zokuダチ エスカレート編・36
はーちゃんの思い人・1
その日、タバコが切れたので買いに行こうと部屋の外に出たジャミルは。
「ジャミルさん、お待ちしてましたー!」
「さあ、パーティルームに行きましょうっ!タバコなんか吸ってる場合じゃ
ないですよっ!!」
「はー!ホワイトデーまで時間ないよっ!」
「今日もお菓子づくりの特訓モフー!」
「……何だよっ!コラっ!!タバコ吸ってる場合なんだよっ!!」
ドアの側で待ち構えていた魔法ガールズ達に連行されて
パーティルームまで連れて行かれる。
「たくっ!第一、俺はアイシャに今年はチョコ貰ってねえぞ、
……恵方巻きなら貰ったけど、あ、あー、思い出したくねえ……」
恵方巻きの事でアイシャと揉め、ケンカになった挙句、どうにか
仲直りは出来たが、その後の便秘で悩まされ……、と、ジャミルは
恵方巻きを思い出すのも今は嫌だった。
「でも、ちゃんとお返しはしないと駄目ですよう!」
「全くもう、本当にニブチンな人ですねえ、ほら、卵割って下さい!
綺麗にね!」
「……あーい……、ニブチンじゃなくてニコチンな人と言ってくれ」
リコから卵を渡され、仕方なしにジャミルが卵を割った。
「……」
「はーちゃん、どうしたモフ?何だか元気がないモフ……」
「ん?な、何でもないよ……」
モフルンが心配そうにはーちゃんの顔を覗きこんだ。しかし表情が
何となく虚ろで泡だて器をかき回す手が止まっている。
「ジェイド、……どうしてるかなあ?」
「はーちゃんっ!?」
「モフ!?」
はーちゃんがぽつりと溢した言葉がみらいとリコ、モフルンにも聞こえ、
ジャミルにも聞こえた……らしい。
「あっ、ご、ごめんね、何でもないよ……」
「ジェイル?あの偏屈なら自部屋にいるだろ?マリカの話によると
今日は部屋でずっと冥想してるらしいが」
「……ジャミルさんっ! >< ちっ、違うんですようー!
……ジェイルさんじゃなくて、その……」
「はあ~?」
みらいが慌てて説明しようとするがジャミルにはチンプンカンプンである。
「そのっ、説明しますとですね、…夏休みに魔法界の海に遊びに
行った時に友達になったんです、人魚の里の隣国の王子さまで、
色々ありまして、その、はーちゃんと……」
「はっ!?はーーっ!!」
リコがはーちゃんの方を見る。途端にはーちゃんは顔を赤くする。
「ジェイドとはーちゃんはラブラブモフー!沢山沢山いっぱい愛を
育んだモフー!!」
「ちっ、違うのっ!モフルンたらっ!私とジェイドは只のお友達なんだよ!
