤児院に全て寄付致します、そして、勿論……、
今聞いた事も見た物も……、あなたには全てを忘れて頂きます……」
 
「おいおいおい、……アイシャっ!!」
 
ジャミルが慌てるが、アイシャは平然とし、にっこりと
笑いながらドッグフードを見る。やはり、彼女は度胸も
只者ではなかった。……しかし、普段の暴走時からは
信じられない様な意外な一面を今回初めて見せた。
……まるで別の誰かが憑依している様な……。
 
「わ、分った!取引に乗ろう、このお金は受け取らせて頂く、
よし、今日からトンズラブラザーズはもう自由の身だ!!」
 
「マジかっ!ほんとにっ!」
 
「やったわっ!ジャミルっ!!早く皆さんに報告に
いきましょっ!」
 
二人は手を取って喜びあい、支配人の部屋を後にした。
……それを見ていたドッグフードは憎々しげに舌打ちをする。
 
「……今に見ていろ、奴らの素性もこの金の出所も全部
調べてはっきりさせてやる……、しかし今は金だ、金……、
うほほほほほーーーっ!!」
 
そして、ジャミルとアイシャは早くトンズラに報告したくて
急いで劇場の外に出た。
 
「おーい!おっさん達ーー!いい知らせだぞーーっ!!」
 
「おお、戻って来たか、で、支配人になんの用だったんや?
わしらもアンタらに渡すモンがあるさかい、ずっと待っとっ
たんや」
 
「渡すモン?」
 
「そや、バックステージパスや、これでわしらのコンサート、
上演時には何回でも見れるで!凄いやろ、カッカッカ!」
 
「そんな高級な物、唯でなんか貰えないわ……!」
 
「ええのんええのん、わしらもう、ヤケクソやさかい、
どうあがいても一生此処からは出られへんのや、精一杯
頑張るから、あんたらもこれで沢山ステージ見に来てな!
もう、スリークにも送って行くのも無理になってしもた
けどな、堪忍してや」
 
「あっ……」
 
ナイスはアイシャの手にバックステージパスを握らせる……。
アイシャがジャミルの方を見るとジャミルがこくんと頷いた。
 
「あのな、あんたらはもう自由なんだよ、借金は
無くなったんだぜ」
 
「……ほうほう、そうかそうか、借金がなくなったのか、
そらよかっ……」
 
「!?」
 
……ラッキーとナイスもジャミルの方を見た。他のメンバーも
口を開けてあんぐりする……。
 
「ジャミル、冗談はよせや、だって、んな金、お前ら
ある訳ないやろ、大人をからかったらアカンで……」
 
「笑うしかないな、こら愉快、カッカッカッカ!
カッカッカッカ!」
 
「信じて貰えないかもしんないけど……、俺ら、ある
トンチキな奴に……、急な札束を押し付けられてさ……、
使い処に困っちまってて、どうすっかビクビクしてた訳、
んで、アンタらが莫大な借金で困ってるって聞いたから、
此処のオーナーに渡したんだ、一万ドル……」
 
