世界一無表情で無邪気な私の彼氏

私の名前は栗花落(つゆり)咲。私立中『華咲学園』に通っている中学2年生。
私には幼馴染の清水(うた)っていう人がいるんだけど…
今、なんか壁ドンされてます。
容姿端麗で女子に人気な詩。
小学校の頃は「恋愛対象ペンペングサ」って言われて、泣きながら私にくっついてきてたのに…
今はもう、無表情のクール系高身長男子になってしまった。
見下ろすような構図。
数人の女子から悪口が聞こえる。
何を言うのか、ドキドキしながら待つ。
「今回の数学の範囲、教えて。」
ズコッ。
ほんとにそんな効果音が聞こえた、気がする。
「雇う。」
いや、関係ないって。
「最低賃金守るから。」
「何円?」
「1000円。」
「226円足りない!!!!!」
周りから、大きな笑いが起こる。
こうなった前の話の事。

詩が話しかけてきた。
嫌な予感がする。もうすでに、追っかけの詩ファンたちが周囲にいる。
「ねえ」
「何?」
返すのが素晴らしくめんどくさい。
そもそも私は恋愛に興味がないのだ。
「今日、遊べる?」
めちゃくちゃ悩む。
ここで返事をすれば、女子たちから確実に距離を置かれるだろう。
でもやっぱり詩は幼馴染だ。返さないと可哀想である。
「多分」
ここでノーコメント?を挟む。完璧な立ち回り――
「ほんと!?」
無表情だが、明らかに目が輝いている。
表情筋が中学になってから動かない以外は、小動物みたいに無邪気だな……
こうなっては断れない。
「うん、遊べる。」
現在、後ろにいるファンの女子を全員敵に回した。

結局。
遊ぶことになってしまった。
遊ぶってことは、実質デートのようなものだ。
だるい。
学校前で待ち合わせ。
案の定、怖すぎる目つきで電柱の影から睨みをきかせるファンたちがいた。
「どこいくの?」
「公園。」
え??
「もう一回言って?」
「だから、公園!」
無邪気の極み。
小学生1年生から、クールさと身長と表情筋以外は何も変わっていないみたい。
で。
公園でブランコを揺らしながらアイスを食べる。
まだ風が冷たい。たまに、冷たくて頭が痛い。
「栗花落、おいしい?」
「うん。」
その時。
表情筋が緩み、歯を見せてニカッと笑った。
究極の不意打ち。
どうしようもなく、癒された。

その明日。
やっぱり、女子(主に陽キャ)から完全に無視されている。
なんで幼馴染と遊ぶだけで、そんなに怒るのかな……。
理由は明確だけど、なんかもう可笑しかった。
数学の授業。
詩と同じクラスで授業を受けることになった。
席決め――もうすでに、修羅場になる予感が漂っていた。
くじ引き。隣。爆死。
神様、ここで不運を使ってくるのは良くないですよ……!!!
いや、神様はサイコロを振らないと言うから、これも私の運命か……
終始無表情だが、目でわかる。
あれは、何も理解していない時の目だ。
ノートを見せると、理解してくれたようだ。
「ありがとう」
やめてほしい。
いや、やめなくていいけど、せめて別のところで言ってよ……
陰キャの私が、さらにクラスで浮いた。その明日。
やっぱり、女子(主に陽キャ)から完全に無視されている。
なんで幼馴染と遊ぶだけで、そんなに怒るのかな……。
理由は明確だけど、なんかもう可笑しかった。
数学の授業。
詩と同じクラスで授業を受けることになった。
席決め――もうすでに、修羅場になる予感が漂っていた。
くじ引き。隣。爆死。
神様、ここで不運を使ってくるのは良くないですよ……!!!
いや、神様はサイコロを振らないと言うから、これも私の運命か……
終始無表情だが、目でわかる。
あれは、何も理解していない時の目だ。
ノートを見せると、理解してくれたようだ。
「ありがとう」
やめてほしい。
いや、やめなくていいけど、せめて別のところで言ってよ……
陰キャの私が、さらにクラスで浮いた。

ついに。
私は、ギャルという名の究極詩ファンたちに目をつけられてしまった。
「お前、調子乗ってんじゃねえよ!」
すごい剣幕で怒られた。
今日も、詩と帰る予定だった。
校舎裏。誰もいない。
私立中に、いじめってあったんだ……。
責められ続けて、精神がやばくなりそうになった時。
「栗花落!」
詩だった。
「探してたんだよ、何やってたの!?」
声からは心配しか感じ取れない。
怒ってない。それだけで、よかった。
しかし。
「え〜マジで〜?w」
「お前、詩様置き去りにしたんじゃんw」
ヘラヘラと、ギャル達が根も葉もないことを言う。
目に涙が滲む。
「栗花落を後ろに連れ込んだのはお前らだろ!」
無表情じゃなかった。
確かに、怒った表情だった。
「は?」
まだいざこざは続きそう。