だからその……、うううーーっ!」
以前にみらいが私達にはまだ相手がいないといったが、やはり
はーちゃんは別格だったらしい、普段は天然だが、変身すれば
大人っぽくはなるし、可愛いので彼氏ぐらいこっそりいても
別に不思議はないとジャミルは前から思っていたが。
「ふーん、それにしても、海の世界の王子かよ、それじゃ付き合うのも
大変じゃね……」
「遠いし、ええ、海の世界だから中々会えないんです、……はーちゃん……」
「モフ~……」
みらいとモフルンも心配そうにはーちゃんの方を見るが、2人の
目線に気づくとまた慌ててシャカシャカ泡だて器を動かし始めた。
「私、大丈夫だよ~!」
「大丈夫じゃねえだろが、生クリーム……」
「はー!?」
はーちゃんが泡立てたボウルの中の生クリームは…かき混ぜ過ぎて
クリームが鬼の角の様に尖っていた……。
「んとね、本当は、私……、ジェイドにもチョコ……、渡したかったの、
何だか、ジャミルとアイシャ見てたら羨ましかったの、だってケンカしても
2人は何時も一緒にいられるんだもの、だからっ!ジャミルはもっと
アイシャを大切にしないと駄目だよっ!!」
「おいおいおい!何でそうなるんだよっ!そ、それに俺ら……、
って、おーい!!」
「……会いたいよ、ジェイド…、だから、私の分まで2人には
いっぱいいっぱい、仲良くしてほしいの、2人でいつもドタバタ、
プロレスやボクシングとかするのもいいけど……、でも、アイシャの
方が強いね、ジャミルいつも顔が顔が曲るぐらいパンチされてる…」
「はーちゃんっ!泣いちゃ駄目モフー!」
どさくさに紛れはーちゃんが何か言っている。困った事になったと
ジャミルは思った。こういう場合、誰かに見つかれば絶対自分が
泣かせた犯人にさせられるので……。
「じゃあ、思い切って会いにいけよ、それぐらい玉にはいいんじゃん?」
「ジャミルさん……」
「モフ!?」
「そ、そう簡単に言いますけどねっ!私達、此処じゃ魔法は控える様に
黒子さんにも念を押されてますし、アイテムも全部市役所に預けてるし……」
「だから、今回だけ俺が黒子の野郎に言っておくから……、何とかするよ、
心配すんな……」
「♪はーっ!」
「ジャミルさあーんっ!有難うーっ!!」
「モフーー!!」
「おいおいおい、暑いよ!張り付くなっつーの!おーい!」
はーちゃん、みらい、モフルンが感激し勢い余ってジャミルに飛びついた。
「全くもう、しょうがないんだから……、……べ、別に私も飛びつきたい
とか思ってないし!?」
そして、彼女達がワクワクもんで部屋に戻って行った後、パーティルームに
残されたジャミルは大きく息を吐く。
「黒子に頼む事態は別に難しくないんだけどな、……後がなあ、
どうせ、マンションの客これまで以上に倍にしろとか条件
増やしてくるんだろうなあ~」
唸りながらジャミルもパーティルームを出る。……と、其処にいたのは。
「みゃーん♡」
「おい……」
にゃんこポーズのアイシャであった。
「……あのな、お前隠れて話聞いてただろ……」
「ねえっ、人魚の里行くのっ!?私も連れてってー!」
「あのなあ、行くのは俺じゃなくてっ!ことは達が……」
其処へ一旦部屋に帰った筈のはーちゃんが戻って来る。
「あっ、ジャミルーっ!アイシャもいたーっ!あのね、みらい達とも
話してたんだけど、ジャミル達も一緒に人魚の里行こうよーっ!2人は
魔法界行くの初めてだよね?黒子さんに頼んで貰うお礼に連れて行って
あげるーっ!一緒に行こう!楽しいよー!」
「……いや、人魚の里は海ん中だし、幾ら何でもまだ寒ィ……」
「わあーっ!行くーっ!」
「……おーいっ!」
「じゃあ、黒子さんに宜しく頼んでね、私達、準備してるからねー!」
漸く春は来たが、こうしてジャミ公はまだまだクソ寒い海の中へ
駆りさ出れる羽目になる。
「おい、聞いたかル?」
「聞いたりゅ……」
「けけけ!これはまーたおんもしれールー!どれ、奴らにこっそりと
付いて行ってまーた嫌がらせの邪魔してやルー!けーけけけ!」
「何て恐ろしい奴りゅ……、まるで凶悪悪魔りゅ……、ブラックデビル
サタンりゅ……」
「……ララル達は最初から悪魔だって言ってるだろがルーーー!!」
「みぎゃああああーーーー!!」
こっそりと様子を覗っていた性悪小悪魔コンビにも目を付けられ、
次回、上北ふたご版をもぶち壊す破壊回……。
5人とモフルンは魔法界の海へと到着。女の子達は水着、ジャミ公は
Tシャツに短パンとそれぞれに軽くささっと支度する。
「……それ、クマ子も一応水着かい?」
「モフ?」
モフルンは横縞の水着に水中メガネ。いつも何も着てないのになあと、
ねえ、○ーミン、こっち向いての何処かのカバの如く突っ込んじゃ
いけねえなと思い我慢するジャミル。
「魔法使うのも久しぶり!じゃあ、私が代表で魔法を掛けるね!
