映画『ロマンティック・キラー』レビュー
①一部、加筆修正しました(2025年12月15日現在)。
いやぁ、やりたい放題でしたよ『ロマンティック・キラー』。映画にドラマ、漫画にアニメとありとあらゆる作品から恋愛要素を抽出しまくり。拾えた限りでも①キアヌ・リーブスな『スピー◯』に②Netflixで全世界発信の『愛の不◯着』、③2.5次元で華麗に斬り踊る『刀剣乱◯』、④イケメンが一気に増殖する『花ざかりの◯たちへ』、⑤唐突すぎて大爆笑の『君の名◯』、⑥まさか過ぎて抱腹絶倒の『名探偵◯ナン』と無節操にも程がある有り様。あ、あと⑦『高◯教師』もありましたね。一瞬だったけど😅
その全部に巻き込まれる星野杏子が恋愛キャンセル界隈代表として真っ向勝負を仕掛けるアクションは多分に『マトリックス・リローデッド』をベースにしていて、全イケメンがエージェント・スミスだったし、スタントマンを使わずにキアヌ・リーブス並みのワイヤーアクションを全シーンで魅せた上白石萌歌さんが拍手喝采もの。ネオのようには現実世界を飛べない杏子に代わって別次元から竜を召喚→ 『◯とそばかすの姫』に繋げて彼女の美声を披露する演出を創出するあたりも、サービス精神旺盛な英勉監督らしい描写に思えて膝を打ちました。何度思い返しても情報の量も流れも圧倒的なシークエンス。むちゃくちゃ面白かったです👏🏻
メインストーリーの部分では杏子に恋愛をさせようと画策する魔法使いのリリが魔法を使って状況を生み出すことはできるけれど、人の心ないし感情は操れないと分かってからが真の始まり。
香月司、速水純太、小金井聖がそれぞれに抱く想いに応え、杏子が誰かひとりを選べば恋愛ドラマとしては大成功を収める。しかしながら、本作のタイトルは『ロマンティック・キラー』。普通の恋愛が一番似合わない。だからといって杏子が今まで通りを貫くと人間界からリリがいる魔法世界に供給できる恋愛エネルギーが枯渇し、環境汚染も進んで近いうちに確実に滅んでしまう。
そんな前にも進めない、後にも引けないような状況下で杏子が出した答えは、今まで一ミリも恋愛に興味がなかったかつての自分をひっくり返したBIG LOVE。ひたすらに真っ直ぐで垣根のないI Love Youでした。キュン要素には欠けるかもしれないけど、0か100しかない杏子らしい結論に思えて個人的には非常に納得。加えて本作はキャスティングの面でも杏子の相手役を髙橋恭平さん(なにわ男子)、木村柾哉さん(INI)、中島颯太さん(FANTASTICS)といった複数グループから行い、推し活全面肯定のスタンスに立つ作品。この点を考慮すると、杏子の選択はファンの推し心を代弁する一面も担っていたと私は考えたいですね。魔法世界の危機も無事に回避できましたし。まさに愛は世界を救ったのです。
スピーディな展開で笑いどころも沢山ある映画なので、特に推しなんていねぇよという方にもお勧めできる一作です。あ、あと『賭ケグルイ』好きにも本作はお勧めしたい。「彼」や「彼」が非常に無駄使いされてますから。私は腹抱えて笑いました。興味がある方は是非。
映画『ロマンティック・キラー』レビュー