並行世界と私


?私はわたしを殺した?
その言葉を心の中でくり返し呟いていた。その時は他の事を考える余裕はなかった。

7限が終わり学校の帰り道。家の近所にある公園でアイスを食べながら、ブランコに乗ってたそがれていた。私はもうすぐ夕食の時間だと思いだし、ブランコを勢いつけてジャンプした。本来だったら華麗に着地しているはずだった。だが、私の着地地点の目の前には、人が立っていた。私はぶつかってしまわないように体を捻ってなんとか地面におりたった。無理やり体を捻っていた私は降り立った姿勢のまま横倒しになってしまった。
「いった?い」
膝を擦りながら、相手の顔を覗いて驚愕のあまり、声を出すことができなかった。そこにいた人物は存在してはならないからだ。目の前に立っていたのはわたしだった。服装はどこのメーカーかはわからなかったけど黒のライダースーツ。信じたくない。私の思考の中にある言葉がよぎる。
(ドッペルゲンガー)
ドッペルゲンガーとは周囲の人間と会話をしない。そして、自ら自分の「ドッペルゲンガー」現象を体験した場合には、「その者の寿命が尽きる寸前の証」というのを聞いたことがある。
「ねぇ、あなた?」
「は、はい!?」
ドッペルゲンガーって喋らないんじゃないの?
「わたしの為に死んでくれないかしら?」
「・・・・え?」
わけがわからない。死んでくれ・・・死ぬの!?
「理解できてないみたいね。もう一度言ってあげるわ。死んでちょうだい。」
その繰り返された言葉を聞いた瞬間、震える足を無理やり動かしてその場を逃げ出した。
「逃がさない」

私はとにかく全速力で家までの道のりを走っていた。十メートル先に人影が見える。歩いている人に追いつくと助けを求めた。
「はぁ、はぁ、助けてく…」
その人が振り返った。
「あら、あなたから来てくれたのね」
にんまりと笑うわたしだった。
「そんな・・・どうしてここに・・・」
「簡単なことよ。原理は別だけどワープみたいなものね」
「ワープ?」
ドッペルゲンガーだと思われる存在は結構次世代的?だった。
「わたしはね別の平行世界から来たの」
「・・・・はぁ?」
「わたしは・・・えっと説明が難しいわね。たくさん同じ世界があってあなたはその中の一人でわたしも別世界の一人。わたしの世界ではもうすぐわたしは消えて存在しなくなる。だからそれを防ぐために、あなたにこの世界を譲ってほしくてここまで来たのわかる?」
私の世界を譲る?
「わかったかしら?」
「全然わかりません」
「もうめんどくさいわね、早く死んでちょうだい。他の人に見つかるといろいろ大変なのよ」
「なんで私が殺されなくちゃいけないのよ」
「それはここの未来が良い方向に進むからね」
未来が良いと言われても・・・死にたくなんてないよ。
もう一人のわたしは「しょうがないわね」と言って、箱形の機械を差し出した。
「これを使いなさい」
差し出された機械は数字の書かれたダイヤルと赤いボタンが一つとNewと書かれた白いボタンがついた鉄の塊だった。
「えっ・・・と、これなに?」
「これはねボタンを押すだけで世界を移動できるの。ダイヤルは平行世界の場所を決めて赤で転送。白色のボタンにはNewと書かれているでしょ?それは新しい世界を創ってくれるの」
「それならあなたが新しい世界を創ってしまえばいいじゃない」
もう一人のわたしは少しだけにがい顔をする。
「それは意味がないのよ。今の私にある未来は一つしかないの。あなたの世界を分けないとわたし自身の未来は変えられない」
「それだったらそう言ってくれればいいじゃない」
「さっき言ったでしょ。他の人に見られてはいけないの。そんなことしてる間に人に見られたらどうするの?だから見つかる前に殺すわけ」
「殺そうとした理由はわかったけど、その機械を使っても私は大丈夫なの?」
「ええ、大丈夫よ。あなたは分岐世界へ、わたしはこの世界に。万事解決!」
「わかったわ。なんとなく納得がいかないけど。このボタンを押せばいいのね?」
「ええ、押すだけ」
私はゆっくりと人差し指を白いボタンに近づけ、ボタンに触れる。
「じゃあ、やるわよ」
「早くしなさい」
私はボタンを軽く押す。すると私の体が下から少しずつ砂のように崩れていく。
もう一人のわたしはほくそ笑む。
「ありがとね。もう一人の私さん。この世界のわたしはちゃんと始末しておくからね♪」
「え?」
「あなたも同じことよ。わたしはわたしを殺す」
その言葉を最後に何も感じることはできなかった。
ふとすべての五感が自分に戻ってくる。夕方の少し冷えた空気、体を通り抜ける気持ちいい風。目の前には誰もいなかった。
(わたしはわたしを殺す)聞き取れた言葉。なぜそれを呟いたのかはわからなかった。
私も同じってどういうこと?私は世界を移動しただけでだれも殺してなどいない。そして私は思い出した。
「始末してあげる」
あぁ、これかと思った。私がこの世界へと来た私。別世界来たわたし。私が元居た世界のわたし。私が選んだ道はもう一人のわたしに私を殺させて、自分は安全な所へと逃げた。だから私はわたしを殺したことになるのかな?
私はわたしを殺した。その言葉が私を苦しめる。

並行世界と私

初投稿です。うまく書けませんでしたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。

並行世界と私

もしあなたがたくさんいたらどうしますか? そしてあなたはどうなるとおもいますか?

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2010-07-26

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