詩終 90 (不測)


一年も経ってしまえば、多くのことが起こる。
自分を取り巻く人々が変わる。離れ、近づき、出会い、…景色が変わる。
何かを忘れて、自分の中の多くを占める何かが変わる。
何も想定などできなかった。
いつも、経ってしまえばそうだ。
一ヶ月でさえ、一週間でさえ、一日でさえ。

わたしはいつも同じではない。
日々も同じではない。
ムードは刻々と変化してゆく。中で、
私を取り巻くものが私を連れ去る。
中で、私は行為してゆく。
その行為は、誰のものか。

わたしの中に生起する雲が、現れては立ち消え、また現れて形を変える。
わたしの空の明暗とともにグラデーションしながら。
そして消え、また…

さっき「一」と書きはじめた私は、これから書かれる文章の何も予期していなかった。
わたしの空、わたしの雲、そして私は生きていて、行為は起こった。
「一年も経ってしまえば…」と。
そして私は書いている。何も想定などできなかった。
数分でさえ、数行を書くこの数十秒さえ。

思い描く先は何一つそのままの形で現れることはなく、
過去は過ぎてしまえば覚めた後の夢のようだ。
青写真も古びゆく写真も、現実の色彩とはあまりに違っている。

はじまりに時があり、終わりに時があるなら、
はじまりも終わりも無いのだろう。
時は無いのだから。
あるものだけがあるのだから。

何も約束などいらない。

詩終 90 (不測)

詩終 90 (不測)

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-16

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