草原
ぼくが見てたものは何だったのか
写実的な風景画の中に飛び込んだような
半球体の天井に映し出される星空の下にいるような
本物のような 夢のようなものだった
ぼくが見ていたものは
地平線の彼方まで何もなかった
いや、渇いた草と渇いた花が
びっしりと生えていた
それがさわさわと風に靡いていた
見渡す限りの大草原に
ずっと風が吹いていた
ずっとだ
草原よりもさらに大きな空がそこにあり
空と草原の繋ぎ目に
複雑な形の雲が途切れることなく伸びていた
言葉は存在できなかった
生まれ出ることすら憚られた
壮大な静けさにすべてがひれ伏していた
それでもぼくは言えばよかった
言葉にならない言葉を
あの時、きみに伝えればよかった
草原