『籠の鳥』

夢を見させたのは貴方よ


『籠の鳥』


真っ白な世界で生きていた
庇護されるのが当然の
何の心配もない完璧な世界
微睡むアタシの羽は閉じたまま

貴方が突然現れた日
置き手紙にはインクの染み
たった一滴の黒が広がる
真っ白な世界は汚された

あの染みがいつまで経っても
頭から離れなくて患ったのです
まるで熱病のようにアタシを誘う
おいでおいでと誘惑する

どう逆らえばよかったの
アタシは夢見心地でその手を取った
だってあの黒に染まりきれば
どれほどの悦楽が待っているのか

そうして真っ白から踏み出した
悪いのは貴方だけだから
アタシはまるで真っ白なまま
染みなんてどこにもない顔で

インクの一滴に満足できなくなり
更なる染みを求める頃
貴方は近付く虚無に震えてた
でも悪いのはアタシじゃないわ

最初からアタシは何も望んでない
貴方が勝手にしたことよ
だけど羽ばたき方は解ったから
今度は勝手に羽ばたくわ



「学んで巣立つ、普通のことよ」

『籠の鳥』

『籠の鳥』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-03-30

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