「いちちちちちちち、いち……、一万ドルうううううう
うううーーーーーーー!?」
 
トンズラブラザーズは皆揃って声を張り上げ……、驚いて
被っていた帽子がふっ飛んだ……。それ程、彼らにとって、
この衝撃は大きかったようであった……。
 
「……マジで、夢やないんやな、借金がもう、
のうなったとか……」
 
「カッ……、ッカッカ……、(震え声……)」
 
「本当よ!皆さんは今日から自由なの!もう借金の返済に
脅えなくてもいいのよ!」
 
「しかしなあ、ほんまかいな、マジかいな……おうっ!」
 
まだ、オロオロしているラッキーをどつき、ナイスがジャミルと
アイシャに近寄っていった。……そして……。
 
「よーし!これは夢やないんやな!ほんとにほんとに夢や
ないんや!もう、そう思うで!……もしもこれが夢やったら、
ジャミルをどつくからの!」
 
「あのなあ、……うわ!?」
 
「きゃあーっ!?」
 
「よっしゃ、胴上げや!本当にわしらの救世主やった、
小さな英雄君たちを胴上げや!」
 
「それーーーっ!!」
 
他のメンバーも加わり、ジャミル達をわっしょい胴上げし始める
トンズラのメンバー達、やがて、どつかれたラッキーも慌てて
戻り、胴上げに加わるのであった。
 
「よーし!わしらも此処からようやっと動けるわ!今夜、
此処での最後の舞台が終わったらお前らちゃんと
スリークまで送ってったるわい!」
 
「ほ、ホントか?……ラッキーのおっさん!?」
 
「あはははっ!ジャミルっ、良かったねー!あはははっ!」
 
「本当だよなー!マジでどうなる事かと思ったけどな!」
 
「よーしっ!もっと高く上げたるわ!天まで届く
ぐらいにのう!!わしも力を入れたるけんのう!!
おどりゃ!!」
 
「♪じゆう~、……ゆめじゃないのお~、かね~、
……かねーーっ!!」
 
「オーケーオーケー!君達軽いからオーケー!
……お相撲さんならノーサンキュー!」
 
「あははっ!もうっ!やめてったら!トンズラさん達っ!
きゃあああーーっ!!く、くすぐった……、あはっ!
あはははは!!」
 
「……ぐ、ぐえ……」
 
アイシャは喜んでいたが、ジャミルはそろそろ酔って
来た様であった。
 
「何だい、ありゃ、今夜の余興かい?」
 
「……さあ……」
 
今夜の舞台の為、チケットを買いに並ぼうと思って
いたのだろう、劇場まで足を運んだお客さんが……、
胴上げされているジャミル達を見て不思議そうに
首を傾げていた。
 
 
……そして、時刻はトンズラブラザーズの夜間舞台、
開演間近時刻に……
 
 
「はあー、何だか……、こんないい席で見られるなんて……、
しかも真正面の間近よ?他のお客さんに悪いみたい……、
ドキドキしちゃう……」
 
場内は混雑で立ち見客も多い為、きちんと指定席で
見れるジャミル達は優遇されていた。中には不満そうに
ジャミル達をジロジロ見ている客も。
 
「何であの子ら、トンズラにあんなに近いのよ、
信じらんない……、飛んでくるトンズラブラザーズの
汗と唾を喰らうのは、この私なのよ……」
 
「いいんだって!何せ俺ら、トンズラブラザーズを
救ったんだかんな!」
 
「……ジャミルっ!足組まないのっ!!ほらっ!!」
 
「いてっ!!」
 
……何処から持ち出したのか、脚気検査の患者の如く、
ものさしでジャミルの膝をアイシャがぴしゃりと叩いた。
 
 
……間もなく、トンズラブラザーズ、夜間コンサート
開演でございます……
 
 
漸く場内アナウンスが流れ始める。
 
「お?もうすぐだなっ!」
 
 
……尚、演奏時での間食、……下品なオナラ等はお控え、
マナーをお守り下さい……、皆様に楽しいステージを
お届けする為にもどうかご協力をお願い致します……
 
 
「どう聞いたってジャミルに言ってる様な気がするわ……」
 
「むすう~……」
 
……そして、幕が上がり、観客の歓声と共にトンズラブラザーズが
ステージに姿を現す。
 
「……1人、見慣れないのがいるんだけど、……あれが、
ステージ以外、姿を見せないって言うメンバーかな?」
 
「あら、本当……」
 
ステージの後ろの方で、確かに昼間見掛けなかった
ハゲ頭の男がいた。どうやらキーボード担当らしい。
きっとあれが相当影の薄いという6人目なのだろう。
 
 
「イエーイ!カオス劇場のソウルメーーン!
セクシーでエキサイティング!!
ダイナマイトなステージ!!
カモーン!グレイティストブルースメエエーン!!
トンズラブラザーズバーンド……
ヒアウィーカム!
ガッチャ!ガッチャ!」
 
 
……わあああああああーーーーっ!!
 
