黒髪少年と試験管少年Ⅳ

黒髪少年と雪の試験管少年

「来たか」
窓を見やれば、雪が、舞っている。
視線を、少し落とすと、君がいた。
おはよう。
くるり、一回転する様は、外と、同じようだ。
手を、窓に近づける。
ひんやりとした空気が、微かに、伝わった。
ねぇ、こっちを見てよ。
珍しく、拗ねたような顔。
自分に嫉妬、とは。
可愛くて、笑ってしまった。

2026.02.10

黒髪少年とバレンタインの試験管少年

やっと会えたね。
甘い声が、聞こえる。
窓辺を見やれば、チョコレートの香りを纏う君が、佇んでいた。
「もしかして、」
そうだよ。
楽しそうに、瞳が弧を描く。
今年は何を渡すの?
きっと、彼らに、と、思っているのだろう。
一つ、目の前に置く。
「これを、君に、だけど?」
驚く顔に、口角が上がった。

2026.02.14

黒髪少年と花冷えの試験管少年

噛んでいる下唇が、痛々しく見える。
拳を握りしめる、代わり、なのだろう。
大切なリボンを、傷付けたくない、から。
でも、それは、違う。
「血が、出るよ」
その言葉に、瞳が、揺れた。
「君が、君を大切にしないと」
そっと、試験管を撫でる。
そう、願っているのは、俺だけじゃないと、知って欲しい。

2026.04.02

黒髪少年と虹の試験管少年

酷い頭痛に、こめかみを押さえる。
脈打つ気持ち悪さに、思わず、目を閉じた。
細く、吐き出した息、と、同時に、鈴の音が、聞こえる。
ちりん、ちりん。
頭に響く、はずなのに、不思議と、不快とは、感じない。
もしかして…。
必死に、瞼を押し上げる。
狐のお面と、七色の光が、歪む視界に、映った。

2026.04.27

黒髪少年と風の試験管少年

唸っていた空は、少し落ち着き、代わりに、君を連れて来た。
アハハッ!
笑い声は、俺へ、なのか。
それとも、自分に、なのか。
「随分な、挨拶だな」
開けた窓によって、乱れた髪を、整える。
ごめんね!
と、言った君も、長い髪が、随分と、乱れている。
何だか、可笑しくて、俺まで、笑えた。

2026.06.03

黒髪少年と梅雨と紫陽花の試験管少年

「急だったな」
くるり、黄色い傘が回り、笑顔が、こちらを向く。
「友達は、随分と、早くからだったぞ」
くるり、青い傘が回り、少し、頬を膨らませた顔が、黄色に向く。
ごめんね。
友達に、謝る黄色は、本当に、申し訳なさそう。
これから、たくさん、遊べばいい。
まだ、梅雨は、始まったばかりだ。

2026.06.08

黒髪少年と紫陽花の試験管少年

鮮やかな青が、目に入る。
吸い上げたその色は、最近見つけた、あの場所だと、確信した。
「綺麗」
くるり、鮮やかな青が、回る。
今まで見た青で、一番、「好き、だな」
ピタリ、傘が、止まった。
「どうした?」
先程まで、嬉しそうに、していたのに。
何か、言っているが、雨音で、聞こえなかった。

2026.06.18

黒髪少年と試験管少年Ⅳ

黒髪少年と試験管少年Ⅳ

試験管に入った少年〝試験管少年″と過ごす黒髪少年のお話。 (世界の素敵を知り、見つけていく少年) 「黒髪少年と試験管少年」(Ⅰ〜Ⅲ)の続編ですが、オムニバス形式なので前作を読まなくても読めます。 2026.06.18更新

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-02-10

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著作権法内での利用のみを許可します。

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  1. 黒髪少年と雪の試験管少年
  2. 黒髪少年とバレンタインの試験管少年
  3. 黒髪少年と花冷えの試験管少年
  4. 黒髪少年と虹の試験管少年
  5. 黒髪少年と風の試験管少年
  6. 黒髪少年と梅雨と紫陽花の試験管少年
  7. 黒髪少年と紫陽花の試験管少年