「ケーキと紅茶とドールの少女。」

配信アプリ「IRIAM」でライバーとして活躍されている「鈴白おたま。」さんの世界観である「喫茶店キミノソラ」をお借りした2次創作です。

作中の『』は主人公の発言、「」は他の人の発言となります。

『ねぇねぇ、ちょっとこれ見て!とっても可愛くない?』
カウンター越しにスマホの画面を見せながら、嬉々として話しかける。
「ちょっと待ってね…ん、お待たせ。え~!すっごい可愛い!」
カウンター内で作業をしていたが、一区切りついたところで目線を向け、感想を伝えた。
『だよね~!本当に可愛い!!いつかウチにお迎えしたい!!!』
店内の他の客たちもいつもの光景か、と見慣れた様子。
『本当に可愛い…でもうちの子たちもとっても可愛いんだよ!』
スマホを弄りまた別の写真を見せようとしているのだろう。
今日の店内は青空模様。
少しだけ雲が浮かび、ゆっくりとした時間が流れていた。

1

……………………………………………………………………………………………
…ねぇ、私の話を聞いて?
…アナタのことも教えてほしい。
…私のことも知ってほしい。
…アナタと仲良くなりたい。
……………………………………………………………………………………………

2

初夏の気配が世間を包み始めた頃、私はスーパーで夕飯の買い物をしていた。
隣には小さな子供。
そう私の可愛い可愛い息子だ。
手を引きながら夕飯のメニューを考えながら買い物をする。
いつもの日常だ。
「雨降りそうだから早くお買い物して、早く帰ろうね。」
まだ上手にお話は出来ない息子に声をかけた。
家に帰り、夕飯の支度をしてご飯を食べ、お風呂を沸かして息子と一緒に入浴。
息子を寝かしつけして、仕事を終え帰宅した旦那の夕飯を眺め、洗い物を片付けて深夜にやっと自由な時間。
でも自由って言っても、部屋を片付けたり、洗濯物畳んだり家事をしながらだけどね。
家事に育児に、専業主婦には休みもなければ自由な時間なんて少ない。
世の中の母って凄いよね。
自分がその立場になってみて凄さが分かった。
自由な時間に小さな自室(自室っていっても寝室のウォークインクローゼットの一角)で、
イヤホンで好きな音楽を聴きながら趣味のドールたちを眺め、紅茶を飲む時間が日常の中で一番好きな時間。
今日はどの子を愛でようかな。
ドールと一緒にお出かけして撮った写真を見ながら考える時間も大好き。
私の日常はこんな感じ。

3

とある日、私は一人で街を歩いていた。
今日は旦那が子供を見ていてくれるというので、それに甘えて一人行動だ。
久しぶりにちょっとおしゃれなカフェでも行こうかな。
カバンの中には可愛いドールも連れてきた。
目的地のカフェは街はずれの静かでに人通りの少ないエリア。
やっとの思いで辿り着いたらなんと…店休日だった。
どうしようかな…ここのカフェの店長さんとお話しするの楽しみにしていたのに。
でもやっていないものは仕方がない。
次のお店を探そうとスマホを取り出し、検索をしようとしたところで気付く。
大きな重そうな荷物を抱えたお婆さんが、きょろきょろと周りを見渡しながら手元のメモとにらめっこをしていることに。
いつもならスルーしていたかもしれない。今は時間も自由もある。
そんな気持ちで声をかけた。
『あの…どうかされましたか?荷物も重そうだし、何かを探しているような様子だったので…』
「あのねぇ…ここに行きたいんだけど…見てもらってもいいかしら…」
メモを差し出しながらお婆さんは返事をくれた。メモを覗き込むと見慣れぬ住所があった。
『ちょっと調べてみますね?』
そう言ってスマホの地図アプリで調べると、歩いて10分くらいのところのお店みたいだ。
『すぐ近くですね。歩いて10分くらいです。私もそっちに向かうところだったので、ご案内しますよ。』
「ほんとかい…?ありがとうね…お言葉に甘えるねぇ…」
お婆さんと並んで歩く。
重そうな荷物も持ってあげて、天気とかドールの話をしながら。
お婆さんの目的のお店が分からなくて、最後にちょっとバタバタしたけど、無事に着くことが出来た。
「本当にありがとうね…とっても助かりました。あなた本当に良い人ね…見ず知らずのアタシにこんな優しくしてくれて…」
『そんなことないですよ。最後グダグダしちゃいましたし…。』
「私一人だったら来れなかったもの…荷物まで持ってくれて…あっお礼なんだけど…。」
そう言ってカバンの中から1枚のカードを取り出した。
「あぁ…これね…きっとあなたにぴったりだと思うの。私にはもう大丈夫だから。」
よくわからないものだったが、断り続けても平行線になる気がして素直に受け取った。
元々何も受け取るつもりはなく、見たところ金銭などではなさそうだ。
『これって何ですか…?どこかのお店のカードみたいですけど…。』
「持っていればいずれ良いことがあるかもしれないわ。だから大事に取っておいてね?それじゃあ…」
お婆さんはそう言うと目的のお店に入っていった。
私も近くのカフェに向かうため、お財布に貰ったカードをしまった。
無事にカフェに行き、アフタヌーンティーセットを頼み、連れてきた子と一緒に写真撮影。
納得のいく写真が撮れて、美味しい紅茶とお菓子を堪能した。
今日は良い一日だったなぁ。としみじみ思いながら帰路についた。
帰宅後はいつも通りの家事育児を終わらせた。
その後に自由な時間を楽しもうかなって思ったけど、今日はいっぱい歩いたし早めに寝ることにした。