 
ラッキー&ナイスのボーカルに合わせ、他メンバーの
ノリノリのバンド演奏……、観客の大声援とブルース
バンドが会場一体となり、最高の素晴らしいステージとなり、
盛り上がりはもう、最高潮、絶好調!になったのであった。
 
「やーんっ!素敵ーーっ!!きゃあああーーっ!!」
 
「あんたうるさいよ、黙って見てなさいっ!おりゃ!」
 
「……痛っ!何よもうっ!!ジャミルのバカっ!!」
 
ジャミル、興奮するアイシャの頭をさっきの仕返しに
ものさしでぴしゃりと叩いた。勿論おふざけで軽くで
あるが。騒ぐかと思いきや、意外と今回はジャミルの方が
アイシャよりも落ち着いて静かに舞台を見ていた。
 
(……すげえな、トンズラブラザーズって、本当に……
すげえバンドだったんだなあ……)
 
 
そして、大興奮の中、演奏も終り、今夜のステージは
静かに幕を閉じたのであった……。

ジャミルとアイシャはスリークまで送って貰う為、
トンズラブラザーズのバスに同席させて貰い数時間……、
やがて幽霊が行く手を妨害すると言う魔のトンネル
付近まで差し掛かっていた。
 
「……大丈夫なのかい?言っちゃ悪いけど、このバスよう、
結構あれじゃん?何かガタがきてるしさ……、爆発
するんじゃね……」
 
「ジャミルったら!乗せて貰って失礼でしょ!」
 
「がっは!心配するこたあねえで!おい、お前ら、そろそろ
演奏の準備しとけ!」
 
「よっしゃよっしゃ!」
 
ラッキーが運転手のナイス以外に声を掛けると、
メンバーが楽器を準備し、それぞれのパートで
大音量で演奏し始める。
 
「ああ!窓の外……!幽霊さん達がいっぱい来てるわ!
このままじゃバスが……!!」
 
「平気やで!アイシャお嬢ちゃん!お前らもっと音の
ボリューム上げろーーっ!!」
 
「それええーーっ!!わしらの演奏をきけええーーっ!!」
 
「う、うわ……!」
 
ジャミルが耳を塞ぐ……。流石に、こんな狭いバスの中で
演奏すればもの凄い大ボリュームである。……演奏の元気な
騒音はやはり外でバスに取りつこうとしていた幽霊にも
効果があったらしく、あれだけいた幽霊の大群もあっと
言う間に逃げて行ってしまった。
 
「どや!わしらの凄さを思い知ったかいのう!カッカッカ!」
 
「すんげえ……、しかし、まだ耳が……、うう~……」
 
「ジャミル、大丈夫……?」
 
アイシャがジャミルを心配して声を掛けた。しかし、
ジャミルははっとしてある事を思い出し、周りを見回す。
 
「6人目、……キーボードのおっさん……、ありゃ、いないっ!?」
 
「ジャミル、どう探しても、キーボーは演奏時以外姿を見せん、
突っ込んだらいかんのじゃ」
 
「え、えええーーっ!?」
 
広島なまりのグルービーがジャミルの肩に手を置いた。
全くもって、謎の男、演奏、ステージ時以外姿を
見せない幻の6人目、……キーボー、その素性は
一切謎のままである。
 
「お?そろそろトンネル抜けるで、降りる準備しとけや!」
 
ナイスの声に前を向くと……、目の前には真っ暗な……
ツーソンとは明らかに違うこれまでと違った風景が
広がっていた。いよいよ、スリークまで来たのであった。
 
「此処が、スリークなのね……、何だか怖いわ……、
でも、頑張らなくちゃ!」
 
「……はあ、又暴走するんだろうな、俺がしっかり付いてて
やんねえとな……」
 
「なあに、ジャミル、何か言った?」
 
「何でもござーませーんっ!」
 
二人はバスを降りた。此処で、トンズラブラザーズとも
お別れである。メンバーが、それぞれジャミル達に
声を掛けた。
 
「元気でのう!わしら、フォーサイドの舞台で歌っとるさかい、
又、見に来てや!」
 
「此処は暗い町やけど、大丈夫や!アンタらの元気さと
アホさでゾンビもゴーストもすぐに消えてまうわ!
カッカッカ!!」
 
「世話になったのう、あまり無理したらいけんぞ……」
 
「♪かね、てにはいったけど~、……おわかれ、さびしい~、
でも、また、あおおうう~!」
 
「……僕、フォーサイドでも多分、目立たない男だから、でも、
こんな存在感がない僕でも姿を見つけてくれたら嬉しいな……」
 
「みんな、ありがとな!必ずフォーサイドまで
追い付くからな!」
 
「皆さん、さようなら、本当にお世話になりました……」
 
ジャミルとアイシャもメンバーとそれぞれ握手を交わし、
お別れをする。……そして、等々、トンズラブラザーズが
乗ったトラベリングバスはフォーサイド目指して行って
しまった……。
 
