詩
気まぐれな祈り
あなたの病が快方へ向かうように
あなたの苦しみが癒えるように
祈りがいつか実を結ぶように
日々の鍛錬が価値のあるものだと思えるように
過去の祖先の苦しみに思いを馳せられるように
自我よりも人と人の間を信じられるように
人は受動的でしかありえないことを認められるように
周囲の草木に心ひかれられるように
やがて来る開花の季節を素直に讃嘆できるように
欺瞞
やっぱり苦しいね
欺瞞の努力ばかりだから
欺瞞に満ちててもいいと思う
簡単に嘲笑ってはいけない
欺瞞を貫かないと人生の峻厳にはたどりつけない
そうやってまた欺瞞で言いくるめる
語彙が豊富なのはいいことだ
次から次に適当に出てくるから
それっぽい言いまわしでやり過ごす
苦しい
苦しい
苦しい
素直に生きたかった
苦しい
みんな嘘ばかり言っている
人生を始められない
何も始められずに終わっていく
いやだ
苦しい
言葉を超えて
働いていると思考が粗雑になる
文章も貧相になっていく
言文一致とは悪文化することなのか
透き通る心情を持つことはかなわず
いつも含みのある行動ばかり
詩なんて書きたくもないのだろう
はじめの倒錯を思い出したい
苦しみが言葉を誘発して
言葉が苦しみを誘発して
もう同じことばかり書いているね
いつか人間が言葉から離れられるように
言葉を超えたものをつかむことができるように
抑圧された情念
なんであんなに肉付いているんだろう
いちいち膨らんでいる体形
世の人々はあの豊満さに魅かれるらしい
やっぱりわからない
でもどこかですごくおそれている
今でも怖いのだと思う
甲高い声でなんだか騒いでいる
差別するつもりはないけれど
平等なんてのは嘘だ
直線的な肉体の方がやはりいい
機械
パソコンで馬鹿になる
スマホで馬鹿になる
機械に浸食されていく
摩耗されていく
意識的で説明的になっていく
精神科医よりAIの方がよっぽどいい
半導体がもたらす癒しの空間
数理的思考で先まわりして忖度してくれる
春の黄色
菜の花を見たい
タンポポを見たい
カタバミを見たい
春の黄色を見たい
暖かい空気の中で
人を信じたい
心を通わせたい
くだらない思考を終わらせたい
虚栄
なんでこんなつらいのか
もうどうでもよくなってきたよ
難しいこと考えたくないよ
全部虚栄だよ虚栄
見栄ばっかりだね
嫌になっちゃう
勝ちたい勝ちたい勝ちたい
そんなのばっかりだね
右も左も勝利に飢えていたね
みんな偽っていたね
偏見を背負えない人の博愛精神
一番苦手なやつなのだ
優しい笑みから漏れだす排除意識
突然真面目な表情になるとき
殺人者と娼婦
部屋の中で二人だった
あらゆる恋愛関係の原型のように思えた
告白した後に抱擁した
なぜ?
イメージが襲ってくる
言葉でも映像でもない
どんな世界に通じているのか
線
数と図形
長い自然との対峙の末に生まれた
記号こそ自然から守ってくれる
言葉にそんなことはできない
言葉は際限のない断絶と調和を生み出す
終わることのない循環で疲弊させる
線を信仰せよ
線を信仰せよ
詩