あれ?何か忘れているような…

4

……あれ?これは…夢の中かな?
だって目の前の建物の窓に反射した自分がとても幼くなってる。
これは12歳くらいの時の私だ。
持ち物は今日連れて行ったドールが入ったカバンとスマホ。
そしてここは…どこだろう?全然見覚えはないけど、きっと喫茶店かな?
看板に[喫茶店 キミノソラ]って書いてるし。
現実なら初めてのお店はちょっと怖いけど、夢の中なら怖くないや。
扉を開けると[ちりんちりん]と心地よい鈴の音が鳴った。
「いらっしゃいませ~!こちらのカウンターのお席にどうぞ~。」
カウンターの中から澄んだ声が聞こえた。
初めてのお店でカウンター席かぁ…ちょっと緊張するけど夢の中だし!
「初めてのお客様ですね。ご来店ありがとうございます。メニューはこちらです。」
メニュー表を受け取り、ワクワクしながら眺める。
写真付きのメニューにはキラキラしたケーキや焼き菓子、
それに紅茶にコーヒー、きれいなメロンクリームソーダもある。
『この紅茶をホットでお願いします。ケーキは…えっと…このチョコのやつをお願いします。』
少し緊張しながら注文をした。
「かしこまりました。少々お待ちくださいね。」
お店の人の明るい対応と笑顔に、私も釣られて笑顔になりそう。
そうだ。このお店の雰囲気でうちのドールの写真が撮りたい!
『あっ、すみません、お店の中とかケーキとかって写真撮っても大丈夫ですか?』
「撮影ですか?ん~他のお客様のご迷惑にならない程度でしたら…」
『ありがとうございます。この子の写真が撮りたくて…』
ドールを取り出しお店の人にうちの子を紹介する。
「あっ!!ドールちゃん!!とっても可愛いですね!!!ぜひぜひ可愛く撮ってあげてください!」
カウンターにちょこんと座り店内を眺めている様子を角度を変えながら撮影したり、椅子に座らせて窓から外を眺めるような角度で撮影をし、スマホのデータを確認しながら注文したものを待っていた。
『お待たせしました。紅茶とケーキになります。』
紅茶はティーポットで出てくるタイプで本格的かも!ケーキもキラキラしていてとても綺麗。
ポットからカップに紅茶を注ぎ、湯気と共に華やかな香りが広がった。
素敵な紅茶とケーキのセットにスマホでまた写真を撮った。
紅茶を一口。とっても美味しい。また一口。そしてケーキに取り掛かった。
『ん~~~~!!!!とっても美味しい!!!!』
「ふふふ。ありがとうございます。」
思わず心の声を口に出してしまったようだ。お店の人の反応にちょっと赤面。
「ご挨拶が遅くなりました。私、鈴白おたま。と申します。」
夢にしてはとってもリアルだなぁ。と思いながら、自己紹介を返した。
『私は…白瀬 珠波(しらせ みなみ)って言います。』
「ありがとうございます。もしよければ、先ほどの写真見せてもらってもいいですか?」
「とっても可愛いドールちゃんが私のお店でどんな風に撮られたのか気になっていて…」
店主が控えめながらも、うちの子に興味を持ってくれたみたい。
手早くスマホを操作して先ほどの写真を見せる。
『これと、これと、これです!この最後のがお気に入りです。』
鈴白さんは食い入るようにじっくりと写真を見ていた。
その様子を見ながらケーキと紅茶を堪能した。
「ありがとうございました。とっても素敵な写真で、ドールちゃんも可愛くてつい見とれてしまいました。」
『…!褒めてくれてありがとうございます!!』
「本当に素敵ですね…!こんな素敵なお客様が来て頂けて嬉しいです。」
『お店もメニューも店長さん?もとっても素敵で、私もこのお店とっても好きです!』
その後も店長さんと歓談をしながらお茶とケーキを楽しんだ。
そろそろお開きという時に、
『また来たいな…来れるといいな…。』
私は夢だと認識しているから、また同じ夢を見れるのかな…と願いを込めて呟いた。
「また来てください。またお話ししましょうね。」
そう鈴白さんは笑顔で見送ってくれた。
ドアを開け鈴の音を聞きながら外に出たところで、アラームの音が聞こえてきて目が覚めた。
『楽しい夢だったな。はっきり覚えてる夢って珍しいや。』
そう独り言を零して、日常生活をスタートさせた。

