ときめく恋はカフェオレの香り チャプター6
鈴原結奈(すずはらゆいな)は、29歳の会社員である。
最初の恋愛は楽しかったが、蒼空(そら)くんに体を迫られたが、拒んでしまい、結局、音信不通になったのだ。
その後、妹の応援で2番目の彼氏・南川達郎と出会う。
鈴原結奈(すずはらゆいな)は、大好きだった笹原蒼空(ささはらそら)君と別れて、もう、恋愛する気もなかった。
でも、合コンで出会ってから、偶然に映画館で再会した南川達郎(みなみかわたつろう)くんに押されて、付き合うことに・・・。
今日は仕事も早く終わり、上司に「帰っていいよ。」と言われたので、会社のカフェで、一人でお茶をする結奈(ゆいな)だった。
いつもながら、会社のカフェは落ち着いた気分で、ゆっくりするのに最適である。就職試験で3社ほど受かったが、このカフェがある、っていう理由で今の会社に決めて成功だったと思っていた。
「ああ、蒼空くんは、何をしているのかな?」
今だに、蒼空くんが気になって仕方がない結奈。
気が付くと、、蒼空くんの思い出に浸ってしまう。
「もう、夏には私も30歳になるんだね、
このままで、 いいのかなあ」
結奈は7月生まれで、いつも、いまだに家族でお祝いしてくれるのだ。そんな、キュートすぎる自分の家族が嫌いではない。
結奈からすると、妹・円香(まどか)や友人はキラキラ輝いているように見えるけど・・。
一方の私ときたら、、 輝く30代なんて、あるのかしら・・・?!よく読む雑誌には「30代で輝こう、恋も仕事も上機嫌!」って書いてあった。『彼氏との旅行特集』や、『キャリアを磨く女の特集』なんて、自分には遠い世界のことのように見えた。そんなときめくライフスタイルは、ちょっと自分にはムリ、、って思っている結奈だったのだ。
今日、カフェでオーダーしたのはいちごココアである。「仕事で疲れてている脳内には、なんて優しい味・・」と感じて、優しい飲み心地に酔っていた。「恋愛も、こんな、いちごココアみたいに心地良いといいのにな」
カップに入っている、イチゴ味のココアはピンク色で、、結奈の好きな色である。
ぶつくさ言いながら、結奈は「イチゴのシュータルト」と「マロンモンブラン」の、『よくばりセット』に手をつけてみる・・。まろやかなモンブランの味で、ハッピー気分になった。
「へえ、こんな、お得セットがあるのね、!」そう言って、あっと言う間にふたつのケーキを平げる。
おいしいものを食べると、「まあ、なんとかなるかなっ」って、思えちゃうのは、結奈の楽観的思考スタイルだったのだ。。
その時、スマホに、南川達郎(たつろう)くんからの着信が鳴った。
〜 3日後、、達郎とデートしている〜
南川達郎(みなみかわたつろう)くんと付き合って,もう3回目のデートである。思ったより達郎くんはリードしてくれて、ハイペースで会っているのだった。ここまでで、達郎くんについて分かったことが増えたのだ。
何でも、東京に行っている優秀な兄がいて、ちょっと「ひけめ」があること、大好きな祖父母にかわいがられたので、「老人介護」に就職したみたい。
「この前さ、仕事で、80歳のおばあちゃんの世話をしてさっ」
達郎は、紙コップの紅茶を飲みながら、良く仕事場の話をしてくれる。なんだか達郎くんは、老人の話をするととっても嬉しそうな顔をするのだ。後は、高校時代に友人と園芸部に入り、副部長までやったこと、など
3回目のデートで、情報を結奈はキャッチした。
「へえ、達郎くんて、けっこう、ジジ臭いとこあるよね?
