石井先生への手紙

天地有用

多くの人は”できない前提”で生きているから、
できなくても『まぁそんなもんだ』で終わる。

でも、
本来できる。
ちゃんとやればできる。
できない状態が異常で耐え難い。

『どうしてできないの?』と悩む性質。

できる自信がある。
自己理解がある。
過小評価していない。
過大評価もしていない。

その場その場の状況やタイミングがズレたときに、
【できない自分を許す回路の働きが弱い】、それだけ。

あなたの言葉で気づけたのは、
立ち止まり、崩し、それでも考え続けたから。

できない自分を疑い、自分の欠点を探す。
自分を傷め、ダメだと結論付ける。

すべては”できるはずの人間だ”という前提あってのこと。

自己評価の低い人は悩まない。悔やまない。
仕方ないと諦める。

気持ちの波があるのは、
自分への期待の波が高い。そして、
踏ん張っていた痕跡から、
本来の自分との差を感じ取れていたから。

『義務や使命ではないことに、
どうしてそこまで厳しい基準を適用しているの?』

他者の約束が破られるのは我慢できる。
自分自身との約束くらい守りたい、それだけ。
自分は裏切りたくない、それだけ。

自分を信じている。それだけ。

生きている。
自分である。
それが感じられないと不安で仕方がない。
死んでいるのではと疑う。

義務や使命ではないことが、
できたとしてもそれは自己満足であり、
できないとしてもそれは失敗ではない。

だから、
自分にやさしくすることをおぼえなさい、甘やかしなさい。

それらは怠惰ではない。

できる自分を信じ、
できない日はその理由をただ眺める。

努力でねじ伏せず、仕組みで助けなさい。
責めて動くことなく、堪え整えなさい。

ブレーキに乗せ続けていた足を離し休める。
今がその時だとわかりなさい。

そうでしょ、先生。

石井先生への手紙

石井先生への手紙

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-01-19

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