5

それから不思議なことに、私は何回も何回もキミノソラに行く夢を見た。
しかも同じ夢じゃない。話す内容は毎回違うし、出てくる紅茶もケーキも別のものだった。
鈴白さんも前回の話を覚えていてくれるし、本当に不思議。こんなことってあるんだね。
色んな話をするうちに、<すーちゃん>って呼ばせてくれるようになったし、
すーちゃんも私のことを<みなみちゃん>って呼んでくれるようになった。
関係値が深まっていく、時間の経過を感じる夢。とっても不思議。

6

あくる日、また旦那が子供を見てくれるというので、一人行動でカフェに向かった。
今日は天気が良いから、いつもと違う道を選んでみた。
あの角を曲がれば、目的地のカフェにつくはず。そのつもりで曲がり角を進んだ。
曲がった先に見えた景色は、想像していたものではなかった。
でも見覚えのある道で見覚えのあるお店が目の前に現れた。
『あれ?嘘…?嘘だ…。このお店って…』
あれは夢だったはずだ。
そんなはずはないって思いながらも、目の前の光景に興奮が止められない。
あっ…でも夢の姿じゃないや。
私は分かってもすーちゃんはきっと分かってくれないよね。
ちょっと深呼吸をして、年相応の落ち着きをもって、入り口のドアを開いた。
鈴の音が響き、カウンターの中からよく知っている声が聞こえた。
「いらっしゃいませ~、おひとり様ですね。カウンターのお席にどうぞ~」
あ、やっぱり私って気付いてないよね。
そんなことを思いながら席に着いた。
「みなみちゃん、いらっしゃいませ!」
『えぇっ!?どうしてっ!?』
「ん?どうしたの?」
『え、だって私、いつもの姿じゃないし…それに今は夢見てないよ?どういうこと!?』
「まぁまぁ、少し落ち着いて?いつもの紅茶でいいかな?」
私の慌てぶりに反比例するようにすーちゃんはとても落ち着いている。
すーちゃんは手慣れた様子でいつもの紅茶を準備してくれた。
紅茶をポットからカップに入れ、一口飲んでからため息をひとつ。
『ふーっ…。うん、落ち着いた。それで、なんでわかったの?ここは?』
「うん。まずはこのお店のこと。ここはね、真夜中の喫茶店 キミノソラ。本当に必要な人だけ辿り着けるお店なの。」
「頑張りすぎて疲れてしまった人や、心に余裕のなくなってしまった人。そんな人たちがまた踏み出すために一息つく場所なの。」
紅茶を飲みながら話を聞いているけど、よくわかんない。
つまりここはなんなんだろう?
「きっとみなみちゃんが何かを想って、その想いがここに辿り着かせたんだと思うよ。」
『う~ん…不思議…。なんで私が…?』
すーちゃんは私の困惑している様子を見ながらも言葉を続ける。
「そして私がみなみちゃんだって分かった理由ね?それはね…私もよくわかんないの。」
「でも貴女がお店に入ってきてすぐに、みなみちゃんだって疑う余地もないくらいすぐそう思ったの。」
「強いて言えば雰囲気?私でもよくわからないから説明できないのよね。」
『すーちゃんはエスパーかなんかなの?怖いよ…?』
「怖がらないでよ!もうっ。」
そんな話をしながら、なんでここに来れたのかずっと考えていた。
結局私って根拠があった訳でもないし、当てずっぽうだったのかもしれないし。
でも当てずっぽうって感じじゃなかったんだよね。
不思議。

