渇きへの順応

何も思わない
何も感じない
ただ惰性で呼吸をする私は
もう死んでいるのかもしれない
胸に穿(うが)たれた穴にも
頓着(とんじゃく)しなくなった
満たされずとも生きられることを
図らずも(あか)してしまった
満たしてもすぐ(かわ)くことの
繰り返しなら 渇きに慣れたほうが
満たす労をとるより 賢いのではないか
そう悟り 満たす努力を放棄する
私は間違っているのだろうか
満たせば満たすほど
その穴は広がってゆく、私はもはや
渇いていることに負い目を感じない
満たされることに羨望も覚えない
ただ 死ねずに惰性で在るだけの私

渇きへの順応

渇きへの順応

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2025-12-16

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