私より2歳も下なのに・・。」
「
それに俳句も好きで、たまに聞かせてくれる、、笑」
結奈は、心の中で達郎くんに「ダメ出し」をしながらも、表面はスマイルで、彼の話を聞いてあげた。
「結奈ちゃんて、聞き上手で優しいよね。前の彼女は、すぐにキレるタイプでさあ、」
なんと、達郎くんは元カノの悪口まで、言ってくるのだ。けれど、一緒に公園デートしたり、プラネタリウムまで誘ってくれる達郎くんの存在に、助けられているのは事実である。
結奈の手には、紙コップのホットカフェオレが、なみなみ入っている。
それを飲みながら、ふっと・・元カレの蒼空くんのコトが思い出される。『蒼空くんは、良く部屋でドリンクを作ってくれてたなあ。』
〜 目の前の達郎くんと、蒼空くんの笑顔がだぶってしまう〜
「はっ、いけない、いけない、」
「達郎くんに、集中しなくっちゃ・・。」
結奈は、もう一度自動販売機に走っていき、達郎くんにもホットカフェオレを渡してみた。
「おっ、、お洒落な飲み物だな、、結奈ちゃんが好きなの??」
結奈は、蒼空くんはもう忘れることにして、達郎くんと、ホットカフェオレ飲んでみる。
「いい香りね、、うん、私はカフェオレの香りが好きなんだ」
その時、達郎くんは結奈の右手を握ってきたのだ・・。
「私は、今は達郎くんが好きなんだ、間違いないわ」
「達郎くんのことは、過小評価しないで、、大事にしよう、、と。」
デートの晩に、机の上にあるダイアリーを開いて、
「今日のプラネタリウムは最高だった、達郎くんの、デートプランに感謝する プラス 50点」
結奈は、今の彼氏に「加算方式」を付けることにきめたのだ。
「もう、一人にはなりたくない、。。恋愛初心者を卒業してみせる・・!!」
ベッドに横たわりながら、ひそかに決心する結奈だったのだ。あと、1か月で、、、30歳になる。
1週間後、ママとふたりで夕食を取っていると、ママが寂しそうにこう言ったのだ。
「ねえ、なんだか、円香が、ずっと落ち込んでいるみたいなのよ。」
結奈は、夕食のあつあつの唐揚げを口にほうり込んで、あわてて飲み込む。。
「わあ、やっぱり、ママ特性のからあげは、最高ね!」
そう感じたのもつかのま、妹の円香(まどか)のことも気になるのだ。
「ええ?なんで? 仕事で失敗でもしたのかな・・??」
「ううん、何でも、彼氏の立川さんと上手く言ってないみたいよ、」
と、悲しそうなママ。
ここで説明すると、妹の円香(まどか)は、10歳年上の彼氏の立川さんて人と付き合っているのだ。
たまに、にこにこ顔で帰宅すると
「今日は、立川さんにホテルのラウンジバーでおごってもらった」
「今度、箱根に旅行に連れていってもらうんだ」と、自慢する。
さすがに、甘え上手の円香らしいと、結奈も見守っていたのだ。
ママの話によると、急に立川さんに「もう別れよう」と言われて、妹・円香も狼狽しているみたいなのだ。ママは、お代わりのからあげをお皿に盛りながら、
「何かあったら、結奈ちゃん、お願いね、
しっかりしているようだけど、まだ子供だからね、まどちゃんは・・」
そこに、円香(まどか)が帰ってきて、家はにぎやかムードである。
「ただいま、、あ、お姉ちゃん、今日は早いのね」
ちょっと、元気が無いみたいだけど・・。
テーブルについた妹を気遣い、ママが好物の、パプリカとコーンのサラダを出してあげていた。
えっ、サラダ?、、嬉しいな、」
思わず甘える妹だったが、結奈は内心は心配していたのだ。夕食を済ませると、円香は突然、一枚のチケットをふたりに見せてこう言いだした。
「ねえ、これ、見て。立川さんと、映画に行ってきたんだよ」
「あら、立川さんと? 楽しかった?」
ママが質問するや否や、、、妹は、プツンと吐き出したのだ。。
「うん、最後のお別れシアターよ、私が頼んだんだけど、、」
結奈は飲んでいて緑茶を思わず、ごくっと飲んでしまう。
「え?別れたの? 立川さんに言われたのね?」
妹の話によると、お別れシアターが最後のデートで、もう会わないと約束したそうだ。
テーブルの上に突っ伏して、泣き出す妹を支えるママで、なんと、ママまでハンカチで、顔をぬぐっているのだ。
「え、えーーん、まどちゃんの恋が終わったのね、ぐすん、ぐすん。」
結奈の前には、映画のチケット・・。思わず、のぞき込むと、、
「お別れは、来世で言うつもり」って、タイトルだった。
そのタイトルが、とてもタイムリーなので、結奈は、悪かったけど、心の中で、ちょっと笑ってしまったのだ。
(円香ちゃん、、、ごめんね。)
妹は、顔をあげて、「う、うん、もう泣かないけど、、お姉ちゃんが彼氏ができたら良かったよね」
妹は、冷蔵庫から生ビールを持ってきて、(それも、2本も)ぐびぐび飲みだした。。。そしたら、ママも冷えたワインをグラスに開けて・・・飲みだす始末。
「あ、ああ〜あ、大丈夫かな、ママと、まどちゃんは。。。」
妹とママの失態に、あきれる結奈なのであった。
生ビールを飲んで、するめいかを、かじっている妹を眺める結奈であるが、、、まさか、この後に、、思いもしない展開になるとは、想像もしていなかったのである・・・。
ときめく恋はカフェオレの香り チャプター6