7

この喫茶店を夢に見るまでの私ってどうだったんだろう。
そんなに前のことでもないのになぁ。
家事に育児に。休みもなく毎日似たようなことの繰り返し。
それが結婚してからの、出産してからの日常。
旦那と子供とささやかかもしれないけど幸せな日々を過ごしていたはずだ。
子供が生まれてからの数年、確かに子供の成長とかそういうので変わったことはいっぱいあった。
抱っこしてお散歩していたのが、ベビーカーに乗るようになり、今では手を繋いで一緒に歩ける。
でもたぶんそういうことは関係ないのかな。
なんだろう。
いくら思い返してみても、いつもの日常しか思い出せない。

8

「みなみちゃん、今日はどのケーキにする?紅茶のおかわりはいる?」
すーちゃんは物思いに耽っていた私に声をかけてくれた。
『あっ…う~んと、ケーキは今日のおすすめのやつで、飲み物…次はミルクティーにしようかな。』
「は~い。今準備するからちょっと待っててね。」
そういうとすーちゃんは準備のためにパタパタと動き始めた。
いつもならドールとかのお話しながら準備してくれるのに。
私が考え事してたから気を使ってくれたのかな。
気遣いは嬉しいけど、ちょっと寂しい。
夢の中でいっぱいお話しているから、それが私にとってこのお店での普通になっているんだと思う。

『あっ…!』
何かが繋がった。そっか私、そうだったんだ。
確証はないけどきっとそう。だって…。

9

「お待たせ~!ケーキとミルクティーだよ~。今日のケーキはねぇ…」
『すーちゃん、私分かったかもしれない。自信はないんだけど…』
ケーキの説明を遮って話しかけてしまった。
「ん?じゃあお話聞かせて貰ってもいい?みなみちゃんずっと考えてたから気になってたんだよね。」
すーちゃんはケーキとミルクティーをカウンターに並べ、話を聞く体制を整えてくれた。
『あのね…。たぶん…なんだけど、お話がしたかったんだと思う。』
「うんうん。」
『普段誰とも話していない訳じゃないよ?旦那と息子と暮らしてるからね。』
『でも私の世界は、小さくて狭い家庭だけだったの。』
『毎日変化はあるし全く同じ日は無いんだけど、それでも小さな世界で似た日々を繰り返してるの。』
『専業主婦だからね。あんまりいろんなことをしている余裕はないし。』
『子供もまだ小さいし目が離せる訳でもないし、自由に過ごせる時間も少ないの。』
『その自由な時間もね、だいたいは私は独りで過ごしてるんだよ。』
『家族仲が悪いとかそういうわけじゃないよ。旦那とも話はするし、子供も可愛いの。』
『でも家族以外と話すことってあんまりないんだよ。』
『友達がいない訳じゃないよ?でもお互いに子持ちだったり、お仕事してる人もいるから時間合わなくてね。』
『だからきっとそういうことなんだと思うの。』
『そのお話もね、一方的に話すんじゃなくて、ずっと、ずっとね、誰かと一緒にお喋りしたかったの。』
「…なるほどね。」
一気に話してしまった。
でもすーちゃんは嫌な顔せずちゃんと聞いてくれてる。
ミルクティーを一口。程よい甘さが口の中に広がる。
ほっとする味だ。
『ねぇ、すーちゃん。私ね、すーちゃんのこと勝手にお友達みたいに思ってた。』
『確かにここに来ないと話せないけど、それでもこの短い期間でもたくさんお話ししてたくさん一緒に笑ったよね。』
『私自身のこととか、私の好きなものの話とか、いっぱい聞いてもらったよね。』
『だから今度はね、すーちゃんの話も聞きたい。すーちゃんのこともいっぱい知りたいの。』
「私のこと、友達だって思ってくれてたんだ…。そっか。うん…嬉しい。」
「私はこのお店もあるから、なかなか友達って多くないからさ。」
「たくさんここに来てくれて、たくさんお話してくれて、私も嬉しかったの。」
『わたしもね、すーちゃんだから仲良くなりたいの。だから夢で何回も来れて嬉しかった。』
『まさか本当にここに来れるなんて思ってなかったから、本当に嬉しいよ。』
『これからもきっとたくさん来るし、たくさんお話したいの。』
『だからね。』