キュアップ・ラパパ!海の中でもみんな平気になあれ!」
はーちゃんがスマホンのタッチペンで魔法を使い、みんなに魔法を掛けた。
ご一行様、海の中へと早速ダイブする。
「……おお!この時期でも潜ってみると海の中って意外と
あったかいんだなあ!」
「わあ!すごいすごーい!夏に海に行った時ジャミルにシュノーケル
ダイビングを教えて貰ったけど、海の中でも普通にお喋り出来るよ!」
「ふふ、喜んで貰えてよかった!海の世界の旅、楽しんで下さいね!」
「♪はー!」
「楽しいモフー!」
「ひゃっほー!」
「……」
……はしゃぐジャミルに、ジャミルさんたら、海の中でもいつもの野球帽子
被ったまんまだわと、リコが呆れる。今回の海水浴は帽子を外さないらしい。
「はー!泳げないリコでもす~いすい、だねっ!」
「ちょっとっ!はーちゃんっ!?」
「あはは~……」
「わあ、綺麗な貝殻!あ、イルカさん!待ってーっ!」
「……こ、こらーっ!こんな海ン中で迷子になったらどうするーっ!!」
はしゃぐ暴走アイシャを捕まえようと急いでジャミルが泳いで
後を追い掛けて行く。そんな2人の姿を見て魔法ガールズ達が
くすっと笑った。
「ふん、バカ共が、今のうちに精々楽しんどけル、さあ~て、ララル達は
先回りしてその人魚の王子とやらを探しに行きますかル!」
「もう勝手にしろって感じりゅ……」
「……真面目にやんねえと……脳味噌飛び出るまでフォークで突き刺すル……」
「アダダダ!アダダダ!……暴力馬鹿悪魔りゅーー!!」
「その前に少し遊んでいくかル、おいリトル、前に奴らの住んでる
小屋にいつも誰にも相手にされない変なキモピエロが住んでるって
言ったル?」
「ああ、時々とち狂って暴れ出すらしいりゅ、普段は殆どどっか行ってて
行動が謎らしいりゅ」
「ふう~ん、……けけけ……、にた……」
小悪魔達が良からぬ目論見を企んでいた頃。漸くアイシャを捕まえた
ジャミルがみんなの処に戻って来た。
「ジャジャ馬娘、現行犯逮捕!」
「……ぶう~!」
「あはは~、さあ、人魚の里はもうすぐだよっ!行こうっ、
ワクワクもんだあっ!」
「はー!(……ジェイド、私、もうすぐあなたに会えると思ったら
何だかドキドキして来ちゃったよ……、こんな気持ちになったのも
久しぶり……)」
「はーちゃんっ、あまりノロケないのよっ!……顔にジェイドって
書いてあるわよ!」
「は、はー!?か、書いてないもん!リコのばかっ!」
「うふふ、はーちゃんも嬉しそうね!」
「……あまずっぺー青春か……」
しかし、そんなみんなの楽しい一時をブチ壊すかの様に……。
「……けけけ!召喚!出でよ!変態怪獣化けシーモンキーピエロっ!!」
……ら~ん、ら~ん、……る~……
「ん?何の声だ?」
「何処かで聞いた様な……、あ、分った!ジャミルねっ、
こんな処まで来て悪ふざけ止めなさいよねっ!」
「はあ!?何で俺になるんだよっ!!」
「……違うモフーっ!!」
「あ、あれはっ!!」
「……か、怪物だわっ!!」
「はーっ!?で、でも何処かで見たことある様な……」
魔法ガールズ達の声に揉めていた2人も振り返ると、確かに何処かで
見た事がある様な笑顔のピエロの顔の下にムキムキのシーモンキー
ボディがくっついていた。
「うわ!又あいつかよ!……一体何回バケモンのネタにされたら
気が済むんだよっ!それにしても相変わらずキメぇ~……」
「はは!ドナルドはねえ、いつかこの話を乗っ取って主役になるんだよ!