「はあ、又私たち二人だけになっちゃった、……静かになったね……」
 
「ああ、此処で立ち止まってても仕方ねえ、行こう……」
 
「うん……」
 
まずは、これからの準備も兼ね、お約束の武器の調達で
ドラッグストアに立ち寄る。とてもいいバット、あつめの
フライパンを購入し、店を出た。
 
「何か、食うもんも調達しておかねえと、腹減っちまうな……、
目につくのはピザ屋とパン屋か……」
 
「ジャミル、良く食べる気になるわね、私、とても駄目……、
ピザの中のお肉がゾンビさんのお肉だったら嫌だもの……」
 
「そういう妄想して勝手にテンションダウンするんが
一番良くねえんだぞ!いいよ、俺一人で食うから!!」
 
「ごめんなさい……、でも駄目なの……」
 
ジャミルはアイシャを追いて、マッハピザ屋に電話を掛けるべく、
再びドラッグストアへ。数分後、又変な音楽に乗せて、マッハピザ
屋配達員到着。バス停の側のベンチに腰掛けピザを開封。
 
「ああーーっ!うめえーっ!……おい、何て事の無い、本当に
普通のピザだけど……、食うか?」
 
「いらないの……、ごめんね……」
 
……アイシャは折角ジャミルが差し出してくれたピザを
拒否する……。アイシャの態度にイラつき始めたジャミルは
独りで全部ピザをドカ食いする……。さっきまで元気だった
アイシャは、此処に着いてから何だか落ち込んでいる様でも
あった。賑やかだったトンズラと離れ、どうやら……暗くて
陰気くさいこの町の雰囲気に飲み込まれ、元気をなくして
しまったらしい。……女の子のそういう処の微妙な気分の変化に
気づいてやれない相変わらずの鈍感なジャミルであった。
 
「はあ、ピザも食っちまったな、俺、ちょっと
用足してくる……」
 
「行ってらっしゃい……」
 
ジャミルの方を見ず、俯いたままアイシャがそっけない
返事だけ返した。
 
「かーっ!何なんだよ、面白くねえな!」
 
ジャミルは少しその場を離れ、アイシャだけになった。
一人になったアイシャの側に変な2体の操り人形が
踊りながら近づいてくる……。
 
「……トテトテトテ、トテトテトテトテ……」
 
「……?あはっ!可愛いお人形!!」
 
「……オチャメナサムクンデス……」
 
「カワイイトムクンデス……」
 
「このお人形、自分で動くのね、……おいで!」
 
「……ケケケ、……オネエチャン、サムクント
イッショニアソボ……」
 
「きゃああーーーっ!!」
 
サムと名乗った人形はアイシャに向け自分の糸を放出すると
アイシャの身体を拘束する……。
 
「ズルイ、トムモヤルンダヨ……!!」
 
今度はトム人形の方が糸を放出し、アイシャの首を糸で
締め付け、窒息させようとする。声を出したくても
苦しくて声が出せずアイシャはもがく……。
 
「はあー、この先、こんなんでやっていけ……!?
アイシャっ!!」
 
変な人形に拘束されているアイシャの姿を見つけ、
すぐにジャミルが駆けつける、買ったばかりの
バットで人形の頭を思い切り殴ると、人形は驚いて
アイシャを解放すると逃げて行った……。
 
「……おい、アイシャっ!大丈夫かっ!?」
 
「……ジャ、ミ……、けほ、声が……、でも、大丈夫……、
ありが、とう……」
 
襲われたアイシャの現状を見て、やはりほんのわずかな
時間でも、アイシャから目を離してしまった事にジャミルは
激しく後悔するのであった……。
 
「ごめんな、アイシャ……、俺、つまんねえ事で
苛々しちまって……」
 
「ジャミル……」
 
「俺、何も考えてねえバカの様に見えるけど……、俺だって
不安な時はあるんだよ、嫌だったんだよ、……お前まで
元気なくしちまうのを見るのは……」
 
「ごめんね、ジャミル……、うん、元気出して
頑張らなくちゃね!……あーあ、何か急にお腹
空いて来ちゃった!」
 
「はあ、調子のいい奴……」
 
「うふふっ!」
 
こうして、アイシャも元気を取り戻し、二人でスリーク
散策へと動き出す……。しかし、この後……、ジャミルの
不注意で、更にとんでもない事態に巻き込まれ危機に
陥る事に……。