『私と仲良くなってくれませんか?』

10

緊張した。
話し始めたら止まらなくなって告白みたいに友達になってって伝えちゃった。
ミルクティーはまだあったかい。
「私たぶんめんどくさいよ?色々あるし。それにとても不思議なお店だよ?」
「そこに居る私だよ?それでも大丈夫?」
『わたしは仲良くなりたいって思ったから言ったの!わたしの素直な気持ちだよ!』
「…うん。ありがとう。」
「じゃあ…私の大切なお客様だけど、私もお友達って思わせて貰うね。」
『も~っ!”思う”じゃなくてお友達なんだよ!』
私は少し膨れながらも二人で一緒に笑った。

11

楽しい時間はあっという間だった。
今日は夢じゃないからちゃんと帰らなくちゃいけない。
またここに、この姿でも来れるかな…。
そういえばなんでわたしってここに来れるようになったんだろう。
『ねぇすーちゃん。ここに来るにはどうしたらいいの?今日みたいに。』
「私も詳しくはわからないんだよね。辿り着いたお客様とお話しするだけだから。」
「あ、でも、キミノソラのショップカードを持ってる人はここに来やすいかも?」
『ショップカード?私そんなの持ってないよ?夢で初めて来たし…。』
「こういうカードなんだけど…。」
そういってすーちゃんはカードを見せてくれた。
綺麗に箔押しされている可愛らしいカードだ。裏には空の写真かな。とってもきれい。
あれ?どこかで見たことある…わたしはお財布の中を覗いてみた。
『あぁ~~~!!あった!!持ってる!!私持ってるよ!!!』
『前に困っていたおばあ様を助けたお礼に貰ったの!』
「…ちょっと貸して貰ってもいいかな?」
すーちゃんにカードを渡すと、両手に包み込むように持っていた。
するとカードのある手の間が、ほんのわずかに光った気がした。
「そっか。黒瀬のおばあちゃんから…。ありがとうみなみちゃん。」
そういってカードが返された。大事にまたお財布にしまった。
「そのカードをみなみちゃんが持っている限り、またふとした時に来れると思うよ。」
「今回みたいに来れる日もあるし、前見たく夢?の世界で来ることもあると思う。」
「どうやって来てもここはここだし、私は私だからね。」
『わかった。とっても大事にするね。だってまた来たいもん。またいっぱいお話ししようね。』
「うん。私も楽しみに待っているからね。みなみちゃん、またのご来店をお待ちしております。」
その言葉に心が軽くなった。また来てもいいんだ。すーちゃんも楽しみにしてくれるんだ。
軽くなった足取りで入り口のドアを開け、鈴の音を聞きながら店を後にした。
そのまま進んで、最初の角を曲がるといつもの道に出た。
後ろを振り返っても、見慣れたいつもの街並みが見えた。
スマホを確認すると、もう夕方だ。夕飯のお買い物をして家に帰ろう。
旦那と息子に、今日の不思議な事を話したら信じてくれるかな。

「ケーキと紅茶とドールの少女。」

「ケーキと紅茶とドールの少女。」

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-02-11

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work
  1. 1
  2. 1
  3. 2
  4. 3
  5. 4
  6. 5
  7. 6
  8. 7
  9. 8
  10. 9
  11. 10
  12. 11