そうしたらドナルドランドの変態のお友達も沢山呼ぶんだ!タイトルも
変えなくちゃね!そうだねえ、らんらんルーダチコレクションなんて
どうかな!?」
「……やめんかいっ!この糞キモっ!!」
どうやら此処に来て、ピエロの密かな野望と願望が暴露されたらしい。
黙って話を聞いていたアイシャは苦笑いと冷や汗を掻くのだった。
「ジャミルさん、アイシャさん、下がって!……此処は私達がっ!」
「みらいちゃん……?」
魔法ガールズ達が率先して前に出、ジャミルとアイシャを庇う。
「そうね、私達、今ならプリキュアになれるわ!」
「久しぶりに頑張ろう!」
「ね、ねえ、ジャミル……、みらいちゃん達がプリキュアって、
どういうこと?」
「アイシャは知らなかったんだよな、此処は彼女らに任せて、
俺らは見守ろうや」
「え……、ええーっ!?」
アイシャは遊園地の件で、彼女達が魔法は使えるのは知っていたが、
プリキュアの事は今回で初めて知る事になる……。
「いくよっ!モフルンっ!リコっ!」
「いつでもオッケーよ、みらいっ!」
「いくモフーっ!モッフーン!」
みらい、リコ、モフルンが手を繋ぎ、プリキュアへと変身。
「キュアップ・ラパパ!サファイア!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!」
「キュアップ・ラパパ!エメラルド!フェリーチェ・ファンファン・
フラワーレ!」
ミラクルとマジカル、今回は青いセクシーコス衣装のサファイア
スタイルへ。続いてはーちゃんもキュアフェリーチェへと姿を変えた。
「ふたりの奇跡!キュアミラクル!」
「ふたりの魔法!キュアマジカル!」
「あまねく命に祝福を!キュアフェリーチェ!」
「「魔法つかいプリキュア!」」
「へえ~、今回もまた違うスタイルなのか……」
ジャミルが彼女達のプリキュアモードを見たのは事実上、
これが3回目となる。
「いくよっ!マジカルっ!」
「オッケー、ミラクルっ!」
「……はあああッ!!」
ミラクル、マジカル、2人が呼吸を合わせシーモンキーピエロに
蹴りを入れる。蹴られたピエロはそのまま派手な音を立てその場に
ぶっ倒れた。
「平和な海を汚す人は許しませんっ!人魚の里にも近づけさせない!
食らいなさい!アイシャ直伝!キュウリパーンチっ!!」
更にフェリーチェも、ピエロの顔に食い込むぐらいの勢いの
パンチをたたき込み、ピエロは顔が斜めにひん曲がってしまう……。
「はーちゃん、何だかいつもと雰囲気が違うみたい、変身すると
凄く大人っぽくなるのね、でも、なんで私が出てくるの?……何か
教えたっけ……?」
「……は、はは……」
不思議そうな顔をするアイシャにジャミルは苦笑。
「いくわよーーっ!!」
ミラクル、マジカル、フェリーチェがシーモンキーピエロを高く
掲げて持ち上げそのまま一気に海面まで向かって勢いよく空中へと
飛び出しジャンプ。
「……せえーのっ!!」
勢いよく力を込め、浮き出ている岩石へとピエロを叩き付け、ピエロは
海に転落。ミラクル達はピエロを叩き付けた岩石の上に乗り、暫くじっと
様子を伺う……。すぐにピエロは勢いよくざばっと海から飛び出して来た。
「あっはっはっはあ!ドナルドはねえ、こんな事ぐらいじゃ
負けないよっ!!」
「……ふう~っ!お、やってんな!いけいけやれやれ!糞ピエロ
ぶっとばせーっ!」
「みらいちゃん達、大丈夫かしら……」
プリキュア達の後を追ってジャミルとアイシャも海面に顔を出す。アイシャに
抱かれているモフルンも応援、興奮し始める。
「大丈夫モフーっ!プリキュアは絶対負けないモフーっ!