ジャミルとアイシャは町の人に話を聞いて情報を
集めようとするが、大概、どの家も皆ゾンビを
恐れて家に引き籠って出てこない状態である。
 
 
「ゾンビだろ!?帰ってくれ!!……新聞の勧誘もお断りだよ!!」
 
「ゾンビがくるからあけちゃだめよってママがいってまちた~」
 
「キャー!ゾンビーー!!……今、ゾンビ映画見てるん
だから邪魔しないでっ!!」
 
 
「……ハア、こんなとこ、フラフラ歩き回ってんのは
俺ら位のモンだよなあ~」
 
「諦めちゃ駄目よ、誰かこの町の状況を教えてくれる
人がいる筈よ」
 
更に歩き回り……、北の墓地まで来てしまう……。
 
「流石に墓の下の人は無理だよな……」
 
「も、戻りましょ……」
 
 
「……」
 
「……」
 
「……」
 
 
そんな二人を……、ある墓の近くから見ていた3人の
ゾンビがいた……。ゾンビ共は頷き合って何か合図
し合っている……。
 
急いで再び商店街に戻る。漸く、話を聞いてくれる
方に出会う。町でフラフラしていたお兄さんだった。
元、ゾンビの手先だったらしいが、裏切って逃げて
きた自称正義の卑怯者という事だそう。
 
「この町は、ゲップーって言う異星人に占領されてるんだ……、
奴は次々と……、ゾンビ共を蘇らせている……」
 
「ゲ、ゲップ……!?」
 
「やだ……」
 
アイシャが口を抑える。話によると、この汚い名前の
ゲップーという異星人はギーグの手下で、女らしい……。
ゾンビを次々と蘇らせ仲間を増やそうとしているらしい……。
しかし、女か、女ではないかははっきりしないと言う
事であった。
 
「……中央にゾンビ対策本部のテントが立ってるけど……、
全く役にたっていないよ……」
 
二人はお兄さんにお礼を言うと、再び薄暗い町中を歩き出した。
 
 
「ゾンビ対策本部か……」
 
「行ってみる?」
 
「いや、時間の無駄だろ、それよりも……、この町を
洗脳してんのは、ゲップーって言う女なんだな……、
ゲ、ゲップーで女なのか……?もしも本当に女なら
エライ事だぞ……」
 
