綺麗
きみを塗り潰さぬように
自分の手の届かないものは、何故あんなにも美しいのか。いつも不思議に思う。
どこか遠巻きに、他人事のようにそれを眺めて、硝子よりも分厚い何かで隔てられているかのように。壊すのは簡単だろうと思う。拳を犠牲にしてしまえば打ち破ることは容易いだろうから。
でもそれをしないのは、どこか神聖なものに祈るような想いでそれを見ているからだ。神を我が物にするのは傲慢で、思いのままに操ることは難しい。その事実を痛いほど理解しているから。
宝石も同じだ。
身に付けるには烏滸がましい。
一度傷がついてしまえば価値が下がるのと同じ。ぼくはきみの価値を左右したくない。きみまで、落ちてくる必要はないのだ。こんな暗く澱んだ場所まで。
綺麗なきみは、そのままでいて。
切実な、切望。
ぼくは孤独のままでいい。
綺麗