頑張れモフーーっ!!」
(……時間がないので……)「一気に勝負を付けます!キュアー!アップ!
プリキュア・エメラルド・リンカネーション!」
フェリーチェが浄化技で決めようとするが……。
「あ~っはっはっは!効かないよ~っ!」
「そんなっ、……ど、どうしてっ!?」
通常ならば大概の敵は浄化出来るのだが、非常識なピエロに至っては
効果が無い様子。
「フェリーチェ、大丈夫だよ!此処は私達で!」
「ええ!」
「お願いします、ミラクル、マジカル!」
ミラクルとマジカルは頷き合い手を繋ぐとピエロに向けステッキを振り
合体技を発動させた。
「「青き知性よ!私達の手に!フルフルリンクル!プリキュア・サファイア・
スマーティッシュ!」」
「る~っ!あ~っはっはっはあ!」
ピエロは水の球体に包まれながらも狂った様に笑っている。
「ドナルドはねえ、倒したって何回も何回も出てくるよ!これからもねえ~!
あ~っはっはっはっ!」
……ピエロは暫く抵抗していたが漸く浄化された。
「ふう~っ、やあ~っと終わったよう、それにしても久しぶりの
バトルって疲れるねえ~……」
「本当になんなのかしらあの人……」
「とにかくお二人の所に戻りましょう……」
「みらいちゃ~ん、リコちゃ~ん、はーちゃ~ん、あははー!」
「お前らグッジョブだったぜー!」
「モフーっ!」
魔法ガールズ達は笑顔で頷き合うと手を振っているジャミル達の元へと
戻るのだった。……そして、岩陰に隠れ、こっそり様子を伺っていた
性悪小悪魔2匹。
「ル……、チッ」
「ぎゃははは!失敗したりゅー!……んぎゃあああーーーっ!!
「るせーるせーるせールー!!使った素材が悪すぎたんだル!……畜生、
つまんねーモンで遊ぶんじゃなかったル、とっとと人魚の王子を探しに行くル!
……馬鹿共め、次こそは……見てろル!」
……次回も、破壊大暴走予定の回。
お騒がせ御一行様、漸く人魚の里にご到着。
「ふ~ん……、ここって別に泳がなくても俺ら普通に歩ける
場所なんだなあ……」
「凄いね、お魚さんも人魚さんもいっぱいだね!……何だか地上が
あんなに遠くに見えるわ……」
ボケっとしながらジャミルとアイシャが海の底から遥か遠くの地上を眺めた。
「はーちゃんは赤ちゃんの時にも遊びに来た事があるんですよ!
ね、はーちゃん!」
「♪はー!カニさんとちょきちょき一緒に遊んだのー!」
「うーん、せっかく来たんだし、私も沢山遊びたいな!
あ、こんにちはー!」
「なるほどねえー……、って、またっ!どっか行くんじゃねえって
何回言ったら分かるんだっ!……こらあー!暴走ジャジャ馬あー!
言う事きけええーー!!」
人魚達に挨拶しようとまた暴走して走って行ってしまったアイシャを
慌ててジャミルが追い掛けて行った……。
「あはは~……」
「ほんとにもう~、しょうがないわねえ~、あのお2人さんは……、
もうっ!」
「♪は~!」
「みらいさん、モフルンさん、それに……、ことはさん!」
「あは!ロレッタ先生!お久しぶりでーすっ!」
「こんにちはー!」
「はー!先生!」
美しい銀色の髪の人魚が近づいてくる。魔法学校の補習試験の時に
みらい達がお世話になったロレッタ先生である。
「久しぶりにみんなで遊びに来ちゃいましたあー!それで今日は
後2人一緒に来てます、私達よりもお兄さんとお姉さんなんですけど、
な~んかもう、お友達みたいな感じなんですよね!ついつい気軽に
何でもお話出来ちゃうっていうか!」
「……え、えーと、コホン……、私達がお世話になっている
マンションの方で、その……、片方の方はマンションの管理人を
務めておられます……」
「まあ、お若いのに……、とても偉い方なんですね……」
「はー!でも、2人ともすっごくおっちょこちょいなんだよ!