「……ジャミル、嫌らしい顔!」
 
「は?な、何でそうなるんだよ!俺は元から
こういう顔……って、まるで俺がスケベみたいな
言い方じゃねえかよ!!」
 
「……ホテルの前にいた、なんか変なセクシー女、
怪しいわね……」
 
「……」
 
通りすがりのおばさんが呟いた一言に、又ジャミルが
反応を示した様であり、アイシャの機嫌が一気に
悪くなった……。
 
「バカバカバカっ!スケベっ!」
 
「だからっ!何でそうなるっ!!」
 
「……しっかり大きくなってるじゃないのっ!」
 
……こんな状況で……、二人は又喧嘩しそうになる……。
 
「……チュッ!」
 
「!!!」
 
「は、ハア?」
 
突然、ホテルの前に……、スタイル抜群の美女が
現れ……、投げキスをした。どうやら、ジャミルを
誘っているらしい……。
 
「ボウヤ……、んーっ、ちゅば!」
 
「えへ?えへ、えへ、えへへ……」
 
「やっぱり……!スケベじゃないのっ!!」
 
「い、いや、これはだな、その……、男のサガっつー
奴でだな……」
 
アイシャはじろじろ、ジャミルのもっこりと膨らんだ
股間を見る……。これは、スケベ感情の度合いを調べる
事が出来て、非常に便利である。
 
「何よばかあーーっ!!」
 
「あ、あんま大声だすな……、わわわわわ!」
 
ジャミルはアイシャを慌てて抑えようとするが……、
ホテルの前の美女は……、ジャミルに対して更に
ホルモンを出し、誘惑するのであった……。
 
「いらっしゃい、お姉さんといいことしましょ、
……さあ……」
 
「えへへ、えへ、参ったな……、何でかな、身体が勝手に……、
あれ?あれれ?あれあれ……?」
 
「……ジャーミールーーー!!」
 
ジャミルは怪しい女の後を追ってホテルにフラフラ釣られて
入って行ってしまう……。それを慌てて追掛けるアイシャ……。
 
「待ちなさいよっ!ジャミルったらっ!!」
 
「えへへ、えへへへ……」
 
(チ、うるさい……、しつこい邪魔な小娘め……、
チョロチョロとガキに纏わりつきおってからに……)
 
女はホテルの小部屋に入り、姿を消す……。ジャミルは
まるで何かに取りつかれたように我を忘れて女の後を
追う。アイシャはもう夢中でジャミルをどうにか
捕まえようとするが……。漸く、ジャミルの手を
掴んだ時にはもうジャミルはドアを開けてしまった
後であった。
 
「……あ、あっ!?」
 
「きゃ!」
 
部屋の中にいたのは……、あの女と、ゾンビ3体と
ゴーストであった。ゾンビ共は恐らく、墓場の側で
ジャミル達を見ていたゾンビに違いないであろう。
ジャミルは漸く我に返り、アイシャを部屋から
出そうとするが……。
 
「うわっ!?」
 
身体を見えない何者かに強く押され、ジャミル達は強引に
部屋の中に押し戻されてしまうのであった。そして、
ドアも勝手に閉まり、自動でロックが掛った。
 
「やべえ!だ、だせっ!此処からだせーっ!……あ!」
 
「ふふふ、可哀想な……、糞ガキのおばかサーン!
……やりな!」
 
女が合図すると……、ゾンビ達がジャミル達に一成に
襲い掛かってくる……。アイシャは必至でジャミルに
しがみ付いている……。……その後の事は二人とも
記憶がなく、気が付くと……、得体のしれない場所に
閉じ込められていた……。
 
 
「こ、此処どこ?……私たち、変な場所に閉じ込められ
ちゃったの……?あっ!?」
 
アイシャは急いでジャミルに駆け寄る。……どうやら
起き上がれない様であった……。
 
「ジャミルっ!どうしたの、ホラ立って!早く此処から
逃げなくちゃ!……ジャミルっ!!」
 
「……わりいな、アイシャ……、俺本当にバカだ、あんなのに
付いていっちまって……、けどさ、あの女の顔見ただけで何か
変な気持ちになっちまったんだよ、……本当は全然付いて行く
気なんかなかったんだよ、言い訳に聞こえるかもしんねーけど……」
 
「もう、馬鹿っ……!本当にもう……、ん……」
 
アイシャは涙を拭くと周りを見回す。ふと、扉が見え、
急いで駆け寄った……。
 
「やっぱりだけど、開かないわね……、あっ!ジャミルっ、
どうしたのっ!?」
 
アイシャは再びジャミルの処に戻る。呼吸が荒く、肩で息を
している状態であった。
 
「……あの女に……、投げキスされた時に……、同時に
変なモンも……俺の身体に……、投げたらしい、しびれ
毒矢かな……、暫らく立ちゃ、治ると……」
 
「うそっ、やだっ、ちょっとジャミル、しっかりしてよ!
お願いだから……、ねえってば……、……ぐすっ、……泣いてる
場合じゃないの、私がしっかりしなくちゃ……、うっく!」
 
アイシャは心を落ち着け、涙を堪えて静かに目を閉じ……、
この世界の何処かにいる、新しい仲間に呼びかけるので
あった……。
 
 
……聞こえる?……この世界の何処かにいる……、私達の
友達……、元の世界、異世界でも大事なお友達だったけど……、
この世界では初めての対面……、あなたに呼びかけています、
……どうか……お願い……
 
私達を助けて……、お願い……、アルベルト……、アル……、
どうか……、……助けてーーー!!

zoku勇者 マザー2編・8

zoku勇者 マザー2編・8

SFC版ロマサガ1 マザー2 クロスオーバー 年齢変更 ジャミル×アイシャ カオス ギャグ 下ネタ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-04-05

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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