大学生

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数少ない旧くからの友人に、博士課程に在籍している子がいる。

新年のメールをもらったのだが、今秋に学位を取得見込なのだそうだ。


正直、私が大学に慣れるまでは精神的に堪えた。知り合いが全くいない、一から何もかも自分ではじめなくてはいけないという環境には戸惑った。

そこをうまく取り持ってくれた、というのがサークルだった。確かに時間的に厳しいとき、授業と活動を天秤にかけざるを得ないときもあったが、たくさんの人との付き合い方を思い出させてくれた。気がついていたら、サークル以外にも友人ができていた。

大学四年、サークルの友人もその他の友人たちも進路を決めていき、気づけば自分はまた取り残されてしまっていた。様々な試験にはことごとく落ち、何も残っていない、と思っていた。

その頃には学校に来る友人も数少なくなり、情報もなかなか入らなくなっていたが、偶然学内で会った別の友人から文頭に挙げた友人の話を聞いたのだ。

そうか、もう少し自分が楽しいと思ったことをしてみようか。私は修士課程への進学を決意した。

修士課程修了後の予定はまっさらだった。さらに博士課程への進学も考えたが、これ以上の負担はもう無理だと分かっていた。

自力でなんとかするか、あきらめるしかなかったが、前出の友人が博士課程進学のために帰ってくることを知り、くすぶりを残しながら自分はこれより先の道は断念した。

それから数年。博士課程修了後の進路までは聞けていない。自分ももう一度大学へ行こうかと考えたが、それが本当に自分のやりたいこととは違うのではないかと考え、今度はきっぱりとこの道を断つことができた。

今、親戚に現役の大学生が数名いる。それぞれ、大学のみでは飽き足らず、大学院まで進学したいと言うかもしれない。直接会って話をする機会はなかなかないが、もし話をできるのならば、せっかく入った大学、後悔しないところまで納得して生活して欲しいし、さらに上位の課程まで進みたいと思うならばそれも躊躇しないで伝えてほしいと思うのである。

やはり、経験したからこそ伝えられることだと思う。後悔しながら生きるのは、つまらないし、辛いから。

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  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-02-02

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