だから一緒に遊ぶとすっごく楽しいのっ!」
「……はーちゃんっ!あ、……そ、その……」
リコがはーちゃんを窘めようとしたその時、丁度噂の当事者達が
戻って来る。
「もう~っ!ジャミルったらっ!私子供じゃないったら!そんなに
心配しなくて大丈夫だったら!いつも子供扱いしないでって言ってる
でしょ!!」
「うるさい!事ある度誘拐され捲っとるお前が何を言うか!
そんな台詞は100年早いっ!!……ん?」
「お帰りなさあ~い!」
「みらいさん、あのお二人がそうなんですか?」
「はい、そ、そうです、ジャミルさんと……」
「はー!アイシャだよー!」
「モフー!」
皆の一斉の視線に気づき、ケンカをしていた2人が漸く正面を向いた。
「初めまして、みらいさん達がいつも大変お世話になっております、
私は魔法学校の特別教師を務めております、ロレッタと申します、
どうぞ宜しく……」
「は、はあ……、此方こそ……」
「こ、こんにちは……」
ロレッタがジャミル達に握手を求める。2人は何が起こったのか
分らず、暫く目が点目になり、お互いの顔を見合い、顔を真っ赤にした……。
「わあーい!みらいちゃんたちだあー!」
更に岩陰から様子を伺っていた可愛らしい人魚の女の子達3人が顔を出す。
「あはは!みんなもー!」
「久しぶりね!」
「ドロシー達も元気そうだね!」
「おにいちゃんとおねえちゃん……、だあれ?」
紫色の髪の子がジャミルとアイシャをきょとんとして見ている。
「私達のお友達で(騒がしい)お兄ちゃんとお姉ちゃんでもあるんだよ!」
「ね、ねえ、みらいちゃん……、お友達……、の後に何か言わなかった……?」
「え、えへ?わ、私、何か言いましたあ?あははー!」
アイシャの問いにみらいが笑って誤魔化す……。
「へえ~、そうなんだあ~、わたしはシシー、よろしくね!」
「わたし、ドロシー!」
「わたしはナンシー!」
一番お姉さんぽい、黄緑色の髪の子がナンシー、そして、一番小さい青色の
髪の子がドロシー、それぞれの名前らしい。
「俺はジャミル、宜しくな!」
「私はアイシャです、仲良くしてね!」
「この子達は私の教え子です、まだ小さいので色々とご迷惑をお掛けして
しまうかも知れませんが、良かったらあなた方の世界の色々なお話を
この子達に教えてあげて下さいね……」
ロレッタにお願いされそれぞれの自己紹介が終わった後、ジャミルと
アイシャは人魚の里にある果実園へと招待された。其処には普通には
味わうことの出来ない珍しい果物ばかり。2人は甘い果実を堪能する。
「おいしーい!なんて言う果実なのかしらね?」
「う~ん、バナナの様でバナナじゃないんだな、色が違うし……」
「……もうっ!何本食べるのよ、お腹壊したって知らないわよ!」
「うるせーなあ、オメーだってジュース何杯飲んでんだよ!そのうち腹が
タッポンタッポンになって……、あいてててっ!」
そんな2人の様子を人魚の小さなガールズ達は楽しそうに
ニコニコ眺めている。
「ねえねえ、モフちゃん、ひさしぶりにダンスおどってえー!
