同時

ドリップのコーヒーパックにお湯を二回入れて、ゆっくりと持ち上げた
パックの底から茶色のコーヒーの液体が落ちてゆく
同時に、すぐ後ろにある流し台の蛇口から水が音を立てて落ちた
完全に同時に始まって、パックの底から落ちる方が少しだけ時間が長かった
蛇口の栓は閉まっていた
だがなぜか、私が電気ポットのお湯を使ってコーヒーを入れた時に、蛇口から同時に水が落ちた




私は後ろも見ずに言った
「何なんだ・・」
何の用か、とは言わずに吐き捨てるように言った

流し台のところには誰もいない
けれどもそれは、不在という在である
感覚外の存在はも不在という領域に存在している
観察者は観察の対象に対して様々な実験を行う
それは被験者からすれば嘲笑うかのような目線を感じさせる
だから、私は多少の憎しみをもって「何なんだ・・」と言ってやった
用もないのに騒ぐなと言ってやりたかった

事に際して騒ぎ立てる無能な見物人を野次馬という
野次馬に振り回されてはならない
その事は人間においても鬼魔においても変わりがない
憎しみにとらわれて、ふざけるな・・と感情的に騒ぎ立てればこちらの負けである
騒げば騒ぎほど鬼魔は喜ぶのである
こんなニュースはいかが・・とでもいうように



外縁の事象の出来事の一つ
思い起こすと、その時の蛇口から落ちた水の音が
「 練習・・練習・・ 」とでも言っているかのように思えてくる



ふざけるな!



やはり負けてしまっているようである



・ ・

同時

同時

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2026-01-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted