エクストリーム六畳!

エクストリーム六畳!

オリジナルと言えばオリジナルです!某所の試験用作品。じ、時効カナと思って…!前PCでバックアップもせずにおいといたら全データ消失。これも消失してたのですが、幸い投稿時のwebメールの送信履歴の中からサルベージ成功。結構気に入ってた作品だったので、失くさないうちに退避しときたい、という考えもありこちらに。いつか続編も出したい。確かテーマは「ラーメン」で千文字以内とか、そんな縛りがあった記憶。うすらぼんやり。

 俺の名は照山 紅葉。通っている大学の近くでアパート住まい。おおまかには快適だ、同居人が曲者過ぎる事以外は。
「ただい……」
「エクストリーム麺カップ会場にようこそ!」
 同居人、秋野 夕陽が満面の笑みを浮かべて待ち構えていた。
 のみならず、珍妙なモノが部屋の中央に鎮座している。天井近くまで積まれた細長い器のカップ麺、天辺には1.5倍サイズの丼形カップ麺。
「なんだこりゃ、カリン塔か」
「うむ。男の修行という点では間違っていないな、さすが我が親友」
 奴の大仰な前口上を要約するにこのカップ麺タワーでだるま落としをしたいらしい。
「一度に抜き取るカップの数は三個まで。先に頂点を手にした者が勝ち。倒したら負け。勝者はこのカップ麺全部を手に入れる……どうだ?」
「ほほう。賞品つきの勝負、嫌いじゃないぜ?」
 受けてたとうじゃないか。
 
 カップの上部を強めに、しかも素早く振り抜く。手の角度は水平にするのがコツだ。
 すでに麺タワーの高さは半分程に減っている。ここに至るまでにも相手の動揺を誘って失敗させようという高度な心理戦が繰り広げられていた訳だが敢えて省こう。
 ここで、奴が勝負に出た。
 床に両手をつき、倒立……からの華麗な旋風脚で一気に二個弾き飛ばす。
「なっ、この動きはカポエイラ……!?」
 しかも残ったカップ麺の位置が微妙にずれてバランスが悪くなっている。
 奴は勝ち誇った高笑いを上げた。バランスを崩したのは計算か!
 俺、圧倒的不利!
「とでも思ったか? くくく……どうやらこの技を見せる時が来たようだな……」
 俺が素早く弾き飛ばした一個は一回転して直立。更にもう一つ飛ばしたカップ麺が上に重なる。
「だが、この技は三つ飛ばす事で完成する! 見ろ、ジェットストリームアタ……」
 俺の台詞は驚愕と共に途切れた。今までとは違う重い手応え。
「すでに湯の入ったカップが仕込まれていただと!?」
 かろうじて床にぶちまける前にカップ麺は救い出したが、重しを失ったタワーははかなく倒壊していった。
「この卑怯者め! 今の勝負はノーカン! ドローだ!」
「敵の用意したフィールドを確認もせず勝負を受けた自分の甘さは棚に上げるとはとんだ子猫ちゃんだ」
 俺の猛烈な抗議を鼻で笑い飛ばした夕陽は、だが、と今度はトランプを取り出した。
「再戦なら受けてやらんでもないぞ。この……エクストリームばば抜きでな!」
 よろしい、ならば戦争だ。

エクストリーム六畳!

エクストリーム六畳!

オリジナルの超短編。男二人で暑苦しくおバカを繰り出してる話です。ホモ成分は含まれておりませんのでご安心あれ!

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • アクション
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-04

Copyrighted
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