一週間が過ぎた。
なんと私は、詩ファンと仲良くなっていた。
でも、ギャルとはまだバッチバチ。
そんなある日。
「今日は屋上で食べよ〜」
私の前では、表情筋が緩むようになった詩。
屋上は、ちょうど今日開放されていた。
一番人気のない場所のため、私たち以外に人はいなかった。
五月晴れの快晴。そよ風が吹く。
「こうして食べるのも、いいね」
「うん」
「ねえ」
「何?」
「付き合って」
一瞬、頭が真っ白になった。
「????????」
「ダメ?」
数秒後。
「ええ!?いやいやいやいや、私なんかでいいの!?!?」
「“私なんか”ってことは、いいってこと?」
気づけば、もう詩は中学生レベルの心を読み取る力がついていた。
「むきゅー……ばれた……。」
「じゃあ、いいってこと!?」
端正な顔立ちに、ふわりとした笑顔が浮かぶ。
「いいよ……!」
「やったー!!!」
まだ、屋上でギャルが盗み聞きしていたことは知らない。

そうして、翌日。
「おめでと〜!」
教室に入って一番に聞こえたのは、その声だった。
ギャルまではいかないけど、かなり詩大好きファンの不知火さんが、真っ先に言ってくれた。
「???どういうこと!?」
「詩さんと付き合ったんだって!?めっちゃいいな〜!」
なんで、なんで知られてるの〜!?
そこに、詩が入ってきた。
「詩様!お付き合いおめでとうございます!」
「は、え、どういうこと?」
気づけば、クラス全員が知っていたのだ。
もちろん、ギャルも。
「なんであいつが詩様と付き合ってんの!?」
「ふざけんな!一番詩様を愛してるのは、うちなのに!」
そこから、私の下駄箱は罵詈雑言まみれ。
詩の下駄箱は、ラブレターまみれになった。
「どど、どうしよう!?」
「大丈夫。どうにかする」
そこで、ある作戦を立てた。

そこで、反撃に出た。
作戦名は――
『コードネーム:GAL恋心殲滅大作戦』
GALというのは、ギャル。
今やられていることは、すべてギャルがやったという報告が来た。
ギャル vs 詩ファンの情報戦、開始。
作戦A:噂
「詩様って、意外と優しくないらしいよ」
→ギャルの戦力低下。
作戦B:下駄箱返し
罵詈雑言とラブレターを全部返却 & 先生に報告。
→ギャルは地獄のような説教。
「ちょ、ちょっとやりすぎでは……?」
詩は無表情で、私の肩に手を回す。
「咲を守るため」
気づかぬうちに、頬が赤くなった。
結果。
ギャル、完全敗北。
「でも、あなた達、詩が好きだっただけなんだよね……?」
「そうっつってんだろ!」
「耳ついてんの?」
やっぱり反省は、ないのだろうか。
「咲に手を出すなら」
場が凍りつく。
「誰でも、許さない」
俯いて、軽く首を縦に振った。

そして。
二週間がたった、ある日。
「今日、家来ない?」
今度は確信した。
デートだ。
「いい、よ?」
「じゃあ、学校前集合ね!」
ちょっと不安でもあった。
陰キャだから、デートで何をしたらいいのかわからない。
放課後。
学校前に着くと、詩がめちゃくちゃオシャレな私服で来ていた。
とりあえず私は、ワンピースを着てきた。全然似合わないけど。
「咲」
ビクッとする。
「あ、似合ってないよね……」
「いや、逆。めっちゃかわいい」
鼓動が伝わる。早くなる。
「えへへ……」
「じゃあ、家行こう」
自転車の後ろに乗せられた。
そう。
いろんな陽キャと関わっていくうちに、私がどれだけ可愛くないのかが、はっきりわかってきた。
家に着いて、ぽつり。
「ほんとは、他の子の方が好きなんじゃないのかな……」
あ。心の声が漏れてしまった。
すると、少し寂しそうな顔で言った。
「咲じゃないとやだ。咲、優しいもん。」
いつの間にか、笑い泣きになっていた。
「ありがとう……」
夕陽が照らす中、二人は家でゆっくり過ごした。

世界一無表情で無邪気な私の彼氏

世界一無表情で無邪気な私の彼氏

ちょっとずつ変わる、幼馴染とついていけない私。

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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2026-01-19

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