桎梏と失墜

精神的支柱にしていたものがその効力を失い、桎梏(しっこく)に転化されるとき、途方もない絶望を覚える。精神的な故郷はみな失くなってしまった。この故郷喪失を埋め合わせるだけの代替物があるだろうか?しかし、代替可能なものではなく、かけがえのないもの、そのかけがえのなさに私は慰撫されていたのではなかったか?取っ替えの効くものに媚びるくらいなら、最初から何も乞わないほうがましだ。この桎梏と(くつわ)()められ、永久に喘いでいたほうがましだ。私の絶望は誰にも癒せやしない。その点で私の絶望は代替不可能な、かけがえのないものだ。皮肉な逆説。精神的支柱の効力回復を待つだけの気力体力ももはやなく、絶望の奈落に失墜していく私には、独りで朽ちていくのがお似合いだ。ああ、身体が軽い。失うものが何もないって、こんなにも自由なのね。こんな自由知りたくなかった。重力を感じる。恩寵とは到底呼ぶことのできない無慈悲な重力を。私のこと、誰も救わないで。

桎梏と失墜

桎梏と失墜

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-03-17

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