時間のささやき
時間は私に幾度もささやく
今現在をいかに生きるのか
記憶はもう一人の私となって、私を静かに見つめている
手を差し伸べるものは何もなく、私の心は宙に浮いたまま
何かを忘れていると気付いては、またやり直す
使者の言葉を胸に仕舞い、また前を向く事の繰り返し
無視できない外縁の事象の働きかけに、最善の対処を思案する
日記帳に貼り付けた一枚の小さなレシートは幻の時間の証明
店の前の入口で私を待っていた小さな茶色い蝶は、疲れ切った私に働きかける
美しきこの世の一欠片という外縁の事象の思い出
静かにしてくれないかと私は言う
時間は私にささやく
過去はすでに終わったのだと
あなたを待っている時間は美しくはないけれども、あなたはその時間を生きなければならない
忘れ得ぬ永遠は、あなたの背中を押すだろう
今現在に於いてもその事は揺るぎなく変わる事もない
あなたが愛された事は永遠なのだから
そして今も声を限りに呼べば、そこにいる
あなたを祈ってくれた人はあなたと共にいる
永遠は過去にはならない
いかに時間が過ぎようとも
時間のささやき