みたいー!」
「任せるモフ!♪いっちにー、モーフモフ!にーにっ、モーフモフ!」
「わあ~、じょうず!」
モフルンがテーブルの上に乗り、ジャミルが食べたバナナ擬き?
の皮をふりふり、楽しそうに踊り出し、ナンシー達は手を叩いて
喜んでいる。
「ジャミルも踊るモフー!そーれモフモフー!」
「……踊るかっつーのっ!!」
顔を赤くし、ムキになるジャミルを見て、みらい、リコ、アイシャが
下を向いてくすくす笑い出した。
「たくっ!(はあ~、流石に此処で吸ったら怒られんだろうなあ~……)ん?」
「……」
「……おい、ことは?」
1人、下を向いて黙ったまま様子がおかしいはーちゃんにジャミルが
声を掛けた。
「はー?……な、何でもない……」
はーちゃんはさっきから持参してきたポーチの中を開け、覗いては閉め、
覗いては閉め……、そわそわ、モジモジと……。
「そろそろ行ってきなさい、今日はその為に来たんでしょ?ね?」
リコがはーちゃんの方を向いてウインク。其処でジャミルも漸く理解。
「あー、成程ね、行ってこいこい、俺らは邪魔しねえからさ!」
「うん、ジャミルは抑えておくからね、頑張って、はーちゃん!
……で、でも、後で私達にもその王子様、紹介してね!」
「……だから何もしねーっつの!ほら早く行け行け!」
アイシャの頭を抑えながらジャミルがはーちゃんに手を振る。
みらい、リコ、モフルンも笑って頷いた。
「……やーだあああ!ジャミルのバカあ!髪の毛乱れちゃううっ!!」
「はー!みんなありがとうっ!行ってきまーす!」
はーちゃんはポーチを抱え、ダッシュする。……愛しい愛しい王子様に
再び巡り会う為に……。
「ジェイド……、どこ?」
人魚の里はカップルで溢れていた。プリキュア達が人魚の里を救い、王子の
呪いを解いたお陰で人魚族同士はお互いを愛する事を再び許されたのである。
「ジェイド……、私……、あなたに会いたくて此処まで来たんだよ……」
「アンタが花海ことはさんかい……?」
「はー?」
後ろを振り向くと、人魚の少年が……。
「あの、あなたは……?」
「オレは王子に頼まれて来たんだよ、もしもアンタが王子に会いに来たら
迎えに行ってやってくれってさ、ずっと行ったり来たりを繰り返してたんだ、
オレは王子のダチなんだよ!」
「……どういう事?」
「王子は今、重い病に掛かっちまってさ、動けねえんだ……、もうアンタに
会いたくて会いたくて堪らなくて、遂に病気になっちまったのさ、でも、
もう大丈夫だ、オレがアンタを王子の処まで案内するぜ!アンタに会えば
王子の病気なんかすぐに治っちまうよ!」
「ジェイドの処に案内してくれるの?……お、お願いっ!」
「勿論だ、一緒に来てくんな!」
「ありがとうっ!」
「へへへ、じゃあ、付いてきな……、へ、へへ……」
ジェイドの事で胸が一杯のはーちゃんは他の事が考えられず、人魚の少年に
ついて行ってしまう……。そんなはーちゃんの様子を隠れて眺めている者が……。
「……ル、何て単純な奴ル、昭和の少女漫画のヒロインかよル、んな事は
どうでもいいル、……ウチのバカリトルを貸したけど、あんなモンでいいル?」
「充分よ、大いに結構……、ふふ……」
「ル……」
性悪小悪魔ララルと、はーちゃんを連れて行った人魚の少年は魔法で
化けたリトルだった。……そして、この少女は……。
「一度は降参したけど、やっぱり許せないのよ、……プリキュア……」
小悪魔達にはーちゃん誘拐依頼を企てたのは、かつて王子に呪いを掛け、
フェリーチェの強い愛に負け去って行き、改心したかの様に見えたあの
女魔法使いであった。
(今回はあまり暴走しませんでした……。)
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