時間のささやき

時間は私に幾度もささやく

今現在をいかに生きるのか

記憶はもう一人の私となって、私を静かに見つめている

手を差し伸べるものは何もなく、私の心は宙に浮いたまま

何かを忘れていると気付いては、またやり直す

使者の言葉を胸に仕舞い、また前を向く事の繰り返し

無視できない外縁の事象の働きかけに、最善の対処を思案する



日記帳に貼り付けた一枚の小さなレシートは幻の時間の証明

店の前の入口で私を待っていた小さな茶色い蝶は、疲れ切った私に働きかける

美しきこの世の一欠片という外縁の事象の思い出

静かにしてくれないかと私は言う




時間は私にささやく

過去はすでに終わったのだと

あなたを待っている時間は美しくはないけれども、あなたはその時間を生きなければならない

忘れ得ぬ永遠は、あなたの背中を押すだろう

今現在に於いてもその事は揺るぎなく変わる事もない

あなたが愛された事は永遠なのだから

そして今も声を限りに呼べば、そこにいる

あなたを祈ってくれた人はあなたと共にいる

永遠は過去にはならない

いかに時間が過ぎようとも

時間のささやき

時間のささやき

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2025-12-24

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