詩の官能表現について

 詩を読んでいて、子宮、とか、精液、とかいう言葉に、情欲的な火を燈されたら、もうダメです。墜落してください。濡れた陰部、とか、しなやかな指先の愛撫、とかいう言葉に気恥ずかしさを覚えたら、もうダメです。dropoutしてください。されば「言葉」から、言葉を脱落させてください。剥ぎ落してください、鱗燦らせ苦痛に身を捩る人魚のようなうごきで。
 詩の官能表現に、ポルノ的なものを感じたら、もう、ダメです。女性詩人のSNSに、下心のリプするのやめてください。生殖は神秘表現のメタファーであり、むしろ冷たく硬く、しかも光のように柔らかく溶けこむようで、月まで飛ばす祈りではないかしら?
 だからぼく、少年少女の書く詩が好きなのです。名辞が言葉に染まる、以前だからであります。たとえば少女は、命の営みを命の営みとしてその清む眸に映す、神秘を神秘のままに享け、神秘のままに言葉に浮びあがらせ、月影と官能の言葉の陰翳を波うたせ泳がし、焦がれる月へ投影の弓を吹く。子宮、に、壮麗な月夜のかがよう生命の美をみたら、そのひとは、詩人であります。
 そういった視力へとぼくは墜落して往きたく、それに書かれた詩とは心の根の毀す歌であるためにまるで匿名、それには、漸く命と神秘と淋しさが孕むのです。
 ほら──「孕む」って、世にも美しい言葉でしょう。

詩の官能表現について

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詩観についてのエッセイ

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-02-27

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