渇きへの順応
何も思わない
何も感じない
ただ惰性で呼吸をする私は
もう死んでいるのかもしれない
胸に穿たれた穴にも
頓着しなくなった
満たされずとも生きられることを
図らずも証してしまった
満たしてもすぐ渇くことの
繰り返しなら 渇きに慣れたほうが
満たす労をとるより 賢いのではないか
そう悟り 満たす努力を放棄する
私は間違っているのだろうか
満たせば満たすほど
その穴は広がってゆく、私はもはや
渇いていることに負い目を感じない
満たされることに羨望も覚えない
ただ 死ねずに惰性で在るだけの私
渇きへの順応