三題噺「座敷童」「双子」「毬」
「おい、双子」
呼びかけられた長身痩躯の双子が嫌そうな顔をする。
「「なんだ、座敷童」」
ハモった声で座敷童と呼ばれた金髪の少女は、途端にその顔をくしゃくしゃにすると双子を睨みつける。
「レディーに向かってその呼び方はないんじゃない?」
「「レディー? おい、デカ猫聞いたか? こいつ自分のことレディーだってよ」」
「……おら、猫じゃないんだけど」
「「うっせ、猫は猫らしく毬でもいじって遊んでろよ」」
「……うぅー。……なぁ、先生。おらって猫じゃねえよな?」
先生と呼ばれた眼鏡の男は眉を寄せると言いにくそうに呟く。
「私は常に中立の立場ですから……」
「……はぅうー」
「待て、お前ら。見かけで判断するような愚かなことはするんじゃない」
「「「黙れ、ハンガー」」」
「ふ、ふぇええん! ちくしょぉぉう!」
双子と座敷童に睨みつけられたハンガーは、ぶつけようのない感情を息子にぶつける。
「……弟達よ、達者でなー、なー、なー」
「あんちゃぁぁぁーーん!!」
エコーがかった別れの台詞に残された弟達が号泣した。
「「……で、何?」」
その光景に毒気を抜かれた双子が、思い出したように座敷童に問いかける。
「……やっぱり、なんでもない」
そして、再び場に静寂が戻る。
「あ、流れ星!」
地上で女の子の嬉しそうな声が響いた。
三題噺「座敷童」「双子」「毬」