幻覚
ある作品の執筆に取りかかった日
それはやってきた
幻覚
突如、都心に魔界人が降り立った、と
それも魔界の王子だと
天使が言う
やっつけて!
私は焦り
理由を尋ねると
この世の終わりが来た
王子は人間界を滅ぼす
と幻聴
東京の空が黒雲に包まれる
そんな映像が浮かび
焦る私は
どうしたらいい
とりあえず
元気玉か!
そして幻覚と幻聴にやられた私は
天井に向けて両手を上げ
汗だくになり
どうかみんな
世界のみんな
俺に元気を
ちょっとずつでいい
元気をわけてくれ
冗談でなく
本気で願った
そして
東京上空に溜めたエネルギー体を放つ
世界に平和が訪れた
同時に私は倒れ
正気に戻り
気がついたら
救急隊の方々に囲まれていた
私は一体どうしたのか
夢ではない
幻覚
おかげで
療養後の執筆は
大作となった
精神の病
それは
想像以上に酷だったが
引き換えに
宝を得ることができた
幻覚